忙しすぎる先生を減らすには

公立学校の教師の働き過ぎが問題となっています。

 

 

 

 

労働判例という,労働事件について注目の判例

を紹介している雑誌にも,公立学校の教師の働き過ぎによる

過労死や精神疾患の発症が公務災害となった判例が,

最近,複数紹介されています。

 

 

https://www.kanazawagoudoulaw.com/tokuda_blog/201709242919.html

 

 

https://www.kanazawagoudoulaw.com/tokuda_blog/201709172981.html

 

 

公立学校で長時間労働が生じている原因の一つに,

「効率の義務教育諸学校等の教育職員の給与に関する特別措置法」

(「給特法」といわれています)の存在があげられます。

 

 

給特法3条2項には,

「教育職員については,時間外勤務手当及び休日勤務手当は,支給しない」と定められています。

 

 

ようするに,教師は,時間外労働や休日働いても,

残業代が支払われないのです。

 

 

残業代が支払われない代りに,教師には,

給料月額の4%に相当する「教職調整額」が支給されます。

 

 

このように,教師には,給料月額の4%に相当する

教職調整額が支給されるものの,残業代が支払われない

ことになったのは,教師の勤務態様に特殊性

があるからと説明されています。

 

 

修学旅行や遠足などの学校外の教育活動,

家庭訪問や学校外の自己研修など教員個人での活動,

夏休み等の長期の学校休業期間

といった教師固有の勤務態様のため,

勤務時間管理が困難であるからという理由です。

 

 

給特法があるため,実務上,

勤務の内容や時間数に関係なく,どれだけ働いても,

教師には残業代が一切支払われない扱いになっています。

 

 

そもそも,労働基準法37条で,

労働者が時間外労働をした場合に,

会社が労働者に残業代を支払わなければならない趣旨は,

会社に残業代の支払というペナルティを与えることで,

長時間労働を抑制して,労働者の健康や

ライフワークバランスを守ることにあります。

 

 

そのため,残業代の支払というペナルティがなければ,

会社は,労働者をどれだけでも働かせて,

業績をあげようとするので,長時間労働が横行してしまいます。

 

 

これを教師にあてはめれば,

教師の雇用主である地方公共団体は,

教師をどれだけ働かせても,残業代の支払

というペナルティが生じないので,

教師がどれだけ働いても,何もしません。

 

 

 

そして,難しい子供の対応,

英語やプログラミングといった新しい授業科目への対応,

部活動の担当,クレーマー保護者への対応など,

教師の仕事が増えているのに,雇い主の地方公共団体は,

残業代を支払わなくていいので,長時間労働を

抑制するための対策をとる動機がうまれません。

 

 

その結果,教師の長時間労働が横行して,

疲労が蓄積して,教師の過労死や精神疾患が増えていく

という負のスパイラルにおちいっていくのです。

 

 

教師が働き過ぎで疲弊すると,

よりよい授業ができなくなり,

子供達が影響を受けるので,

早急に対策が求められます。

 

 

まずは,教師の労働時間の管理をしっかりやる

ことが手っ取り早いと考えます。

 

 

労働者は,自分の労働時間を記録していないと,

仕事が忙しいときにはついつい長時間労働をしがちですが,

自分の労働時間を記録して,その記録を振り返ることで,

働き過ぎを自覚して,労働生産性を向上させる

きっかけを得ることができます。

 

 

その他にも,部活動の指導を外部のスポーツトレーナー

にアウトソーシングする,通知表管理や電話対応をシステム化する

という方法で,教師の労働時間を減らす方法も考えられます。

 

 

医師の働き方と同様に,教師の働き方についても,

教育予算の観点から国民的な議論をして,

忙しすぎる先生を少しでも減らせる取り組みが求められます。

部下を成長させるコミュニケーションの技法

7月4日と11月14日のコーチングの勉強会に向けて,

コミュニケーションの勉強をしています。

 

 

私は,コミュニケーションの基本は,

「聞く」ことだと考えています。

 

 

 

 

 「聞く」というスキルを磨くために,

コーチング,コミュニケーション能力検定,ほめ達,NLPなどを学び,

ようやく,相手が話しやすくなるように

聞くことができるようになりました。

 

 

