新時代の話す力

1 いろいろな角度から話す

 

 

私は、VOICYという音声メディアを毎日聞いています。

 

 

自分が尊敬しているパーソナリティの話していることから、

やる気や自分が必要な情報をいただいています。

 

 

音声はながら聞きができるのが最大の強みでして、

ランニング、通勤中の車の中、家事をしながら、

VOICYを楽しんでいます。

 

 

このVOICYという会社を創業した緒方憲太郎社長の新刊

「新時代の話す力」を読みましたので、私が気づいたことを3つ紹介します。

 

 

 

1点目は、聞き手にわかりやすく話すために、

いろいろな角度から話すということです。

 

 

伝えるのが上手な人は、「具体と抽象」、「実例と概念」、「例え話」をうまく、

会話に取り入れて話しています。

 

 

具体的なエピソードを話した後に、抽象的な概念にまとめてみたり、

相手がわかっていないと感じたら、例え話で説明してみたり。

 

 

話し手と聞き手は、別の人間なので、持っている知識と経験が異なっているため、

話し手は、自分よがりに話していたのでは、聞き手に伝わらないのです。

 

 

聞き手がわかっていないと感じたら、聞き手にも理解できる例え話をして、

理解を促すという配慮が必要になるわけです。

 

 

私は、弁護士をしているので、ついつい、

一般の方にはわかりにくい専門用語を使ってしまいがちです。

 

 

専門用語を使う場合には、この専門用語は、

こういう意味なのでよと、聞き手が知っている言葉に転換したり、

例えばこういうことなのですよと説明するようにしています。

 

 

日常会話の中でも、「具体と抽象」、「実例と概念」、「例え話」を意識して、

わかりやすい話しができるようにしていきます。

 

 

2 間を制する

 

 

2つ目は、間を制する者が話しを制するです。

 

 

一文と一文の間にしっかりと「間」を作ることで、

話し手の感情や大切にしているポイントが聞き手に伝わるようになります。

 

 

 

間は、聞き手が頭の中で言葉を生み出している時間です。

 

 

間をおくことで、聞き手は、これから大切なことが聞けるんだなと、

聞く準備をしてくれます。

 

 

間をおくことで、聞き手は、「私はどうかな?」と考えます。

 

 

このように、間は、強調したり、聞き手が自分と対話するために、

効果的に使用できます。

 

 

そう、間は聞き手へのプレゼントなのです。

 

 

私は、間をとることを意識していないため、

ついつい、急いで話しているように受け取られてしまいます。

 

 

今後は、日常会話で、間を取り入れることで、

聞き手に、自分の話しをより理解してもらえるようにしていきます。

 

 

具体的には、一文一文の間に、

聞き手があいづちをうてる「間」を意識的に作っていきます。

 

 

3 あいづちのバリエーションを持つ

 

 

3点目は、相手を受け入れるあいづちを繰り返すです。

 

 

この本には、話すことだけではなく、

聞くことについても重要なノウハウがたくさん記載されています。

 

 

その中で、最も印象に残ったのが、あいづちです。

 

 

 

相手に安心感を与えるうなずきやあいづちをするのです。

 

 

「なるほど」、「いいですね」といった、自分に話しが伝わっているという合図を、

相手の話しの合間に、テンポよくいれていくと、

話し手は、気持ちよく話しをすることができます。

 

 

逆に、あいづちがなければ、話し手は、

自分の話はつまらないのかなと不安になって、話しは盛り上がりません。

 

 

会話は、聞き手によってコントロールされていると言っても過言ではないのです。

 

 

この本では、あいづちのレパートリーをいくつか持っておくことが推奨されています。

 

 

適切な場面で、適切なあいづちを使えるようになるように、

自分の好きなレパートリーを5つくらい準備しておくといいようです。

 

 

今のところ、私は、「なるほど」、「そうなんですね」、

「素晴らしいですね」、「ほうほう」を多用しています。

 

 

もう少し、あいづちのレパートリーを増やせるように研究していきます。

 

 

これからの時代に必要なコミュニケーションのスキルを学べる良書ですので、

紹介させていただきました。

 

 

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

美しいコミュニケーション

1 コミュニケーション分析の観点とバックトラッキング

 

 

弁護士中原阿里先生が主催している、

ラッセルコーチングカレッジのベーシッククラスの第3講

「美しいコミュニケーション」を受講しました。

 

 

第3講では、コーチングの場面だけではない、

日常のコミュニケーションにおいて大切にすべきスキルを学びましたので、

シェアさせていただきます。

 

 

1点目は、コミュニケーションを分析する観点です。

 

 

コミュニケーションを分析する観点として、次のことを教えていただきました。

 

 

0 完了しているか(受け取りがあるか)

1 尊重はあるか

2 信頼はあるか

3 対等か

4 傍観者ではないか

5 侵入者ではないか

6 指示者・命令者ではないか

7 救済者・解決者ではないか(相手の判断力・問題解決能力を奪っていないか)

8 過去を正当化させる問いか、未来への成長に向けた問いか

9 一方的なジャッジではないか

10 ラポール(信頼関係)は形成(維持)されたか

 

 

この11の観点の中で、最も大切だと私が感じたのは、

「0完了しているか(受け取りがあるか)」です。

 

 

 

日常会話の中で、聞き手の立場になった時に、

話し手の発言を、きちんと受け取っていないことがあります。

 

 

例えば、Aさんが「疲れた~、怠い~」と言い、

Bさんが「早く寝たら」と答えた場合、

Bさんは、Aさんの「疲れているの」という気持ちを受け取っていません。

 

 

