会社から休憩時間と言われていても労働時間に該当する場合とは

1 休憩時間とは

 

 

現在、私が担当している未払残業代請求事件において、

休憩時間があったかなかったかが争点となっています。

 

 

会社の就業規則には、お昼の12時から13時の60分が

休憩時間であると規定されていますが、クライアントの主張では、

人手が足りず、昼ご飯を食べながら仕事をしており、

昼にまともな休憩をとったことがないとのことです。

 

 

それでは、どのような場合に、休憩時間があったといえるのでしょうか。

 

 

結論から言うと、休憩時間とは、

労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間をいい、

労働者が会社からの指揮命令を受けており、

労働からの解放が保障されていない場合には、

休憩時間ではなく、労働時間となるのです。

 

 

 

例えば、現実には具体的な作業をしているわけではないのですが、

会社からの指示があれば、直ちに作業にとりかかることができる

態勢で待機している、手待時間については、

労働からの解放が保障されていないので、

休憩時間ではなく、労働時間に該当します。

 

 

2 休憩時間が労働時間と認定された事例

 

 

具体的な事例で検討してみましょう。

 

 

3交代制で24時間営業のガソリンスタンドで勤務していた労働者が、

休憩を現実にとることができず、休憩時間は手待時間であるとして、

残業代請求をした、クアトロ事件の東京地裁平成17年11月11日判決

(労働判例908号37頁)を検討します。

 

 

この事件では、3交代制の勤務において、各勤務の勤務者は

始業時と終業時の各1時間の重なりを除いて、原則として1人でした。

 

 

会社からは、1時間ごとに10分の休憩を取るように

言われていましたが、休憩していたときに、客が来た場合には、

業務を優先するように指示がされていました。

 

 

ガソリンスタンドは、危険物取扱施設であることから、

休憩とされている時間中もガソリンスタンドの敷地から

出ることが許されず、原則として1人体制なので、

持ち場を離れることができず、食事やトイレにも不便をきたしていました。

 

 

 

これらの事実関係からすると、

休息のために労働から完全に解放されることが保障されていないとして、

休憩時間ではなく、手待時間に該当するので、

会社が主張していた休憩時間は全て労働時間とされました。

 

 

休憩時間とされていた時間が労働時間と認定されれば、

9時に出勤して、18時に退勤して、

12時から13時が昼休憩の8時間労働の場合、

12時から13時の昼休憩が労働時間になる結果、

9時間労働となり、1時間の残業時間が発生するので、

この1時間分について、残業代を請求できることになります。

 

 

休憩時間と言われていても、

電話対応や来客対応をしている場合には、

労働からの解放が保障されておらず、労働時間に該当して、

その分の賃金を請求できるわけです。

 

 

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採用面接の際に質問されなかったことについて自発的に申告しなかったことを理由に解雇や内定取消はできません

1 採用面接で前の職場とのトラブルを自発的に申告する必要はない

 

 

前の勤務先との間で労働トラブルが生じたため、

前の勤務先を訴えたことを、今の職場が知ることとなり、

今の職場から退職勧奨を受けているという、労働相談を受けました。

 

 

相談者の話しによると、採用面接の際に、

前の勤務先のことは何も聞かられなかったので、

前の勤務先との関係については、何も話さなかったのですが、

今の職場からは、前の勤務先との裁判のことを知っていたら、

採用しなかったので、信頼関係が崩れたと言われたようです。

 

 

それでは、労働者は、採用面接の際に、

採用に当たり不利になる情報を、会社から聞かれなくても

自発的に答えなければならないのでしょうか。

 

 

 

結論としては、労働者は、採用面接の際に、

聞かれなかったことを自己申告しなかったを理由に

解雇や内定取消をされることはありません。

 

 

会社は、労働者の能力や適性を判断するために必要であれば、

積極的に質問すればいいのであり、労働者は、

自分にとって不利なことを自発的に申告すべき義務はないからなのです。

 

 

2 HIV感染不告知を理由とする内定取消が違法とされた裁判例

 

 

この問題について、参考となる裁判例を紹介します。

 

 

社会福祉法人北海道社会事業協会事件の

札幌地裁令和元年9月17日判決(労働判例1214号18頁)です。

 

 

この事件では、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染している原告が、

病院の求人に応募して、内定を得たものの、

採用面接時や面接後の病院職員からの、持病に関する質問に対して、

HIVに感染している事実を告げなかったことを理由に、

内定取消をされました。

 

 

 

原告は、以前、この病院を受診したことがあり、

病院のカルテにHIVに感染している情報が記載されていたため、

病院は、原告がHIVに感染していることを知ることができました。

 

