笑顔相続セミナーを開催します3~遺言書のポイント~
昨日のブログで,私の祖母の遺産分割協議のケースを題材に,
遺言書にはポイントがあることを記載しました。
本日は,遺言書を作成する際のポイントについて解説します。
私が考える遺言書のポイントは,
①遺留分に配慮すること,
②付言事項を活用するの2点です。
まず,①遺留分に配慮すること,について解説します。
遺留分とは,遺言書によっても奪うことができない,
相続人に認められた財産を取得できる最低限の権利のことです。
もともと,人は,自分の財産を自由に処分でき,
遺言書に記載することで,自分が死亡した後の財産の処分を
自由に決められるのですが,他方で,相続制度には,
遺族の生活保障と,遺産の形成に貢献した遺族の潜在的持ち分を
精算するという機能があることから,相続人に対して,
遺言書でも奪うことのできない最低限の取り分を認めたわけです。
私の祖母の遺言書には,全ての財産を長男である父に
相続させると記載されていました。
この遺言書を見た,父以外の相続人である父の兄弟姉妹は,
長男だけが母の財産を取得するのは,不公平だと思います。
人は,不公平だと感じていて,
自分にも何かもらえる権利があれば,
もらいたいと思うものです。
もらえるものはもらいたい。
これは,人間の性としてしかたがないことです。
また,祖父の遺産分割調停で高等裁判所まで
争った過去があるので,積年の恨みの感情もあります。
私の祖母のケースでは,遺留分は1/10が認められていたので,
当然,他の兄弟姉妹は,1/10の遺留分に相当する金銭の
請求を父にしてくるわけです。
さらに,請求された遺留分を支払えるだけの預貯金が
遺産として残っていればいいのですが,
遺産のほとんどが不動産の場合,不動産が売れないと,
遺留分に相当する金銭を支払うことができません。
このように,①人間の欲,②相続人の感情,③遺産の性質
などが原因で,遺留分でもめることはよくあります。
遺留分でもめないようにするには,最初から,
遺言書で,全ての相続人に対して,
遺留分に相当する財産を確保させておけばいいのです。
そのためには,自分の財産として何があるのかを把握し,
いくらの評価なのかを調査し,遺留分を計算して,
遺留分相当の財産を相続人に配分しておけばいいのです。
次に,②付言事項の活用です。
例えば,母が亡くなり,長男と二男が母の遺産
(自宅5000万円,預金1000万円)
を相続するケースを考えてみます。
母の遺言書には,自宅を長男に相続させる,
預金を二男に相続させると記載されていました。
この場合,二男には1/4の遺留分が認められているので,
遺留分は,遺産全額6000万円の1/4である1500万円となります。
二男は,預金1000万円を相続できるで,
あと500万円足りません。
そのため,二男は,長男に対して,
遺留分として500万円を請求できます。
ただ,母の遺言書に,次の文言が記載されていたら,どうでしょうか。
「自宅は,先祖代々の土地です。
近所付き合いやお墓と一緒に長男に守ってほしい。
亡くなったお父さんとコツコツ貯めた1000万円は,
二男に大切に使って欲しい。いつまでも,
兄弟仲良く,助け合ってください。」
このようなメッセージが残されていたら,
二男は,母の思いを汲み取り,長男に対して,
500万円の遺留分の請求を控える可能性があります。
この亡くなった人の最後のメッセージを付言事項といいます。
付言事項は,亡くなった人の想いを記載したもので,
法的には何の意味もないものなのですが,
事実上,紛争を予防する効果が期待されます。
子供は,親の遺志があれば,それに従いますが,
親の遺志がないのであれば,自分の権利を主張するものです。
以上より,私は,遺言書のポイントは,
①遺留分に配慮すること,②付言事項を活用する
の2点にあると考えます。
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