早く労働事件が解決できる労働審判の手続

1 労働事件における裁判手続

 

 

労働者側の弁護士が労働事件を受任した場合,

まずは,会社側と交渉を行います。

 

 

会社側に弁護士が就くことも多く,会社側の弁護士と交渉して,

話し合いで事件が解決することもよくあります。

 

 

もっとも,交渉では話し合いがまとまらないときには,

裁判手続に移行します。

 

 

 

労働事件以外の民事事件では,

訴訟や民事調停という手続を選択することになりますが,

労働事件では,労働審判という手続を選択することが可能です。

 

 

そして,労働審判には,訴訟にはないメリットがあり,

私は,労働事件を解決するに当たり,労働審判をよく利用します。

 

 

本日は,労働審判のメリットについて解説します。

 

 

2 労働審判とは

 

 

労働審判とは,①個別労働関係民事紛争について,

②裁判官と労使の専門委員で構成される労働審判委員会が,

③事件の審理(争点整理,証拠調べ等)を行うとともに,

④調停(話し合いによる紛争解決)を試み,

⑤調停が成立しない場合には,労働審判委員会が「労働審判」

(通常の訴訟における判決に相当するもの)を出す裁判手続です。

 

 

訴訟では,裁判官が審理しますが,労働審判では,裁判官の他に,

労働者側から選任された労働審判員と

使用者側から選任された労働審判員が

審理に加わる点に大きな特徴があります。

 

 

裁判官ではない労使から選任された労働審判員が手続に関与するのは,

労使関係や労働現場の実情について十分な知識,経験を有する者を

審理に参加させることで,紛争の実情に即した適正な解決を図るためです。

 

 

私がこれまで経験した労働審判では,

労働審判員の方々は,真摯に事件に取り組み,

事件を解決しようという熱意を持って,担当していました。

 

 

私の個人的な印象ですが,

労働者側の労働審判員の方は,労働者にやや厳しく,

使用者側の労働審判員の方は,使用者にやや厳しい気がします。

 

 

3 労働審判では早く事件が解決する

 

 

労働審判の最大のメリットは,早く事件が解決することです。

 

 

労働審判は,申し立てをしてから概ね40日以内に

第1回の期日が指定され,申し立てから概ね3ヶ月程度の間に

3回の期日が設けられます。

 

 

労働審判は,3回以内の期日で審理を

終結させなければならないので,手続が迅速に進みます。

 

 

第1回の期日までに,必要な証拠は概ね提出され,

第1回の期日で,労働審判委員会は,

労働者側と使用者側に事実の聴取を行い,

おおよその心証を固めます。

 

 

そして,第2回以降に調停が試みられて,

どのような条件であれば,調停がまとまるかについて,

交渉が実施されます。

 

 

 

調停については,会社から労働者に対して,

いくらの金銭を支払えば,調停がまとまるかが大きなポイントになり,

金額の交渉が中心となります。

 

 

最近,私が担当した2つの労働審判の手続の状況について紹介します。

 

 

1つの事件は,5月中旬に申し立てをして,

第1回期日が6月下旬,第2回期日が7月上旬,

第3回期日が7月下旬に実施されて,

第3回期日で調停が成立しました。

 

 

申し立てから約2ヶ月で解決しました。

 

 

もう1つの事件は,4月下旬に申し立てをして,

第1回期日が6月中旬,第2回期日が7月中旬,

第3回期日が8月中旬に実施されて,

第3回期日で調停が成立しました。

 

 

申し立てから約4ヶ月で解決しました。

 

 

この2つの事件では,会社が労働者に対して,

労働者が納得できる水準の解決金を支払うことで解決しました。

 

 

通常の訴訟ですと,提訴してから解決までに

1年以上かかることが多いことを考えると,

早く解決できる労働審判には,大きなメリットがあります。

 

 

労働者としては,以前の会社との揉め事を

いつまでも引きずりたくないので,労働事件では,

早く決着を付けたいというニーズが強く,

このニーズに応えることのできる労働審判は,

使い勝手がいい手続なのです。

 

 

解雇や未払残業代請求の事件で,労働審判を活用することが多いです。

 

 

労働審判を利用したい場合には,弁護士にご相談ください。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

労働時間を過小に自己申告してもパソコンのログデータで労働時間が認定される

1 自己申告の労働時間とパソコンのログデータから導かれる労働時間が異なる問題

 