Bさんが、「そうなんだ、疲れていて、怠いんだね。だったら、早く寝たら」

と答えた場合、Bさんは、Aさんの気持ち(言葉)を受け取っており、

Aさんは、安心して、Bさんとの会話を進めることができます。

 

 

この相手の会話を受け取るのに効果的なのが、

バックトラッキングというスキルです。

 

 

バックトラッキングとは、相手の発言の一部または全部を、

そのまま繰り返すことです。

 

 

相手の言ったことを言い換えずに、そのままオウム返しをするのです。

 

 

バックトラッキングをすることで、聞き手は、相手のことをジャッジせずに、

ニュートラルに聞けますし、話し手は、受け取ってもらえた安心感をいだきます。

 

 

では、聞き手は、話し手の会話のどの部分をバックトラッキングすればいいのか

といいますと、1つは、感情の言葉です。

 

 

もう1つは、会話のテーマとの関係で重要な言葉、

すなわち、抽象度の高い言葉や繰り返される言葉です。

 

 

これらの言葉をバックトラッキングすることで、

話し手は、安心して、スムーズに会話をすることができます。

 

 

2 共感的傾聴

 

 

2点目は、共感的傾聴です。

 

 

相手の話しに共感しながら、相手の話に耳を傾けることです。

 

 

 

共感的傾聴は、次の5つの要素から成り立っています。

 

 

①ペーシング

②姿勢

③視線

④表情

⑤うなずき・あいづち

 

 

①ペーシングは、相手のペースにあわせることで、

安心感を与えることができます。

 

 

相手と呼吸をあわせることで、リラックスして、話しをすることができます。

 

 

②人の話を聞く時の姿勢には、気をつける必要があります。

 

 

例えば、私は、パソコン作業をしながら、話しを聞いているときがあるので、

パソコン作業を辞めて、立ち上がって、相手と正対して、話しを聞くべきですね。

 

 

③視線を合わせることで、相手に話しを聞いているよとアピールできます。

 

 

意識して、視線を合わせていきます。

 

 

④表情は、最も、話し手に影響を与えている気がします。

 

 

眉間を解放して、朗らかな表情につとめます。

 

 

⑤うなずきやあいづちのバリエーションを増やして、

相手が話しやすくなるように工夫したいです。

 

 

3 承認

 

3点目は、承認です。

 

 

承認には3つあります。

 

 

 

①行動承認、②結果承認、③存在承認の3つです。

 

 

このうち、存在承認が、最も相手に良き影響を与えられます。

 

 

存在承認をするには、現状への承認すること、

変化・過程への承認の2つがあります。

 

 

現状への承認は、相手をありのまま認めるので、相手に安心を与えられます。

 

 

変化・過程への承認は、相手に気にかけていることを伝えることで、

変化への不安から解放させることにつながります。

 

 

そして、承認を伝える時は、主語をIやWEにすると効果的です。

 

 

Iメッセージは、聞き手の主観を伝えることになるので、

聞き手は、否定できず、受け取りやすいです。

 

 

WEメッセージは、あの人も喜んでいたよと伝えるので、

より客観的に相手に伝わり、受け取ってもらいやすくなります。

 

 

今回学んだことを日常生活で取り入れて、

美しいコミュニケーションができるように努力していきます。

 

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます。

自己理解とリフレクション

1 自己理解

 

 

2023年2月18日と19日に、

ラッセルコーチングカレッジのコーチングの

第2講「自己理解とリフレクション」を受講しました。

 

 

今回は、第2講を受講して、得た気付きを3つ紹介します。

 

 

1つ目は、自己理解です。

 

 

 

今回の講義では、たくさんのワークを通じて、自分は、

何を大切にしているのか、何を求めているのか等、

自分自身を知ることができました。

 

 

不思議なことに、人間は、自分のことを理解していないことが多いです。

 

 

自分のことを理解していなくても、なんとなく生きていけますが、

自分のことをよく理解できれば、自分を受け入れられやすくなり、

その結果、他人を受け入れることができ、生きやすくなると考えます。

 

 

今回の講座では、ワークの中で、質問に答えていくことで、

自分の感情や価値観と向き合い、メンバーと共有することで、

気付きをえることができました。

 

 

私は、ワークを通じて、弁護士という仕事が好きであることに気が付きました。

 

 

私は、自分の能力を誰かのために役立てて、人から感謝されたり、

人の役に立つことに喜びを感じていることに気が付きました。

 

 

弁護士の仕事は、法律問題で困っているクライアントを、

弁護士の専門知識、経験、スキルを駆使して、問題解決をすることです。

 

 

私は、弁護士の仕事を通じて、クライアントから感謝されることに、

生きがいを感じていたのです。

 

 

今回のワークを通じて、今の自分の延長線上に、

自分の幸せな未来があることを自覚できました。

 

 

そして、弁護士になるための司法試験への挑戦が

自分の人生のターニングポイントだったと思いました。

 

 

司法試験の合格によって、正しい方向に向かって努力することの大切さ、

継続することの価値、自分は運がいいと根拠なく思い込めるようになったことなど、

多くの恩恵を受けていたことに気付きました。

 

 

人生のターニングポイントを振り返ることによって、

自分は天職につけている幸せを実感でき、

これからも弁護士の仕事に精進していこうと決意しました。

 

 

2 セルフイメージ

 

 

2つ目は、セルフイメージです。

 

 

セルフイメージとは、自分が自分に抱いているイメージのことです。

 

 

 

セルフイメージは、次の6つから成り立っており、

コントロール方法は、次のとおりです。

 

 

①自尊感情:自分には価値がある・自分を傷つけない

→肯定的な言葉を自分にかける

 

 

②自己受容:ありのままでいい・完璧でなくてもいい

→自動思考にダメ出しをしない

 