 

原告のHIV感染症ですが、就労に問題はなく、

職場での他者への感染の心配はないものでした。

 

 

裁判所は、HIVに感染しているという情報は、

極めて秘密性が高く、その取扱には極めて慎重な配慮が必要であり、

原告から他者へHIVが感染する危険性は、無視できるほど小さく、

原告が、HIV感染の事実を申告すべき義務はなかったと判断しました。

 

 

そして、採用に当たって、応募者に対して、

HIV感染の有無を確認することすら、許されないのであり、

原告が、HIV感染の事実を否定しても、

自らの身を守るためにやむを得ず虚偽の発言に及んだものであり、

そのことを理由に内定取消をすることは違法であると判断されました。

 

 

会社側が聞いてはいけないことを聞いてきたのであれば、

それに対して、真実を回答しないことを理由に

解雇や内定取消はできないということです。

 

 

さらに、病院は、原告の同意を得ずに、原告の医療情報を、

採用活動に利用したのであり、個人情報の目的外利用に当たり、

原告のプライバシー侵害に当たるとされました。

 

 

結果として、慰謝料150万円の損害賠償請求が認められました。

 

 

採用面接の際に、HIVのように極めて秘匿性が高い情報については、

真実を回答しなくても問題はないことになります。

 

 

ましてや、採用面接の際に聞かれもしなかったことについて、

自発的に答えなかったことを理由に、

解雇や内定取消をすることはできないことになります。

 

 

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100回以上にわたる旅費の不正受給を理由とする懲戒解雇が有効とされた事例

1 懲戒処分の事例を検討する重要性

 

 

私は、労働事件の法律相談を受けることがよくあり、

労働事件の法律相談の中には、懲戒処分に関する相談も多いです。

 

 

懲戒処分が有効か無効かについては、

ケースバイケースで検討するしかなく、

判断に迷うことがよくあります。

 

 

 

1審と2審で結論がひっくり返るという裁判も、よくあります。

 

 

懲戒処分について適切な判断をするためには、

多くの裁判例を検討して、どのような事情があれば、

どのように判断されるのか、

という実践知を身につけるのが効果的であると考えます。

 

 

事例を集めておいて、実際の法律相談の場でアウトプットするのです。

 

 

2 旅費の不正受給で懲戒解雇された事件

 

 

懲戒処分の事案では、実際の事例を学ぶことが重要になりますので、

本日は、日本郵便(北海道支社・本訴)事件の

札幌地裁令和2年1月23日判決

(労働判例1217号32頁)を検討します。

 

 

この事件では、北海道支社広域インストラクター

という役職であった原告が、以下の不祥事をしたとして、

懲戒解雇されました。

 

 

①社用車で出張先に赴きながら、

公共交通機関を利用したものと虚偽の旅費請求書を提出して

194万9014円(うち不正受給は52万1400円)を受給した。

 

 

②私的に利用するためのクオカード分が上乗せされた

宿泊費を請求して実費を上回る宿泊費の精算を受けて、

クオカード2万1000円分を不正に受給した。

 

 

 

この原告の行為については、故意に旅行手段や宿泊料金を偽り、

これが容易に判明し得ないようになっている点が悪質性が高く、

約1年6ヶ月に100回にわたって繰り返し行われていて、

常習性があり、不正受給の額が50万円を超えていて、

看過できない規模に及んでいると判断されました。

 

 

行為の手段の悪質性、不正行為の期間と回数、

会社の被害金額が考慮されました。

 

 

他方で、原告は、不正受給した52万1400円を返納していること、

過去に懲戒処分歴がないこと、極めて優秀な業務実績をあげてきたこと、

といった有利な情状がありました。

 

 

労働者側からすると、このように有利な情状があるのだから、

いきなり懲戒解雇するのは、処分として重すぎると主張します。

 

 

実際に懲戒解雇の事件では、処分が重すぎるとして、

懲戒解雇が無効になることは、よくあります。

 

 

しかし、札幌地裁は、原告が北海道支社広域インストラクター

という役職であり、他の職員を指導する立場にあり、

職員に範を示すべきであるので、

原告が主張している有利な情状を重く見て、

処分を軽減することは相当ではないと判断しました。

 

 

原告の立場がマイナスに評価されたのです。

 

 

事実関係をみていると、懲戒解雇が有効にも無効にもなりうる、

判断に迷うケースなのですが、最後は、

原告の不祥事が会社の金銭をめぐる不正であることから、

労働者にとって厳しい判断となったと考えられます。

 

 