相手の話しを聞いたうえで,次に

「質問する」というスキルが重要になります。

 

 

 

法律相談の場合,クライアントの話しをまず聞いたうえで,

弁護士は,事案の解決のために必要なことを質問して,

情報を集めて,見通しをたてて,

クライアントに解決策を提案します。

 

 

そこで,必要な情報を得たり,

クライアントに気づきを与えるために,

効果的な質問をするスキルを学ぶ必要があるのです。

 

 

質問力を鍛えるために,私のコーチングの師匠である

株式会社シェヘラザードの社長である坂本祐央子さんに,

質問の本について尋ねたところ,

「ヤフーの1on1~部下を成長させるコミュニケーションの技法」

という本を紹介してもらい,読み終わりましたので,

アウトプットをします。

 

 

1on1とは,簡単にいえば,30分程度,

上司が部下とミーティングを行い,

部下の経験を学習に変換する振り返りをすることです。

 

 

1on1の目的は,

①社員の経験学習を促進すること,

②社員の才能と情熱を解き放つことにあります。

 

 

①経験学習の促進ですが,人の成長を決める要素の比率は,

7割が仕事経験から学ぶ,

2割は他者から学ぶ,

1割は研修や書籍から学ぶ

と言われていることから,

仕事の経験を学習に変換すれば,

人は成長することができるのです。

 

 

人が仕事の経験から学ぶには,

具体的な経験→内省(経験を掘り下げる)→

教訓を引き出す(概念化)→新しい状況へ適用する(次の仕事へ活かす)

というサイクルをまわしていくことが必要になります。

 

 

②才能と情熱を解き放つとは,いろいろな仕事を経験して,

上司や職場の仲間から自分を観察してもらい,

経験を振り返りながら自分の職業観について考えていくことで,

社員は,仕事について自分で考えて,

自分の才能に気づき,自分で選んだ仕事に

情熱をもって取り組んでいくことになるということです。

 

 

1on1では,コーチングのスキルが用いられます。

 

 

 

コーチングとは,部下が経験から学び,

次の行動をうながすための質問を主とした

コミュニケーション手法です。

 

 

上司は部下に対して,「成功した要因は?」,「根源的な問題は?」

という質問を行い,部下は,自分の中で問への答えを探し,

それを言葉にして上司に伝えます。

 

 

部下は,質問に答えていく過程で,思考が言語化されて,

出来事を振り返ることができ,頭の中が整理されて,

部下のなかでまだ得られていない解決策を

部下自身が得られることができるようになります。

 

 

上司は,最後に,部下が経験から学んだことから,

次の行動を決定する方向へ導きます。

 

 

その際,上司は,部下に答えを示すのではなく,

部下が自力で答えを見つけるのをサポートします。

 

 

人は,誰かから指示されたことよりも,

自分で思いついたことの方がやる気がでて,

達成しやすくなるからです。

 

 

上司と部下の関係に,コーチングを導入するための

具体的なノウハウが学べつ一冊です。

 

 

私は,質問力を磨いて,法律相談の質を高めていきます。

ほめる達人という生き方

昨日,一般社団法人日本ほめる達人協会の

ほめ達検定3級講座を受講しました。

 

 

 

ほめることで,相手は喜び,その喜びがめぐりめぐって

自分にかえってきて,自分も嬉しくなるので,

ほめることは大事なことです。

 

 

そう思っていながら,身近な人をほめるのは,

なぜか恥ずかしくて,しっかりとほめていない自分がいました。

 

 

また,どのようにほめると効果的なのか

ということも気になっていました。

 

 

そこで,ほめるを学ぼうと思い立ちました。

 

 

ほめるとは,人・モノ・起きた出来事の

価値を発見して伝えることです。

 

 

 

 

人は,本能として,家族といった身近にいる

当たり前の存在に対して,嫌なところをみつけたり,

不満をぶつけたりしてしまいます。

 

 

「ありがとう」の反対は「当たり前」なのです。

 

 

当たり前の闇に光を届けるのが

ほめるということなのです。

 

 

ほめることで,ほめ脳が活性化します。

 

 

物事は常に多面体なので,自分の見え方が絶対ではありません。

 

 

 

 