 

③自己信頼:自分を信じる・自分に委ねる

→自分との小さな約束を果たす、非継続を悲観しない(1日万歳・3日天才)

 

 

④自己効力感:私にはできる・なんとかできる

→小さなチャレンジをする、できたらやたら喜ぶ

 

 

⑤自己決定:自分で決める・選択を依存しない

→自分で決めてみる、NOと言ってみる

 

 

⑥自己有用感:役に立っている実感

→人を助ける

 

 

このうち、②の自動思考とは、なにかネガティブな出来事が起きたときに、

「やっぱり・・・」の後に、ネガティブなセルフイメージを抱くことです。

 

 

例えば、売上が目標に達しなかったときに、「やっぱり、自分にはできない」と

ネガティブなセルフイメージを植え込んでしまうのです。

 

 

このようなネガティブな出来事があった時に、

「やっぱり」の後ろにくる言葉に注意します。

 

 

例えば、「やっぱり」の後に、「自分にはできない」という言葉がでてきたら、

「今回はたまたまうまくいかなかった」、「先月はうまくいっていた」と思考すれば、

セルフイメージは低下しにくくなります。

 

 

セルフイメージを向上させる日々の実践をしていきます。

 

 

3 自己認識度

 

 

3つ目は、自己認識度です。

 

 

自己認識度とは、自分を理解しようとしている度合いのことです。

 

 

自己認識度には、内面的自己認識度と外面的自己認識度があります。

 

 

内面的自己認識度とは、自分の何たるかを知る、または知ろうとする程度です。

 

 

外面的自己認識度とは、他者からの評価認識を知り、受け入れる程度です。

 

 

 

内面的自己認識度を高めると、セルフコントロールができ、

バイアスの影響を受けにくくなります。

 

 

外面的自己認識度を高めると、他者からのフィードバックを得て、

学ぶことができます。

 

 

今回の講座の宿題で、他人は、私のことをどう見ているのかという

フィードバックをもらうことになりました。

 

 

私は、人から評価されることに、恥ずかしさや恐怖を感じることがあるのですが、

フィードバックをもらうことで、自分の改善点や伸び代がわかり、

とても有意義な体験となりました。

 

 

専門家は、フィードバックをもらう機会が少ないので、

フィードバックをいただける機会を大切にしなければならないと実感できました。

 

 

こんなにも、自分自身と向き合う機会はなかったので、

とても貴重な機会となりました。

 

 

自分を知れば、きっと世の中で生きやすくなると体験できました。

 

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

弁護士研修ノート

1 コミュニケーションの重要性

 

 

弁護士原知良先生の

「弁護士研修ノート~相談・受任・報酬請求・課題解決プログラム~」を読みました。

 

 

 

 

私は、弁護士1、2年目くらいの時期に、この本と出会い、

弁護士としての基礎を学びました。

 

 

その後、この本の改訂版ができ、初心にかえったつもりになって、

読んだところ、やはり弁護士にとって必要なことについて、再認識できました。

 

 

名著は、折に触れて読み直してみると、

新しい気付きを得られるので、素晴らしいです。

 

 

それでは、今回この本を読んで、私が得た気付きを3つご紹介します。

 

 

1つ目は、クライアントとのコミュニケーションの重要性です。

 

 

弁護士とクライアントとは、非対等であることを常に意識することが大切です。

 

 

弁護士の立場から見ていると、クライアントとは、同じ人として、

対等に思っていても、クライアントの立場から見るとそうではないのです。

 

 

クライアントの立場からみると、自分は、

法理問題でトラブルをかかえて不安を抱いている素人であるのに対して、

弁護士は、法律のプロで偉い人というように、

非対等な関係であると思っているのです。

 

 

このクライアントの立場からみた非対等な関係を理解しておかないと、

クライアントの感情を理解することができず、

クライアントと信頼関係を築くことが難しくなります。

 

 

この非対等な関係を意識して、クライアントに対して、

心配事を何でも話してもらえるような雰囲気作りをすることが大切です。

 

 

 

また、この非対等な関係を意識すれば、

自分がクライアントの立場であったら、

弁護士に何をしてもらいたいかと、クライアントのサイドから、

自分の判断や助言を考えると、クライアントの満足に繋げられます。

 

 

そして、この非対等な関係を意識した上で、

クライアントとのコミュニケーションの質と量を充実させることが大切です。

 

 

コミュニケーションの質とは、法律の素人であるクライアントに、

専門用語を使わずに、いかに分かりやすく伝えるかです。

 

 

一般の人には、法律用語はとてもわかりにくいので、

難しい言葉を使わずに、わかりやすく説明することが弁護士に求められます。

 

 

コミュニケーションの量とは、クライアントとの信頼関係を維持するために、

適時・適量・適切な情報交換と交流をすることです。

 

 

弁護士から事件の進捗状況について報告がない場合、

クライアントは不安になるので、適宜、

報告・連絡・相談することが重要になります。

 

 

さらに、クライアントの気持ちや感情・不安への対応・激励も重要になります。

 

 

2 弁護士報酬

 

 

2つ目は、弁護士報酬です。

 

 

弁護士は、目に見えない法的トラブルの解決というサービスを提供しているので、

なぜ、これだけの弁護士報酬がかかるのかについて、

クライアントに説明することが難しいことがよくあります。

 

 

事件を受任する際に、弁護士費用をいくらに設定するのかについて、

私は、よく悩みます。

 

 

そもそも、クライアントは、どのような時に、

弁護士の提供したサービスに価値を感じるのでしょうか。

 

 

 

1つは、事件解決を通じて、当初期待していた結果が実現できたときです。

 

 

