新型コロナウイルスの感染拡大の影響によるアルバイトのシフト削減への対処法
1 アルバイトのシフト削減の問題
多くの県で緊急事態宣言が解除され,少しずつですが,
日常生活が取り戻されつつあります。
一方で,新型コロナウイルスの感染拡大を理由とする
解雇や雇止めについては,7428人になるなどと報道されており,
コロナショックによる雇用情勢の悪化が急速に進んでいます。
https://www.asahi.com/articles/ASN5K6KMZN5KULFA00H.html
このように雇用情勢が悪化している中,
アルバイトのシフト削減による給料の減額の問題が指摘されています。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2005/13/news108.html
新型コロナウイルスの感染拡大による営業自粛のあおりを受けて,
仕事がないことから,シフトが減らされて,
アルバイトの給料が減額されているようです。
特に,アルバイトで生計をたてているような学生にとっては,
シフト削減は,大学などを退学しなければならない状況に
追い込まれるほどの死活問題となります。
おそらく,これまでも,シフトを勝手に減らされるという
問題はあったはずですが,以前であれば,
そのようなバイト先であれば,辞めてしまい,
次のバイト先を探せばよかったので,
それほど問題にならなかったのだと思います。
しかし,新型コロナウイルスの感染拡大で,
多くの会社が採用を抑えている現状において,
次のバイト先を探そうにも求人が少なく,
シフト削減による給料の減額が,
学生アルバイトを中心に問題となってきたのでしょう。
本日は,シフト削減の対処法について,解説します。
2 労働条件を確認する
まずは,週何日間働くシフトになっていたのかを確認します。
労働条件通知書や労働契約書などの文書があれば,
その内容を確認します。
アルバイトであれば,労働条件通知書などが交付されていない
かもしれませんので,そのようなときには,求人票などを確認します。
これらの文書があれば,文書に記載されている
1週間に何日働くことが,労働契約の内容になります。
これらの文書がなかった場合には,採用時にバイト先から,
「1週間に3日間シフトに入ってくださいね」と言われて,
これに応じて,実際に1週間に3日間働いてきた実績があれば,
1週間に3日間働くことが労働契約の内容になります。
3 労働者の合意がない限り不利益な労働条件の変更をできないのが原則
次に,バイト先から,1週間に3日間働いていたのを
1日にしますと言われた場合,給料が減額される
不利益が生じるのであれば,アルバイトがこれに合意しなければ,
バイト先は,勝手にシフトを削減することはできません。
先の例でいうと,1週間に3日間働くことが
労働契約の内容になっているので,
給料が減額されることにつながる1週間に1日だけ働くことは,
労働条件を一方的に労働者の不利益に変更することになりますので,
労働者の合意がなければできないのです。
シフト削減によっても,以前と同じ給料が保障されているのであれば,
労働者にとって,休みが増える有利な変更になるので,
労働者の同意がなくても,問題ないのですが,
給料の減額が生じる不利益な変更をするには,
労働者の合意が必要となります。
アルバイトが,給料減額につながるシフト削減に同意していないのに,
シフトを削減されて,給料が減額となった場合,
シフトを削減された分の給料をバイト先に全額請求できることになります。
特に,緊急事態宣言が解除されれば,
都道府県知事からの休業要請は緩和されるので,
休業をするかどうかは,会社の経営判断に委ねられます。
会社が労働者に仕事をしてもらうことが可能であるのに,
自らの判断で休業する場合には,民法536条2項に基づき,
労働者は,会社に対して,給料の全額を請求できるのです。
そのため,アルバイトが勝手にシフトを削減された場合には,
シフトを削減される前の給料と,シフトを削減された後の給料との
差額分をバイト先に請求できるのです。
もっとも,一人のアルバイトがバイト先に,
差額分の給料を請求するのは勇気がいりますので,
同じバイト仲間と一緒に請求したり,
弁護士などの専門家や労働組合に相談するのがいいでしょう。
本日もお読みいただきありがとうございます。
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