このだまし絵を見れば,

遠くを見ている若い女性と見る人もいれば,

老婆と見る人もいます。

 

 

他人は,自分とは絶望的に違うので,

お互いが違っていることを知り,

自分がもっていない他人の価値観を統合して,

今までわかなかったプラスのアイディアがうまれます。

 

 

ほめるとは,他人の脳を借りて,

自分の脳を活性化することにつながるのです。

 

 

さて,ほめ達の人は,次の言葉を口癖にします。

 

 

「すごい」,「さすが」,「すばらしい」

 

 

この3つをほめ達3Sといいます。

 

 

他人がプラスのことをしたら,「うん,かんぺき」と返します。

 

 

他人がマイナスのことをしたら,「そうくるか」,「惜しい」と返します。

 

 

また,小さな事実+「ありがとう」で当たり前に感謝できます。

 

 

例えば,家族の場合,

「子供の面倒をみてくれて,ありがとう」,

「美味しいごはんを作ってくれて,ありがとう」

というふうに感謝を伝えれば,相手が喜びます。

 

 

他にも,あいさつ+一言,名前,ワンアクション

という二言あいさつも,相手に感謝を伝えるのに効果的です。

 

 

「おはよう」だけではなく,

「おはよう,今日もよろしく」,「~さん,おはよう」にしたり,

歩きながらあいさつするのではなく,

立ち止まってあいさつするに変えるといいのです。

 

 

 

ほめる以外にも,西村貴好理事長の講演のなかで,

多くの気づきを得ることができました。

 

 

話を聞くことがプレゼンになるという気づきです。

 

 

プレゼンを聞く際に,

①全力で拍手をする,②うなづく,③笑顔を実践すると,

聞き手と話し手との間に一体感が生まれて,

話し手は,話しやすくなり,

もっといい情報を伝えようという思いが強くなり,

聞き手は,よりよいプレゼンを聞くことができるのです。

 

 

①全力で拍手をすると,手のつぼが刺激されて,脳が活性化します。

 

 

②うなづくことで,免疫力が向上して,

アンチエイジングに効果があるようです。

 

③笑顔になると脳が活性化し,自分の笑顔が他人を笑顔にします。

 

 

また,人が成長し続ける3つのポイントにも気づきました。

 

 

①今,学んでいることを自分ができているか内省する。

 

 

②自分に置き換えて考えてみる。

 

 

③3つのD(どうせ,でも,だって)を言わずに,実践する。

 

 

この3つが成長し続ける人の共通点です。

 

 

 

ほめ達講座で学んだコミュニケーションのスキルを実践して,

自分の周りにあるダイヤの原石を探していきます。

2000人の崖っぷち経営者を再生させた社長の鬼原則

私が365日ブログを更新するきっかけ

を与えてくれたのが,板坂裕治郎師匠です。

 

 

(板坂裕治郎師匠)

 

私は,板坂師匠のブログセミナーに参加し,

365日ブログを書いたら,圧倒的な自信がついて,人生変わるでぇ。」という,板坂師匠のメッセージにひかれて,

ブログを毎日更新するようになりました。

 

 

その板坂師匠が,これまでの中小零細弱小家業の社長を

再生させてきた経験をもとに,ご自身の思考法や,

具体的な経営のノウハウをふんだんに盛り込んだ本

を初めて出版されました。

 

 

その本が,

2000人の崖っぷち経営者を再生させた社長の鬼原則」です。

 

 

 

 

板坂師匠は,社長の4大疾病である

「怠慢」,「傲慢」,「自堕落」,「無知」

を克服するために,社長が学ぶべき経営の具体的なノウハウ,

お金との付き合い方などを,この本で分かりやすく解説しています。

 

 

なぜ分かりやすいのかといいますと,

板坂師匠の過去のすさまじい失敗体験が赤裸々に語られたうえで,

板坂師匠が過去の失敗体験から学んだ教訓を,

自分自身の言葉で(人情味のある広島弁で)熱く語られているので,

圧倒的に共感できて,自分のこととして納得できるからなのです。

 

 

板坂師匠は,過去にヤミ金などから1億円の借金をして,

倒産寸前までに追い込まれたにもかかわらず,

見事復活し,今も借金返済を継続しながら,

多くの中小零細弱小家業の社長の

コンサルタントとしてご活躍されています。

 

