緊急事態宣言による協力要請を受けていない業種での休業の場合に休業手当は支払われるのか

1 緊急事態宣言がだされました

 

 

ついに昨日,新型コロナ特措法に基づき,

東京都,神奈川県,埼玉県,千葉県,大阪府,兵庫県,福岡県

を対象に緊急事態宣言がだされました。

 

 

 

緊急事態宣言がだされたことによって,7つの対象地域の知事は,

新型コロナウイルス感染症の蔓延防止措置として,

人が密集するカラオケ店,ナイトクラブなどの娯楽施設に対して,

使用やイベントの制限の協力を要請できます。

 

 

この協力要請は,法的な根拠があるものの,

従わなかったからといって,罰則があるわけではないので,

協力要請を求められた施設の管理者は,これに応じないことができます。

 

 

しかし,協力要請に応じなかった場合,公表されますので,

K-1の二の舞になりたくないので,事実上,

協力要請には応じざるをえなくなります。

 

 

2 緊急事態宣言後の協力要請に応じた場合の休業

 

 

そのため,協力要請に応じて娯楽施設などが休業した場合,

使用者の責めに帰すべき事由に該当しないと考えられ,

休業期間中,労働者に対して,

給料の6割にあたる休業手当を支払わなくても,

労働基準法違反にはならない可能性があります。

 

 

もっとも,昨日,加藤厚生労働大臣が,

在宅勤務などで労働者を働かせることが可能か,

他に就かせる仕事があるかも含めて,

不可抗力によるものかを総合的に判断し,一律に,

休業手当の支払義務がなくなるものではないとコメントしました。

 

 

https://this.kiji.is/620083427313910881

 

 

休業による不利益を被る労働者への補償をしなければならない一方で,

休業によるダメージを受ける会社の経営のことを考えると,

判断が難しいです。

 

 

3 緊急事態宣言後の協力要請の対象とならない業種の休業

 

 

それでは,上記の協力要請の対象とはならない飲食店などが,

緊急事態宣言による国民の自粛によって,客が激減したり,

労働者が通勤できなくなって,休業した場合,

労働者は,飲食店などに休業手当を請求できるのでしょうか。

 

 

例えば,ケンタッキーフライドチキンやタリーズコーヒーでは,

緊急事態宣言の対象地域の店舗を休業させたり,

営業時間を短縮させるようです。

 

 

この場合は,緊急事態宣言による協力要請を受けておらず,

会社の自主的な判断で休業することになるので,

会社には休業手当の支払義務が生じる可能性があります。

 

 

休業手当は,労働者の最低生活を保障するためのものなので,

休業手当の支払義務の要件である「使用者の責めに帰すべき事由」は,

広く解釈されており,天災地変などの

不可抗力に該当しない限りはそれに含まれます。

 

 

不可抗力といえるかは,外部起因性と防止不可能性の2つの要件

を満たした上で,経営上の障害の原因が使用者の支配領域から

近いところで発生しており,労働者の最低生活の保障の観点から,

使用者に平均賃金の6割の程度で保障をさせた方がよいと認められれば,

休業手当の支払義務があるのです。

 

 

 

「使用者の責めに帰すべき事由」の具体例として,

機械の検査,原料の不足,流通機構の不円滑による資材入手困難,

監督官庁による操業停止,親会社の経営難のための資金・資材の獲得困難

などが挙げられます。

 

 

確かに,新型コロナウイルスによる客数の減少や

労働者の通勤困難などの要因はあるものの,

緊急事態宣言による協力要請を受けていない業種の会社が

休業する場合には,最終的には裁判所の判断に委ねられますが,

休業手当の支払義務が認められる可能性があると考えます。

 

 

会社としては,雇用調整助成金などを利用して,

休業してもなんとか労働者に対して,

休業手当を支払ってもらいたいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

新型コロナ特措法の緊急事態宣言と労働基準法26条の休業手当

1 緊急事態宣言と休業手当

 

 

新型コロナウイルスの感染拡大がとまらず,

東京では2日連続で感染者が100人を超えました。

 

 

 

新型インフルエンザ等対策特別措置法の適用対象に,

新型コロナウイルス感染症が追加される改正がなされていますので

(いわゆる新型コロナ特措法),

国が緊急事態宣言をだすことが現実的になりつつあります。

 

 

そして,厚生労働省は,新型コロナ特措法に基づく

緊急事態宣言がだされて,ライブハウスや映画館などが

営業を停止した場合の労働者への休業手当について,

休業手当の支払義務の対象にならないとの見解を示しました。

 

 

https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/202004/CK2020040302000154.html

 

 

本日は,緊急事態宣言と休業手当について説明します。

 

 

2 緊急事態宣言

 

 

