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名ばかりのパワハラ相談窓口ではパワハラ防止措置義務を守ったことにはなりません

1 名ばかりのパワハラ相談窓口の実態

 

 

先日,朝日新聞に興味深い記事が記載されていましたので,紹介します。

 

 

https://www.asahi.com/articles/DA3S14394852.html

 

 

大手の企業におけるパワハラ被害の相談窓口の対応が

ずさんであるという問題です。

 

 

例えば,仕事が与えられずに同僚から隔離されていることを,

パワハラの相談窓口に相談したところ,担当者から,

「仕事がない状態はありえます」,「何ヶ月も待機した人もいる」

と回答されたようです。

 

 

また,別の会社では,「上司から過剰なノルマを与えられ,

残業時間の過少申告も指示された」と,

パワハラの相談窓口で相談したところ,担当者から,

「個人的な職場への不満と受け止めました」と言われ,

上司とよく話すように促されたようです。

 

 

 

さらには,残業代の未払が社内で横行していることを指摘した

報復として降格されたことを,パワハラの相談窓口で相談したところ,

「この窓口では法的見解を回答するためのものではありません」

と回答されたようです。

 

 

2 企業のパワハラ防止措置義務とは

 

これらのパワハラ窓口の対応は,今年の6月から大企業に施行される

(中小企業には2022年4月から施行)改正労働施策総合推進法

で定められた,企業のパワハラ防止措置義務に違反する可能性があります。

 

 

もう少し,具体的にみていきましょう。

 

 

大企業は,今年の6月から,次のような

パワハラ防止措置義務を履行しなければなりません。

 

 

①事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発

(就業規則などにパワハラを行ってはならない方針や

パワハラに対する懲戒処分の規定を明記して,

職場で広く知らしめることなどです)

 

 

 ②相談に応じ,適切に対応するために必要な体制の整備

(パワハラの相談窓口を設置して,労働者に広く知らしめることなどです)

 

 

③職場におけるパワハラに係る事後の迅速かつ適切な対応

(事実関係を正確に確認して,パワハラの加害者に対して,

適切な処分をすることなどです)

 

 

このうち①は,就業規則などに記載すればいいので,

容易に実行できますが,②と③はなかなか大変です。

 

 

3 名ばかりのパワハラ相談窓口を設置していたのでは

  パワハラ防止措置義務違反になる

 

 

名ばかりのパワハラ相談窓口を設置して,

不適切な事後対応をすれば,

上記の朝日新聞の記事のように不安をためた労働者が,

労働局に通報したり,会社に対して,

パワハラ防止措置義務を怠ったとして,

損害賠償請求をしてくる可能性があるのです。

 

 

とくに,②については,名ばかりのパワハラ相談窓口ではだめで,

パワハラ指針では,「相談窓口の担当者が,相談に対して,

その内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること

と定められています。

 

 

 

パワハラ相談窓口の担当者が適切な対応をしなければならないのです。

 

 

弁護士でもパワハラの判断に迷うことが多いのに,

パワハラの相談窓口の担当者が適切に相談を聞き取って,

適切な事後対応につなげるのは,なかなか難しいと思います。

 

 

企業としては,弁護士などの外部の機関に

パワハラ相談の対応を委託するのがいいと考えます。

 

 

さて,労働者が会社のパワハラ相談窓口の対応が不適切だと感じたら,

労働局にそのことを通報すれば,労働局が,会社に対して,

助言,指導,勧告をする可能性があります。

 

 

そして,労働局が,会社がパワハラ防止措置義

を履行していないとして,勧告をしたのに,

会社が勧告に従わない場合は,労働局は,そのことを公表できます。

 

 

勧告に従わないことを公表されると,

ブラック企業という風評被害が生じるリスクがあるので,

企業は,勧告に応じることが期待されます。

 

 

パワハラ防止措置義務を守る企業が増えて,

一日でも早く,職場からパワハラがなくなることを祈っています。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

コロナハラスメントから職場のパワハラを検討する

1 コロナハラスメント

 

 

新型コロナウイルスの感染拡大が収束する気配が感じられません。

 

 

 

そのような昨今,次のようなコロナハラスメントが実際にあるようです。

 

 

職場で花粉症のため,くしゃみをしたら,上司から

「お前,コロナだろ。会社に来るな」と言われた。

 

 

https://www.bengo4.com/c_5/n_10888/

 

 

なんとも悲しくなる話しです。

 

 

当然ですが,これはパワハラに該当します。

 

 

2 パワハラ指針

 

 

本日は,1月15日に公表された

事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動

に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針

をもとにパワハラについて解説します。

 

 

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/hourei/H200116M0020.pdf

 

