昼休みがとれないときの対処法

弁護士ドットコムニュースに,

昼休みをとれない保育士のことが掲載されていました。

 

 

保育園では,子供達が昼寝をしている際も,

呼吸やうつぶせ寝のチェックのために休むことができず,

早く起きてしまう子供がいるため,

保育士は,別の部屋にいくことができず,

子供達が寝ている部屋で食事をとっているようです。

 

 

 

 

元気に動き回る子供達が相手ですので,

保育士がきちんと昼休みを取得するのは難しいことが予想されます。

 

 

保育士の仕事は過酷です。

 

 

とはいえ,休憩時間を取得させないことは

労働基準法違反になります。

 

 

本日は,休憩時間について説明します。

 

 

そもそも,休憩時間とは,労働者が権利として

労働から離れることが保障されている時間,

労働時間の途中において完全に仕事から離れることを

保障されている時間をいいます。

 

 

 

 

労働基準法34条において,会社は,

1日の労働時間が6時間を超える場合には少なくとも45分,

8時間を超える場合には少なくとも1時間の休憩時間を

労働時間の途中に与えなければならないと規定されています。

 

 

労働時間が6時間未満の場合であれば,

休憩時間を与えなくても,労働基準法違反にはなりません。

 

 

また,電車や飛行機の乗務員,郵便事業の乗務員については,

休憩時間を与えないことができると規定されています。

 

 

休憩時間は,労働時間の途中に与える必要がありますので,

仕事が始まる前や仕事が終わった後に

休憩時間を与えることはできません。

 

 

休憩時間を分割して与えることも可能ですが,

5分や10分の休憩時間ですと,

トイレにいくだけで終わってしまうので,

労働からの解放が保障されているとはいえず,

休憩時間とみなされない可能性があります。

 

 

休憩時間は,労働者に一斉に与えなければならないのですが,

労使協定を締結することで,

休憩時間を一斉に与えなくてもよくなります。

 

 

会社は,労働者に,休憩時間を

自由に利用させなければなりません。

 

 

 

 

とはいえ,休憩時間後の労働に支障が生じてはいけませんので,

飲酒を禁止したり,

会社内の危険な設備の近くでのスポーツを禁止したり,

他の労働者の休憩を妨害することを禁止したりすることは,

休憩時間の自由利用の原則に違反しないと考えられます。

 

 

会社が労働者に対して,休憩時間を与えていなかった場合,

休憩時間も労働契約の内容になっていることから,

会社は,労働契約に違反したことになります。

 

 

そして,休憩時間を与えられないことで,

労働者の身体・自由といった法律上の利益が侵害されているとして,

慰謝料の支払が認められることがあります。

 

 

もっとも,慰謝料の金額はそれほど大きくはなりません。

 

 

その他にも,休憩時間が与えられないことによって,

1日の労働時間が8時間を超えれば,

残業代を請求することができます。

 

 

会社が休憩時間を与えない場合,労働基準法違反として,

6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金の罰則がありますので,

労働者としては,労働基準監督署に違反の事実を申告し,

是正を求めることも可能です。

 

 

このように,休憩時間を与えない場合,

労働者としては,とりうる手段がいろいろあります。

 

 

冒頭の保育士の場合,何人かの保育士が

交代で休憩時間をとれるように,経営者には,

労働環境を改善していってもらいたいですね。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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