700万円の請求が認められると予想していたところ、

800万円の判決がとれた場合、

プラス100万円の経済的な利益がクライアントにもたらされます。

 

 

もう1つは、結果が予想どおりにいかなかったとしても、

クライアントから、一所懸命に弁護士ががんばってくれたと言ってくれる事件処理ができたときです。

 

 

事件を通じて、人生への気付きや困難に立ち向かううえでのアドバイス、

お金やビジネスに関する考え方、トラブルの解決の仕方など、

弁護士としての人間的接触から得たものに感動・感謝して、

クライアントが付加価値を感じてくれます。

 

 

私は、最近、経済的利益も大切ですが、心理的利益に対しても、

クライアントが、弁護士のサービスに価値を見出しているような気がしています。

 

 

この心理的利益をクライアントに感じてもらうためには、

もらう報酬以上に仕事をするという日々の習慣の積み重ねが大切です。

 

 

もう1センチだけ、クライアントにプラスになる努力を、常に意識することです。

 

 

これをエクストラマイルといいます。

 

 

エクストラマイルを意識すると、自然に謙虚になり、

クライアントに丁寧に接することができます。

 

 

3 交渉のあり方

 

 

3つ目は、交渉のあり方です。

 

 

弁護士の仕事は常に交渉です。

 

 

弁護士は、相手方弁護士、裁判官、

ときにはクライアントとも交渉しています。

 

 

弁護士が行う交渉とは、

「法的権利・義務並びに経済的・心理的・社会的その他の利害を、

交換及び譲歩の手段を用いて、相互に、

いっそう望ましい法的関係を確立するという見地から、

現存する相違を調整するプロセス」をいいます。

 

 

 

そのため、法的権利義務の背後にある

相手方の経済的・心理的・社会的その他の利害を正確に把握するために、

相手方の話しをよく聞くことが大切です。

 

 

交渉相手は、人であるので、その人の価値観、感情、立場を理解して、

話し合いをしていくことが大切です。

 

 

交渉相手の話しをよく聞き、交渉相手の価値観、感情、立場が理解できれば、

合意可能な着地点を見いだせることがあります。

 

 

弁護士にとって大切にすべき価値観や、

迷ったときに立ち返る判断基準が記載されている名著です。

 

 

ぜひ多くの弁護士に読んでもらいたい1冊です。

 

 

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。

休職から会社に復職するにはどうすればいい?

1 休職とは?

 

 

休みの時に、家事をしていた時に、腰を痛めてしまいました。

 

 

病院へいったところ、ヘルニアと診断され、手術をすることになりました。

 

 

 

手術後もリハビリが必要であったため、しばらくの期間、会社を休職しました。

 

 

腰の痛みがおさまってきましたし、

主治医にも仕事に復帰してもよいと診断を受けました。

 

 

しかし、会社に復職を申し出たところ、仕事に復帰しても、

また休まれては困る、別の仕事を探したほうがいいんじゃないか

などと言われ、復職を拒否されてしまいました。

 

 

このように、休職からの復職を会社に拒否された場合、

どうすればいいのでしょうか。

 

 

結論から先に言いますと、主治医が復職を認めているのであれば、

会社の復職の拒否は違法ですので、本気で復職を希望するなら、

再度、会社に対して、復職を伝え、それでも、拒否された場合には、

未払賃金を請求すれば、復職が認められる可能性が高いです。

 

 

今回は、休職と復職について解説します。

 

 

休職とは、労働者が働けない場合、会社との労働関係を維持しながら、

会社が労働者に対して、働くことを免除することです。

 

 

労働者は、会社に労働を提供する義務を負っているので、

労働を提供できない場合、解雇されてもやむを得ないのですが、

休職は、解雇を一定期間猶予し、

労働者を解雇や退職から保護する役割を果たしています。

 

 

休職期間中、労働者は、自分の義務である、

労働の提供をしていませんので、会社からは、

給料をもらえないのが、通常です。

 

 

そのため、労働者は、休職期間中、

健康保険の傷病手当金(給料の約3分の2が支給されます)を受給して、

一定の収入を確保しながら、治療をしていくことになります。

 

 

2 休職から復職するには?

 

 

さて、通常の会社では、休職期間が満了した時点で、

休職理由が消滅していない場合には、退職するか、解雇すると、

就業規則で定められていることが多いです。

 

 

 

病気で休職している場合、病気が治癒していれば、

休職理由が消滅しているといえます。

 

 

ここで、治癒とは、休職前の職務を遂行できる状態のことをいいます。

 

 

では、休職前の職務はできないものの、

別の仕事ならできる場合はどうでしょうか。

 

 

労働者の職務(仕事内容)が限定されていない場合、

その労働者が配置される現実的可能性があると認められる他の業務について、

労働を提供することができ、かつ、その提供の申し出をしているならば、

復職は可能となります。

 

 

そのため、休職前の仕事ができなかったとしても、

別にできる仕事が現実にあり、その仕事ならできますよと、

会社に伝えていたならば、会社は、休職前とは別の仕事に就かせて、

復職させなければならないことになります。

 

 

また、休職前の仕事ができなくても、相当の期間内に、

作業遂行能力が通常の業務を遂行できる程度に回復すると見込める場合にも、

会社は、復職を認めなければならないことになります。

 

 

このように、①休職前の仕事ができるか、

②休職前の仕事ができなくても、別の仕事ならできるか、

③休職前の仕事をすぐにはできないが、

ある程度の期間が経過すれば、できるようになるかを検討し、

会社に対して、復職を求めていきます。

 

 

3 主治医とよく相談しましょう

 

 

復職を求めていく場合に、重要になるのは、主治医の意見です。

 

 