会社の金銭を不正に受給する行為については、裁判所は、

厳しい判断をする傾向にあるので、この点が、

結論に影響を与えたのではないかと考えます。

 

 

労働者としては、決して、

会社の金銭を不正に受給しないようにしてください。

 

 

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固定給と歩合給とでは残業代の計算が異なる

1 固定給と歩合給

 

 

トラック運転手やタクシー運転手の場合、

歩合給制が取り入れられていることがあります。

 

 

歩合給とは、売上や成績によって

給料の金額が変動する給料のことをいいます。

 

 

売上がよけれは、給料も上がっていいのですが、

売上が低ければ、給料も低くなり、

生活ができなくなるというリスクもあります。

 

 

 

これに対して、固定給の月給制の給料は、

一定時間働けば、一定の給料が毎月支給されるものです。

 

 

固定給の月給制と歩合給とでは、残業代の計算が異なります。

 

 

2 固定給の残業代の計算

 

 

固定給の月給制の場合、毎月の賃金を

1ヶ月の所定労働時間(契約で決められた勤務時間)で割って、

1時間あたりの単価を計算し、1時間あたりの単価に、

1ヶ月の残業時間と割増率(1.25)をかけて、残業代を計算します。

 

 

例えば、固定給30万円の労働者が、

1ヶ月の所定労働時間は170時間、残業時間30時間、

総労働時間200時間、働いたとすると、

残業代は次のように計算されます。

 

 

(30万円÷170時間)×30時間×1.25=66,188円

 

 

3 歩合給の残業代の計算

 

 

他方、歩合給の場合、歩合給の総額を、

賃金算定期間における総労働時間で割って、

1時間あたりの単価を計算し、1時間あたりの単価に、

1ヶ月の残業時間と割増率(0.25)をかけて、残業代を計算します。

 

 

先ほどのケースで検討すると、残業代は次のように計算されます。

 

 

(30万円÷200時間)×30時間×0.25=11,250円

 

 

1時間あたりの単価を計算する時に、

1ヶ月の所定労働時間ではなく、1ヶ月の総労働時間で計算するので、

歩合給の場合、固定給に比べて、1時間あたりの単価が低くなります。

 

 

また、歩合給の場合、残業時間に対する時間当たりの賃金、

つまり、1.0の部分については、既に支払われているとされるので、

割増率は0.25となるので、残業代は、

固定給と比べて、低くなるのです。

 

 

このように、固定給の月給制と歩合給とでは、

残業代の金額が大きく異なってくるのです。

 

 

4 歩合給か固定給の月給制のどちらが適用されるかが争われた事件

 

 

それでは、就業規則には、固定給の月給制で規定されているのに、

会社から歩合給を適用された場合、労働者が残業代を請求する際に、

固定給と歩合給のどちらをベースに残業代を計算すべきなのでしょうか。

 

 

この点が争われたコーダ・ジャパン事件の

東京高裁平成31年3月14日判決(労働判例1218号49頁)

を紹介します。

 

 

この事件では、就業規則に歩合給についての定めはなく、

歩合給について定めた労働契約書もなかったのですが、

歩合給が適用されていました。

 

 

 

裁判所は、就業規則と異なる労働条件を内容とすることは、

就業規則に定められた労働条件の変更にあたるといえるので、

以下の事情を考慮する必要があるとしました。

 

 

①当該変更により労働者にもたらされる不利益の内容及び程度

 

 

②労働者により当該行為がされるに至った経緯及びその態様

 

 

③当該行為に先立つ労働者への情報提供又は説明の内容

 

 

そして、当該行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと

認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否か

という観点から判断されるのです。

 

 

本件事件では、会社から、残業代についての説明はなく、

就業規則の月給制で賃金が支給される場合との比較について説明がなく、

歩合給による不利益の内容及び程度について

十分な情報提供や説明がなかっとして、原告の労働者が、

自由な意思に基づいて、歩合給を受け入れたと認めるに足りる

合理的な理由が客観的に存在しないと判断されました。

 

 

結果として、就業規則の月給制で残業代が計算され、

1364万円もの未払残業代請求が認められました。

 

 

固定給の月給制と歩合給とでは、残業代が大きく異なりますので、

就業規則や労働契約書をチェックして、

どちらが適用されるのかを吟味する必要があります。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

室内遊園地富山あそびマーレが最高に楽しかった

今年は猛暑日が続いていました。

 

 

晴れた日は、子供と外で遊びたいのですが、

猛暑日ですと、子供が熱中症にならないか心配です。

 

 

また、雨の日ですと、外で遊べないので、

室内で子供を遊ばせれる施設があると、

子育て世代は、すごく助かります。

 