 

この強烈な失敗体験があるからこそ,

同じ境遇にある中小零細弱小家業の社長の苦難がよく分かり,

ご自身が体得した経営のノウハウを,

圧倒的な自信に裏付けられた自分のメッセージで表現できるので,

相手に共感されて伝わるのです。

 

 

さて,この本を読んで,私が得た気づきをアウトプットします。

 

 

まずは,人との出会いを増やすことの重要さです。

 

 

人生には何回か大きなチャンスが巡ってきますが,

そのチャンスの種は必ず出会った誰かが持ってきてくれます。

 

 

チャンスの種はいつも新たに出会った人が運んできます。

 

 

そのチャンスの種をつかんで,

次につなげられるかは自分の力量によりますが,

チャンスを与えてくれるのは必ず他の人なのです。

 

 

チャンスの種をつかむためには,

多くの人と出会った方が,確率があがります。

 

 

そのため,多くの人と出会うことが重要になります。

 

 

 

 

人は成長するから,付き合う人も,

自分を取り巻く環境も変わっていくのです。

 

 

自分のことを振り返ると,私は大学3年生のときに,

インターンシップで法律事務所で職場体験したことが,

弁護士になるきっかけを与えてくれました。

 

 

自分からインターンシップに応募して,

インターンシップ先の先生に出会わなければ,

今の自分はなかったのです。

 

 

今は,子育て中で時間的な制約がありますが,

タイムマネジメントをしっかりして,新しい出会いを創造していきます。

 

 

次に,経営は「想い」と「経済力」の両輪でうまくいくことです。

 

 

金儲けだけでは,会社の経営はうまくいきません。

 

 

社長が経営者としての自分の熱い想いを

見える化して公表していれば,社員や取引先に共感が生まれて,

経済力のトラブルが生じても協力者が現れて,

社長の覚悟が決まり,社長自身が変化して,苦難を克服できるのです。

 

 

板坂師匠は,

熱い想い→見える化→公表→共感→協力者→覚悟→変化

を「人生が変わる7つのステップ」と表現しています。

 

 

私は,自分が弁護士になろうと決意したときの熱い想いを,

今一度振り返り,自分の強みを掘り下げて,

見える化して公表していきます。

 

 

そして,知識を体験とミックスさせて智恵に変えることです。

 

 

知識をインプットして,頭の中で考えているだけでは,

時間だけが過ぎていき,機会を失うことがあります。

 

 

知識を借り物ではなく,確固たる自分のものにしていくためには,

自らの言葉としてアウトプットしていかなければなりません。

 

 

アウトプットした知識だけが,

自分の耳に帰ってきて頭の中の本棚にきれいに整理されます。

 

 

この作業を繰り返すから知識が自分の血となり肉となります。

 

 

失敗を恐れずに,行動しながら考えて,失敗から学べばいいのです。

 

 

まずは,動くことです。

 

 

私は,インプットが多い傾向にありますので,

ブログなどをつうじてアウトプットの比率をあげていきます。

 

 

人生をどう生きるかという根本的なところまで考えさせられる名著です。

 

 

中小零細弱小家業の社長の必読の一冊として紹介させていただきます。

石川県で労災事故が増えている

石川労働局の統計によれば,平成28年の

石川県内の労災による死傷者数は987人であったのに対し,

平成29年には1153人に増加しました。

 

 

16.8%の増加です。

 

 

 

石川県の飲食業界では,前年比27.6%も増加しました。

 

 

6月10日の北陸中日新聞の記事では,

労災が増加した原因に人手不足があると指摘されています。

 

 

ある飲食店では,人手不足のために,

労働者は,休むことができずに,疲労がたまり,

働いている最中に意識が遠のき,

足を滑らせて床に体をうちつけて,

骨折してしまいました。

 

 

ある介護施設では,人手不足のために,

一人で多くの利用者を担当することになり,

利用者の入浴介助の後に転倒して肩を痛めました。

 

 

石川県内の労働現場では,人手不足のために,

休めなかったり,一人で多くの仕事を

しなければならなくなったりして,疲労がたまり,

疲労の状態のまま仕事をして,ミスが生じて

労災事故が発生していると考えられます。

 