 

労働施策総合推進法が改正されて,

パワハラの定義が法律に明記され,

パワハラについての指針が成立しました。

 

 

職場におけるパワハラとは,職場においておこなわれる,

①優越的な関係を背景とした言動であって,

②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより,

③労働者の就業環境が害されるものであり,

①から③までの要素を全て満たすものをいいます。

 

 

パワハラについては,業務上の適法な指導との線引が難しく,

②業務上必要かつ相当な範囲を超えたと

評価できるかが判断しにくいときがあります。

 

 

この判断をするにあたっては,当該言動の目的,

当該言動を受けた労働者の問題行動の

有無や内容・程度を含む当該言動が行われた経緯や状況,

業種・業態,業務の内容・性質,当該言動の態様・頻度・継続性,

労働者の属性や心身の状況,行為者との関係性など

のさまざまな要素を総合的に考慮します。

 

 

このように様々な要素を考慮して,総合判断するので,

どうしても判断が難しくなるのです。

 

 

3 パワハラの通達

 

 

ここで,2月10日に公表された

労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び

職業生活の充実等に関する法律第8章の規定等の運用について

という通達において,②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの

の判断について,次のような指摘があります。

 

 

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T200213M0030.pdf

 

 

「労働者に問題行動があった場合であっても,

人格を否定するような言動など業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動

がなされれば,同然職場におけるパワーハラスメントに当たり得ること」

 

 

労働者に問題行動があった場合には,

きちんと指導すればよく,

労働者の人格を否定する必要は全くないので,

②の要素を検討する際には,

人格を否定する言動があったかがポイントになります。

 

 

また,上記の通達では,③労働者の就業環境が害されるについて,

「言動の頻度や継続性は考慮されるが,

強い身体的又は精神的苦痛を与える態様の言動の場合には,

一回でも就業環境を害する場合があり得る

と記載されている点が注目されます。

 

 

酷い態様のパワハラであれば,一回だけでも

③の要素を満たすことになるのです。

 

 

なお,上記の通達では,「職場」について,

勤務時間外の懇親会の場,社員寮や通勤中などであっても,

実質上職務の延長と考えられるものは職場に該当するとされました。

 

 

 

懇親会の席では,アルコールが入ることで,

普段よりも酷いパワハラが行われることがあることから,

この通達の考え方は,パワハラ被害の救済につながりそうです。

 

 

4 コロナハラスメントへのあてはめ

 

 

さて,冒頭のコロナハラスメントですが,

上司から部下への言動なので①の要素を満たします。

 

 

花粉症でくしゃみをした部下に対しては,症状の確認をして,

対策を講じるようにアドバイスをすべきなのに,

コロナウイルスに感染していると勝手に決めつけて,

会社に来るなと言って排除している点で,②の要素を満たします。

 

 

部下としては,この上司の言動で単なる花粉症なのに

職場に居づらくなるので,③の要素を満たします。

 

 

そのため,パワハラに該当します。

 

 

もっとも,パワハラに該当するからといって,

すぐに損害賠償請求できるわけではなく,

このような言動が継続的になされないと,

損害賠償請求は認められにくいと考えます。

 

 

コロナハラスメントのような悲しいことがなくなることを祈っています。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

パワハラ6類型の1つの過小な要求とはどのようなことなのか

1 すすむパワハラ防止対策

 

 

三菱電機は,社員の過労自殺や精神疾患による

労災認定が相次いだことを受けて,

パワハラ防止策を強化したようです。

 

 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200110/k10012241441000.html

 

 

また,人事院は,中央省庁のパワハラ防止対策を強化するために,

人事院規則を見直して,パワハラをすれば

懲戒処分を受ける可能性があると明記する方向になるようです。

 

 

https://www.jinji.go.jp/kenkyukai/pawahara-kentoukai/pawahara-kentoukai.html

 

 

今年の6月から,大企業において,

パワハラ防止措置が義務付けられることから,

民間企業でも中央省庁でもパワハラ対策が進んでいます。

 

 

 

2 過小な要求とは

 

 

さて,パワハラの6累計の中に,

過小な要求というものがあります。

 

 

 過小な要求とは,業務上の合理性なく能力や経験と

かけ離れた程度の低い仕事を命じることや

仕事を与えないことをいいます。

 

 

会社を辞めさせるために,草むしりをさせて

精神的に追い込むような場合です。

 

 

この過小な要求のパワハラについて,

判断された裁判例を紹介します。

 

 

食品会社A社(障害者雇用枠採用社員)事件の

札幌地裁令和元年6月19日判決です(労働判例1209号64頁)。

 

 

