なくならない大企業の過労死・過労自殺
ここ数日の新聞報道によれば,
大企業における過労死・過労自殺の
労災のニュースが目にとまります。
テレビ朝日のドラマプロデューサーであった男性従業員が,
出張先のホテルで心臓病で倒れて,その後に死亡しました。
この男性従業員の倒れる直前3ヶ月間の
時間外労働は70~130時間の長時間労働だったようです。
https://www.asahi.com/articles/ASL5J76QTL5JUCLV010.html
さらに,テレビ朝日では,
36協定で残業時間の上限を月80時間としていますが,
実際には月100時間を超えて残業をさせており,
労働基準監督署から是正勧告を受けていました。
https://www.asahi.com/articles/ASL5L6SRTL5LUCLV014.html
労働基準法では,1日8時間を超えて
労働者を働かせてはいけないのですが,
会社は,労働者の過半数で組織する労働組合などとの間で,
時間外労働について協定を締結すれば,
1日8時間を超えて,労働者を働かせることができます。
この協定を36協定といいます。
テレビ朝日では,36協定が守られず,
長時間労働が当たり前になっていたのかもしれません。
また,高野山の寺院に勤務している僧侶が,
宿坊での32日間や64日間の連続勤務が原因で,
うつ病を発症して休職したことについて,労災認定がされました。
https://www.asahi.com/articles/ASL5K3Q9XL5KPXLB004.html
人間は,休みなく働き続けると,
リフレッシュすることができずに,
仕事のストレスがたまって,
精神を壊してしまうのです。
さらに,野村不動産では,
本来,裁量労働制が適用できない労働者に対して,
裁量労働制を違法に適用しており,
違法な長時間労働を強いられて,
男性労働者が過労自殺をした事件で,労災認定されました。
裁量労働制とは,実際にはどれだけ働いても,
一定の時間しか働いていないとみなされて,
残業代が低額におさえられる制度です。
野村不動産の事件では,労働基準監督署も,
裁量労働制が違法に適用されていることを
見抜けなかったようです。
https://www.asahi.com/articles/DA3S13499064.html
大企業ですら,労働基準法を守らずに,
長時間労働が当たり前のようになっているのですから,
中小企業においては,もっとひどい状況にあると予想されます。
そのため,長時間労働を改善するための法規制が必要なのです。
しかし,今国会で審議されている働き方改革関連法案の中の
「高度プロフェッショナル制度」(通称「高プロ」といいます)は,
長時間労働の改善とは真逆で,残業代が0円になってしまい,
どれだけでも働かされることが可能になる危険な制度なのです。
高プロは,高収入の専門職労働者に対する,
労働時間法制の適用が除外されてしまうので,
どれだけ働いても残業代が0円になります。
会社としては,どれだけ働かせても,残業代が0円なので,
どれだけでも働かせて成果をあげさせようとします。
そうすると,長時間労働がますます増加して,
過労死や過労自殺が増加する危険があります。
高プロは,過労死や過労自殺を増加させることにつながることから,
全国過労死を考える家族の会は,高プロに猛反対しています。
https://www.bengo4.com/c_5/n_7891/
ただでさえ,過労死・過労自殺が新聞紙上を騒がせている現状において,
高プロを導入することは,
さらなる過労死・過労自殺の悲劇を繰り返すことになるので,
私は,高プロの導入に反対です。
今の国会で,高プロが成立しないことを願います。