 

また,白山市の製紙会社の工場で,

労働者3人がタンクに転落して死亡するという

痛ましい労災事故が発生しました。

 

 

さて,ここからは,転倒や転落といった労災事故

にまきこまれてしまった場合の対処法について説明していきます。

 

 

労災事故にまきこまれて,けがを負った労働者は,

まず,労働基準監督署へいき,

労災保険給付の請求を行うべきです。

 

 

事故が労災と認定されれば,

治療費を自分で負担する必要がなくなり,

会社を休むことになれば,休業補償を受けれますし,

後遺障害が残れば,障害の程度に応じて給付を受けられます。

 

 

会社が労災請求の手続を代行してくれることがありますが,

労災請求用紙を労働基準監督署へ提出する前に,

労働者が自分で事実関係に誤りがないかチェックするべきです。

 

 

会社は,労災が発生した場合,労働基準監督署に

報告する義務がありますので,労災隠しは違法なのです。

 

 

労災と認定されて,給付が受けられたとしても,

労災保険だけで,労災事故によるけがの補償が

完全になされたことにはなりません。

 

 

労災保険は,政府による最低限の補償であって,

労災事故によって労働者が被った損害のすべてを

補償するには不十分です。

 

 

例えば,慰謝料は,労災保険の補償の対象外となっています。

 

 

そこで,労災保険給付では足りない部分について,

会社に対して,損害賠償請求をすることになります。

 

 

この会社に対する損害賠償請求では,

会社に「安全配慮義務」違反があったか否かが争点になります。

 

 

安全配慮義務とは,会社は,労働者の生命・健康を

危険から保護するように配慮しなければならないという義務です。

 

 

会社は,直接労働契約を締結している労働者

に対して安全配慮義務を負うのは当然ですが,

直接労働契約を締結していない労働者に対しても

安全配慮義務を負うことがあります。

 

 

例えば,建設現場などで,

いくつもの元請・下請関係が存在し,

建築資材や機械を元請が準備し,

工事現場の安全管理や現場作業員への指示を

元請業者が行っている場合,

元請業者は,下請業者の労働者と直接労働契約

を締結していませんが,下請業者の労働者に対して,

安全配慮義務を負うことになります。

 

 

 

そのため,下請業者に資力がなくて,

下請業者に損害賠償請求をしても,

損害賠償金を回収できないおそれがあっても,

元請業者に対して,損害賠償請求を

することが可能になるのです。

 

 

石川県で労災事故が増加している今,

労災事故にまきこまれてしまったら,

労災保険給付を受け,会社に対して,

損害賠償請求をするのかを検討することをおすすめします。

朝の時間を有効活用することで仕事効率をあげる

本日は,私が毎朝実践している時間術

について紹介していきます。

 

 

私は,精神科医の樺沢紫苑先生の著書「神・時間術」

に記載されている朝の時間の使い方を,そのまま実践しています。

 

 

 

まず,朝起きてから2~3時間が

脳のゴールデンタイムと言われています。

 

 

朝起きてから2~3時間の時間帯は,

脳内が非常に整理されています。

 

 

睡眠中に頭の中が整理整頓されているので,

朝起きた直後の脳は,

「片付けられて何も載っていないまっさらな机」

のような状態になっています。

 

 

片付けられて何も載っていないまっさらな机

の状態であれば,広々とスペースが使えるので,

仕事の効率があがります。

 

 

そのため,朝起きてから2~3時間が

最も脳のパフォーマンスが高い時間帯になるので,

この時間帯に,高い集中力を求められる仕事をすれば,

仕事を効率的にすすめることができます。

 

 

 

脳のゴールデンタイムには,

論理的な作業,文章執筆,語学の学習

などが適しています。

 

 

私は,最近,毎朝午前7時~7時30分の間

に事務所に出社して,最初の仕事としてブログを書いています。

 

 

ブログも仕事です

 

 

ブログを書くには,

どのような内容で,

どのような順番で書こうか,

どのように表現すれば読者に伝わるのか,

など様々なことを考えますので,

高い集中力が求められます。

 

 

そこで,高い集中力を発揮できる,

朝起きてから2~3時間以内の時間帯に

ブログを書くようにしています。

 

 