 

私が現在担当している未払残業代請求の裁判において,

労働者の自己申告によって労働時間

特定してもよいかが争点となっています。

 

 

労働者が会社に対して,業務日報を提出しており,

そこに記載されている労働時間を用いるべき,

と会社側は主張しています。

 

 

 

他方,労働者は,上司から残業の申請を減らして,

調整するように指示を受けていたので,会社に対して,

実際の労働時間よりも少な目に労働時間を申告していました。

 

 

そして,労働者は,自己申告の労働時間ではなく,

労働者が使用していたパソコンのログデータで

労働時間を認定すべきと主張しています。

 

 

おそらく,労働時間を自己申告制にしている会社では,

労働者が過小に労働時間を自己申告しているケースは多いと思います。

 

 

このように,労働者が自己申告した労働時間と,

パソコンのログデータから導かれる労働時間とが異なる場合,

どちらの労働時間が認められるのでしょうか。

 

 

結論は,パソコンのログデータから導かれる労働時間が

認められることになります。

 

 

2 労働時間把握義務

 

 

まず,改正労働安全衛生法66条の8の3において,会社は,

労働者の労働時間の状況を把握しなければならないと規定されています。

 

 

これを労働時間把握義務といいます。

 

 

労働安全衛生規則52条の7の3において,

会社の具体的な労働時間の把握の方法として,

「タイムカードによる記録,パーソナルコンピュータ等の電子計算機の

使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法とする」

と規定されています。

 

 

要するに,会社は,原則として,

タイムカードやパソコンの使用時間などの客観的な記録で,

労働時間を把握しなければならないのです。

 

 

 

3 労働者の自己申告によって労働時間の把握が認められる場合

 

 

次に,タイムカードやパソコンの使用時間などの客観的な記録ではなく,

労働者の自己申告による労働時間の把握も,例外として認められています。

 

 

しかし,労働者の自己申告による労働時間の把握が認められるためには,

厳しい制限が課されています。

 

 

その厳しい制限については,基発1228第16号平成30年12月28日の

「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による

改正後の労働安全衛生法及びじん肺法関係の解釈等について」

と題する通達に規定されています。

 

 

具体的には,労働者の自己申告による労働時間の把握が認められるのは,

「やむを得ず客観的な方法により把握し難い場合」に限られます。

 

 

そして,会社がパソコンの使用時間などのデータを有する場合に,

自己申告による把握のみにより労働時間の状況を把握することは,

「やむを得ず客観的な方法により把握し難い場合」には当たらず,

認められません。

 

 

また,労働者の自己申告による労働時間の把握が認められるためには,

会社は,自己申告により把握した労働時間の状況が,

実際の労働時間の状況と合致しているか否かについて,

必要に応じて実際調査を実施し,

所要の労働時間の状況の補正をしなければなりません。

 

 

したがって,労働者の自己申告による労働時間の把握が

認められる余地は限定されており,

パソコンの使用時間で労働時間が把握できる場合には,

労働者の自己申告による労働時間の把握は認められないのです。

 

 

そのため,労働時間を過小に自己申告していても,

パソコンのログデータから導かれる労働時間が労働者に有利であれば,

労働者は,パソコンのログデータで労働時間を認定して,

残業代を請求すればいいのです。

 

 

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神戸アンパンマンこどもミュージアム&モールで子供たちが大はしゃぎ

お盆休みを利用して,神戸アンパンマンこどもミュージアム&モール

へ行ってきましたので,レポートします。

 

 

 

私の長女(3歳半)と長男(1歳半)は,現在,

アンパンマンに熱中していますので,

今の時期にアンパンマンの世界を楽しんでもらおうと考えて,

金沢から約4~5時間,車を走らせて,神戸へ行きました。

 

 

神戸のアンパンマンミュージアムは,神戸ハーバーランドにある

モザイクという複合商業施設の一角にあります。

 

 

https://www.kobe-anpanman.jp/

 

 

車で行く場合には,モザイクの駐車場に車を停めて,

モザイクの飲食店で食事をするなどすれば,

駐車料金が割引されますが,

アンパンマンミュージアムに入るだけでは

駐車料金は割引されないようです。

 

 

神戸のアンパンマンミュージアムは,

1階は無料のショッピングモールになっています。

 

