弁護士になったその先のこと
1 弁護士は常に勉強が必要
私は、弁護士になって、今年で10年目になり、
12月で満10年となります。
様々な事件を経験して、法律知識や制度についての知識は増え、
裁判における相場観が肌感覚でわかり、
事件の見通しをつけられるようになってきました。
事件を通じて積み重ねられた経験値から、
自分で「これで良い」と決断できる力が身についてきました。
もっとも、弁護士の取扱う事件には、一つとして同じものはなく、
毎回頭を悩ませるものばかりです。
そのため、弁護士は、常に学び続けて、
自分の知識をアップデートして、成長していく必要があります。
自分の弁護士としてのスキルや知識をアップグレードするために、
優秀な方々の仕事術を参考にしています。
最近では、優秀な弁護士がご自身のノウハウを書籍として
公開していますので、とても参考になります。
最近出会った書籍でおすすめなのが、
会社法の分野で著名な弁護士である中村直人先生の
「弁護士になったその先のこと」という本です。
この本には、新人弁護士が一人前の腕のいい弁護士になるために
必要なノウハウと心構えが記載されており、
私のように10年目の弁護士が読んでも、
とても勉強になりました。
それでは、この本を読んで得た気づきを3つ、ご紹介します。
2 片付けは大切です
1つ目は、事務所のデスクの片付けの重要性です。
弁護士の仕事で多くを占めるのが、
大量の資料や文献、裁判例を読み、
書面にまとめるという仕事です。
必然的に読むべき資料が膨れ上がってきますので、
きちんと整理しないと事務所のデスクはすぐに
書類の山になってしまいます。
そして、優秀な弁護士であっても、
事務所のデスクが整理されていない方がけっこう多い傾向にあります。
デスクが片付いていないと、資料がなくなるリスクがあり、
その資料を探すために無駄な時間を費やすことになってしまいます。
私は、年に1,2回ほど、なくした資料を探すために、
無駄な時間を費やしてしまいます。
このような無駄をなくすためにも、この本には、
「事件記録は、一度に1件しか机に広げない」、
「物がなくなる場所を作らない」
というアイデアが記載されています。
事件記録を複数デスクに置いておくと、
資料が別の記録にまぎれてしまうリスクがあり、
そうなると、資料を探し出すことが困難になってしまいます。
また、物がなくなるのは、なくなる場所があるからであり、
一目で見えない物がないスッキリした環境にしておけば、
物はなくならないのです。
最近では、デスク周りを整理整頓し、
事件記録は1件だけしかデスクに置かないようにしました。
整理されたデスクで仕事をすると、不思議と気持ちが整い、
仕事がはかどるようになりました。
3 重たい仕事からはじめる
2つ目は、一番重たい仕事からやりはじめることです。
誰しも、やっかいなことや気が重いことは後回しにしがちです。
しかし、自分にとって重たい仕事を後回しにしていると、
そのうち時間がなくなり、最悪、時間切れとなって、
信頼を失うことになりかねません。
とくに、弁護士の仕事は、突発的に依頼が舞い込んできて
対処しないといけないことがあるので、ある程度、余裕を持って仕事をしていないといけません。
そこで、重たい仕事を最初にやっておいて、
ある程度の目処を立てておけば、
自分のスケジュールをコントロールできます。
重たい仕事から逃げないで、先に手を付けておくのが大切なのです。
4 準備書面の書き方
3つ目は準備書面を書き方です。
弁護士の仕事で時間がかかるのは、
民事事件でクライアントの主張をまとめた
準備書面を作成するときです。
この準備書面を書く際のポイントとして、
まずはじっくり調査して、とことん調べたという自信ができてから、
一気に書ききってしまうということです。
途中で別の仕事をすると、文章が途切れて迫力がなくなるので、
一気に書くことで読み手に説得力のある迫力が生じるのです。
そして、一旦、準備書面を書いた後に
寝かせる時間を持つことも必要です。
一度別の仕事をしてから、見直すと、
漏れなどに気づいて、よりよい文章にできるわけです。
新人弁護士や中堅弁護士にとって、
自分の仕事の方向性を定めるきっかけを与えてくれる良書ですので、
紹介しました。
本日もお読みいただきありがとうございます。
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