育児休業の法律の解説2
1 育児休業の申出のしかた
昨日に引き続き,育児休業の解説をします。
育児休業の申出は,原則として,育児休業開始の1ヶ月前までに,
育児休業の開始予定日と終了予定日などの所定の事項を記載して,
会社に,書面を直接提出する,または,
ファックスや電子メールで送付します。
厚生労働省のホームページに,
育児休業申出書の様式が掲載されていますので,
これを使うといいでしょう。
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/ryouritu/pamph/dl/04-02.pdf
2 育児休業期間中に賃金は支払われるのか
次に,育児休業期間中の待遇について,解説します。
育児休業期間中の労働者の賃金については,
育児介護休業法には,規定がありませんので,
会社の就業規則や賃金規定などに
育児休業期間中の賃金についての規定が無いのであれば,
無給となります。
そのため,育児休業に入る前に,会社の就業規則や賃金規定を調査して,
育児休業期間中に賃金が支払われるのかを確認するようにしてください。
もっとも,育児休業を取得するする労働者が,雇用保険の被保険者で,
育児休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が
12ヶ月以上あれば,会社を通じて,ハローワークに申請することで,
育児休業給付金が支給されます。
育児休業給付金の支給額は,
育児休業の開始から6ヶ月前までは
育児休業前の賃金の67%が支給され,
育児休業の開始から6ヶ月経過した後は
育児休業前の賃金の50%が支給されます。
労働法の世界では,ノーワークノーペイといって,
働くことで賃金を請求できるという大原則があるので
仕方がない面があるのですが,少子化対策として,
育児休業期間中における賃金については,
もう少し手厚く補償してもいいのではないかと考えます。
例えば,育児休業給付金の金額を,
労災の休業補償給付と同じく賃金の8割くらいにすれば,
より安心して育児に専念できるようになるのかもしれません。
3 不利益取扱の禁止
育児休業が終了した場合,会社は,育児休業をしていた労働者を,
原則として,原職もしくは原職に相当する職に復帰させるように
配慮する必要があります。
これは,育児介護休業法10条において,
育児休業を取得したことを理由とする
不利益な取扱が禁止されていることを受けて,
育児休業を取得した人がなるべく不利益に扱われないように,
原則として元の仕事に戻すことにしたのです。
なお,昨日のブログで,会社は,
労働者からの育児休業の申出を拒否することができない
と解説しました。
もし,会社が労働者からの育児休業の申出を拒否した場合,
労働者が育児をしながら労働せざるをえなかったことについて,
慰謝料の損害賠償を支払わなければならないことになる可能性があります。
さて,小泉環境大臣の育児休業の取得を契機に,
育児休業を取得したくても,取得しにくいということがなくなり,
育児休業を当たり前のように取得できるようになるといいですね。
私は,自分では育児には向いていないと感じており,
妻に感謝しつつ,仕事をがんばりたい派なので,
育児休業はとりませんでしたが,
男性弁護士でも育児休業をとる方もいらっしゃいますので,
その人にあった働き方をすればいいと思います。
本日もお読みいただきありがとうございます。
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