保有個人情報開示請求で労災資料を取り寄せる

建設業や製造業の仕事場では,転倒や墜落・転落,

機械に腕を挟まれるなどの労災事故が発生することがあり,

4日以上の休業を伴う死傷事故が増加傾向にあります。

 

 

 

 

人手不足により,安全衛生管理体制が疎かになったり,

働く時間が長くなり,疲労がたまって,集中力の低下を招き,

労災事故が発生しているのかもしれません。

 

 

労災事故にあったならば,労働者は,

労働基準監督署に対して,労災申請をするべきです。

 

 

労災認定がされると,けがによる治療費が国から支給され,

仕事を休んでも,休業期間中は給料の8割が補償され,

後遺障害が残っても,障害年金や傷害一時金が支給され,

日々の生活の不安が軽減されます。

 

 

労災認定がされても,労災保険からは,

慰謝料は支給されませんので,

労災事故による慰謝料を請求するには,

会社に対して,別途,損害賠償請求をする必要があります。

 

 

また,労災と認定されなかった場合,

その決定に対して,不服申立てをすることができます。

 

 

このように,労災と認定されてもされなくても,

次の手続に進むためには,労働基準監督署が

労災事故の調査をした際に集めた資料を

検討しておくことが効果的です。

 

 

労働基準監督署が集めた資料を入手するための方法として,

保有個人情報開示請求という手続を利用します。

 

 

 

 

具体的には,下記URLにある所定の書式に

必要事項を記入した上で,労災の決定を行った労働基準監督署

のある都道府県の労働局長宛て(窓口は労働局総務部)に

書類を提出して行います(郵送も可能です)。

 

 

https://www.mhlw.go.jp/jouhou/hogo06/dl/01.pdf

 

 

上記URLにある「保有個人情報開示請求書」の

「1 開示を請求する保有個人情報」には,

次のことを記載するといいです。

 

 

①私が~年~月~日に負傷した事故について,

~(事業者名)から~労働基準監督署に提出された死傷病報告書及び,

災害調査や是正指導などがなされていた場合はその書類一式

 

 

②私が,~年~月~日に負傷した事故について治療をした

~県内のすべての医療機関のすべてのレセプト(調剤薬局を含む)

 

 

③私が~年~月~日に負傷した事故に関して,

療養の給付・休業補償・障害給付などの請求書全て(添付資料も含む)

及び支給決定決議書,支給決定にあたり調査をしていれば

その調査書全て(添付資料含む)

 

 

保有個人情報開示請求をすると,1ヶ月程度で,

開示決定がでて,次の資料を入手できます。

 

 

・労働者死傷病報告

 ・災害調査復命書

 ・診療報酬明細書

 ・療養補償給付たる療養の給付請求書

 ・休業補償給付請求書・決議書とそれぞれの添付資料

 ・障害補償給付支給請求書・決議書とそれぞれの添付資料

 

 

開示される資料の中には,聞き取り内容など関係者の

個人情報に属する部分が黒塗りになるといった限界がありますが,

調査復命書の内容の一部が開示されるため,

労働基準監督署がどのような枠組みで判断を行ったか

などについて知ることができて,効果的です。

 

 

 

 

保有個人情報開示請求を利用して,労災の資料を取り寄せて,

不服申立てや会社に対する損害賠償請求の準備をしていくのです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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