会社が退職金を振り込んでくれない場合の対処法とは?

給料を手渡しで支給している会社を退職したところ,

会社から,退職金の支払いを受けたければ,

会社に退職金を取りに来るように言われた場合,

労働者は,会社に対して,退職金を振込む方法で支払え

と請求できるのでしょうか。

 

 

上司からパワハラを受けて退職したり,

突然不当解雇されてしまった場合など,

会社を退職した労働者は,一度辞めた会社へ

行きたくないことも多いと思います。

 

 

このような労働者の心理状態を利用して,

労働者が会社に退職金を取りに来ないから,

退職金を支払わないという,ひどい対応をする会社もあります。

 

 

結論としては,このような会社の対応は,誤りであり,

労働者は,会社に対して,退職金を振込む方法によって

支払うように請求できます。

 

 

 

 

まず,労働基準法には,退職金請求権を

直接根拠づける規定がないので,労働者が会社に対して,

退職金を請求するには,会社に退職金について定められた

就業規則などが存在することが必要になります。

 

 

すなわち,会社に退職金に関する規定がないのであれば,

労働者は,会社に退職金を請求することができないのです。

 

 

退職すれば,当然に会社から退職金が支払われるはずだ

と考えるのは間違いです。

 

 

一度,自分が勤めている会社の就業規則や労働契約書を確認して,

退職金についての定めがあるかをチェックしてみるといいでしょう。

 

 

さて,就業規則などに退職金についての規定があり,

会社に対して,退職金を請求できる場合,

退職金を支払う場所ですが,会社が労働者の住所へ

退職金を持参して支払わなければなりません。

 

 

 

 

民法484条に,金銭の支払いについては,

金銭を請求できる人の住所でしなければならない

と規定されているからです。

 

 

とはいえ,会社の経理担当者が,労働者の自宅へ

わざわざ給料や退職金を支払いにいくのは手間がかかりますので,

労働者の預金口座へ給料や退職金を振込むことが行われているのです。

 

 

そのため,労働者は,会社に対して,

退職金を自宅まで持ってきて支払えと言えるのですが,

それはお互いに面倒ですので,労働者が退職金の支払いは

振込でいいと会社に伝えたのであれば,会社は,

労働者に振込で支払わなければなりません。

 

 

また,退職金の支払時期について,

就業規則などに支払時期が定められていれば,

その支払時期までに退職金が支払われれば問題ありませんが,

就業規則などに支払時期が定められていない場合は,

労働基準法23条によって,会社は,

労働者の退職金の請求があったときから7日以内に,

退職金を支払われればなりません。

 

 

労働者の退職金の請求から7日以内に退職金が支払われない場合,

労働者は,会社に対して,年6%の遅延損害金を

請求できることになります

(民法が改正されると遅延損害金の年率が年3%に変更されます)。

 

 

まとめますと,退職金を取りに来ないのであれば支払わない

という会社の対応は誤りであり,労働者は,会社に対して,

退職金を振り込めと請求できますし,請求から7日以内に

支払わないのであれば,遅延損害金もあわせて請求できます。

 

 

それでも会社が退職金を振り込まないのであれば,

労働基準監督署へ相談に行き,労働基準監督署から

会社に行政指導してもらうか,

弁護士に交渉をしてもらうかなどの方法を検討することになります。

 

 

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