 

そのため、子供が室内で楽しく遊べる施設を探していたところ、

富山県射水市に富山あそびマーレという室内遊園地ができたことを知り、

行ってみました。

 

 

https://asobimare.jp/toyama/

 

 

金沢市内からですと、北陸自動車道の小杉インターチェンジでおりて、

15分ほど下道を進みますと、到着します。

 

 

富山あそびマーレは、大阪屋ショップアプリオ店の2階にあります。

 

 

 

今年の7月にオープンしたようです。

 

 

入場料は、土日祝は、一人1500円です。

 

 

2歳未満なら、入場料は無料です。

 

 

別料金がかかる遊具もありますが、

基本、入場料だけで、十分に遊べます。

 

 

家族4人で入ると6000円かかり、

やや高いかなぁとも思いましたが、1日中遊べますし、

再入場もできるので、妥当な値段だと思います。

 

 

1時間ほどできりあげると割高になりますが、

3時間以上遊べば、十分にもとはとれていると思います。

 

 

家族全員で入らなくても、お父さんと子供だけで入場して、

お母さんは、1階の大阪屋ショップで買い物したり、

無料の休職スペースでくつろぐなどすれば、節約できます。

 

 

富山あそびマーレのすごいポイントの1つ目は、

室内を電車や新幹線といった乗り物で移動できるという点です。

 

 

 

電車や新幹線に乗って、施設内を移動していると、

子供達は大喜びで、周囲の人達に楽しそうに手を振っていました。

 

 

 

すごいポイントの2つ目は、遊具がたくさんあることです。

 

 

 

ゴーカート、ふわふわ滑り台、ボルダリング、ボールプールなど、

本当にたくさんの遊具があり、私は3時間もいたのですが、

遊べなかった遊具がいくつかありました。

 

 

 

通常、室内の遊び場は、スペースが限られているため、

遊具が少なく、子供も大人もすぐに飽きてしまうのですが、

富山あそびマーレは、スペースが広くて、遊具が多いため、

長時間滞在していても、全然飽きません。

 

 

 

思いっきり体を動かすこともできますし、

おままごとでまったりと遊ぶこともでき、

遊びのバリエーションが豊富です。

 

 

 

すごいポイントの3つ目は、従業員の数が多いことです。

 

 

たくさんの従業員が広い室内を定期的に巡回していて、

子供が危なくないか監視してくれています。

 

 

大人が少し目を離しても、従業員の方が気をかけてくれるので安心です。

 

 

従業員の方々は子供に慣れており、親切で好感がもてました。

 

 

素晴らしい室内遊園地が北陸地方にできましたので、

これから冬に近づくにつれて、重宝していきたいです。

 

 

あそびマーレは、福井にもあるようなので、

今度は福井のあそびマーレに行ってみたいと思います。

 

 

早く、石川県にも、あそびマーレができてほしいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

未払残業代請求事件において管理監督者の判断は厳格にされます

1 管理監督者とは

 

 

現在、私が担当している未払残業代請求事件において、

会社から、私のクライアントは管理監督者なので、

残業代を支払わくても違法ではない、という主張がされています。

 

 

労働者に、支配人、マネージャー、店長などの役職が与えられていて、

残業代が支払われていないケースでは、必ずといってもいいくらい、

会社からは、管理監督者の主張がでてきます。

 

 

それでは、単に役職がつくだけで、管理監督者に該当するのでしょうか。

 

 

 

結論としては、管理監督者に該当するかについては、

厳格に判断されるので、単に役職がつくだけでは、

管理監督者に該当しません。

 

 

労働基準法41条2号の管理監督者に該当すれば、

残業代について規定されてる労働基準法37条が適用されなくなるので、

管理監督者には残業代が支払われなくてもよいことになるのです。

 

 

もっとも、労働基準法の原則は、1日8時間労働であり、

これを超えて働かせた場合には、

会社に残業代を支払わせることを義務付けして、

長時間労働を抑止しようとしているのです。

 

 

管理監督者は、この労働基準法の原則の適用が全て排除されるという、

重大な例外なので、管理監督者に該当するかについては、

厳格に判断されるのです。

 

 

管理監督者の範囲は厳格に画されるべきと判断した裁判例として、

HSBCサービシーズ・ジャパン・リミテッド(賃金等請求)事件の

東京地裁平成23年12月27日判決

(労働判例1044号5頁)があります。

 

 

2 管理監督者についての3つの判断要素

 

 

管理監督者に該当するかについては、厳格に判断されるところ、

次の3つの点が判断要素とされています。

 

 

