ウーバーイーツの配達員は労働組合法の労働者か?
1 ウーバーイーツユニオン結成
先日のブログで,ウーバーイーツの配達員の
労働法の問題点について記載しました。
この問題点を改善するために,先月,
ウーバーイーツユニオンという労働組合が結成されました。
https://www.ubereatsunion.org/
こちらが,ウーバーイーツユニオンのホームページのURLです。
オシャレなデザインですね。
かっこいいデザインにすることで,
労働組合に加入することの抵抗感をなくすように
配慮されていると思います。
それでは,なぜ,ウーバーイーツユニオンという
労働組合が結成されたのでしょうか。
2 団体交渉のメリット
それは,労働組合を結成すれば,会社と団体交渉ができるからです。
会社から賃金を支給されて働く労働者は,
会社にたてつくと,会社に居づらくなり,
会社を去ることになれば,賃金がもらえず,生活が困窮します。
そのため,労働者1人では,会社から理不尽な仕打ちをうけても,
何も言えずに,泣き寝入りせざるをえないときがあります。
しかし,多くの労働者が団結して,会社に対抗すれば,
会社は,労働者の意見を無視できなくなります。
労働者は,1人では弱いですが,
団結して多数になれば強くなれます。
労働者が団結して,団体として会社と交渉すれば,
会社は,労働者の要求に応じる可能性が高くなります。
さらに,会社は,労働組合から団体交渉を要求された場合,
これに応じなければなりません。
これを団交応諾義務といいます。
この団交応諾義務があることから,労働組合を結成して,
会社と団体交渉して,労働者の要求を実現していけるのです。
3 労働組合法の労働者とは
労働組合を結成するには,労働組合の加入者が,
労働組合法の「労働者」でなければなりません。
労働組合法の「労働者」は,労働組合を結成して
集団的な交渉による保護が図られる者が
幅広く含まれる必要があることから,
労働基準法の「労働者」よりも広く捉えられています。
労働組合法の「労働者」に該当するかについては,
次の要素を総合考慮して判断されます。
基本的判断要素
①事業組織への組み入れ
②契約内容の一方的・定型的決定
③報酬の労務対価性
補充的判断要素
④業務の依頼に応ずべき関係
⑤広い意味での指揮監督下の労務提供・一定の時間的場所的拘束
消極的判断要素
⑥顕著な事業者性
これら6つの要素をウーバーイーツの配達員にあてはめてみます。
①事業組織への組み入れ⇒配達員がいなければ,
飲食店から注文客のもとへ商品を配達できないので,
ウーバー社は,配達員を不可欠な労働力として,
組織内へ組み込んでいるといえます。
②契約内容の一方的・定型的決定⇒ウーバー社は,
配達員にとって最も重要な労働条件である報酬を
一方的にかつ定型的に決定しています。
③報酬の労務対価性⇒配達員は,飲食店から注文客のもとへ
商品を配達することで初めて報酬をもらえることができますので,
配達という労務に対する対価として報酬が支払われています。
④業務の依頼に応ずべき関係⇒配達員は,自分が働きたいときに
アプリをオンにして働くことができるので,
業務の依頼に必ずしも応ずべきとはいえないのかもしれません。
⑤広い意味での指揮監督下の労務提供・一定の時間的場所的拘束⇒
配達員が,飲食店から注文客のもとへ商品を配達できなかったときに,
ペナルティがかせられるのであれば,
広い意味での指揮監督があったといえますが,
自分が働きたいときに働くという意味では,
時間的場所的拘束は弱いといえそうです。
⑥顕著な事業者性⇒ウーバーイーツの配達員は,スキマ時間に,
自分の持っている自転車などを利用して働いているので,
事業者とはいえないと考えます。
まとめると,④と⑤の要素では,労働者性を否定する
方向にはたらきそうですが,①~③,⑥の要素が,
労働者性を肯定する方向にはたらきますので,総合判断すれば,
ウーバーイーツの配達員は,労働組合法の労働者に該当すると考えます。
今後,ウーバーイーツユニオンは,ウーバー社に対して,
交通事故での充実した補償や,適切な報酬の実現を求めていくようです。
自由な働き方と安心安全に働くこととは十分両立可能なはずですので,
ウーバー社は,ウーバーイーツユニオンの要求に応じてもらいたいです。
日本で初めてのプラットフォームワーカーの
労働組合の今後の活躍に注目したいです。
本日もお読みいただきありがとうございます。
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