緊急事態宣言がなされますと,都道府県知事は,

感染症蔓延の防止のための措置をとることができます。

 

 

感染症蔓延の防止のための措置として,協力要請があります。

 

 

協力要請とは,都道府県知事が,住民に対して

外出制限の協力を要請したり,学校や様々な施設

(デパート,ホテル,美術館,ナイトクラブ,

ライブハウス,映画館,理髪店など)の使用の制限や

そこでのイベントの制限の協力を要請することです。

 

 

施設の管理者やイベントの主催者が,

都道府県知事の協力要請に対して,正当な理由なく,

従わなかった場合,都道府県知事は,

施設の管理者やイベントの主催者に対して,

一定の入場制限や手指の消毒などの措置を講じるように指示ができます。

 

 

そして,都道府県知事は,協力要請や指示を行った場合には,

そのことを公表します。

 

 

指示を公表することは,施設の管理者やイベントの主催者が

都道府県知事の協力要請に従わなかったことを意味します。

 

 

K-1の大会が埼玉県の自粛要請に応じないで実施されたことに

多くの批難が殺到したように,おそらく,上記の指示が公表されると,

施設の管理者やイベントの主催者は,世間から,

バッシングを受けることが予想されます。

 

 

そのため,協力要請や指示に罰則はないのですが,

事実上,施設の管理者やイベントの主催者は,

協力要請に従わざるをえないことになると考えられます。

 

 

 

3 休業手当の支払義務がない不可抗力といえるか

 

 

ここまできますと,休業手当の支払義務はない

とされてもやむを得ないと思います。

 

 

労働基準法26条に基づく休業手当は,

使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合に,

休業期間中,労働者に対して,平均賃金の6割を補償するというものです。

 

 

ここで,使用者の責めに帰すべき事由とは,

経営者として不可抗力を主張しえない

一切の場合を包含するものとされています。

 

 

会社にとって休業が不可抗力であったか否かがポイントになります。

 

 

不可抗力であったか否かの判断は難しいのですが,

第1に,その原因が事業の外部より発生した事故であること,

第2に,事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしても

なお避けることのできない事故であること

の2つの要件を備える必要があります。

 

 

新型コロナウイルスの感染拡大は,会社の外部で発生した現象であり,

それによって,緊急事態宣言がだされて,協力要請を求められれば,

事実上従わざるをえないので,通常の経営者として

最大の注意を尽くしてもなお避けることができない

と評価される可能性があります。

 

 

そのため,緊急事態宣言がだされて,協力要請を求められ,

会社を休業することになった場合,

使用者の責めに帰すべき事由による休業とはいえず,

会社は,休業手当を支払わなくてもよいことになりそうです。

 

 

ただ,こうなると,緊急事態宣言による協力要請を受けた

会社の労働者は,全く給料の補償がなく,生活が困窮します。

 

 

そのため,国は,緊急事態宣言をだすのであれば,

協力要請を受けることになる会社とその労働者に対する

十分の補償を迅速に実施すべきです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

労働基準法26条の休業手当と民法536条2項による賃金請求権の関係

1 労働基準法26条と民法536条2項

 

 

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて,

労働者が本来働かなければならない日に,

会社が労働者を休ませた場合に,

労働者に対していくらの賃金を補償しなければならないのか

ということについて,労働基準法26条の休業手当が注目されています。

 

 

 

労働基準法26条では,「使用者の責に帰すべき事由」

による休業の場合には,会社は,休業期間中,

労働者に対して,平均賃金の60%以上の手当

を支払わなければならないと規定されています。

 

 

これと,似た規定が民法536条2項にあります。

 

 

民法536条2項には,「債権者の責に帰すべき事由によって

債務を履行することができなくなったときは,債権者は,

反対給付の履行を拒むことができない」と規定されています。

 

 

ここでいう債権者とは会社のことです。

 

 

債務を履行することができなかったとは,

労働者が労務を提供できなかったことをいいます。

 

 

反対給付の履行とは,労働者からの賃金全額の請求のことです。

 

 

まとめると,会社の落ち度で労働者が

労務を提供することができなかったとしても,会社は,

労働者からの賃金全額の請求を拒むことができないのです。

 

 

2 会社の責に帰すべき事由とは

 

 

労働基準法26条と民法536条2項では,

会社の「責に帰すべき事由」という言葉は共通していますが,

労働基準法26条の方が労働者を保護するために,

会社の「責に帰すべき事由」を広く捉えています。

 

 

すなわち,労働基準法26条の会社の「責に帰すべき事由」とは,

会社の故意(わざと)・過失(落ち度)に加えて,

会社側に起因する経営・管理上の障害を含むと解されています。

 

 