復職したい場合には、主治医に対して、復職できるのか、

いつ復職するのがいいのかについて、よく相談し、

適切なアドバイスをもらってください。

 

 

 

主治医が復職できると判断しているにもかかわらず、

会社が復職を拒否した場合、労働者は、会社に対して、未払賃金を請求できます。

 

 

会社は、労働者が働いていないのに、賃金を支払うのは不合理と考え、

復職を認めることになると考えます。

 

 

また、会社からは、前の仕事ができないならば、退職してはどうかと、

退職勧奨をされることがあります。

 

 

労働者は、退職勧奨に応じる義務はありませんので、

退職したくない場合には、退職勧奨を拒否してください。

 

 

会社が、復職を拒否している場合、

労働者が復職を求めても、応じてくれないときがあります。

 

 

そのような時は、弁護士に、復職の交渉を依頼すれば、

会社は、復職に応じてくれることがあります。

 

 

弁護士は、交渉力を強化してくれる味方ですので、

休職や復職で困ったときには、弁護士にご相談ください。

 

 

本日も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

パワハラの損害賠償請求をして190万円の解決金を獲得した事例

1 上司からの酷いパワハラ

 

 

会社の上司から酷いことを言われて、精神的にしんどい。

 

 

上司のパワハラをなんとかしたいけど、どうすればいいのかわからない。

 

 

このようなパワハラの法律相談が増加しています。

 

 

労働問題についての法律相談で、現在、最も多いのが、パワハラです。

 

 

パワハラを受けたときに、最も効果的な対処法は、録音をすることです。

 

 

今回は、パワハラの録音があったおかげで、

会社から190万円の解決金を獲得した事例を紹介します。

 

 

クライアントは、40代男性で、

運送会社でドライバー兼事務の仕事をしていました。

 

 

クライアントは、営業所の所長から、

次のような言葉の暴力のパワハラを受けていました。

 

 

「アホ」、「バカ」、「やめろ」、「ハゲ」、「頭おかしいんちゃうか」、

「わしがおる限り、昇進はないと思っとけ。評価も低いからな」、

「給料どろぼう」、「みんな、お前をいらんと言うとるぞ」

 

 

 

クライアントは、酷いパワハラによって、精神に不調をきたし、

精神科を受診したところ、適応障害と診断され、主治医からは、

休職をすすめられ、しばらくの期間、休職しました。

 

 

主治医は、クライアントが職場に復帰することに反対していましたが、

クライアントは、年齢的に再就職が難しいこと、

家族を養っていかなければならないこと、

会社から、職場を戻りやすい環境にすると言われたことから、

主治医の反対意見を振り切り、休職から復職しました。

 

 

しかし、復職した途端、クライアントは、最悪の仕打ちを受けました。

 

 

なんと、クライアントの席が、

パワハラをした張本人である営業所長の前に移動させられていたのです。

 

 

クライアントは、パワハラをしていた営業所長の面前で、

仕事をせざるをえない状況に追い込まれ、多大な精神的苦痛を被りました。

 

 

しばらくの間、なんとか我慢して勤務していましたが、

やはり、適応障害の症状が悪化し、再び、休職することとなりました。

 

 

2 録音が決め手になった

 

 

このような一連の仕打ちを許せないと思ったクライアントは、

私のもとに法律相談にこられました。

 

 

クライアントの話しを聞くと、営業所長から、

パワハラを受けた時に、録音をとっているとのことでした。

 

 

録音の内容を聞いてみると、

確かに、クライアントの人格を否定する暴言が録音されていましたので、

パワハラの事実を証明できると判断しました。

 

 

 

また、クライアントと共に、主治医と面談し、

クライアントの適応障害の原因がパワハラにあるとの意見をもらいました。

 

 

そして、主治医が、クライアントが問診のときに話していた、

パワハラの具体的な内容をカルテに記載してくれていたことも明らかとなりました。

 

 

そこで、カルテの開示を受けて、

パワハラの事実を証明するための証拠を確保しました。

 

 

このように、パワハラの事実を証明でき、

パワハラが原因で適応障害を発症したことも証明できると考え、

会社に対して、損害賠償請求をすることにしました。

 

 

3 会社との損害賠償請求の交渉

 

 

会社に対して、損害として、クライアントの精神科での治療費、

休職期間中の休業損害、退職後に再就職するまでの期間の給料の補償分、

慰謝料を請求しました。

 

 

パワハラの被害者が、パワハラが原因で精神疾患を発症した場合、

慰謝料の金額が増額される傾向にあります。

 

 

パワハラの証拠を確保できていたので、

会社との損害賠償請求の交渉はスムーズにすすみました。

 

 

1ヶ月ほど交渉をした結果、

会社から合計190万円の解決金を支払ってもらうことで、

示談が成立しました。

 

 

 

この示談において、クライアントが相手方会社を退職することを確認し、

退職の理由として、離職票に、

職場の上司からパワハラを受け、就業環境が著しく悪化し、

退職せざるをえなくなったため」と記載してもらうことになりました。

 

 

離職票に退職理由として、パワハラが原因と記載してらうことで、

会社都合退職となり、失業給付を受給する際に、

給付制限がかからず、すぐに失業給付を受給できるようになります。

 

 

パワハラを受けて、絶望していたクライアントでしたが、

会社から190万円の解決金を勝ち取ることができ、

新しい希望を見出し、次の一歩を踏み出すことができるようになりました。

 

 

この事例のように、パワハラでは、録音があれば、会社に対して、

損害賠償請求することが可能になります。

 

 

逆に、パワハラをされても、録音がなければ、

パワハラの事実を証明することができずに、

損害賠償請求をすることが困難になります。

 

 

そのため、パワハラを受けた場合は、必ず、録音するようにしてください。

 