 

 

ジャムおじさんのパン工場でパンを買ったり,

アンパンマンのカフェやレストランで食事ができます。

 

 

 

アンパンマングッズがそろうショップでは,

神戸アンパンマンミュージアム限定の商品が売っています。

 

 

2階は,有料のミュージアムです。

 

 

 

現在,新型コロナウイルス感染拡大防止のため,

人数制限がかかっており,入場できる時間が区切られています。

 

 

事前にネットで,デジタルチケットを購入しておくと

スムーズに入館できます。

 

 

ミュージアムに入ると,おでむかえ広場では,

船に乗ったアンパンマンのオブジェが出迎えてくれます。

 

 

 

港町神戸らしく,水兵姿のカバオくんとちびぞうくんと

一緒に写真撮影できるスポットがあります。

 

 

 

みんなのまちのコーナーでは,てっかのまきちゃんのおすしの屋台,

どんぶりまんトリオのどんぶりやの屋台,アイスクリーム屋などで,

おままごとの遊びができます。

 

 

 

おままごとが大好きな長女は,いらっしゃいませと言いながら,

屋台で注文を聞いていました。

 

 

パン工場の中では,アンパンマンのパンをこねたり,

パン焼窯に火をつける遊びができます。

 

 

 

アンパンマン号やSLマンに乗って,記念撮影もできます。

 

 

みみ先生の学校では,アンパンマンのお面の工作ができます。

 

 

長女が上手にアンパンマンの顔を描いたのを見て,

成長を実感できました。

 

 

やなせたかし劇場では,アンパンマン,バイキンマン,

ドキンちゃん,おねえさんと一緒にアンパンマンの体操を踊りました。

 

 

 

リアルなアンパンマン達と一緒に踊ると,とても盛り上がり,

子供たちのテンションは最高潮となりました。

 

 

やなせたかし劇場も,新型コロナウイルス感染拡大防止のため,

人数制限がされていますので,早目に行って

場所取りをすることをおすすめします。

 

 

我が家は,妻が場所取りをして,その間,

私が子供たちを遊ばせるという役割分担をして,

スムーズにやなせたかし劇場へ入ることができました。

 

 

新型コロナウイルス感染拡大防止のためだと思いますが,

バイキン秘密基地とボールパークが閉鎖されており,

リアルなアンパンマン達との触れ合いがなかったのは残念でしたが,

人数制限がされていたこともあり,

ミュージアム内をのびのびと走り回って遊べたので,大満足です。

 

 

ミュージアムは室内なので,暑い日でも熱中症の心配はありません。

 

 

子供が楽しむ様子を見れて,

大人も一緒に楽しく過ごせる場所ですので,

子供の思い出作りに最適です。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

副業を始める際に気をつけるべき在職中の競業避止義務

1 本業と競業する副業には注意が必要

 

 

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけとして,

副業の活用を検討している企業が増えているようです。

 

 

在宅勤務の普及で,外部人材の登用を進めやすくなったようです。

 

 

休業中の収入確保のためや,在宅勤務のスキマ時間の活用などで,

労働者の副業ニーズが高まっていることと合致していそうです。

 

 

 

2 在職中の競業避止義務

 

 

もっとも,この副業ですが,本業と競業するようなことをすると,

本業の会社から懲戒処分や損害賠償請求されるリスクがありますので

気をつける必要があります。

 

 

本業で培ったスキルや人脈を活かすことを考えると,

本業と競業する副業をしてしまいがちですが,

労働者は,会社に在職している期間中,

労働契約における信義誠実の原則に基づく付随義務として,

会社の利益に著しく反する競業行為を差し控える義務があるからなのです。

 

 

これを労働者の在職中の競業避止義務といいます。

 

 

労働者は,会社から賃金を支払ってもらう代わりに,

会社の指揮命令に従って労務を提供します。

 

 

労働者は,会社の指揮命令下で働くので,当然,

会社の利益になる行動をすることが要求され,

会社の不利益になる行動は慎むべきです。

 

 

労働者は,在職中に競業避止義務を負っているので,

本業の会社に在職している期間中に,

本業の会社と競業する会社を設立して,自分で設立した会社に,

本業の会社の取引先を紹介して,取引を成立させて,

利益を得させたのであれば,本業の会社は,

得られるべきであった利益を失うことになるのです。

 