この事件では,うつ病で障害等級3級の認定を受けていた労働者が

自殺したことについて,会社が自殺した労働者の要望に応じて

業務量を増加させなかったことが原因であるかが争われました。

 

 

裁判所は,過小な要求の判断基準について,次のように判断しました。

 

 

まず,会社は,労働者の配置や業務の割当について,

業務上の合理性に基づく裁量権を有しています。

 

 

しかし,労働者に労働者に労務提供の意思と能力があるのに,

業務を与えず,または,その地位,能力,経験からして,

これらとかけ離れた程度の低い仕事しかさせない状態を継続させることは,

業務上の合理性があるのでなければ許されません。

 

 

会社には,労働者に業務の指示をするにあたり,

裁量権があるのですが,仕事を与えなかったり,

程度の低い仕事をさせる場合には,業務上の合理性が必要で,

業務上の合理性がなければ,違法なパワハラとなるのです。

 

 

そして,この過小な要求は,労働者に対して,

会社から必要とされていないという無力感を与え,

他の労働者との関係において,劣等感や恥辱感を生じさせる危険性が高く,

労働者に対して心理的負荷を与えることにつながるのです。

 

 

この事件では,被災労働者から,業務量が少ないという

申し出があった後,会社は,速やかに具体的な解決策を

検討して実行に移していたことから,会社には,

注意義務違反は認められませんでした。

 

 

3 うつ病に罹患している労働者に対する会社の注意義務

 

 

また,この事件では,うつ病に罹患している労働者に対する

会社の注意義務について,注目すべき判断をしました。

 

 

 

すなわち,うつ病に罹患している者は,心理的脆弱性が高まっており,

ささいな心理的負荷にも過大に反応する傾向にあることから,会社は,

うつ病に罹患している労働者に対して心理的負荷を与える言動を

しないようにすべき注意義務を負っていると判断されました。

 

 

この事件では,上司の障害者雇用枠を達成するために採用した

という発言は,うつ病を患っている被災労働者に対する

配慮に欠けたものであり,注意義務違反が認められました。

 

 

もっとも,この発言は一回だけでのものであり,

会社は被災労働者の対応を適切にしていたことから,

心理的負荷の状態は継続していないとして,

因果関係が否定され,遺族の損害賠償請求は認められませんでした。

 

 

労災民事訴訟において,うつ病に罹患していた労働者に対する

配慮を考える上で参考になる裁判例です。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

パワハラ防止指針が確定しました

1 パワハラ防止指針とその問題点

 

 

12月23日,どのような言動がパワハラに該当するのか

をまとめたパワハラ防止指針が確定しました。

 

 

https://www.asahi.com/articles/ASMDR4RZPMDRULFA01G.html

 

 

事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する

問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」といいます。

 

 

この指針では,パワハラの定義として,

①優越的な関係を背景とした言動であって,

②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより,

③労働者の就業環境が害されるもの,

と定められました。

 

 

この定義の中の「①優越的な関係を背景とした」の解釈について,

パワハラの被害者が,パワハラの加害者に対して

抵抗または拒絶することができない蓋然性が高い関係

を背景として行われるものを指すとされています。

 

 

 

しかし,被害者がパワハラの言動を嫌だと思えば,

加害者に対して,多少の抵抗や拒絶の反応を示すことが通常であり,

優越的な関係を抵抗または拒絶することができない蓋然性が高い関係

と解釈してしまうと,パワハラに該当する言動が

不当に制限されるおそれがあります。

 

 

また,今回の指針では,規制の対象となるパワハラは,

職場において行われた言動が対象となっていますが,

会社の労働者が多く参加する懇親会の場で行われたパワハラは,

規制の対象外となってしまいます。

 

 

そのため,これらの問題点について,

指針案から改善されることを願っていましたが,

残念ながら,改善されることはありませんでした。

 

 

とはいえ,これまでなかったパワハラ規制が

一歩前進したのは事実なので,今後は,

指針を労働者に有利に活用していくことが求められます。

 

 

2 パチンコ店におけるパワハラ労災民事訴訟

 

 

さて,ここでパワハラに関する労災の裁判例を紹介します。

 

 

上司からのパワハラによって,うつ病を発症し,長期間,

会社を休んで療養することを余儀なくされた労働者が,

会社に対して損害賠償請求をした松原興産事件の

大阪高裁平成31年1月31日判決です(労働判例1210号32頁)。

 

 

この事件では,パチンコ店の上司が部下に対して,

他の労働者も聞こえる状態のインカム

(スタッフに対して一斉指令ができる構内電話)で,

「しばくぞ」,「殺すぞ」などと怒鳴りつけました。

 

 

 