 

パワハラは突然されますので、出社したら録音ボタンをオンにし、

退社するときに録音ボタンをオフにして、就業時間中、

常時録音しておけば、パワハラの文言を録音できます。

 

 

相手の許可なく録音しても問題ありません。

 

 

そして、パワハラで悩んでいる場合には、誰かに相談してください。

 

 

一人で悩んでいても、解決できません。

 

 

弁護士にパワハラの法律相談をすれば、

対処法について、適切なアドバイスをしてくれます。

 

 

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

コーチングのこころとかたち2日目

1 逆算型の課題設定

 

弁護士の中原阿里先生が主催している、

ラッセルコーチングカレッジのウェルビーイングコーチングプログラムの

講座1「コーチングのこころとからだ」の2日目を受講しました。

 

 

講座1の2日目では、まず、課題や目標を設定し、次に、現状を把握し、

そして、現状と将来の課題・目標とのギャップを埋めるための、

リソースや支障、行動の選択肢を質問によって、

可視化することを行いました。

 

 

この作業をすることによって、自分の可能性が開花され、

ワクワクした感情を抱くことができました。

 

 

それでは、今回の講座1の2日目から、

私が得た気付きを3つ紹介させていただきます。

 

 

1つ目は、逆算型の課題設定です。

 

 

まず、3年後に目標を達成した理想の自分をイメージして思い描きます。

 

 

 

その際に、自分に対して、次の質問をします。

 

 

①どうなっていますか

 

 

②何を楽しいと感じていますか(または何に充実感を感じていますか)

 

 

③周りには誰がいますか(それぞれにどんな態度で接していますか)

 

 

④誰にどんな影響を与えていますか

 

 

⑤大切にしていることは何ですか

 

 

⑥どんな習慣がありますか

 

 

この質問を紙に書き出し、仲間に話すことで、

未来の記憶を充実させることができ、

目標達成の実現可能性があがるのです。

 

 

次に、3年後の課題や目標を達成した前提で、以下の質問を、自分にしてみます。

 

 

①今、どんなお気持ちですか

 

 

②苦労があったとすれば、どんなことですか

 

 

③どうやって、乗り越えたのですか

 

 

④誰に感謝していますか

 

 

⑤3年前のあなたに、ぜひ言葉をかけてください

 

 

この質問の答えを紙に書き、仲間から質問されて答えていくと、

3年後に目標を達成した自分を、リアルにイメージでき、

アイデアが湧いてきます。

 

 

このワークをしたことで、不思議と自分に気付きが生まれましたので、

目標達成に向けて、邁進しようと、ポジティブになることができました。

 

 

何か新しいことに挑戦しようとする時に、このワークをすると、

行動のための第一歩を踏み出せると思います。

 

 

2 支障に向き合う

 

 

2つ目は、支障への向き合い方です。

 

 

課題や目標を設定し、現状を確認した後に、自分の支障と向き合います。

 

 

支障とは、目標達成を妨げる可能性があるものです。

 

 

この支障については、普段、知らず知らずのうちに、

避けて生活しているので、支障と対面することは、正直億劫です。

 

 

とはいえ、この支障を乗り越えなければ、課題や目標達成できません。

 

 

 

コーチングでは、コーチの質問によって、

クライアントが支障を乗り越えるサポートをします。

 

 

私の場合、売上目標があるのですが、毎月の売上の変動が激しく、

売上についての漠然とした不安を抱いています。

 

 

このような心理的支障については、支障を利用するという質問が効果的でした。

 

 

「それが実はメリットだとしたら、どんなことでしょうか」

 

 

「それでもやりたい、という思いは何なのでしょうか」

 

 

このような質問に対する回答を考えていく中で、

自分の中に不安があるから、この不安を払拭しようとして、

様々な打ち手を考え、売上が上がるように努力しようとし、

不安が原動力になっていることに気付きました。

 

 

そう、不安は、自分にとっての原動力だったことに気づけたのです。

 

 

このように、質問に対する回答を考えている時に、気付きが生まれ、

不安という心理的支障をポジティブに転換することができました。

 

 

普段避けている支障と向き合うことで、

気付きが生まれ、行動できるようになるのです。

 

 

3 ラビングプレゼンス

 

 

3つ目は、ラビングプレゼンスです。

 

 

ラビングプレゼンスとは、「相手を信じ、相手にとっての最善が起こりますように、

幸せでありますようにと願いながら、共に在ること」です。

 

 

 

私は、弁護士として、日々、たくさんの法律相談を受けています。

 

 

法律では解決できないことはたくさんあり、法律相談の結果、

相談者に対して、あまりお役に立てないことも、よくあります。

 

 

そのようなときであっても、相談者に対して、

最善が起こりますように、幸せでありますようにと、

心の中で思い、唱えたり、祈るだけでも、

弁護士にとっても、相談者にとっても、

プラスの作用が生まれる気がします。

 

 

ここは、論理的に説明できませんが、ラビングプレゼンスの心構えで、

法律相談をすることで、弁護士と相談者の双方に、プラスの循環が生まれると、

感覚的に思います。

 

 

これからも、コーチングを学んで、弁護士の法律相談に活用していきます。

 

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます。

コーチングのこころとかたち1日目

1 コーチングの勉強をしています

 

 

今年の1月から、弁護士の中原阿里先生が主催している、

ラッセルコーチングカレッジのウェルビーイングコーチングプログラムを受講しています。

 

 

https://coach-b-russel.webnode.jp/

 

 

中原先生とは、弁護士同士でコーチングを学ぶ勉強会でお知り合いになりました。

 