午前7時~午前8時15分までは,

事務所には誰もいませんし,電話もかかってこないので,

書くことに集中できます。

 

 

結果として,早く書くことができます。

 

 

ブログを書き終えてから,

裁判所に提出する文書を作成したり,

事件の記録や文献を読むようにしています。

 

 

以前は,朝の時間に,メールチェックをしていました。

 

 

しかし,メールチェックは,

集中力が高くない状態でも行うことが十分可能な仕事です

(返信に頭を悩ませるメールもありますが・・・)。

 

 

そこで,朝,メールチェックをするのをやめて,

文書を作成するようになってから,仕事の効率があがりました。

 

 

メールを午後の時間に,まとめてチェックして,

一気に返信するようにしています。

 

 

メールを即座に返信することも大事ですが,

メールの返信が午後になったからといって

業務に支障はでていません。

 

 

また,私は,以前,朝ごはんを食べながら,

テレビの情報番組をみていました。

 

 

朝の情報番組をみて,なんとなく

世の中の動きをつかんだ気になっていました。

 

 

しかし,朝テレビを見ると,

整理整頓された脳に雑多な情報が入り,

ちらかった机の状態になり,

集中力を発揮できなくなるのです。

 

 

朝の情報番組をみることが,自己成長に

大いに役立つかといえば,そうではなかったなと思い,

今では,朝テレビをみることなく,

朝ごはんを食べながら,仕事の段取りを考えています。

 

 

朝情報番組を見なくても,新聞を読めば,

世の中の動きは理解できます。

 

 

皆様も,朝の時間を有効活用して,

仕事の効率をあげてみてはいかがでしょうか。

パワハラ・セクハラで懲戒解雇されても無効になるのか

財務省の森友学園問題で佐川前理財局長の

懲戒処分が注目されたことに関連して,本日は,

懲戒解雇についてある裁判例を紹介します。

 

 

国立大学の大学院の教授が講師や助教授に対して,

パワハラやセクハラをしたとして,懲戒解雇されました。

 

 

 

 

しかし,この教授は,懲戒解雇は無効であるとして,

裁判をおこしました

(国立大学法人群馬大学事件・

前橋地裁平成29年10月4日判決・

労働判例1175号・71頁)。

 

 

裁判では,本件懲戒解雇の手続に違法

あったかが一つの争点となりました。

 

 

大学は,原告の教授に対して,

まずは諭旨解雇をすると告げました。

 

 

これに対して,原告の教授は,

いったん持ち帰ってから,諭旨解雇に応じるかを

検討したいと回答しました。

 

 

すると,大学は,この場で諭旨解雇に応じない

のであれば懲戒解雇にすると告げました。

 

 

原告の教授が,諭旨解雇を告げられてから1時間後に,

諭旨解雇の応諾書にサインすることなく

帰宅しようとしたので,大学は,

原告の教授に対して,懲戒解雇を告げました。

 

 

ここで問題になるのは,諭旨解雇を告げてから

1時間後に労働者が応じなかったときに,

懲戒解雇ができるのかという点です。

 

 

諭旨解雇とは,退職届の提出を促して,

即時退職を求めて,期間内に応じない場合

には解雇するという懲戒処分です。

 

 

諭旨解雇は,労働者が期間内に退職届の

提出をしなかった場合,解雇されるという

強制された状況で退職届を提出させられるので,

退職勧奨に応じて自主退職することとは異なります。

 

 

退職勧奨は,任意に退職を促すものなので,

労働者は,退職勧奨に従わなくても解雇されません。

 

 

諭旨解雇は,労働者としての身分を失わせる

懲戒処分なので,懲戒解雇の次に重い処分になりますので,

裁判で争われた場合には,厳しく審査されます。

 

 

本判決では,大学は,原告の教授が,

諭旨解雇に応じるか否かを検討するのに必要な時間を聞き取り,

回答期限を設定すべきであったのに,

これをしていないことから,

解雇手続に違法があったと判断しました。

 

 

もっとも,原告の教授が諭旨解雇の

回答期限が経過すれば,日を改めて懲戒解雇

されていたことから,解雇手続の違法は軽微であり,

これだけでは,懲戒解雇そのものが

無効にはならないとされました。

 

 