 

こうなると,在職中の競業避止義務違反となります。

 

 

そのため,本業の会社の利益を著しく損ねる悪質な行為をすると,

競業避止義務違反として,本業の会社から,

懲戒処分をされたり,損害賠償請求されたりするのです。

 

 

例えば,エープライ事件の東京地裁平成15年4月25日判決

(労働判例853号22頁)は,労働者の次の行為が,

労働契約の忠実義務(競業避止義務)に違反するとして,

損害賠償請求が認められました。

 

 

自己または競業会社の利益を図る目的で,

①職務上知り得た使用者が顧客に提示した

販売価格を競業会社に伝えたこと,

②競業会社を顧客に紹介したこと,

③競業会社が使用者の協力会社であるかのように装って

競業会社に発注させたこと,

④上司に競業会社がより安い価格で

顧客と契約する可能性があることを報告しなかったこと,

といった行為です。

 

 

 

これらの労働者の行為が,使用者の営業上の利益を侵害する

違法な行為であるとして,315万円の損害賠償請求が認められました。

 

 

他方,労働者に競業避止義務違反が認められても,

本業の会社には,受注機会の喪失などの具体的な損害がなかったとして,

本業の会社からの労働者に対する損害賠償請求が

認められなかった事例もあります。

 

 

とはいえ,会社に在職している期間中に副業で,

本業と競業することをすると,懲戒処分や損害賠償請求など,

思わぬ落とし穴に陥るリスクがありますので,副業をする場合には,

本業と競業しない事業をすることをおすすめします。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

配転における手続の妥当性

1 配転とは

 

 

現在,私は,金沢から福岡への配転命令を争う裁判を担当しています。

 

 

配転とは,同一の会社での職務内容や勤務場所の変更のことをいい,

このうち,転居を伴うものを転勤,

同一事業所内での部署の変更を配置転換といいます。

 

 

 

日本の会社では,多数の職場や仕事を経験させることによって

幅広い技能・熟練を形成し,技術や市場が多様に変化していく中でも

雇用を維持できるように柔軟性を確保するために,

配転が頻繁に行われています。

 

 

もっとも,転居を伴う配転の場合,

家族と離れて生活しなければならないなど,

労働者の私生活に大きな影響を与えることになるので,

この側面をいかに調整するかが重要な課題となります。

 

 

2 配転の要件

 

 

まず,会社が有効に労働者に対して,配転を命じるためには,

配転命令権が,就業規則の定めや労働契約の合意などによって,

根拠づけられていることが必要です。

 

 

そのため,配転命令に労働契約上の根拠がない場合には,

配転命令は無効になります。

 

 

また,労働契約において,

職種や勤務地が限定されている場合,

その限定された職種を変更したり,

限定された勤務地を変更することは,

労働者の合意がない限り,認められず,

職種や勤務地の限定を無視するような配転命令は無効になります。

 

 

次に,配転命令に労働契約上の根拠がある場合でも,

配転命令が権利の濫用に当たる場合には,無効になります。

 

 

配転命令が権利の濫用に該当するかについては,

次の3つの要件を検討します。

 

 

①配転命令に業務上の必要性が存在するか

 

 

 ②他の不当な動機・目的をもってなされたものであるか

 

 

 ③労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものか

 

 

配転命令を争う裁判では,

これら①~③の要件に該当する事実があるかについて,

主張と立証が繰り広げられます。

 

 

3 手続の妥当性

 

 

そして,近年の裁判例では,これら①~③の要件と並んで,

労働者に内示や意向聴取を行い家庭の事情等を考慮に入れたか,

配転の理由や内容等について労働者に具体的に説明したか,

労働組合等と真摯な態度で誠実に協議・交渉したかなど,

配転に至る手続の妥当性を考慮に入れて,

配転命令の権利濫用を判断する傾向がみられます。

 

 

例えば,日本レストランシステム事件の

大阪高裁平成17年1月25日判決(労働判例890号27頁)は,

会社は,あらかじめ,労働者に対して,

配転が必要とされる理由,

配転先における勤務形態や処遇内容,

配転前の勤務場所への復帰の予定などについて,

可能な限り,具体的にかつ詳細な説明を

尽くすべきであったと判示しました。

 

 