また,上司は,部下に対して,景品交換カウンター横に立ち番をさせて,

景品交換にくる客に声掛けのあいさつをさせることを約1時間させて,

他の従業員に対して「みんなもちゃんと仕事をしなかったらあんな目にあうぞ」

とインカムを通じて発信して,晒し者にしました。

 

 

これらのパワハラによって,部下はうつ病を発症し,

5年半もうつ病の症状が改善しませんでした。

 

 

3 指針のパワハラ該当例へのあてはめ

 

 

「しばくぞ」,「殺すぞ」などと怒鳴ることは,

人格を否定する精神的な攻撃に該当し,さらに,

インカムで他の労働者にも聞こえるようにしている点で,

指針のパワハラの該当例である

他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り返し行うこと

にあたります。

 

 

また,景品交換カウンター横での立ち番については,

極めて屈辱的な扱いを強いるものであり,

業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた

程度の低い仕事を命じているので,

指針の過小な要求のパワハラに該当します。

 

 

これらのパワハラについて,休業損害716万円,

慰謝料300万円の損害賠償請求が認められました。

 

 

パワハラ防止の指針ができることで,

このようなパワハラがなくなることを期待したいです。

 

 

会社のパワハラ防止措置については,

大企業は2020年6月から,

中小企業は2022年4月から義務付けられます。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

楽天における暴行のパワハラ労災事件からパワハラ防止措置義務を考える

1 楽天における暴行のパワハラ労災事件

 

 

昨日のブログでは,楽天における上司から部下への暴行について,

労災認定されたことを記載しました。

 

 

この楽天の事件で,被災労働者は,

マスコミに対して,次のようにコメントしています。

 

 

「会議中の暴行で怪我を負い,

困って社内のパワハラ相談の部署に相談したにもかかわらず,

十分な調査もせず,相談を否定され,

配転希望にも対応してもらえず,退職せざるを得なかった。」

 

 

 

仮に,この被災労働者のコメントが真実であれば,

楽天は,改正労働施策総合推進法30条の2に規定されている,

パワハラ防止措置義務に違反することになると考えられます。

 

 

本日は,パワハラ防止措置義務について説明します。

 

 

2 パワハラ防止措置義務

 

 

改正労働施策総合推進法30条の2第1項には,

「事業主は,職場において行われる

優越的な関係を背景とした言動であって,

業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより

その雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう,

当該労働者からの相談に応じ,

適切に対応するために必要な体制の整備

その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない」

と規定されています。

 

 

すなわち,会社は,パワハラを防止するために

必要な措置をしなければならないのです。

 

 

その具体的な内容については,11月に指針案が公表されました。

 

 

会社が講じなければならないパワハラ防止の措置の1つ目は,

パワハラを行ってはならない方針等の明確化及びその周知・啓発です。

 

 

就業規則などにパワハラを行ってはならないという方針を明確化し,

パワハラに対する懲戒処分を規定して,労働者に周知させ,

パワハラ予防の研修などで啓発するというものです。

 

 

2つ目は,パワハラの相談に応じ,

適切に対応するために必要な体制の整備です。

 

 

会社は,パワハラの相談窓口を設置して,

労働者に周知しなければなりません。

 

 

また,パワハラの相談窓口の担当者が,

パワハラ被害者からの相談に対して,

適切に対応する必要があります。

 

 

 

具体的には,相談窓口の担当者は,

パワハラ被害者の相談を傾聴し,

相談内容の秘密を厳守し,

適切な事後対応につなげることが求められます。

 

 

楽天の事件では,被災労働者は,

相談を否定されたとコメントしているので,

相談窓口での対応が不十分だったのかもしれません。

 

 

相談窓口の担当者には,人の話を傾聴するスキルが求められるので,

コミュニケーションに関する研修を受けた

適切な人材を配置する必要があります。

 

 

相談窓口で適切な対応がなければ,

事後対応につながらないので,

相談窓口の役割は重要です。

 

 

3つ目は,事後の迅速かつ適切な対応です。

 

 

まずは,被害者,加害者から事実関係を聴取します。

 

 

次に,事実確認の結果,パワハラの事実が確認できた場合,

被害者と加害者を引き離すための配置転換,

加害者から被害者に対する謝罪,

加害者に対する必要な懲戒処分などを実施します。

 

 

パワハラの事実が確認できなかった場合,

パワハラの事実が確認できないと判断した理由を

相談者に丁寧に報告します。

 

 

パワハラの事実が確認できなかったものの,

そのまま放置しておくと関係が悪化する場合には,

関係改善を促すことが考えられます。

 

 

