吉本興業の岡本社長の宮迫博之氏に対するパワハラと録音問題
3日連続になりますが,宮迫博之氏の記者会見と
吉本興業の岡本社長の記者会見について記載します。
本日は,岡本社長の宮迫博之氏に対するパワハラと
録音について解説します。
まず,宮迫博之氏は,記者会見を開こうとしたところ,岡本社長から,
「やってもええけど,そしたら全員連帯責任,クビにする。
俺にはお前ら全員クビにする力があるんだ」
と告げられたことを記者会見で明らかにしました。
これに対して,岡本社長は,記者会見で,
「父親が息子に言う『勘当や』『ええかげんにせえ』という意味合いだった」
と説明しました。
岡本社長は,クビ発言を認めた上で,
その意味するところは宮迫博之氏が受け取ったところとは
違うことだったのだと言いたかったのでしょう。
しかし,岡本社長が,このクビ発言を認めた時点で,
パワハラを認めたことになります。
今年の通常国会で労働施策推進法が改正されて,パワハラの定義が,
「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって,
業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
その雇用する労働者の就業環境が害されること」
と法律で明記されました。
吉本興業は芸能人と契約書を締結していないので,芸能人は,
どのような場合に,契約を解除されるのか分かりません。
また,社長の言うことを聞かないと,
仕事をまわしてもらえなくなるかもしれず,
そうなれば,食べていけなくなるので,社長の言うことは,
ほぼ絶対なのだと予想されます。
そのため,岡本社長は,宮迫博之氏に対して,
優越的な関係にあるといえます。
次に,不適切な言動があった宮迫博之氏だけの契約を
解除するならまだしも,その他の芸能人の契約を解除することで
圧力を加えることは,業務上必要かつ相当な範囲を超えていると思います。
個人的には,宮迫博之氏だけに対する処分のことを伝えたのであれば,
まだセーフかもしれませんし,
ここまで問題が大きくならなかったかもしれませんが,
「全員クビにする」は,さすがに行き過ぎであり,
宮迫博之氏に対して,世間が同情し,
吉本興業の対応がおかしいという世論を形成したのだと思います。
そして,宮迫博之氏としては,自分だけが契約解除になるならまだしも,
他の後輩芸能人も契約解除になると言われれば,
他の後輩芸能人の人生が自分の言動で暗転することになり,
多大な精神的圧力を加えられたと感じたはずで,
当然,吉本興業での就業環境が害されました。
以上より,岡本社長の言動は,上記の法律で明記された
パワハラの定義に該当すると考えます。
次に,宮迫博之氏は,岡本社長から「テープを回してないやろうな」
と言われたと記者会見し,岡本社長は,この発言のことを
「冗談だった」と説明しました。
宮迫博之氏が岡本社長の言動を録音していたかは不明ですが,
岡本社長の許可なく無断で録音しても,
営業上の秘密情報等が録音されていない限り,
法律上問題はありません。
むしろ,パワハラの言動は,録音されていないと
パワハラの事実を証明ができないので,
録音するべきなのです。
録音がなければ,パワハラ発言について,
言った言わないの論争となり,そうなれば,
パワハラの被害者の請求が認められなくなるのが現状です。
これを避けるためにも,パワハラを受けた被害者は,
パワハラ発言を録音するべきなのです。
録音するにあたり,パワハラ発言をした人の許可をとる必要はなく,
無断でこっそり録音すればいいのです。
ですから,宮迫博之氏が岡本社長の発言を録音していても,
営業上の秘密情報等が録音されていない限り,何も問題はありません。
岡本社長としては,「テープを回してないやろうな」
といって圧力をかけるのではなく,
宮迫博之氏から録音されていることを前提に,
後からパワハラだと言われないような
適切な言動をすべきだったのです。
宮迫博之氏と岡本社長の記者会見の報道を見て,
パワハラ事件では録音が重要であると改めて感じた次第です。
本日もお読みいただきありがとうございます。
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