新型コロナウイルスの影響で子供の学校の休校で労働者が会社を休まなければならなくなった場合の対処法
1 休校が続いています
石川県内の多くの小学校,中学校,高校は,
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて休校となっています。
小さい子供をかかえる労働者は,
子供の学校が休校となったことによって,
自宅で子供の面倒をみなければならなくなり,
会社を休まざるをえなくなる場合があります。
このような子供の休校によって労働者が会社を休む場合,
会社を休んでも給料が支給されるかたちで休めるのでしょうか。
2 年次有給休暇
会社は,このような場合に,労働者に対して,
年次有給休暇を取得するように言ってくるかもしれません。
しかし,会社が労働者に対して,年次有給休暇を
一方的に取得させることはできません。
年次有給休暇は,労働者が会社に対して,
具体的な休暇の始期と終期を特定して,
会社に通知するだけで成立します。
年次有給休暇を取得する理由も言う必要はありません。
要するに,年次有給休暇は,労働者が休暇の時季を
指定することで発生するのです。
これを時季指定権といいます。
年次有給休暇の時季を指定できるのは労働者なので,
会社は指定できないのです。
もっとも,年次有給休暇は,勤続年数が6年以上になりますと,
1年間に20日利用できるのですが,
週休二日制で土日祝日が休みの会社で,
平日に1年間に20日の年次有給休暇を全て
消化できる労働者は少ないと思います。
また,年次有給休暇は使わないでいると2年の時効で消滅します。
年次有給休暇を利用して旅行にいきたくても,
新型コロナウイルスの感染拡大により,
自粛要請が強まっている今では旅行にもいけません。
万が一のために年次有給休暇を残しておきたい方もいると思いますが,
何も起きないまま,年次有給休暇が時効で消えるのはもったいないです。
そこで,新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない
現在の状況であれば,会社から,年次有給休暇を取得して
休んでほしいと言われたら,これに応じてもいいと考えます。
今は,労働者も苦しいですが,会社も苦しいので,
お互いに協力できるところは協力していったほうがいいでしょう。
3 特別有給休暇
次に,労働者が年次有給休暇を残しておきたい場合には,
特別有給休暇を利用できないか検討します。
この特別有給休暇は,労働基準法に規定はないのですが,
年次有給休暇以外に給料を満額支払ってもらえる休暇制度を,
労働者に対する福利厚生の一環として導入している会社があります。
労働者が結婚式や葬儀へ参加するために会社を休む際や,
災害にまきこまれて会社を休む際に利用できる場合があります。
就業規則に,労働者の子供が学校を休むために,
子供の面倒をみる必要がある場合の休暇が記載されていれば,
その休暇を利用して休めばいいです。
就業規則に,このような特別有給休暇が記載されていなくても,
労働者と会社との間で,年次有給休暇以外の特別有給休暇を取得して
休むことが合意できれば問題ありません。
なお,小学校や幼稚園,保育所が新型コロナウイルスの影響で
休校してしまい,子供の面倒をみるために労働者が
年次有給休暇以外の特別有給休暇を取得した場合には,会社は,
新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金
を利用できますので,この制度を活用すべきです。
ただ,会社の助成金の1日あたりの支給上限が
8,330円となっています。
個人的には,会社に対して,特別有給休暇分の満額
を助成してもらいたいと考えています。
本日もお読みいただきありがとうございます。