楽天の事件では,被災労働者のコメントが真実であれば,

パワハラの事実関係の調査に問題があり,

その結果,パワハラの事実を確認できず,

適切な事後対応がなされなかったのかもしれません。

 

 

そして,労働者がパワハラを受けたにもかかわらず,

会社がパワハラ防止措置義務を怠った場合,

会社は,損害賠償義務を負うリスクがあります。

 

 

労働者が安心して働くことができるように,多くの会社が,

真摯にパワハラ防止措置を実施してくれることを期待したいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

三菱電機のパワハラ自殺において自殺教唆の刑事事件に発展した意義

1 パワハラ自殺が自殺教唆の刑事事件に発展

 

 

三菱電機の20代の新入社員が

教育主任から「死ね」などと言われて自殺した事件において,

兵庫県警は,この教育主任を,自殺教唆の疑いで

神戸地検に書類送検したようです。

 

 

https://www.asahi.com/articles/ASMD65HGDMD6ULFA021.html

 

 

報道によりますと,自殺した新入社員は,自殺する前に,

この教育主任から「死ね」などと言われていたことを

メモに残していたようで,そこから捜査が始まったものと思います。

 

 

捜査の結果,自殺した新入社員が教育主任から

「死ね」と言われていたのを聞いたと,

複数の社員が証言したようで,

証拠がある程度集まったのでしょう。

 

 

刑法202条の自殺教唆の犯罪は,

自殺の決意を有しない者に対して自殺を決意させた場合に成立します。

 

 

 

三菱電機の事件では,上司である教育主任が

部下である新入社員に対して,「死ね」と精神的な攻撃を加えて,

自殺を決意させたので,自殺教唆の犯罪が成立する可能性はあります。

 

 

2 自殺の因果関係

 

 

また,精神的な攻撃によるパワハラで,

うつ病を発病した労働者が自殺した場合,

精神疾患の労災認定基準では,

精神障害によって正常の認識,行為選択能力が著しく阻害され,

あるいは自殺行為を思いとどまる精神的抑制力が

著しく阻害されている状態に陥ったものと推定して」,

仕事が原因でうつ病を発病して自殺したという因果関係が認められます。

 

 

この考え方は,うつ病を含む精神障害は,

環境由来のストレスと個体側の反応性・脆弱性

との関係で発病するのであり,ストレスが非常に強ければ,

個体側の脆弱性が小さくても精神障害が起こるし,

逆に,個体側の脆弱性が大きければ,

ストレスが小さくても精神障害が起こるという,

ストレス・脆弱性理論をもとにしています。

 

 

そのため,労働者に,精神的な攻撃などのパワハラによって,

強度な心理的負荷が加わった場合,

仕事以外の心理的負荷がないのであれば,

仕事と精神障害の発病及びこれを原因とする自殺との間に

因果関係が認められるのです。

 

 

この精神障害の労災認定基準における因果関係の考え方は,

今回の三菱電機の自殺教唆事件においても,

応用できるのではないかと考えます。

 

 

ただ,刑事事件では,新入社員が自殺してもいいと,

教育主任が認識していることが必要で(これを故意といいます),

起訴まで持ち込むのには,ハードルが高いものです。

 

 

教育主任の故意を立証するための証拠を

固められるのかがポイントになると思います。

 

 

3 「死ね」などと言うパワハラがなくなることを期待したい

 

 

パワハラ防止措置義務が法律に明記され,

パワハラに対する世間の目が厳しくなっていく中で,

今回の自殺教唆が刑事事件に発展しました。

 

 

 

今回の自殺教唆の刑事事件において,

教育主任が起訴されて有罪となれば,

強力な抑止力となって,上司が部下に「死ね」などと言う

パワハラが減少すると予想されますので,

この刑事事件の動向に注目したいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

精神的な攻撃のパワハラ,賃金の減額,賞与の不当な査定が争われた事例

1 精神的な攻撃のパワハラ

 

 

本日は,昨日に引き続き,パワハラに関する裁判例を紹介します。

 

 

本日,紹介する裁判例は,キムラフーズ事件の

福岡地裁平成31年4月15日判決です(労働判例1205号5頁)。

 

 

この事件では,会社の代表者が,

原告である労働者に対して,次のような発言をしました。

 

 

 

「私はあなたのことをまったく信用していない」

 

 

「給料に見合う仕事ができていないと判断したら給料を減額する」

 

 

「私を無視し続けるということは,

会社をないがしろにしていると判断して,

あなたを解雇することもできる」

 

 

「遅い,急げ,給料を下げるぞ」

 

 

「給料分の仕事をしていない」

 

 

「27万円の給料をもらっている者の仕事ではない」

 

 