ようするに,天災などの不可抗力以外によって,

会社が休業することになっても,会社は,休んでいる労働者に対して,

平均賃金の6割以上の休業手当を支払わなければならないのです。

 

 

そのため,コロナウイルス感染拡大が不可抗力になるかは

判断が難しいですが,2020年3月19日時点での日本においては,

まだ不可抗力とまではいえないと考えられ,

会社は,労働者に対して,休業手当を支払うべきだと考えます。

 

 

 

他方,民法536条2項の会社の「責に帰すべき事由」とは,

会社の故意または過失による休業のことです。

 

 

会社が労働者を退職に追い込むために休業させる場合などが,

これに当たります。

 

 

このような休業であれば,労働者は,

会社に対して,賃金全額を請求できます。

 

 

ノースウエスト航空事件の昭和62年7月17日判決

(労働判例499号6頁)は,民法536条2項に基づく賃金請求権と

労働基準法26条休業手当請求権とは,

それぞれの要件を満たす限りにおいて,競合するので,

労働者は,全額の賃金請求権を失わないと判断しました。

 

 

そのため,会社が6割の平均賃金を支払っていても,

民法536条2項の要件を満たすのであれば,労働者は,

賃金全額と6割の休業手当の差額の4割分を請求できるのです。

 

 

コロナウイルス感染拡大による休業の場合,

会社には故意過失は認められないと考えられますので,

民法536条2項に基づいて,賃金全額を請求するのは難しいと考えます。

 

 

コロナウイルス感染拡大以外の会社の落ち度で休業に至った場合には,

労働者は,民法536条2項を根拠に賃金全額の請求をしてみてください。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

新型コロナウイルスの感染拡大による業績不振を理由に給料を減額できるのか

1 新型コロナウイルスの感染拡大による業績不振を理由とする給料の減額

 

 

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で企業の業績が悪化して,

給料がカットされるという労働相談があるようです。

 

 

 https://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/202003/0013198554.shtml

 

 

本日は,新型コロナウイルス感染拡大による業績不振を根拠に

給料を減額することが認められるのかについて,解説します。

 

 

 

2 給料を減額できる場合とは

 

 

そもそも,給料は,労働者にとって,

生活の原資となる大切なお金なので,労働基準法24条1項で,

賃金全額払の原則が定められているように,

原則として,減額ができません。

 

 

例外的に,会社が労働者の給料を減額できるのは次の場合に限られます。

 

 

 ①懲戒処分としての賃金減額

 

 

 ②業務命令としての降格に伴う賃金減額

 

 

 ③就業規則中の賃金の査定条項に基づく賃金減額

 

 

 ④就業規則の変更による賃金減額

 

 

 ⑤労働協約に基づく賃金減額

 

 

 ⑥労働者との合意に基づく賃金減額

 

 

このうち,①~③については,就業規則に

懲戒処分,降格,賃金査定の条項が存在していることが前提となります。

 

 

④と⑤については,就業規則と労働協約が

存在していることが前提となります。

 

 

すなわち,労働者の給料を減額するためには,

就業規則や労働協約などの根拠規定が必要になるわけです。

 

 

そのため,会社の業績不振を理由に給料を減額できるという条項が

就業規則にあれば,それを根拠に減額できる余地があるのですが,

そのような条項が就業規則にないのであれば,給料を減額できません。

 

 

私は仕事柄,多くの会社の就業規則を見ますが,

業績不振を理由に給料を減額できるという条項がある

就業規則はほとんどありません。

 

 

3 合意に基づく給料の減額

 

 

次に,就業規則に業績不振を理由に給料を減額できるという

条項がない場合,上記の⑥の労働者との個別の合意に基づいて,

給料を減額できる場合があります。

 

 

 

しかし,労働者との個別の合意に基づく給料の減額の場合,

労働者の合意が厳格に判断されます。

 

 

すなわち,山梨県民信用組合事件の最高裁平成28年2月19日判決

が示した次の判断基準をもとに労働者の合意が厳格に判断されるのです。

 

 

労働者にもたらされる不利益の内容及び程度,

労働者が同意に至った経緯及び態様,

同意に先立つ労働者への情報提供または説明の内容などから,

給料の減額への同意が,労働者の自由な意思に基づいてされたものと

認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否か

という観点から判断されます。

 

 

そのため,会社から給料の減額を求められて,

十分な説明がないまま,会社からの圧力を感じて,しぶしぶ,

給料の減額に合意した場合には,

給料の減額が無効になる可能性があります。

 

 

以上まとめると,労働者は,コロナウイルス感染拡大による

業績不振を理由に給料を減額すると会社から言われても,

就業規則に給料の減額規定が存在しないのであれば,拒否すればよく,

給料の減額への同意を求められても,拒否すればいいのです。

 

