労働時間把握義務が法律で明記されました
8月2日金曜日に石川県女性センターで開催される,
「トラブルのない明るい職場を目指す労働判例・政策セミナーin金沢」
で講師をさせていただくことになりましたので,
2018年6月に成立し,2019年4月から逐次施行されている,
働き方改革関連法について,今一度勉強をしております。
勉強したことをアウトプットしないと,
知識として定着しませんので,
働き方改革関連法について勉強したことを
順次アウトプットしていきます。
本日は,労働時間把握義務が法律で明記されたことについて解説します。
未払残業代請求や過労死・過労自殺の労災申請においては,
労働時間をどうやって証明するのかが大変重要になります。
労働者が労働時間を証明できないと,
未払残業代を計算することができませんし,
過労死・過労自殺の原因である長時間労働を明らかにすることができず,
労働者が救済されないことがあります。
そのため,会社が,労務管理として,
労働者が,いつの日に何時から何時まで働いたのかという
記録を残しておくことが重要になります。
ところが,これまでは,会社の労働時間把握義務が,
法律の条文で明確に規定されていたわけではなく,
具体的な労働時間把握の方法についても,
厚生労働省の通達
「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」
(平成13年4月6日基発339号),
「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
(平成29年1月20日基発0120第3号)
が示されているだけでした。
そして,これらの通達では,
事業場外みなし労働時間制や裁量労働制が適用される労働者や
管理監督者は対象外とされていました。
今回,労働安全衛生法が改正されて,
労働安全衛生法66条の8の3という条文が新設されて,
会社は,労働者の労働時間の状況を把握しなければならない,
と法律で明記されました。
労働時間把握義務違反に対する罰則がないという点が
不十分ではありますが,会社の法的義務として
法律の条文に明確化されたことは大いに活用できると思います。
会社は,労働時間把握義務を負っているのですから,
今後は,会社に対して,タイムカードなどの
資料の開示を求めやすくなりますし,
会社が労働時間把握義務を怠った場合に,
労働者が主張する労働時間が認められやすくなったり,
一定の期間の労働時間の資料をもとに
平均的な残業代の計算が認められやすくなることが期待できます。
そして,今回の改正で,労働時間把握義務の対象となる労働者は,
高度プロフェッショナル制度が適用される労働者を除き,
①研究開発業務従事者,
②事業場外みなし労働時間制の適用労働者,
③裁量労働制の適用労働者,
④管理監督者,
⑤派遣労働者,
⑥短時間労働者,
⑦有期契約労働者
を含めた全ての労働者です。
長くなりましたので,続きは明日以降に記載します。
本日もお読みいただきありがとうございます。
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