①経営方針の決定への参加ないしは、

労働条件の決定その他労務管理について

経営者との一体性をもっているか(経営者との一体性

 

 

②自己の勤務時間に対する自由裁量を有するか(労働時間の裁量性

 

 

③その地位にふさわしい処遇を受けているか(賃金等の処遇

 

 

①については、会社の経営にどの程度関与していたのか、

採用・解雇・人事考課といった人事権を与えられていたのか、

現場業務も担当していてかなどが考慮されます。

 

 

会社の経営会議には参加していない、

アルバイトの面接はするものの、採用の決定権限はない、

マネージャー業務以外の現場業務を多く担当している、

といった場合には、管理監督者ではないことになります。

 

 

②については、タイムカード等による出退勤管理がされていたり、

仕事が忙しくて出退勤の自由がない場合には、

管理監督者ではないことになります。

 

 

③については、給料や賞与がその地位にふさわしい

水準になっているかを検討することになります。

 

 

 

管理監督者といいながら、2~3万円の管理職手当が

ついてるだけでしたら、管理監督者ではないことになります。

 

 

また、賃金センサスという、日本人の平均的な年収の統計や、

業界の平均的な年収と比較して、当該労働者の待遇が低かったり、

平均と同じくらいですと、管理監督者ではないことになります。

 

 

業界の平均的な年収については、

ネットで検索すれば、すぐにみつかります。

 

 

管理監督者というわりには、給料が低い場合には、

だいたい管理監督者は否定されます。

 

 

以上みてきたように、管理監督者については、

上記の3つの判断要素をもとに厳格に判断していきますので、

管理監督者に該当することは少ないと考えますので、

役職がついていても、未払残業代をあきらめる必要はないのです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

会社が休業したときに請求できるのは平均賃金の6割以上の休業手当か賃金の満額か

1 大庄が休業手当を支払わない問題

 

 

居酒屋「庄や」などを経営する大庄で働くアルバイトの男性が、

10割の休業手当の支払を求めて、団体交渉を申し入れたようです。

 

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/593a1eb9f0cad932d79bad6939997ed3161b87fd

 

 

5月の緊急事態宣言下の休業期間中に休業手当が支払われておらず、

8月3日から東京都から営業時間短縮の要請があり、

8月にシフトが大幅にカットされたのに、

休業手当が支払われていないようです。

 

 

報道によりますと、大庄は、

使用者の責に帰すべき事由により休業したわけではないので、

休業手当を支払う義務はないと主張しているようです。

 

 

このような場合に、休業手当が支払われなくてもよいのでしょうか。

 

 

結論としては、休業手当が支払われるべきと考えます。

 

 

2 緊急事態宣言下の休業の場合

 

 

まず,緊急事態宣言下における休業については、

パチンコ店のように、都道府県知事の休業指示に従わなかったら、

公表される場合以外の休業であれば、労働基準法26条に基づき、

平均賃金の6割以上の休業手当を請求できると考えます。

 

 

 

公表までいかない要請に応じて休業した場合は、

会社の経営判断に基づくもので、不可抗力とはいえないので、

平均賃金の6割以上の休業手当を請求できると考えます。

 

 

場合によっては、10割の賃金の支払を受けられることもあります。

 

 

3 緊急事態宣言終了後の休業の場合

 

 

次に、緊急事態宣言は終了した後も、都道府県知事は、

休業の要請ができるのですが、

これに応じるかは会社の判断に任せられます。

 

 

この場合、会社は、労働者に働いてもらうことが可能であるのに、

自らの判断で休みにしているので、

労働基準法26条の休業手当を支払わなければなりませんし、

民法536条2項の「責に帰すべき事由」があるとして、

10割の賃金を支払わなければなりません。

 

 

労働者としては、最低でも、平均賃金の6割の休業手当の請求を、

できれば、10割の賃金の支払をしてもらえるよに交渉すべきです。

 

 

 

そのため、大庄は、休業期間であっても、

最低でも平均賃金の6割の休業手当を、

場合によっては、10割の賃金を支払うべきなのです。

 

 

4 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金

 

 

それでも、会社が休業手当を支払わない場合に、

労働者を保護するための制度として、

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金

という制度が新設されました。

 

 

この制度は、会社が休業したのに、

労働者に休業手当を支払っていない場合に、

国が労働者に対して、休業前賃金の8割を支払うというものです。

 

 

労働基準法26条の6割の休業手当よりも手厚いです。

 

 

ただ、この休業支援金を受給できるのは、

中小事業主に雇用される労働者だけです。

 

 

大企業の労働者に休業手当が支払われない場合には、

利用できないのです。

 