 

給料の減額を求められたら,就業規則に減額の根拠規定があるのかを

チェックしてみてください。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

新型コロナウイルスを理由に会社から休業を命じられたら

1 新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が増えています

 

 

新型コロナウイルスの感染が拡大していることを受けて,大企業では,

在宅勤務に切り替えているところが増えているようです。

 

 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200227/k10012303861000.html

 

 

通勤電車の密閉された空間などで労働者が

新型コロナウイルスに感染するのを防ぐためなのでしょう。

 

 

本日は,新型コロナウイルスの影響で在宅勤務をしたり,

会社から休業を命令された場合の賃金について,解説します。

 

 

 

2 会社から在宅勤務を命令されたら

 

 

まず,会社から在宅勤務を命じられた場合,

就労場所が会社から自宅に変わるだけで,

働いていることには変わりないので,

労働者は,会社に対して,満額の賃金を請求できます。

 

 

在宅勤務の場合,何時から何時まで働いたのかという,

労働時間管理が難しくなります。

 

 

会社に出勤すれば,残業時間は別として,

労働契約で定められた勤務時間働いたか否かは,

他の労働者の目もあるので,会社にいればだいたいわかるものです。

 

 

在宅勤務の場合,労働者としては,自宅でしっかりと

働いていたことを明らかにするために,

ノートパソコンのログデータを保存するか,

労働時間を管理するアプリなどを利用して,

何時から何時まで自宅で労働したことを記録しておくといいでしょう。

 

3 会社から休業を命令されたら

 

 

次に,会社から,新型コロナウイルスの影響で,

会社を休むように命じられた場合について,検討します。

 

 

会社から休業を命じられて,労働者に年次有給休暇が残っており,

労働者が,せっかくの機会なので,年次有給休暇を取得しようと

考えたのであれば,年次有給休暇を取得するのがいいでしょう。

 

 

年次有給休暇は,取得しないと,2年の時効で消滅してしまうので,

使えるときに使った方がいいと考えます。

 

 

年次有給休暇を取得すれば,就業規則の定めに従い,

①所定労働時間に労働した場合に支払われるべき通常の賃金,

または,②3ヶ月間の平均賃金のいずれかが支払われます。

 

 

ようするに,休んでも,給料が補償されるのです。

 

 

また,2019年4月1日から,会社は,

年次有給休暇を10日以上付与される労働者に対して,

1年間に5日の年次有給休暇を取得させなければならないので,

会社としても,労働者に,年次有給休暇を使って

休んでもらったほうが助かります。

 

 

そのため,新型コロナウイルスの影響で会社を休むときには,

まずは,年次有給休暇を取得することを検討しましょう。

 

 

では,年次有給休暇もすでに全部取得してしまっていて,

会社から休業を命じられた場合,賃金はどうなるのでしょうか。

 

 

 

この場合,労働者は,会社に対して,労働基準法26条を根拠に,

平均賃金の6割を請求できると考えます。

 

 

労働基準法26条には,「使用者の責めに帰すべき事由」

による休業の場合,会社は,労働者に対して,休業手当として,

平均賃金の6割を支払わなければならないと規定されています。

 

 

この「使用者の責めに帰すべき事由」には,

経営者として不可抗力を主張し得ない一切の場合が含まれます。

 

 

そのため,不可抗力による休業の場合以外,会社は,

労働者に休業を命じる場合,労働者に対して,

平均賃金の6割を支払わなければならないのです。

 

 

不可抗力とは,事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしても

避けることのできない事故のことをいいます。

 

 

例えば,東日本大震災のような災害が発生して,

会社が被災した場合には,不可抗力といえ,

会社が労働者に休業を命じても,

平均賃金の6割を支払わなくても問題はないでしょう。

 

 

他方,今回の新型コロナウイルスについては,

2020年3月2日の時点において,

外部からの交通が遮断されるほどには感染が拡大しているわけではなく,

現時点において,会社が労働者に休業を命じた場合には,

不可抗力とはいえず,会社は,平均賃金の6割を,

休業を命じた労働者に支払わなければならないと考えます。

 

 

中国武漢のように,外部からの交通が遮断されて,

企業の経済活動が停止してしまった場合には,

不可抗力に該当するとして,会社は,労働者に休業を命じても,

平均賃金の6割を支払わなくてもよいことになると考えます。

 

 

なにはともあれ,早く,新型コロナウイルスの問題が

収束することを祈っています。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

会社が倒産したときに未払賃金分を取締役に対して損害賠償請求できるのか

1 取締役の第三者に対する責任

 

 

昨日のブログでは,会社が倒産して,給料が支払われないときには,

未払賃金の立替払制度を利用することが効果的であると解説しました。

 