「もうこの仕事をできませんと言え。

そうすればお前をくびにして,新しい人間を雇う」

 

 

これらの言動は,給料を減額するや解雇するといった

不利益な取扱を示唆して,精神的に圧迫しておりますし,

給料に見合う仕事をしていないとして,

当該労働者の尊厳を踏みにじっているといえますので,

パワハラの6類型の1つの精神的な攻撃に該当します。

 

 

当然,これらの言動は,業務上の指導の範囲を逸脱しておりますので,

違法と判断されました。

 

 

しかし,原告の労働者は,半年以上の期間にわたって,

威圧的,侮辱的な言葉の暴力を受けていたのですが,

パワハラの慰謝料は50万円と判断されました。

 

 

言葉の暴力だけのパワハラの場合,

慰謝料が低額に判断されるハードルがあることがよく分かります。

 

 

2 一方的な賃金の減額は違法です

 

 

この事件では,パワハラ以外にも,賃金減額についても争われました。

 

 

被告会社が,原告の労働者の賃金を,一方的に減額したのです。

 

 

賃金は,労働者にとって,重要な労働条件の1つであり,

賃金を減額するためには,労働者の個別の同意か,

就業規則や賃金規定などの明確な根拠が必要であり,

会社が一方的に賃金を減額することはできません。

 

 

被告会社には,就業規則に賃金減額の規定がないため,

原告労働者に対する賃金減額は無効となり,差額賃金の請求と,

減額前の賃金の支払いを受ける労働契約上の地位確認が認められました。

 

 

賃金を会社の一存で減額できると考えている

経営者がいるかもしれませんが,

それは間違いであることを知ってもらいたいです。

 

 

3 賞与の不当な査定が違法になるとき

 

 

そして,この事件では,賞与の査定についても問題となりました。

 

 

賞与の査定においては,会社に一定の裁量が認められていますが,

会社は,その裁量権を濫用してはならず,

公正に賞与の査定をするべきです。

 

 

 

会社が正当な理由なく賞与の査定を怠ったり,

裁量権を濫用して労働者に不利な査定をした場合には,

労働者の期待権を侵害したとして,

損害賠償請求が認められることがあります。

 

 

本件事件では,被告会社が,原告労働者の賞与の算定にあたり,

公正な査定を行わず,恣意的に賞与を減額したとして,

20万円の損害賠償請求を認めました。

 

 

パワハラ,賃金の減額,賞与の不当な査定などの問題点について,

労働者が勝訴した事例として紹介しました。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

パワハラ6類型の個の侵害とは?

1 パワハラ・セクハラ対策セミナー

 

 

昨日,金沢弁護士会主催の

「待ったなし!パワハラ・セクハラ対策 経営者が今なすべきことは何か?」

というセミナーに参加してきました。

 

 

 

金沢弁護士会が主催するセミナーは,毎回,

広報がうまくいかなかったり,

会場に駐車場がないなどの理由からか,

あまり人が集まらないことが多いです。

 

 

しかし,今回のセミナーは,平日の午後の時間帯であるにもかかわらず,

多くの弁護士以外の方が参加してくれました。

 

(パワハラの講義を担当された粟田真人先生)

 

やはり,それだけ,ハラスメントの問題が

社会に広く認知されてきていると感じました。

 

(セクハラの講義を担当した当事務所の渡邊智美弁護士)

 

2 個の侵害とは?

 

 

さて,昨日のセミナーで,次のような質問がありました。

 

 

パワハラの6類型の1つに,個の侵害というものがあります。

 

 

労働者の私的なことに過度に立ち入ることをいい,

労働局のパンフレットには,具体例として,

不在時に,机の中を勝手に物色される,と挙げられています。

 

 

担当者が不在時に,机の中にある資料を探すことも,

個の侵害に当たるのかという質問でした。

 

 

 

確かに,労働局のパンフレットの記載では,

事前に労働者の許可なく,机の中を探すのは,

個の侵害に該当するような記載になっています。

 

 

しかし,実際には,担当者が不在時に,

他の労働者が業務で必要な資料を

担当者の机の中から探すことはよくありますし,

それは許容されるべきだと思います。

 

 

業務上の必要性があり,やむを得ず,不在時に,

机の中を探すことは,個の侵害にはあたらず,

何の理由もなしに,不在時に,勝手に机の中を物色することは,

個の侵害にあたると考えます。

 

 

このように,どのような場合に,パワハラに該当するのかは,

ケースバイケースで検討する必要があります。

 

 

3 豊前市事件の裁判例

 

 

ここで,個の侵害が問題になった豊前市事件の

福岡高裁平成25年7月30日判決(判例タイムズ1417号100頁)

を紹介します。

 

 