また,高野酒造事件の東京地裁平成17年9月2日判決

(労働経済判例速報1921号54頁)は,

これまで生活歴のない場所への異動という

生活上の不利益を伴うものであることから,

会社は異動の趣旨及び必要性について労働者に十分説明すべきであるし,

配置転換しなければならないかどうかという

回避のための努力がなされてしかるべきであると判示しました。

 

 

現在は,仕事と家庭の両立という

ワークライフバランスが重視されていますので,

遠隔地への転居を伴う配転については,

労働者に対して,意向を聞き取り,

十分な説明をするという手続を経ていないと,

配転命令が無効になる可能性があるのです。

 

 

 

配転命令を争う場合には,手続の妥当性も検討するのが重要です。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

越後丘陵公園の水遊び広場とアスレチックが素晴らしい

三連休を利用して,新潟県を旅行してきました。

 

 

今回の旅行では,新潟県長岡市にある国営越後丘陵公園が,

子供の遊び場として,素晴らしかったので,レポートします。

 

 

http://echigo-park.jp/

 

 

長岡市の丘陵地帯のニュータウンにある巨大な公園です。

 

 

広大な敷地内に子供の遊び場がたくさんあります。

 

 

とくに素晴らしかったのが,おそらく夏限定でしょうが,

水遊び広場です。

 

 

 

大人の足首くらいまでの水深の浅い,巨大な人工の池で,

子供たちが水遊びを思う存分に楽しめます。

 

 

 

いたるところに噴水から水がでていて,涼しくて気持ちがいいです。

 

 

 

池の上には,丸い台が配置されていて,子供たちは,

その丸い台を飛び跳ねながら移動していきます。

 

 

水深が浅いので,1歳半の長男でも安心して遊べます。

 

 

 

手動で操作することで水が飛び出すウォーターマシンガンがあり,

的に水を当てる遊びができます。

 

 

 

オムツを履いている子供は,水着用のオムツを準備する必要があります。

 

 

水着や濡れてもいい格好で遊べばよく,私は普段着のまま,

ズボンの裾を曲げて水に入りました。

 

 

多少濡れますが,暑いのですぐに乾きました。

 

 

この水遊び広場以外にも,越後丘陵公園には

素敵なアスレチック広場があります。

 

 

 

細い丸太の上を渡ったり,ネットで飛び跳ねたり,

ロープでよじ登ったりと,全身を使った遊びが楽しめます。

 

 

 

自然の中で子供と一緒にアスレチックに挑戦していると

童心に戻れて,心が清々しい気持ちになれます。

 

 

 

アスレチックで様々な遊具に挑戦する子供の姿を見て,

子供の成長を実感できました。

 

 

子供と一緒に一日中遊べる素晴らしい公園でして,

わざわざ石川県から足を運ぶ価値があります。

 

 

夏休みのおでかけスポットとしておすすめします。

 

 

駐車料金320円,大人の入園料450円,

15歳未満の子供の入園料無料という,

リーズナブルな値段設定も嬉しいですね。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

就業時間中に私用メールをしたら解雇されてしまうのか

1 私用メールを原因とする解雇

 

 

昨日に引き続き,労働者が勤務時間中に私用メールや

パソコンの私的利用をしたことが問題となった裁判例を紹介します。

 

 

グレイワールドワイド事件の東京地裁平成15年9月22日判決

(労働判例870号83頁)です。

 

 

この事件では,原告労働者が,就業時間中の私用メール,

上司への批判や誹謗中傷などを理由に解雇されました。

 

 

 

まず,就業時間中の私用メールについて,

労働者は会社の指揮命令に服しつつ

職務を誠実に遂行すべき義務を負い,

就業時間中は職務に専念し

他の私的活動を差し控えるべき義務を負っています。

 

 

そのため,就業時間中の私用メールは,

この職務専念義務に違反するリスクがあるのです。

 

 

もっとも,労働者といえども個人として社会生活を送っている以上,

就業時間中に外部と連絡をとることが一切許されないわけではなく,

就業規則に特段の定めがない限り,職務遂行の支障とならず,

会社に過度の経済的負担をかけないなど,

社会通念上相当と認められる限度で

会社のパソコンを利用して私用メールを送受信しても,

職務専念義務に違反することにはなりません。

 

 