 

中小事業主とは、飲食店を含む小売業の場合、

資本金の額が5000万円以下で、

常時雇用する労働者の数が50人以下、

サービス業の場合、資本金の額が5000万円以下で、

常時雇用する労働者の数が100人以下をいいます。

 

 

大庄は、資本金の額が5000万円を超えている、若しくは、

常時雇用ひる労働者の数が50人を超えていると考えられ、

中小事業主ではないため、大庄が、休業手当を支払わなかった場合に、

労働者は、休業支援金を受給できないのです。

 

 

制度ができたときは、大企業は、

休業手当をきちんと支払うだろうという予測がはたらいたと思いますが、

現実には、大企業でも、休業手当が支払わていないのです。

 

 

そのため、大企業が休業手当を支払わない場合でも、

休業支援金が支給されるように制度を改善する必要があると思います。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

未払残業代を請求するタイミングとは

1 残業代をいつ請求するべきなのか

 

 

松山大学の教授3人が深夜、休日労働の残業代が

適切に支払われていないとして、松山大学に対して、

未払残業代請求の訴訟を提起しました。

 

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/119638243cf76d37bb786096ec12dd6aaaf72f32

 

 

報道を見ている限りですと、3人の教授は、

松山大学に勤務を続けながら、

未払残業代請求の提訴に踏み切ったようです。

 

 

勤務先に対して、在職中に未払残業代請求をするのは勇気がいるので、

珍しいことだと思います。

 

 

それでは、未払残業代請求をするのは

どのタイミングがいいのでしょうか。

 

 

 

2 在職中に未払残業代請求をする場合

 

 

1つ目のタイミングは、松山大学の事件のように在職中に、

未払残業代請求をすることです。

 

 

ただし、在職中に未払残業代請求をすると、

会社との関係が気まずくなるので、

在職中に未払残業代請求をすることはほとんどありません。

 

 

すなわち、日本では、残業代が適切に支払われていなくても

許容される風潮があり、在職中に未払残業代請求をすると、

会社から、めんどうなやつというレッテルをはられて、

煙たがられますし、最悪の場合、

会社から嫌がらせを受けることがあるのです。

 

 

さらに、弁護士を代理人にして、

未払残業代請求の裁判まで起こすとなると、

会社に対してけんかを売るようなもので、

長く会社にいることが困難になります。

 

 

そのため、在職中に未払残業代の相談を会社にすることはあっても、

本格的に未払残業代請求をすることは、あまりないと思います。

 

 

私も、これまで何件も未払残業代請求事件を担当してきましたが、

在職中に未払残業代請求をしたのは1件だけでした。

 

 

その事件は、裁判となり、和解で終了したのですが、

クライアントは、裁判が終了した後に退職しました。

 

 

ただ、在職中に未払残業代請求をするメリットは、

会社内にあるタイムカードなどの証拠を容易に確保できる点にあります。

 

 

会社を退職した後ですと、証拠を確保するのが困難なことがあります。

 

 

3 退職後に未払残業代請求をする場合

 

 

2つ目のタイミングは、退職後に未払残業代請求をすることです。

 

 

未払残業代請求事件のほとんどが退職後に請求するものです。

 

 

 

会社を退職した後であれば、会社との関係がなくなりますので、

後腐れなく、会社に対して未払残業代請求ができるわけです。

 

 

会社が残業代を支払わないでいると、ペナルティとして、

残業代の元金に対して、遅延損害金が発生します。

 

 

会社は、残業代を支払わないと、

遅延損害金も支払わないといけないので、遅延損害金は、

残業代を支払わせるためのインセンティブになるのです。

 

 

この未払残業代の遅延損害金は、在職中の部分は、

年3%なのですが、退職後ですと、

賃金の支払の確保等に関する法律6条1項により、

年14.6%になります。

 

 

銀行の定期預金の金利が0.002~0.03%の時代に、

年14.6%の遅延損害金は大きいです。

 

 

退職後に未払残業代請求をする場合、

証拠を確保しにくい問題はあるのですが、

タイムカードや就業規則などの証拠については、

弁護士が代理人として、開示を求めれば、

会社は、概ね開示してくれます。

 

 

タイムカードがなく、パソコンのログデータで

労働時間を立証する場合には、できる限り、

在職中に自分が使用していたパソコンのログデータを

確保しておくのがいいです。

 

 

4 不当解雇やパワハラを争うのと同時に未払残業代請求をする

 

 

3つ目のタイミングは、不当解雇やパワハラにあって

弁護士に相談したときです。

 

 