そのうえで,原告の教授には,パワハラやセクハラ

の事実は認められたのですが,内容や回数が限定的であり,

業務上の必要性が全くないわけでなく,

ことさらに嫌がらせをする目的があったわけでもないため,

悪質性が高いわけでないとされました。

 

 

そして,原告の教授は,過去に懲戒処分を

受けたことがなく,ハラスメントの一部を認めて,

反省の意思を示していました。

 

 

そのため,原告の教授に対して,

懲戒解雇は処分として重すぎると判断されて,

結果として,懲戒解雇は無効と判断されました。

 

 

論理があっちこっちいってわかりにくかったかもしれませんが,

ようするに,解雇手続の違法は軽微なので

それだけでは懲戒解雇は無効にならないけれども,

原告の教授のパワハラ・セクハラの内容や回数,

過去に懲戒処分を受けておらず,

反省していたことを考慮して,

懲戒解雇は重すぎるので無効となったのです。

 

 

懲戒解雇は,労働者に対して,

経済的にも社会的にも大きな損失を与えるので,

裁判では,かなり慎重に審査されます。

 

 

よほどひどいことをしていないのに

懲戒解雇された場合には,裁判で争えば,

懲戒解雇が無効になる可能性があります。

 

 

そのため,財務省の森友学園問題で,

佐川前理財局長が懲戒免職とされなかったのは,

妥当なのだと考えます。

目標実現の鍵となるもの

昨日,石川県倫理法人会のスペシャルナイトセミナーにおいて,

飯山晄朗さんの「目標実現の鍵となるもの」

という講演を聞いたので,アウトプットします。

 

 

 

飯山さんは,オリンピックの金メダリストや

プロ野球選手などのメンタルコーチをして結果を残し,

4冊の本を出版し,全国各地で講演をするなど,

素晴らしいご活躍をされている方です。

 

 

飯山さんは,昨日の講演で,目標を実現するには,

3つのことを管理することが重要であるとおっしゃりました。

 

 

それは,①目標,②イメージ,③感情の3つです。

 

 

①目標の管理については,数値化して記録に残していきます。

 

 

②イメージの管理については,

人は潜在意識につくられた枠にとらわれているので,

その枠を突破していかないと自己成長できません。

 

 

 

潜在意識の中には,日々繰り返されている

経験や思い込みが入っていて,人は,

その潜在意識にあるイメージどおりになります。

 

 

ということは,潜在意識の中身をマイナスのイメージ

からプラスのイメージに変えてしまえば,人は,

プラスのイメージを実現して,

目標を達成していくのです。

 

 

潜在意識を変えるには,イメージを司る,

右脳に感情を伴うプラスのイメージを記憶させます。

 

 

具体的には,イメージトレーニングを毎日繰り返して,

記憶力が強い右脳のイメージを上書きしてプラスにしていきます。

 

 

 

右脳に感情を伴うプラスのイメージを記憶させるには,

③感情をコントロールする必要があります。

 

 

人は,自分が成功するために,やらなければならないこと

を分かっていますが,それがなかなかできません。

 

 

ダイエットで考えれば,体重を減らすためには,

運動をしなければなりませんが,

毎日運動をするのがしんどい,めんどくさい

と感情がはたらけば,人は,運動をしません。

 

 

これに対して,ダイエットのための運動が,

ワクワクする,楽しいと感情がはたらけば,

毎日運動を続けることができて,その結果,

体重が減少し,ダイエットに成功するのです。

 

 

すなわち,人は,楽しいことしか続けることができないので,

やらなければいけないことを,

いかにワクワクして行動できるかが重要になります。

 

 

ここでポイントになるのは,

脳は,見たり聞いたりした入力よりも,

発した言葉や動作といった出力を信じる特徴があるので,

毎日の言葉や動作をプラスの出力に意識して変えることで,

ワクワクする楽しい感情にすることができるのです。

 

 

私は,最近,鏡の前で,

笑顔になりながら,右手でガッツポーズをして,

「ワクワクしている」とつぶやくようにしています。

 

 

仕事がうまくいかなくて落ち込んだり,

ブログを毎日書くのが辛くなったときには,

上記のようなプラスの言葉と動作の出力をして,

感情をプラスに動くようにしています。

 

 