この事件では,被告会社は,就業時間中の私用メールを

明確には禁止しておらず,就業時間中に原告労働者が

送受信したメールは1日あたり2通程度であり,

それによって原告労働者が職務遂行に支障をきたしたとか

被告会社に過度の経済的負担をかけたとは認められず,

社会通念上相当な範囲内にとどまるので,

職務専念義務違反は認められませんでした。

 

 

メールの回数頻度や,どのような内容のメールであったか,

会社に私用メールを禁止する就業規則があるか,

といった事情を検討することになります。

 

 

2 解雇を争うポイント

 

 

次に,解雇については,最後手段の原則や将来予測の原則を検討します。

 

 

 

最後手段の原則とは,労働者に落ち度があったとしても,

警告・指導,教育訓練,職種や配置の転換,休職など,

解雇を回避するための措置を講じても,

なお労働者の落ち度が改善されない場合に,

初めて解雇が有効になるということです。

 

 

将来予測の原則とは,労働者の落ち度が将来にわたって

反復継続すると予測されることが必要であるということです。

 

 

要するに,労働者の落ち度が労働契約関係を終了させても

やむを得ない程度に達していることが必要なのです。

 

 

そして,労働者の反省の有無,その他の情状,

他の労働者に対する処分との均衡などの事情を総合考慮して,

解雇という手段を選択することが

社会通念上相当といえるかを判断します。

 

 

この事件では,原告労働者の上司に対する批判は,

会社の対外的信用を害するものとして,

誠実義務の観点から不適切であるものの,

原告労働者は,約22年にわたり被告会社で勤務して,

その間,なにも問題行動をしておらず,

良好な勤務実績をあげて被告会社に貢献してきたことから,

本件解雇は,客観的合理性と社会的相当性がないとして,

無効となりました。

 

 

解雇が有効になるか無効になるかについては,

判断に迷うことが多いのですが,

最後手段の原則,将来予測の原則,社会的相当性を主張して,

解雇が無効になることもあります。

 

 

解雇された場合には,一度,弁護士に相談することをおすすめします。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

勤務時間中のパソコンの私的利用と懲戒処分

1 パソコンの私的利用による懲戒処分が争われた裁判例

 

 

昨日のブログでは,労働者が仕事中に

私用メールやパソコンを私的利用したことを原因として

懲戒処分される場合について,記載しました。

 

 

 

本日は,具体的に,私用メールやパソコンを私的利用したことの

懲戒処分が争われた裁判例を検討したいと思います。

 

 

本日検討するのは,K工業技術専門学校(私用メール)事件の

福岡高裁平成17年9月14日判決(労働判例903号68頁)です。

 

 

この事件は,専門学校の教員が勤務先から貸与された

業務用パソコンを使用してインターネット上の出会い系サイトに

投稿して多数回メールを送受信したことを理由に

行われた懲戒解雇の効力が争われました。

 

 

原告労働者は,貸与されていたパソコンと

学校のメールアドレスを使って,

5年間で合計約2900通のメールの送受信を行い,

そのうちの6割が交際相手や出会い系サイトで知り合った女性との

私用メールであり,昼休みを除く勤務時間内に送受信されていました。

 

 

出会い系サイトに登録した原告労働者のメールアドレスが

閲覧可能になっいたようで,この件が発覚したようです。

 

 

被告の学校は,原告労働者を,職務専念義務違反や

信用失墜行為の禁止違反の懲戒事由に該当するとして,

懲戒解雇したのでした。

 

 

2 一審判決

 

 

この事件では,一審と控訴審で結論がわかれました。

 

 

一審判決では,メールの内容が卑猥なものではない,

授業や学生の就職関係の事務を特におろそかにしたことはない,

メールの送受信自体によって業務自体に著しい支障を生じさせていない

として,職務専念義務違反は重大なものではないと判断されました。

 

 

また,一審判決では,原告労働者の投稿が

被告学校の名誉や信用を毀損して社会的評価を低下させたとはいいがたく,

パソコンの使用について被告学校が適宜対処しなかった

落ち度があるとして,懲戒解雇は無効としました。

 

 

3 控訴審判決

 

 

これに対して,控訴審判決では,結論が逆転しました。

 

 

控訴審判決は,連日のように複数回メールを送受信して,

その多くが勤務時間内に行われており,

その分の時間と労力を本来の職務に充てれば,

より一層の成果が得られたはずであり,

職務専念義務違反の程度は相当に重いと判断されました。

 