この事件では,自治体の職員である原告が,

若い女性職員と交際していたことについて,

上司が原告に対して,次のような発言をしました。

 

 

「入社して右も左も分からない若い子をつかまえて,だまして。

お前は一度失敗しているから悪く言われるんだ」

 

 

「お前が離婚したのは,元嫁の妹に手を出したからだろうが。

一度失敗したやつが幸せになれると思うな。

親子くらいの年の差があるのに常識を考えろ。

お前俺をなめているのか。

俺が野に下ったら,お前なんか仕事がまともにできると思うなよ」

 

 

また,この上司は,原告の交際相手の若い女性職員に対して,

次のような発言をしました。

 

 

「あいつ(原告)は,危険人物だぞ。

これまでもたくさんの女性を泣かせてきた。

豊前市のドン・ファンだ」

 

 

職場の上司が,ここまで露骨に,部下の職場恋愛に介入するのは,

明らかにいきすぎであり,この上司の言動は,

誹謗中傷,名誉毀損,私生活に対する不当な介入に該当するとして,

原告の人格権侵害を認めて,慰謝料30万円が認められました。

 

 

 

この事件では,交際相手の女性の日記に,

上司の言動が記載されており,

上司のパワハラの言動を立証することができました。

 

 

ここまで露骨な私生活への介入であれば,

個の侵害と容易に言えるのですが,それ以外のケースでは,

判断に迷うことも多いでしょうし,

そもそも証拠がなくて証明できないことも多いと思います。

 

 

やはり,パワハラ事件には,

①立証の難しさ,

②ケースバイケースで様々な事実を総合考慮して判断する難しさ,

③慰謝料が低額である,

という3つのハードルがあるのです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

居酒屋で発生したパワハラについて会社に損害賠償請求できるのか

1 パワハラ防止の指針案の問題点

 

 

先日のブログで,パワハラ防止の指針案について,解説し,

優越的な関係を背景とした言動の解釈として,

抵抗または拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景とした言動

とすることは,パワハラの範囲を不当に狭めることになる

という問題点を指摘しました。

 

 

 https://www.kanazawagoudoulaw.com/tokuda_blog/201911298782.html

 

 

このパワハラ防止の指針案には,

もう一つ重要な問題点があります。

 

 

それは,パワハラ防止の指針案が,

規制の対象を「職場における」パワハラに限定していることです。

 

 

 

パワハラ防止の指針案において,「職場」とは,

「事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し,

当該労働者が通常就業している場所以外の場所であっても,

当該労働者が業務を遂行する場所については,職場に含まれる」

と定義されています。

 

 

この定義では,労働者が本来的に働いている場所と,

営業先や出張先は職場に含まれますが,

居酒屋における会社の飲み会の席でのパワハラが,

職場ではないパワハラなので,

規制の対象からはずれてしまうおそれがあります。

 

 

 

2 居酒屋などで行われたパワハラの損害賠償請求を認めた裁判例

 

 

ここで,会社の外の居酒屋などで行われたパワハラについて判断した

コンビニエースほか事件の東京地裁平成28年12月20日判決

(労働判例1156号28頁)を紹介します。

 

 

この事件では,コンビニを複数店舗経営する経営者と,

コンビニの店長が,被害者の労働者に対して,

次のような,悪質なパワハラをしました。

 

 

①居酒屋で会社の飲み会があったときに,

被害者の鼻の頭にタバコの火を押し付けた。

 

 

②会社のメンバーでカラオケ店にいったときに,

被害者は,カラオケのマイクで10~20回殴られた。

 

 

③居酒屋で会社の飲み会があったときに,

被害者は,焼き鳥の串で手の甲を刺され,灰皿で頭を殴られた。

 

 

④コンビニの店舗の中でエアガンで撃たれる。

 

 

⑤会社の飲み会の代金をむりやり支払わされて,

その総額が200万円以上となった。

 

 

⑥売れ残り商品をむりやり買わされる。

 

 

上記の④と⑥は,会社の中で行われたパワハラなので,

パワハラ防止の指針案の対象となるですが,

①~③と⑤は,会社の外の居酒屋やカラオケ店で行われたパワハラなので,

パワハラ防止の指針案の対象からはずれてしまいます。

 

 

しかし,会社の外で行われたパワハラであっても,

会社やパワハラ行為者に対する損害賠償請求が認められました。

 

 

 

3 使用者責任

 

 

この事件では,会社に対する損害賠償請求は,

民法715条の使用者責任が根拠となりました。

 

 

使用者責任とは,会社が雇っている労働者が,

会社の仕事をしていたときに,他人に損害を与えた場合に,

会社も損害賠償の責任を負うというものです。

 

