宮迫博之氏の記者会見から芸能人の労働組合の必要性を考える
7月20日,雨上がり決死隊の宮迫博之氏が記者会見において,
吉本興業の社長から,記者会見を開こうとしたところ,
「やってもええけど,そしたら全員連帯責任,クビにする。
俺にはお前ら全員クビにする力があるんだ」
と告げられたことを明らかにしました。
https://www.asahi.com/articles/ASM7N4637M7NUCVL006.html
吉本興業は,宮迫博之氏に対して,
記者会見をさせないように,
契約解除をほのめかして,
圧力をかけていたようです。
また,ジャニーズ事務所がテレビ局に対して,
元SMAPのメンバーである稲垣吾郎氏,草彅剛氏,香取慎吾氏を
テレビに出演させないように,圧力をかけていた疑いがあるとして,
公正取引委員会がジャニーズ事務所に対して,
独占禁止法違反につながるおそれがあるとして,注意したようです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190717/k10011996241000.html
これらの報道をみていると,芸能事務所は,
芸能人に対して,絶大な権力を握っており,
芸能人が芸能事務所の意に反する行動にでようものなら,
たちまちつぶしにかかる実態が明らかになりました。
おそらく,芸能人が芸能事務所の意に反する行動をすれば,
芸能事務所は,当該芸能人に対して,仕事を与えないような
不利益な取扱いをして,仕事がこなくなった当該芸能人は,
経済的に困窮します。
仕事を失いたくない芸能人は,
芸能事務所に逆らうことができず,
芸能事務所と芸能人の間には,
支配従属の関係が成り立っているように思います。
このような芸能人が,芸能事務所に対抗する手段として,
労働組合を結成して,集団で芸能事務所と交渉するという方法があります。
芸能人一人一人の力は弱くても,みんなで団結して交渉すれば,
芸能事務所も芸能人の集団の意見を無視できなくなり,
芸能事務所に対して,芸能人の意見がとおる可能性がでてきます。
芸能人は,芸能事務所との間で,
専属マネジメント契約を締結していることが多く,
契約の形式上は労働者とはいえないものの,その実態をみれば,
労働組合法の「労働者」に該当する可能性があります。
労働組合法3条には,「この法律で『労働者』とは,
職業の種類を問わず,賃金,給料その他これに準ずる収入によって
生活する者をいう」と規定されています。
この労働組合法の「労働者」に該当するかについては,
次の要素を総合考慮して判断されます。
基本的判断要素
①事業組織への組入(労務供給者が相手方の事業遂行に
不可欠ないし枢要な労働力として組織内に確保されているか)
②契約内容の一方的・定型的決定(契約の締結の態様から,
労働条件や提供する労務の内容を相手方が
一方的・定型的に決定しているか)
③報酬の労務対価性(労務供給者の報酬が労務供給に対する対価
又はそれに類するものとしての性格を有するか)
補充的判断要素
④業務の依頼に応ずべき関係(労務供給者が,
相手方からの個々の業務の依頼に対して,
基本的に応ずべき関係にあるか)
⑤広い意味での指揮監督下の提供,一定の時間的場所的拘束
(労務供給者が,相手方の指揮監督下に労務提供を行っていると
広い意味で解することができるか,労務の提供にあたり,
日時や場所について一定の拘束をうけているか)
消極的判断要素
⑥顕著な事業者性(労務供給者が,恒常的に
自己の才覚で利得する機会を有し
自らリスクを引き受けて事業を行う者とみられるか)
芸能人が,これらの要素にあてはまるかについては,
長くなりますので,明日以降に記載したいと思います。
本日もお読みいただきありがとうございます。
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