クライアント自身は気づいていないのですが、

不当解雇やパワハラの相談の際に、

残業代が支払われているか聞いてみると、

支払われていないことが多いです。

 

 

これは、不当解雇やパワハラをする会社は、

労働基準法を遵守していないことが多く、

かなりの確率で、残業代を支払っていないのです。

 

 

このような場合、不当解雇やパワハラを争うと共に、

未払残業代請求をします。

 

 

不当解雇の場合、在職中の賃金の1年分から3ヶ月分の範囲で

会社から解決金を支払ってもらうことが多いのですが、

解雇された労働者の賃金が低ければ、解決金の金額は低くなります。

 

 

また、パワハラの場合、慰謝料の金額はそこまで高くなく、

10万円~100万円の範囲になることがほとんどです。

 

 

ところが、未払残業代請求が加わることで、

請求金額が一気に高くなり、

裁判での解決金の金額も高くなる傾向にあります。

 

 

そのため、不当解雇やパワハラの事件では、

残業代が支払われているかを確認することが大切です。

 

 

まとめますと、未払残業代請求をするタイミングは、

在職中に証拠を確保しておいて、

退職後に請求するのがベストだと考えます。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

教員の過労自殺事件から教員の労働問題を考える

1 教員の過労自殺事件

 

 

私は、石川県内の高校の学校評議委員をしています。

 

 

公立学校では、教員の働き方改革を実施するために、

様々な取り組みが行わています。

 

 

 

ただ一方で、教員の長時間労働の問題は依然として残っており、

報道を見ていますと、教員が働き過ぎで

過労死や過労自殺する事件が後をたちません。

 

 

教員の過労死や過労自殺の問題で、

画期的な判決がありますので、紹介します。

 

 

福井県・若狭町(町立中学校教員)事件の

福井地裁令和元年7月10日判決です

(労働判例1216号21頁)。

 

 

この事件は、27歳だった新任教員が半年後に

練炭自殺をしたという痛ましい事件でした。

 

 

自殺した新任教員が使用していたパソコンのログ、

学校のセキュリティ記録、時間外業務承認書といった証拠から、

1ヶ月の時間外労働が、161時間から128時間もの

長時間労働に及んでいることがわかりました。

 

 

過労死ラインが1ヶ月に80~100時間の時間外労働

とされていることからしても、

過酷な長時間労働をしていたことがわかります。

 

 

さらに、自殺した新任教員は、生徒の問題行動や保護者への対応や、

研修の準備などで、余裕のない、過重な労働をしていました。

 

 

そのため、自殺した新任教員は、何らかの精神障害を発症して、

自殺したとして、公務災害の認定を受けました。

 

 

その後、ご遺族が真実解明と謝罪を求めて、

損害賠償請求の裁判を起こしたのです。

 

 

2 残業は自主的な活動か

 

 

まず、裁判では、自殺した新任教員の残業が、

校長の指揮命令下の業務か、

自主的な活動だったかが争点となりました。

 

 

労働者が仕事をした時間が労働時間といえるためには、

使用者の指揮命令下で仕事をしていたと言えなければなりません。

 

 

 

公立学校の教員の場合、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等

に関する特別措置法(給特法といいます)で、

本棒の4%の手当が支給されていることから、残業代は発生せず、

校長が修学旅行や職員会議などで時間外労働を命令する以外には、

残業とは認められず、教員の自主的な研鑽であると解釈されています。

 

 

そのため、被告は、自殺した教員の残業は、

校長の職務命令に基づいた時間外労働ではなく、

自主的な研鑽であり、労働時間ではないと主張しました。

 

 

しかし、裁判所は、授業の準備、部活動の指導、

保護者対応などを所定労働時間外に行うことについて

明示的な命令はないものの、自殺した教員の経験年数からすれば、

所定労働時間外に行わざるをえなかったものであり、

自主的に行ったものではなく、事実上、

校長の指揮命令下で行っていたと判断されました。

 

 

民間の労働者では、争点にならないのですが、

公立学校の教員の場合は、給特法があるばかりに、

このような争点となるのです。

 

 

給特法は、教員の働き方改革に逆行している法律ですので、

早急に廃止する必要があると考えます。

 

 

3 安全配慮義務違反における予見可能性の対象

 

 

次に、もう一つの争点が、使用者は、

長時間労働などの過重な業務の認識を有していれば責任を負うのか、

それとも、外部から認識しうる労働者の具体的な健康被害まで必要なのか、

というものです。

 

 

使用者の予見可能性の対象は何かという問題です。

 

 