 

また,SM相手を募集するなど露骨に性的関係を求める内容の投稿で

メールアドレスを第三者に閲覧可能にした行為は,

著しく不謹慎かつ軽率で,被告学校の名誉や信用を

傷つけるものであるとして,懲戒解雇は有効と判断されました。

 

 

 

勤務先が教育機関であったこと,

メールの内容がSM相手の募集で出会い系サイトが利用されていたこと,

第三者に閲覧可能なメールアドレスが

被告学校のものであるとわかることが,

情状を重くしたと考えられます。

 

 

事実は同じであっても,事実の評価のしかたで,

結論が全く異なったので,懲戒処分や解雇の事件は,

結論がどっちに転ぶのか見立てが難しいです。

 

 

私用メールやパソコンを私的利用したことの懲戒処分を検討する際に,

参考になる裁判例なので,紹介しました。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

労働者は仕事中に私用メールやパソコンの私的利用をしてはいけないのか

1 私用メールやパソコンの私的利用の問題

 

 

私が現在担当している労働事件の裁判で,

労働者が仕事中に会社のメールを私的に利用したことが争点となりました。

 

 

実務では,労働者が仕事中に私用メールや

パソコンの私的利用をしたことを理由に,

懲戒処分をされたり,解雇されたりして,

問題になることがあるのです。

 

 

 

この争点について,私用メールや会社のパソコンの私的利用について

争われた過去の裁判例や文献を調べましたので,アウトプットします。

 

 

2 職務専念義務

 

 

まず,労働者は,会社の指揮命令に服しつつ,

職務を誠実に遂行すべき義務を負い,

労働時間中は職務に専念し,

他の私的活動を差し控える義務を負っています。

 

 

これを職務専念義務といいます。

 

 

私用メールや会社のパソコンの私的利用は,

業務時間内に行えば,職務専念義務違反に問われるリスクがあります。

 

 

もっとも,労働者も社会人である以上,

日常の社会生活を営む上で必要な範囲内で行う

私用メールやパソコンの私的利用まで

職務専念義務違反と考えるべきではありません。

 

 

職場における私語や喫煙コーナーでの喫煙など,

他の私的な行為についても社会通念上相当な範囲で

黙認されていることが多いこととの均衡を図る必要があるからです。

 

 

私用メールは,会社における私語と変わらない面があり,

私語を禁止する職場では,息苦しくて働きにくいからです。

 

 

そのため,私用メールやパソコンの私的利用について,

社会通念上相当な範囲内の軽微な頻度・回数にとどまり,

業務に支障を及ぼさず,会社の経済的負担も軽微なものにとどまる場合は,

職務専念義務は否定されるべきです。

 

 

具体的には,私用メールやパソコンの私的利用について,

その閲覧の対象,時間,頻度,

私的利用を禁止する規程の有無や周知の状況,

上司や同僚の私的利用の有無,

被処分者に対する事前の注意・指導や処分歴の有無などに照らして,

社会通念上相当な範囲にとどまる限り,

職務専念義務に違反しないか,

反するとしてもあまり重くみることはできません。

 

 

3 企業秩序遵守義務

 

 

次に,会社は,企業の存立・運営に不可欠な企業秩序を定立して

維持する当然の権限を有し,労働者は,企業秩序遵守義務を負っています。

 

 

要するに,労働者は,会社のルールを守り,

企業秩序が維持されるように協力しなければならないのです。

 

 

私用メールやパソコンの私的利用については,

会社の設備であるパソコン端末や通信回線を目的以外の用途で使用し,

会社に通信料金や電気料金などの負担を生じさせるので,

企業設備の私的利用の禁止という

企業秩序遵守義務に違反するリスクがあります。

 

 

 

もっとも,企業秩序遵守義務違反を問う場合には,

あらかじめ,就業規則などで,

会社のパソコンについて私的利用を禁止することを明示し,

普段から禁止措置を周知徹底しておく必要があります。

 

 

また,会社の経済的負担が軽微で,

パソコンの私的利用によるウイルス感染などの

実害が生じていない場合には,

企業秩序遵守義務違反に問えるかが微妙になります。

 

 

私用メールやパソコンの私的利用について,

その閲覧対象,時間,頻度などに照らし,

会社の経済的負担の程度や企業秩序に

どのような悪影響を及ぼしたのかなどが検討されることになります。

 