 

https://coach-possibility.com/?fbclid=IwAR1i7J7i4BNW-DKiMWJdeAuarmcON1cZJLsU0TydUhzZIquuXYp7m74gEe0

 

 

中原先生は、日本で最もコミュニケーションスキルの高い弁護士です。

 

 

私は、弁護士として、コミュニケーションスキルを向上させる必要があると考え、

コミュニケーションの勉強をしています。

 

 

日本で最もコミュニケーションスキルの高い弁護士から、

コミュニケーションを学びたいと思い、

中原先生のコーチングプログラムを受講することにしました。

 

 

そもそも、コーチングとは、「思考を刺激し続ける創造的なプロセスを通じて、

クライアントが公私において、自身の可能性を最大化させるように、

コーチとクライアントのパートナー関係を築くこと」です。

 

 

 

 

ようするに、コーチが、クライアントに質問することで、

クライアントの思考が整理され、クライアントの中に、気付きが生まれ、

クライアントの行動が変容し、クライアントが成長していくという、

コミュニケーションです。

 

 

このコーチングにウェルビーイング

(自分と他者の幸福の循環を体感している主観的な状態)をかけ合わせたのが、

ラッセルコーチングカレッジのプログラムなのです。

 

 

さて、今回のコーチングプログラムの講座1の1日目を受講して、

私が得た気付きを3つご紹介します。

 

 

2 ポジティブな変化の起点

 

 

1つ目は、コーチングは、ポジティブな変化の起点になるということです。

 

 

コーチングによって、自分自身を観察しますので、

自分が行っていることの軌道修正をすることができます。

 

 

コーチングを受けることで、自分は、こういうことをやってみたい、

こういうことができるはずだという希望が可視化されます。

 

 

コーチングを受けることで、自分は、

どのような価値観を重視しているのかが明確になります。

 

 

コーチングを受けることで、自分の認知を再度、構築し直すことができます。

 

 

このように、コーチングによって、クライアントは、

ポジティブに行動できるように促されるのです。

 

 

 

弁護士が行う法律相談が、クライアントがネガティブな状態から、

希望をもてるポジティブな状態に変化するためのきっかけになれば、

弁護士としての本領を発揮したことになると思います。

 

 

法律相談では、クライアントのポジティブな変化の起点になっているかを、

意識して考えていきます。

 

 

3 なぜの質問を封印してみる

 

 

2つ目は、WHYの質問を封印するです。

 

 

WHYの質問には、次の3つの副作用があります。

 

 

①WHYの質問をすると、クライアントは、

言い訳を言って、過去を正当化してしまいます。

 

 

②WHYの質問には、批難するニュアンスがあり、

クライアントとの信頼関係が崩れやすくなります。

 

 

③クライアントが思い込みを強化してしまいます。

 

 

そこで、WHYの質問(なぜ、そうしたのですか?)を、

WHAT(その行動で何を得ようとしたのですか?)や

HOW(どのようにすればよかったのでしょうか?)

に置き換えてみるのが効果的です。

 

 

弁護士は、ついつい、WHYを多用しているので、

WHATやHOWに置き換えることができないか、

質問をデザインしてみます。

 

 

 

3 楽観的構想

 

 

3つ目は、楽観的構想です。

 

 

コーチングでは、目標や課題を設定し、現状を把握し、

目標や課題と現状のギャップを埋めていくために、

どのような行動をすべきかを明らかにしていきます。

 

 

この目標や課題の設定において、人は、3つの縛りに拘束されて、

効果的な目標や課題の設定ができないことがあります。

 

 

①評価の縛り(自分はこの程度だろう)

 

 

②結果の縛り(そんなことできない)

 

 

③現状の縛り(~がないからできない)

 

 

この3つの縛りを取り払うためには、次の3つの思考が効果的です。

 

 

①人に天井なし(ありたい姿を描くのに制限不要)

 

 

②不可能に対する健全な無視(結果を先に検証することはできない)

 

 

③必要なものは現れると楽観する(課題は未来であり、現状と異なって当然)

 

 

何かに挑戦しようとする時、上記の3つの縛りによって、

挑戦を躊躇することがありますが、そのような時は、

縛りを取り払う3つの思考によって、

挑戦の一歩を進めることができます。

 

 

コーチングを学び、コミュニケーションスキルを向上し、

選ばれる弁護士になります。

 

 

本日も最後まで、お読みいただき、ありがとうございます。

【転勤命令・残業代請求】会社からの転勤を拒否したら、退職に追い込まれたので、残業代請求をして、305万円の解決金を獲得した事例【弁護士が解説】

1 突然の転勤命令

 

 

会社からの突然の転勤命令。

 

 

転勤を拒否したら、会社から給料を減額される等の嫌がらせを受け、

無理矢理退職させられました。

 

 

このような酷い仕打ちを受けたので、会社に対して、

金銭請求をしたいのですが、可能ですか。

 

 

このように、会社からの転勤命令を拒否したことによって、

不当な仕打ちを受けることはよくあります。

 

 

 

そのような場合、残業代請求をすることで、

会社に対して、一矢報いることができる可能性があります。

 

 

今回は、金沢から福岡への転勤を拒否したクライアントが、

退職に追い込まれたものの、残業代請求をすることで、

会社から305万円の解決金を回収した事例を紹介します。

 

 

クライアントは、実際の年収が、

入社面接の際に会社から提示された年収よりも低かったことから、

会社に抗議をしたところ、金沢から福岡への転勤を命令されました。

 

 

クライアントは、石川県に引っ越してきたばかりであり、

病弱な子供がおり、石川県で安定した仕事に就くために、

この会社に入社したにもかかわらず、

福岡への転勤を命令されたことに納得できませんでした。

 

 

