コンビニの店主は労働組合法の労働者か
セブンイレブン東大阪南上小阪店の店主が,
人手不足を根拠に24時間営業をやめて,
営業時間を短縮したところ,本部のセブンイレブンジャパンから
フランチャイズ契約の解除と,違約金1700万円の支払いを
求められたことが大きく報道されています。
セブンイレブン本部としては,例外を一つでも作ってしまうと,
なし崩し的に24時間営業が守られなくなり,
24時間営業でがんばっている店主の不満が大きくなり,
コンビニのシステムが維持できなくなることから,
24時間営業を維持したいのだとと考えられます。
他方,コンビニの店主としては,人手不足が深刻であり,
店主が過労死するくらい働かないと店舗を維持できず,
コンビニが持続していくためには,24時間営業を見直す必要がある
と考えていると思われます。
そして,コンビニを利用する消費者としては,
店主が過労死するまで働かなければいけないのであれば,
24時間営業でなくても,そこまで不便ではないし,
全ての店舗で24時間営業にしなくてもいいのではないか
と思う人が多いような気がしており,
セブンイレブン東大阪南上小阪店の店主の対応に
共感が広がっているのではないかと考えています。
一人の店主の意見であれば,一蹴されてしまいますが,
多くの店主や消費者も同じ意見を述べれば,
セブンイレブン本部としても,無視できず,
夜間営業を短縮する実験にのりだしました。
それに,呼応するように,コンビニ加盟店ユニオンが,
セブンイレブン本部に対して,
24時間営業の見直しを求める団体交渉を求めました。
しかし,セブンイレブン本部は,この団体交渉を拒否しました。
このセブンイレブン本部の団体交渉の拒否は許されるのでしょうか。
コンビニの店主が,労働組合法の「労働者」といえれば,
セブンイレブン本部は,団体交渉に応じなければならず,
今回の団体交渉の拒否は違法となります。
コンビニの店主は,コンビニの本部との間で
フランチャイズ契約を締結します。
フランチャイズ契約とは,店主が本部から商品仕入れや
販売促進の援助という継続的なサービスを受ける代わりに,
店主は,本部に対してロイヤリティーという対価を支払います。
そして,店主は,アルバイトを雇ったり,
商品の仕入れを行うなど,自分の資金を投入して,
コンビニを経営する個人事業主なので,
労働者とはいえないとも考えられます。
しかし,個人事業主であっても,コンビニ本部との個別の交渉では,
交渉力に大きな格差が生じており,
契約自由の原則のままでは不当な結果が生じることから,
労働組合を組織して,集団的な交渉によって
保護が図られる必要があります。
そのため,平成26年3月13日の岡山県労働委員会と
平成27年3月17日の東京都労働委員会は,
コンビニの店主は,労働組合法の労働者であるとして,
コンビニ店主が加盟するユニオンとの団体交渉を拒否したことは
違法であると判断しました。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/meirei_db/mei/m11368.html
https://www.mhlw.go.jp/churoi/meirei_db/mei/m11486.html
すなわち,コンビニの店主は,コンビニの本部会社の
業務遂行に不可欠で枢要な労働力として,組織内に組み込まれており,
コンビニの本部会社がフランチャイズ契約の内容を一方的,
定型的に決定しており,コンビニの店主の受け取る金員は
労務の供給に対する対価に類する収入の性格があり,
実態上,コンビニの本部会社からの業務の依頼に対して
応じるべき関係にあり,コンビニ店主は,
コンビニの本部会社の指揮監督の下で経営を行っていることから,
労働組合法の労働者と判断されたのです。
もっとも,コンビニ本部が,労働委員会の命令に不服を申立てたので,
現在,中央労働委員会で審理が続いており,結論は固まっていません。
コンビニの店主が労働組合法の労働者であるという
判断が確定すれば,コンビニの店主が団結して,
24時間営業の見直しを求めれば,強い交渉力を発揮でき,
コンビニ本部会社が譲歩してくる可能性が高まります。
数は力です。
コンビニの店主は,コンビニ本部会社に対して立場が弱くても,
団結することで交渉力を強くできるのです。
中央労働委員会において,コンビニの店主に
有利な判断がなされることを期待したいです。
本日もお読みいただきありがとうございます。
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