コロナショックで関心が高まっている休業手当の計算方法

1 緊急事態宣言がだされて休業手当への関心が高まっています

 

 

新型コロナウイルス対応の特措法に基づく緊急事態宣言を受けて,

東京都は,娯楽施設や一部商業施設に対して,

休業を要請したいようですが,

神奈川県,埼玉県,千葉県,大阪府,兵庫県,福岡県は,

住民の外出自粛の効果を見極めてから,

休業の要請を検討する考えのようです。

 

 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200408/k10012375431000.html

 

 

やはり,知事が事業者に対して,休業を要請した場合,

「使用者の責めに帰すべき事由」ではないとして,

休業に応じた事業者が,労働者に対して,

休業手当を支払わなくても,労働基準法違反ではなくなる可能性が高く,

労働者に何も補償されなくなりますし,

事業者の不利益が大きすぎるので,

事業者に対する補償がないのに休業を要請するのが

ためらわれるからなのでしょう。

 

 

 

緊急事態宣言がでた今,

休業手当がどうなるのかに関心が高まっています。

 

 

労働基準法26条では,使用者の責めに帰すべき事由によって

労働者が働けなかった場合,その休業期間中,

使用者は,労働者に対して,平均賃金の60%以上の休業手当を

支払うべきことを規定し,労働者の生活を保護しようとしています。

 

 

2 休業手当の計算

 

 

この休業手当について,朝日新聞に気になる記事がありました。

 

 

https://www.asahi.com/articles/photo/AS20200406000180.html

 

 

東京ディズニーリゾートを運営しているオリエンタルランドが,

東京ディズニーリゾートを臨時休園する際のキャストに対する説明では,

休業時は手当などを除いた基本時給の6割だけが支給される

との説明があったようです。

 

 

労働基準法26条は,休業手当は,平均賃金の6割以上

と規定されているので,手当などを除いた基本給の6割ではありません。

 

 

平均賃金については,労働基準法12条に定められており,

平均賃金を算定すべき事由の発生した日以前3ヶ月間に

労働者に支払われた賃金の総額を,

その期間の総日数で割った金額なのです。

 

 

ここでいう「賃金の総額」には,通勤手当,年次有給休暇の賃金,

通勤定期券代及び昼食料補助なども含まれます。

 

 

この「賃金の総額」から除外されるのは

臨時に支払われる賃金(私傷病手当,加療見舞金,退職金など),

3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(年2期の賞与など)です。

 

 

例えば,基本給22万円,営業手当3万円,通勤手当1万円の

合計26万円の給料をもらっていた労働者が

2020年4月1日から休業した場合,

1月から3月までの平均賃金を計算すると次のようになります。

 

 

(26万円×3ヶ月)÷(31日+29日+31日)

=8,571円

 

 

そして,この労働者が2020年4月1日から30日間休業した場合,

休業手当は,8,571円×0.6×30日

=154,278円となります。

 

 

そのため,基本給以外にも,

各種の手当を含んだ賃金で休業手当を計算するのです。

 

 

結局,オリエンタルランドでは,手当も含めた賃金の6割分

が支給されたようで,間違った計算はされていなかったようです。

 

 

会社が休業手当の計算をするにあたり,

基本給の6割を支払えばいいと勘違いしているかもしれませんので,

労働者は,基本給以外の手当を含めて,

休業手当が計算されているのかを,

給料明細を見て,チェックしてください。

 

 

3 休業手当では生活できない

 

 

とはいえ,もともとの賃金が低い場合,

休業手当は低い賃金の6割になりますので

生活がままならないという問題があります。

 

 

やはり,コロナショックで生活が苦しくなる方々への

補償が必要不可欠になります。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

 

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