年次有給休暇付与の義務化が始まります
朝日新聞に,ベンチャー企業のユニークな休暇制度
が紹介されていましたので,シェアさせていただきます。
https://www.asahi.com/articles/ASM3N656QM3NPLFA00Z.html
京都市にある農業ベンチャーの「坂ノ途中」では,
知り合いの農家を手伝ったり,農産物の販売イベントに参加するための
「ゴーグリーン休暇」を導入するようです。
東京のコンサルティング会社の「レリック」は,
1つの事業を成し遂げた時にとる「プロジェクトお疲れ様休暇」,
読書や課外活動にあてる「インプット休暇」,
家族や友人との懇親に使う「リレーションケア休暇」
など9種類の休暇を導入するようです。
大阪市のソフトウェア開発会社の「ロックオン」は,
年に1度9日間の連休をとり,休暇中は仕事関係の連絡を禁止する
「山ごもり休暇」を社員に義務付けているようです。
「坂ノ途中」と「レリック」の休暇は,
年次有給休暇とはならないようですが,会社としては,
有給の取得を増やすきっかけや,
休みをポジティブにとってもらう仕掛けとして導入するようです。
会社としては,独自の休暇制度や高い有給取得率の実績は,
労働者を採用するにあたってアピールポイントになるようです。
私も含めて日本人は,休むことがあまり上手ではない
と思われますので,このような休暇を導入する企業が増えていけば,
休みやすい環境が整えられて,上手に休むことができる
のではないかと期待したいです。
このように,ユニークな休暇が注目されているのは,
明後日4月1日から施行される新しい
年次有給休暇制度の影響なのでしょう。
昨年成立した働き方改革関連法により,2019年4月1日から,
会社には,年次有給休暇の付与日数が10日以上である労働者に対して,
年次有給休暇のうち5日については,
基準日から1年以内の期間に付与することが義務付けられました。
基準日から1年以内に,会社が労働者に対して,
5日の年次有給休暇を取得させなかった場合,
会社には,30万円の罰金が課せられます。
この罰則は,1人1人の労働者に対する
年次有給休暇付与義務違反ごとに課せられるので,会社は,
労働者1人1人の年次有給休暇の取得状況を
管理していく必要があります。
なぜ,このような法改正がされたのかといいますと,
年次有給休暇の取得率が低迷しており,
正社員の約16%が年次有給休暇を1日も取得しておらず,
また,年次有給休暇をほとんど取得していない労働者については
長時間労働の比率が高い実態にあることを踏まえて,
年5日以上の年次有給休暇の取得が確実に進む
仕組みを導入する必要があったからなのです。
労働者が自分から時季を指定して,
年次有給休暇を5日以上取得してくれれば,
会社は,年次有給休暇付与義務違反とはならないのですが,
労働者が自分から年次有給休暇を取得しないのであれば,
会社から,時季を指定して,労働者に対して,
5日以上年次有給休暇を取得させなければなりません。
会社が,時季を指定して,年次有給休暇を付与する場合,
その時季について,当該労働者の意見を聴かなければならず,
できる限り,労働者の希望に沿った時季指定となるように,
聴取した労働者の意見を尊重するように努める必要があります。
また,会社は,時季,日数,基準日を労働者ごとに明らかにした
「年次有給休暇管理簿」を作成して,3年間保存しなければなりません。
このように,4月1日以降は,労働者から自発的に
5日以上年次有給休暇を取得してもらった方が,
会社の年次有給休暇の管理の手間が軽減されて,
会社に喜ばれますので,遠慮なく
年次有給休暇を取得していってもらいたいです。
これまでは,忙しい職場に遠慮して,
年次有給休暇がとりにくかったかもしれませんが,
今後は,会社から年次有給休暇をとるように
急かされる可能性がありますので,年次有給休暇を
取得しやすい雰囲気になっていくことを期待したいです。
ダラダラ働くよりも,しっかり休むことで,
メリハリがついて,仕事の生産性が向上しますので,
労働者は,ぜひ年次有給休暇を有効に活用していってください。
本日もお読みいただきありがとうございます。
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