弁護士1年目の教科書
1 関係者への問い合わせ方法
弁護士の中村真先生の最新刊「一生使えるスキルが身につく!弁護士1年目の教科書」を拝読しました。
これから弁護士になる司法修習生や、若手弁護士にとって、知っておくと、これから先の弁護士人生が豊かになる知識がたくさん書いてある、素晴らしい書籍です。
読み終わってから、私が弁護士になる前に、こんな本があったらよかったのにと、しみじみ思いました。
ある程度、経験をつんだ弁護士が読んでも、新しい気づきがありますので、一読をおすすめします。
さて、この本を読んで、私が得た気づきを3つ紹介します。
1点目は、関係者への問い合わせの方法です。
弁護士は、依頼者や関係者本人から、事情をお聞きし、事件に有利な事実がないかを探求します。
そのため、依頼者にとって、有利な事実を話してくれる関係者からの聞き取りは、とても大事な仕事となります。
この関係者からの聞き取りの際の段取りで注意すべきことは、どのような形で事実確認をするべきかを、依頼者とまず協議して決めることです。
いきなり、弁護士が、関係者に直接電話をすると、その関係者は、警戒してしまい、依頼者に有利な事実を話してくれなくなるリスクがあります。
日本人は、日常で弁護士と接する機会がないので、いきなり、弁護士から電話がかかってきたら、依頼者がやばい人ではないかと誤解されるリスクがあるのです。
このようなリスクを回避するために、関係者から事実確認を行う場合、依頼者にそのことを伝え、依頼者から関係者にアポイントメントを取ってもらう、若しくは、弁護士から関係者に電話をする前に、依頼者から関係者に対して、弁護士から電話があることを事前に伝えてもらうべきです。
弁護士は、事件関係者に電話する時には、配慮が必要であることを忘れてはいけませんね。
2 弁護士の文書作成の注意点
2点目は、文書を作成する際の注意点です。
よく言われることですが、文書は、長くしすぎないことです。
書いてある情報が同じであれば、文書は短ければ、短い方がよいのです。
特に、裁判所に提出する準備書面は、短い方が裁判官に好まれます。
裁判官は、毎日、大量の文書を検討しているため、検討対象の文書の内容が短い方が、読む時間が短くなり、次の文書にとりかかりやすくなるため、準備書面は、短く、わかりやすいものが好まれます。
文書が完成したら、推敲の過程で、どこか削れる部分はないかを検討するのがおすすめです。。
また、相手方の主張にどこまで反論するかも、悩みどころです。
裁判官によっては、争点とは異なる主張であっても、主張の形をとっている限り判決で排斥しないといけないので、相手方代理人が主張書面で一通りつぶしてくれると助かると考えている方もいるので、裁判官の様子をみながら、適宜、必要に応じて、端的に反論するのが望ましいようです。
3 裁判所との関係
3点目は、裁判所との関係です。
裁判所における、弁護士の情報は、良い評判も悪い評判もしっかりと共有されているようです。
裁判所の職員に対して、横柄な態度をとってはならず、敬意をもって、丁寧に接するべきです。
裁判所からの期日調整の連絡に対して、すぐに回答しないと、裁判所や相手方は、仮の予定を長く確保しなければならず、別の予定をいれることができず、困ります。
また、提出期限に遅れてしまうと、書記官は督促の連絡という嫌なことをしなければならなくなります。
このような無用な負担を相手に与えないように、相手のことを想像して、必要な配慮をするべきです。
なお、日程調整は、重要度も緊急度も高いタスクなので、なるべく早く、日程調整の回答をすべきです。
日程調整の際、自分の仕事が立て込んでいる場合、こちらから、候補日を挙げて、だめな場合には、再度調整することを伝えるのがよいとのことです。
迅速に、日程調整の回答をします。
弁護士であれば、なるほどそうだったのか、という新しい気づきがえられる名著ですので、紹介させていただきました。
今回も最後まで、お読みいただき、ありがとうございました。
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