 

もう一つ,会社の社長などの取締役に対して,

未払賃金分の損害賠償請求をするという方法があります。

 

 

前提として,労働者に対して,労働契約に基づいて

賃金の支払義務を負っているのは会社なので,労働者は,

直接には,社長個人に対して,未払賃金を支払えとは言えないのです。

 

 

しかし,給料を支払う意思がないのに働かせた上での

賃金不払いといった悪質性の特に強い事案においては,

社長個人に対して,未払賃金分の損害賠償請求ができないかを検討します。

 

 

 

この社長個人に対する損害賠償請求をするときの法律根拠が,

会社法429条に基づく取締役の第三者に対する責任というものです。

 

 

会社の社長などの取締役が,会社の管理や運営を

適正に行うことを確保するために,取締役は,

善良な管理者の注意義務をもって,

会社から委任を受けた事務を処理する義務を負っています。

 

 

これを取締役の善管注意義務といいます。

 

 

取締役がこの善管注意義務に違反すると,

会社の任務を怠ったと評価され,

それによって第三者に損害が発生した場合に,

取締役は,第三者に対して,損害賠償責任を負います。

 

 

第三者には,会社の労働者も含まれます。

 

 

2 取締役に対して未払賃金分の損害賠償請求が認められた裁判例

 

この取締役の第三者に対する責任追及を根拠に,

取締役に対する,未払賃金分の損害賠償請求が認められたケースとして,

ブライダル関連会社元経営者ら事件の

鳥取地裁平成28年2月19日判決があります

(労働判例1147号83頁)。

 

 

この事件では,会社が事実上の倒産状態となり,

給料が未払とされた労働者が,代表取締役と取締役に対して,

未払賃金分の損害賠償請求をしました。

 

 

取締役は,会社をして使用者の労働者に対する基本的義務である

給与の支払日における全額支払の履行に漏れがないようにするために,

その時点における最善の努力を尽くすべきであり,そのことは,

取締役の善管注意義務の内容になっているので,この努力を怠ることは,

取締役の任務懈怠と評価されると判断されました。

 

 

そして,取締役は,会社経営が困難な状況にこそ,

事態を放置することは会社の財務状況をますます悪化させ,

労働者の損害をさらに拡大するのであるから,

損害の拡大を阻止するために,可能な限り,

最善の方法を選択,実行すべき善管注意義務を負っているのです。

 

 

 

本件の代表取締役は,給料が未払であることを認識しており,

そのような意図的な給料未払という事態は,すでにそれ自体として,

取締役に期待される最善の努力を尽くしていないとして,

代表取締役に対する損害賠償請求か認められました。

 

 

また,本件の取締役は,代表取締役の行為を監視し,

会社経営に関して適切な意見を具申すべき義務があるのに,

これを怠ったとして,取締役に対する損害賠償請求も認められました。

 

 

このように,意図的に給料を未払にして放置しているような

事案であれば,まだ十分に資力がありそうな取締役に対して,

未払賃金分の損害賠償請求をすることを検討してみる必要があります。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

会社が倒産して給料が支払われない時の対処法

1 会社が倒産して給料が支払われない

 

 

会社が倒産したので,給料が支払われなくて困っています,

という法律相談を受けることがあります。

 

 

会社の社長が行方をくらまして連絡がとれない,

社長と連絡はとれるけれども未払の給料を支払うと言っているのに

全然支払ってくれない,といった問題があります。

 

 

 

労働者は,働けば,当然に,会社に対して,

給料の支払を請求できるのですが,会社に,

労働者に給料を支払うだけの資力がなければ,

無い袖は振れないということで,

会社から給料の回収をするのは困難です。

 

 

会社の社長に給料の請求ができないのかも考えるのですが,

会社と社長は別人格であり,労働者に対して

給料の支払義務を負っているのは,

労働契約を締結している会社であって,社長ではないのです。

 

 

社長に対して,取締役の責任追及として,

未払給料分の損害賠償請求をすることも考えられますが,

未払給料の金額が小さいと,弁護士に依頼しても

費用倒れになってしまうリスクがあります。

 

 

2 未払賃金の立替払制度

 

 

そこで,このようなときには,

未払賃金の立替払制度を利用できないかを検討します。

 

 

未払賃金の立替払制度とは,会社が倒産して

賃金や退職金の未払が生じたときに,

国(独立行政法人労働者健康福祉機構)が

会社に代わって立替払をする制度です。

 

 

立替払の対象となる未払賃金は,

退職日の6ヶ月前の日から立替払請求日の前日までの間に

支払期日が到来している定期賃金

(毎月1回以上一定の期日を定めて支払われる賃金)及び退職手当です。

 

 