被告は、教員が明らかに精神的に変調をきたしているなどの

事情がない限り、勤務時間削減などの措置をとることは

義務付けられないと主張していました。

 

 

しかし、裁判所は、自殺した教員の勤務時間や業務内容を把握すれば、

勤務時間や業務内容が労働者にとって過重であり、

心身の健康状態を悪化させるものであると認識できたにもかかわらず、

早期帰宅を促すなどの口頭指導をしただけで、

業務内容の変更をしなかったとして、

校長の安全配慮義務違反を認めました。

 

 

使用者は、労働者の生命や健康の安全を確保しつつ

働くことができるように、必要な配慮をする義務を負っているのですが、

この安全配慮義務に違反したことが認められたのです。

 

 

ようするに、仕事内容を軽減させるといった

具体的なことをしていないと、安全配慮義務違反となるのです。

 

 

教員の働き過ぎの問題にメスを入れる画期的な判決と言えます。

 

 

教員の働き方改革をすすめていく上で、

参考になる裁判例ですので、紹介しました。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

ストレスフリー超大全

1 樺沢紫苑先生の講演会に参加しました

 

 

昨日は、樺沢紫苑先生の「ブレインメンタル強化大全」

の出版記念講演会に参加してきました。

 

 

 

樺沢先生の講演は、いつも動画で視聴しているのですが、

やはり講演会にリアルに参加すると、集中して講義を聞きますので、

多くのことを学ぶことができました。

 

 

さて、ブレインメンタル強化大全は、出版されたばかりですので

、まだ全部読めておりませんが、7月に出版された

「ストレスフリー超大全」をようやく読み終えましたので、

アウトプットします。

 

 

 

昼間はバリバリ働いてストレスが多くても、

次の日にはストレスがリセットされて、

ストレスを溜め込まない人をストレスフリーな人と言います。

 

 

ストレスフリーな人になるために実践するべきことが、

分かりやすくまとめられていますので、とても勉強になります。

 

 

以下では、私がストレスフリー超大全を読んで、

気づいた3つのことを紹介します。

 

 

2 他人と自分を比べない方法

 

 

まず1つ目は、他人と自分を比べない方法です。

 

 

人間は、どうしても他人と比較して、

自分は劣っていると思ってしまう生き物です。

 

 

ただ、他人と比較しているばかりですと、

心がすり減ってしまい、いいことはありません。

 

 

では、他人と比較することを止めるにはどうすればいいか。

 

 

それは、他人ではなく、過去の自分と比べることです。

 

 

1年前の自分と今の自分を比べると、

毎日を真剣に生きている人であれば、

確実に成長しているはずで、

成長している自分を実感できれば、

ポジティブな想念で満たされます。

 

 

また、他人と比較するのではなく、他人を観察し、

他人のよいところ、うまくいっている方法などを、

発見して、自分に取り入れていけばいいのです。

 

 

他人を妬むのではなく、リスペクトすれば、

他人の良い部分やうまくいっている部分が目に入るので、

それを真似すればいいのです。

 

 

3 怒りをコントロールする方法

 

 

2つ目は、怒りをコントロールする方法です。

 

 

私は、仕事では、交渉の相手にイラッとしたり、

プライベートでは、言うことを聞かない子供イラッとして、

怒ることがあります。

 

 

 

怒ると、嫌な気分になって、自己嫌悪に陥るので、

なるべくなら怒らないようになりたいものです。

 

 

怒りをコントロールする方法としては、

怒りがこみ上げてきたときに、

「今、自分は怒っている。」と心の中で3回つぶやくのがいいようです。

 

 

怒っている自分を客観視すると、冷静になれるみたいです。

 

 

また、40秒間深呼吸してやり過ごし、

あえてゆっくり話すことで怒りが鎮まるようです。

 

 

怒りそうになったら、まずは40秒深呼吸して落ち着いてから、

ゆっくりと会話することを心がけたいです。

 

 

4 それでいい

 

 

3つ目は、「それでいい」を口癖にすることです。

 

 

自分がやれることを、やれる範囲で、

自分なりにやっていれば、それでいいと自分を認めればいいのです。

 

 

それでいいとつぶやくことで、

がんばっている自分を励ます効果があるのでしょう。

 

 

それでいいと考えるだけでも、心が軽くなります。

 

 

普段から、自分自身にそれでいいと語りかけてみたいです。

 

 

以上、3つの気づきを紹介しましたが、他にもたくさん、

自分の生き方が楽になるノウハウが紹介されていますので、

ストレスの多い現代人にとってサプリメントになる名著です。

 

 

最近、読書ができていませんでしたので、

少しずつ読書をして、書評を記載していきたいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。