そこで、クライアントは、福岡への転勤には応じることはできず、

金沢で勤務を継続したいと会社に伝えました。

 

 

しかし、会社は、クライアントが金沢で働くことを拒否し、

クライアントを自主退職扱いとし、会社から排除しました。

 

 

このような会社からの酷い仕打ちに納得できないクライアントは、

私のもとに相談にこられました。

 

 

2 証拠保全の申立

 

 

クライアントの話しを聞くと、長時間労働をしているにもかかわらず、

会社から残業代が支払われていないことがわかりました。

 

 

そこで、会社に対して、会社の転勤命令は無効であり、

自主退職手続きは無効であることから、

労働者としての地位が有ることの確認を求めて、

未払賃金を請求し、あわせて、残業代を請求することにしました。

 

 

残業代請求をするためには、労働者が、

この日に何時から何時まで働いたという、

労働時間を証明しなければなりません。

 

 

残業代請求事件では、この労働時間を証明するための証拠を

どうやって確保するのかが、極めて重要になります。

 

 

クライアントの会社には、タイムカードがなかったため、

どうやって労働時間を証明するかを考えたところ、

クライアントは、会社から貸与されたノートパソコンを用いて、

デスクワークをしていました。

 

 

 

デスクワークをしている労働者は、

出社した際に、パソコンの電源をいれ、

帰宅する際に、パソコンの電源を切ります。

 

 

そして、パソコンには、この電源をいれた時刻と電源を切った時刻である

ログデータが自動的に保存されています。

 

 

このパソコンのログデータを確保できれば、

クライアントが何時から何時まで働いたのかを証明できます。

 

 

とはいえ、パソコンは、会社が保管していますので、

労働者がログデータの開示を求めたとしても、

ログデータを勝手に消去するリスクがあります。

 

 

さらに、ログデータは、時間が経過した場合、

自動的に消去されるリスクがあります。

 

 

そこで、証拠保全という手続きを活用しました。

 

 

証拠保全とは、裁判官と供に、証拠が存在する現場へ行き、

証拠の現状を保存し、証拠を確保する手続きです。

 

 

この証拠保全の申立てが認められ、裁判官と供に、会社へ行き、無事に、

クライアントが使用していたパソコンのログデータを確保することに成功しました。

 

 

3 残業代請求で倍返しに成功

 

 

証拠保全手続きで入手した、クライアントのパソコンのログデータをもとに、

労働時間を特定し、残業代を計算しました。

 

 

残業代を計算したところ、400万円くらいの残業代になりましたので、

労働者としての地位の確認、未払賃金請求、残業代請求の裁判を提起しました。

 

 

争点の1つは、福岡への転勤が無効になるかです。

 

 

福岡への転勤が無効になれば、クライアントは、

業務命令違反にならず、退職の意思表示をしていないので、

会社が勝手にクライアントを退職させたことは、無効になります。

 

 

転勤といった、会社の配転命令は、

①業務上の必要性、

②不当な動機目的、

③労働者が被る不利益の程度、

という3つの判断要素を総合考慮して、有効か無効かが判断されます。

 

 

そこで、当方は、①福岡の人員が不足しているのであれば、

福岡の現地で人材を採用すればよく、

クライアントを金沢から福岡へ転勤させる必要がないこと、

②クライアントが、減給や年収が少ないことに抗議したことへの報復のため、

福岡への転勤を命令しているので、会社に不当な動機目的があること、

③クライアントには、病弱な幼い子供がおり、

石川県に家を建てたばかりであり、クライアントが福岡へ転勤する場合、

クライアントの不利益が大きいと主張しました。

 

 

しかし、転勤といった人事については、

会社に広い裁量が認められていることから、

裁判所は、転勤命令については、

無効とは判断できないという考えを抱いていました。

 

 

もう一つの争点である残業代請求については、

パソコンのログデータを確保できたおかげで、

クライアントが優位に裁判をすすめることができました。

 

 

会社からは、ログデータがあるからといって、

その時間、労働していたとはいえないという反論がありました。

 

 

しかし、会社には、労働時間を適正に把握する義務があります。

 

 

会社がタイムカードなどで、労働時間を把握していない以上、

ログデータなどの客観的な証拠で、労働時間が認定されるべきなのです。

 

 

そして、裁判の途中で、裁判所から、和解の提案がありました。

 

 

転勤命令については、当方に分が悪かったのですが、

残業代請求では、当方の言い分が認められる可能性が高いことから、

双方が歩み寄り、最終的には、会社は、クライアントに対して、

305万円の解決金を支払うことで和解が成立しました。

 

 

会社から、酷い仕打ちを受けて、打ちひしがれていたクライアントでしたが、

最終的には、305万円の解決金を獲得し、

会社の対応がおかしかったことが明らかにできて、

クライアントは、満足されました。

 

 

 

このように、会社から酷い仕打ちを受けた場合、

残業代請求で、倍返しができる可能性があります。

 

 

労働問題でお困りの場合には、お気軽に当事務所へお問い合わせください。

パワハラと退職についてわかりやすく解説する徳田弁護士の動画

弁護士ドットコムニュースのチャンネルで、徳田弁護士が、パワハラと退職について、わかりやすく解説する動画が公開されました。

 

パワハラを受けて退職する場合、パワハラの事実を証言してくれる証人を2名確保できれば、ハローワークでパワハラの証明ができ、自己都合退職ではなく、会社都合退職になります。

 

会社都合退職になれば、雇用保険の基本手当(失業給付)を受給する際に、2ヶ月の待機期間がなく、早く受給できるので有利になります。

 

パワハラを受けて退職する場合には、パワハラの事実を証言してくれる人を2名確保できないかを検討してみてください。