賞与,解雇予告手当,遅延損害金,旅費などは

立替払の対象にはなりません。

 

 

未払賃金が2万円以上あることが必要で,

立替払の対象となる賃金額は,

未払賃金総額の8割とされています。

 

 

もっとも,未払賃金総額には,

退職日の年齢に応じた限度額が設定されています。

 

 

退職日における年齢 未払賃金総額の限度額 立替払の総額
30歳未満 110万円 88万円
30歳以上45歳未満 220万円 176万円
45歳以上 370万円 296万円

 

 

立替払制度を利用するには,

倒産した事業主(会社,個人を含みます)が

労災保険の適用事業を1年以上行ってることが必要です。

 

 

労災保険は,一人でも労働者を雇用すれば強制的に適用されるので,

ほとんど全ての事業が対象となります。

 

 

事業主が労災保険の保険料を支払っていなくても,

この要件を満たします。

 

 

対象となる倒産ですが,破産,民事再生,会社更生,特別清算

といった法的手続をとった倒産は全て適用されます。

 

 

法的な倒産手続の場合,裁判所や破産管財人などから,

破産などの事由と未払賃金額などについて証明書をもらい,

これを添付して労働者健康福祉機構に

未払賃金の立替払請求書を提出します。

 

 

また,中小企業の場合,法的な倒産手続をとっていなくても,

事実上の倒産として労働基準監督署が認定すれば,

立替払制度を利用できます。

 

 

 

事実上の倒産とは,事業活動が停止し,再開する見込みがなく,

賃金の支払能力がない状態をいいます。

 

 

事実上の倒産の場合は,労働基準監督署に

事実上の倒産の認定申請書を提出し,認定をうけてから,

労働者健康福祉機構に未払賃金の立替払請求書を提出します。

 

 

立替払制度の対象者となる労働者は,

破産などの申立日または労働基準監督署に対する認定申請日の

6ヶ月前から2年の間に退職した方です。

 

 

立替払請求は,破産手続開始の決定があった日の翌日から2年以内に,

労働基準監督署から事実上の倒産の認定があった日の翌日から2年以内に

する必要があります。

 

 

法的な倒産手続の場合は,申立代理人や管財人が対応してくれますが,

全ての事業主が法的な倒産手続をとるわけでなく,

何もしないまま放置されていることもあるので,

そのようなときは,労働基準監督署へいって,

未払賃金の立替払制度を利用できないか相談してみてください。

 

 

立替払制度を利用して,8割でもいいので未払賃金を回収した方が,

費用対効果を考えればいいと思います。

 

 

なお,未払賃金の立替払制度については,

こちらのUELにあるパンフレットに詳しい説明が記載されていますので,

ご参照ください。

 

 

https://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/kinrosyashien/pdf/tatekae_seido_Pamphlet.pdf

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

未払残業代を含む賃金債権の消滅時効が3年になります

1 賃金債権の消滅時効

 

 

先日,未払残業代を含む賃金債権の消滅時効の期間が

2年から延長されることで労働政策審議会

の議論が進んでいることについて,ブログで紹介しました。

 

 

https://www.kanazawagoudoulaw.com/tokuda_blog/201912268874.html

 

 

公益委員が示した案は,賃金債権の消滅時効を,

改正民法にあわせて,5年とするものの,

当分の間,3年とし,改正から5年経過後に施行状況を勘案しつつ,

検討を加えるというものでした。

 

 

 

そして,12月27日,厚生労働省は,

この公益委員の意見を受け入れて,

年明けの通常国会に労働基準法改正案を提出し,

2020年4月からの改正民法の施行に間に合わせるようです。

 

 

あっという間に,進んでしまい驚きました。

 

 

2 賃金債権の消滅時効は5年にすべき

 

 

先日のブログにおいて,私は,改正民法に合わせて,

賃金債権の消滅時効を5年にすべきと主張しました。

 

 

もともと,賃金債権は,現行民法において,

1年の短期消滅時効が適用されていましたが,

賃金債権は,労働者の生活の糧となる重要な債権であることから,

労働者を保護する観点から,労働基準法で

2年に消滅時効が延長されたという経緯があります。

 

 

そのため,改正民法の消滅時効が5年に統一される中,

労働者を保護するための労働基準法において,

改正民法の5年よりも短い2年の消滅時効にしておくことは,

根本的に矛盾が生じてしまいます。

 

 

だから,改正民法の施行にあわせて,

賃金債権の消滅時効を5年にすべきなのです。

 

 

今回,政治的な妥協の産物として,

賃金債権の消滅時効が3年になったことについて,

非常に残念に思います。

 

 

労働基準法に違反して賃金の支払を怠っているにもかかわらず,

その支払を免れるための使用者側の居直りを受け入れたものであり,

到底納得できるものではありません。

 