 

このように,私用メールやパソコンの私的利用については,

ケースバイケースで事実を確認して,

懲戒処分や解雇にふさわしいものかを厳密に検討していきます。

 

 

もし,私用メールやパソコンの私的利用を理由に,

懲戒や解雇された場合には,争うことができないか,

弁護士に相談することをおすすめします。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

健康被害がなくても長時間労働が不法行為になる場合と固定残業代制度の有効性

1 健康被害がなくても長時間労働が不法行為とされた裁判例

 

 

昨日のブログで,長時間労働によって

心身の不調をきたしていないものの

慰謝料の損害賠償請求が認められた無州事件を紹介しました。

 

 

無州事件と同じように長時間労働によって

心身の不調をきたしていないものの

慰謝料の損害賠償請求が認められた裁判例として,

狩野ジャパン事件の長崎地裁大村支部令和元年9月26日判決

(労働判例1217号56頁)があります。

 

 

この事件の原告労働者は,2年間のうち,

ほとんどの月で1ヶ月の残業時間が100時間を超えており,

そのうち5ヶ月は1ヶ月の残業時間が150時間を超え,

一番ひどい月ですと,1ヶ月の残業時間が160時間を超えていました。

 

 

 

通常,1ヶ月の残業時間が100時間を超えると,

疲労が蓄積してストレス耐性が弱くなり,

強い心理的負荷によって,精神障害を発症することがあります。

 

 

もっとも,この事件の原告労働者は,

これだけの長時間労働をしていたにもかかわらず,

心身の不調をきたしたことの医学的証拠はなく,

具体的な疾患を発症していませんでした。

 

 

長時間労働を強いられたことによる損害賠償請求の事件では,

長時間労働によって労働者に脳・心臓疾患や精神障害が

発症していることが多いのですが,狩野ジャパン事件では,

労働者に健康被害が発生していませんでした。

 

 

裁判所は,被告会社が36協定を締結することなく,

長時間労働をさせていた上,

タイムカードの打刻時刻からうかがわれる

原告労働者の労働状況について注意を払い,

原告労働者の作業を確認し,

改善指導を行うなどの措置を講じなかったとして,

安全配慮義務違反を認めました。

 

 

そして,被告会社は,安全配慮義務を怠り,

2年にわたって,原告労働者を心身の不調をきたす

危険のあるような長時間労働に従事させたので,

原告労働者の人格的利益を侵害したものとして,

慰謝料30万円の支払を認めました。

 

 

慰謝料の金額は少ないのですが,

健康被害が発生していない長時間労働を強いられた場合にも,

損害賠償請求が認められましたので,今後,残業代請求事件で,

あまりにもひどい働き方をさせられていたのであれば,

慰謝料請求をすることも検討したいです。

 

 

2 固定残業代の有効性

 

 

もう一つ,狩野ジャパン事件では,重要な判断が示されました。

 

 

それは,被告会社の賃金規定において,

「職務手当は,固定残業の一部として支給する」と規定されていた,

固定残業代の問題です。

 

 

固定残業代が有効になるためには,

通常の労働時間に当たる部分と

時間外労働の割増賃金に当たる部分とを

判別できなければなりません。

 

 

この事件では,基本給と職務手当は区別されて支給されていましたので,

一見すると,通常の労働時間に当たる部分(基本給)と

時間外労働の割増賃金に当たる部分(職務手当)と

が判別できているようにみえます。

 

 

しかし,職務手当の中には,固定残業代の他に,

能力に対する対価も混在しており,職務手当のうち,

固定残業代部分が何時間分の割増賃金に相当するのかが

明示されていませんでした。

 

 

 

その結果,職務手当について,固定残業代部分と

能力に対する対価部分とが明確に区分されていないとして,

職務手当は固定残業代として無効と判断されました。

 

 

一見すると,基本給と固定残業代が区別されている場合でも,

固定残業代の中に,能力に対する部分が混在している場合には,

固定残業代部分が何時間分の割増賃金に該当するのかがわからない限り,

通常の労働時間に当たる部分と時間外労働の割増賃金に当たる部分とを

判別できないとして,固定残業代が無効になるのです。

 

 

固定残業代を争う場合に参考になる裁判例です。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。