 

この点,居酒屋における飲み会での出来事が,

会社の仕事と関連があるのかが問題となります。

 

 

裁判所は,「職務との関連性や使用者による支配・統制の可能性の程度等

から判断して,当該不法行為が客観的に使用者の支配領域内の事柄である

と認められる場合」には,使用者責任を認めると判断しました。

 

 

ようするに,居酒屋における飲み会であっても,

飲食しながら,注意や指導が行われて,

その延長線上に暴力や暴言があれば,

会社の支配領域内の出来事として,会社は,

居酒屋で生じたパワハラの責任を負わなければならなくなるのです。

 

 

裁判では,居酒屋におけるパワハラも

損害賠償請求の対象とする場合があることを認めていることから,

パワハラ防止の指針案でも,職場以外の場所におけるパワハラも

規制対象に含めるべきです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

パワハラ防止指針案の改訂~パワハラの範囲を不当に狭めるべきではない~

1 パワハラ防止指針案の改訂版が公表されました。

 

 

以前,ブログで紹介しましたが,

今年10月にパワハラを防止するための指針が,

厚生労働省から公表されました。

 

 

https://www.kanazawagoudoulaw.com/tokuda_blog/201910248667.html

 

 

しかし,労働者側から,対象範囲が狭く,

会社の弁解カタログになってしまうという批判がありました。

 

 

この批判を受けて,11月20日に,

事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する

問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(案)について

という文書が公表されました。

 

 

https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/000568623.pdf

 

 

本日は,この改訂されたパワハラ防止の指針案について解説します。

 

 

2 被害者の主観を考慮すべき

 

 

改訂されたパワハラ防止の指針案においても,

①優越的な関係を背景とした言動であって,

②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより,

③労働者の就業環境が害されるもの,

という3つの要件の具体的な内容は変わっていません。

 

 

もっとも,パワハラの相談窓口の担当者が,留意すべきこととして,

相談を行った労働者の心身の状況や当該言動が行われた際の

受け止めなどその認識にも配慮しながら,

相談者及び行為者の双方から丁寧に事実確認等を行うことも重要である。

と記載されました。

 

 

 

参議院の附帯決議に,労働者の主観に配慮することが

記載されていたのに,今年10月の指針案には,

このことが盛り込まれていなかったことから,

今回の改訂で追加されました。

 

 

ある出来事をどのように受け止めるのかは,人それぞれですので,

パワハラの被害者の受け止め方も当然に考慮されるべきです。

 

 

3 改訂版での変更点

 

 

10月の指針案には,身体的な攻撃の類型の中に,

誤って物をぶつけてしまうことがパワハラに該当しない例

としてあげられていましたが,今回の改訂で削除されました。

 

 

通常,人に物をぶつけるときは,意図的にすることが多く,

誤ってぶつけることが考えにくいことから,

削除されたものと思われます。

 

 

10月の指針案には,精神的な攻撃の類型の中に,

パワハラに該当しない例として,重大な問題行動を行った労働者に対して,

強く注意することとがあげられていましたが,これが,

一定程度強く注意する」に変更されました。

 

 

一定程度という表現を加えることで,

問題行動を行った労働者を指導することが

パワハラに該当しない余地を残す必要があったのだと思います。

 

 

10月の指針案には,過小な要求の類型の中に,

パワハラに該当しない例として,

経営上の理由により,一時的に,

能力に見合わない簡易な業務に就かせること。

があげられていましたが,今回の改訂でこれが削除されました。

 

 

「経営上の理由」という会社にとって,

いかようにもつかえる都合のいい表現でしたので,

特定の労働者に無意味な作業を延々とやらせる

追い出し部屋を容認しているという批判を受けて削除されました。

 

 

 

追い出し部屋は労働者の尊厳を踏みにじって,

退職に追い込む狡猾な手段なので,

これが削除されたのはよかったです。

 

 

4 一番の問題点

 

 

10月の指針案よりも,表現がわかりやすくなり,

一歩前進していますが,私が一番懸念している

箇所が改訂されていなかったのが残念です。

 

 

それは,優越的な関係を背景とした言動の解釈として,

パワハラの被害者が加害者に対して

抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い

関係を背景として行われるもの」という点です。

 

 

パワハラの被害者がパワハラをやめてほしくて,

何かしらの抵抗や拒絶をすれば,

優越的な関係を背景とした言動に該当しないと判断される余地があり,

パワハラの範囲を不当に狭めるリスクがあると考えるからです。

 

 

なんとか,この表現を変更して,

パワハラの範囲を広げる必要性があります。

 

 

今後の,パワハラ指針の動向に注目したいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。