3 消滅時効を中断するには

 

 

とはいうものの,現実には,賃金債権の消滅時効は

3年に延長されることになりそうなので,

これに対処する必要があります。

 

 

労働基準法が年明けの通常国会で改正されて,

2020年4月1日から施行されれば,

2020年4月以降に発生する賃金債権の消滅時効は

2023年4月以降まで消滅時効にかからなくなります。

 

 

賃金債権は,毎月発生して,

時効期間が経過するごとに消滅していくので,

2020年4月の賃金債権は,

2023年4月で消滅時効にかかり,

2020年5月の賃金債権は,

2023年5月で消滅時効にかかります。

 

 

この消滅時効をとめるためには,

賃金債権を会社に請求する必要があります。

 

 

 

具体的には,「2017年12月から2019年12月までの

未払残業代を含む全ての未払賃金を請求します。」などと書いた文書を,

特定記録郵便で会社に郵送します。

 

 

ポイントは,未払賃金の金額を記載する必要はなく,

請求する期間を特定することです。

 

 

FAXやメールでこの文書を送っても大丈夫です。

 

 

ようは,この文書が会社に届いたことを後から証明できればいいのです。

 

 

 

この文書が会社に届けば,

消滅時効の完成が6か月間猶予されるので,

その間に会社と交渉をします。

 

 

6か月間で会社との交渉がまとまらないのであれば,

6か月間以内に裁判か労働審判を提起することで,

消滅時効は完全にとまります。

 

 

請求書をだしただけでは,消滅時効の完成を猶予する効力しかなく,

6ヶ月以内に裁判などを提起しなければならないことを忘れないでください。

 

 

ブラック企業被害対策弁護団が作成したこちらの動画をみれば,

賃金債権の消滅時効と時効の中断について,

おもしろおかしく学べることができるので,

一度みてみてください。

 

 

 https://www.youtube.com/watch?v=2AwRdwRBHNE&feature=youtu.be

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

 

未払残業代を含む賃金債権の消滅時効の期間が延長されるのか?

1 未払残業代を含む賃金債権の消滅時効の延長の議論

 

 

未払残業代を含む賃金債権の消滅時効を延長する議論が

労働政策審議会においてされており,12月24日に,

公益委員から2年の消滅時効を3年に延長する案が示されました。

 

 

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08597.html

 

 

本日は,未払残業代を含む賃金債権の

消滅時効の延長について解説します。

 

2 消滅時効とは

 

 

まず,消滅時効について解説します。

 

 

そもそも,ある人がある人に対して,

何かをしてくださいと請求できる権利を債権といい,

請求できる人を債権者,請求される人を債務者といいます。

 

 

例えば,労働者が会社と労働契約を締結して,仕事をした場合,

労働者(債権者)は,会社(債務者)に対して,給料を請求できます。

 

 

これを賃金債権といいます。

 

 

このような債権は,一定の時間が経過すれば,消滅してしまうのです。

 

 

このように,一定の時間が経過することで債権が消滅する制度を,

債権の消滅時効といいます。

 

 

 

なぜ,このような債権の消滅時効制度があるのかといいますと,

次の3つの理由があるといわれています。

 

 

①長期にわたって存続している事実状態を尊重して,

その事実状態を前提として構築された

社会秩序や法律関係の安定を図ること。

 

 

②過去の事実の立証の困難を救い,

真の権利者ないしは債務から解放された者を保護すること。

 

 

③権利の上に眠る者は保護に値せずということ。

 

 

おおまかには以上の3つの理由があるのですが,法律で,

何年か経ったら時効で消滅すると記載されているので,

時効期間が経過してしまえば,債権者は,

債務者に対する請求をあきらめざるをえないのです。

 

 

3 賃金債権の消滅時効

 

 

次に,賃金債権の消滅時効について説明します。

 

 

もともと,現行民法174条1号において,

賃金債権の消滅時効は1年になっていました。

 

 

しかし,賃金債権は,労働者にとって生活の糧となるものであり,

それがたったの1年で消滅するのでは,

労働者の保護に欠けることになります。

 

 

そこで,労働基準法115条が制定されて,

賃金債権の消滅時効が1年から2年に延長されたのです。

 

 

4 民法改正で消滅時効が5年に統一される

 

 

ところが,2020年4月から改正民法が施行されることになり,

現行民法に記載されていた様々な期間の消滅時効が

全て5年に統一されることになりました。

 

 

そうなりますと,労働者保護のために

賃金債権の消滅時効を2年にしていたのですが,

他の債権の消滅時効が5年になるのに,

賃金債権の消滅時効が2年のままですと,

労働者の保護に欠けることになります。

 

 

そこで,改正民法の消滅時効を5年に統一することにあわせて,

賃金債権の消滅時効を5年に延長すべきではないか

が議論されてきたのです。

 

 

しかし,労働政策審議会では,企業側の委員が大反発して,

現行の消滅時効2年を維持することを訴え続けました。

 

 

結局,労使の委員で合意することができず,

2020年4月の改正民法施行が近づいてきたこともあり,

12月24日に公益委員から次の折衷案がだされました。

 

 

まず,民法改正により債権の消滅時効が5年に統一される

バランスをふまえ,賃金債権の消滅時効は5年とする。

 

 

もっとも,賃金債権について,直ちに消滅時効を5年に延長すると,

労使の権利関係を不安定化するおそれがあり,

紛争の早期解決・未然防止という賃金債権の消滅時効が果たす役割の

影響を踏まえて慎重に検討する必要がある。

 

 

そこで,当分の間,賃金債権の消滅時効を3年として,

一定の労働者保護を図り,5年後に再び,

状況をみながら消滅時効を5年にするかを検討する。

 

 

 

そして,2020年4月1日以降に発生した賃金債権から,

消滅時効が3年に延長されるというものです。

 

 

5 賃金債権の消滅時効は5年に延長されるべきです

 

 

労使双方のかおをたてた折衷案ですが,中途半端な感はいなめません。

 

 

論理的に考えれば,民法改正にあわせて

賃金債権を5年に延長すべきであり,

中途半端に3年にすべきではありません。

 

 

むしろ,賃金債権の消滅時効が5年になれば,

企業は,5年分の残業代を支払うことを嫌がり,

否が応でも,残業を規制することになり,

長時間労働の撲滅につながると思います。

 

 

なんとか,賃金債権の消滅時効が5年になることを期待したいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

退職金の放棄が認められる場合とは?

労働者が不祥事を起こしてしまい,

会社からその不祥事を不問にするので,自己都合退職として,

退職金を受け取らないという文書を提出するように言われて,

そのとおりにしてしまいました。

 

 

このように,退職金の請求を放棄する文書を提出してしまった労働者は,

退職金を請求することができないのでしょうか。

 

 

本日は,退職金の放棄について解説します。

 

 

 

まず,退職金は,就業規則などに

支給基準が明確に定められている場合には,

会社は,支払義務を負うものとして,賃金に該当し,

労働基準法24条1項の賃金全額払の原則が適用されます。

 

 

退職金には,賃金全額払の原則が適用されるので,

退職金を放棄することは,賃金全額払の原則に

違反するのではないかが問題となりますが,通説は,

賃金全額払の原則は,退職金の放棄を禁止していないと解しています。

 

 

とはいえ,労働者が,退職金を放棄することは

通常の場合に予測できないことから,

退職金を放棄する意思表示をした労働者の

真意や自由意思を慎重に判断する必要があります。

 

 

それでは,どのような場合に,退職金の放棄が,

労働者の真意や自由意思でなされたと判断されるのでしょうか。

 

 

退職金の放棄について判断した裁判例として,

シンガーソーイングメシーンカンパニー事件の

最高裁昭和48年1月19日判決

(判例タイムズ289号203頁)があります。

 

 

この事件において,最高裁は,退職金の放棄が,

自由な意思に基づくものであると認めるに足る

合理的な理由が客観的に存在していたものということができる」場合に,

退職金の放棄が有効になると判断しました。

 

 

 

そのうえで,この事件において,

原告労働者が退職後直ちに競合他社に

就職することが判明していること,

原告労働者が在職中に旅費等の経費について

不正をしていたようで,その損害の一部を補填する趣旨で,

退職金を放棄する旨の文書に署名したことから,

原告労働者の退職金の放棄は,

自由な意思に基づくものであると判断されました。

 

 

私としては,これらの事実関係で,

退職金の放棄について自由な意思があったと

認定することには疑問を持っています。

 

 

退職金には,賃金の後払い的性格があり,退職金の放棄は,

その後払いの賃金を全ていらないということになるので,

やはり,労働者の真意を慎重に判断すべきと思います。

 

 

とはいえ,退職金の放棄は,

「自由な意思に基づくものであると認めるに足る

合理的な理由が客観的に存在していた」場合に限って,

認められますので,労働者の不利益の内容及び程度,

労働者が退職金を放棄するに至った経緯や態様,

会社から労働者に対する情報提供や説明の内容

などを考慮して,慎重に判断されるべきです。

 

 

もし,労働者が不本意ながら,

退職金を放棄する文書を提出してしまっても,

退職金の放棄が真意でないのであれば,

事情によっては,退職金を請求できる可能性がありますので,

弁護士に相談するようにしてください。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。