イメージと感情をコントロールして,

ワクワクしながら,ブログを更新していきます。

ハラスメント禁止の世界基準作り

国際労働機関(ILO)は,働く場での

暴力やハラスメントをなくすための条約

をつくる方針を決めました。

 

 

 

ILOがハラスメントをなくすための条約を作成し,

日本がその条約を批准すれば,今の日本には,

ハラスメントを禁止する法律がないので,

日本は,ハラスメントを禁止する法律を

整備しなければならなくなります。

 

 

ハラスメントを禁止する法律が成立すれば,

労働者は,これまでは泣き寝入りを強いられていたのが,

ハラスメントは違法であると訴えやすくなります。

 

 

また,会社は,職場でハラスメントが起きると,

労働者から訴えられるリスクがありますので,

そのリスクを回避するために,積極的に

ハラスメントを防止する対策をとるようになります。

 

 

労働問題の法律相談を受けていると,

職場のパワハラに関する相談が

多くなっていると実感しています。

 

 

6月8日に実施された,日本弁護士連合会主催の

労働ホットライン(電話による労働の法律相談)では,

金沢弁護士会に8件の電話相談があり,

そのうち3件がパワハラに関する相談でした。

 

 

労働局の労働相談においても,

「いじめ・嫌がらせ」が年々増加しており,

相談内容の中ではパワハラが一番多いようです。

 

 

 

 

今最も労働者が悩んでいるハラスメント

を防止するためには,職場におけるハラスメント

が許されない行為であることを社会に広く知ってもらい,

会社に対して,職場におけるハラスメントの

予防・解決のための措置義務を課す必要があります。

 

 

さて,ハラスメントに関して,判例を一つ紹介します。

 

 

パワハラを苦に自殺した労働者の遺族が,

会社に対して損害賠償請求をした事件において,

合計5574万6426円の損害賠償請求が認められました

(乙山青果ほか事件・

名古屋高裁平成29年11月30日判決・

労働判例1175号26頁)。

 

 

本判決では,社会通念上許容される

業務上の指導の範囲を超えて

精神的苦痛を与える注意・叱責行為(パワハラ)

を会社が制止したり,改善するように

注意・指導する義務が会社にはあり,

本件会社は,その義務を怠ったと認定されました。

 

 

また,会社は,労働者の自殺を予見すること

ができなかったと争いましたが,

会社が労働者のうつ病発症の原因となる事実や状況

(パワハラが行われていたのに会社が何もしなかったこと)

を認識し,あるいは容易に認識することができた場合には,

労働者が業務上の原因で自殺することを

予見することが可能であったとされました。

 

 

パワハラによって労働者がうつ病になり,

自殺することが現実に起きている時代状況にてらして,

会社の予見可能性を広く捉えたのです。

 

 

現実に,ハラスメントを苦に自殺する悲劇が起きているので,

ハラスメントを禁止する法律が早急に制定することが重要であります。

 

 

ILOで,どのような内容の条約が

制定されるのか注目していきます。

アルバイト職員と正社員の賃金格差は不合理か?

今年の6月1日に,ハマキョウレックス事件

と長沢運輸事件の最高裁判決があり,

労働契約法20条が注目されています。

 

 

今日は,アルバイト職員と正社員の労働条件

の違いが労働契約法20条に違反するかが争われた,

学校法人大阪医科薬科大学事件

(大阪地裁平成30年1月24日判決・労働判例1175号5頁)

を紹介します。

 

 

大阪医科薬科大学の事務職員は,

正職員,契約職員,アルバイト職員,嘱託職員

の4種類に分かれており,

正職員には,雇用期間の定めがありませんが,

契約職員,アルバイト職員,嘱託職員には,

雇用期間の定めがあり,雇用期間が満了すれば,

職を失う可能性がある不安定な立場にあります。

 

 

アルバイト職員である原告の時給は950円で,

フルタイムで換算すると月額15万円から16万円の範囲となります。

 

 

 

他方,正社員の初任給は19万2570円です。

 

 

アルバイト職員と正社員の間には,

約2割程度の賃金水準の違いがあります。

 

 

さらに,正社員には,賞与が支給されていますが,

アルバイト職員には,賞与が支給されていません。

 

 

その結果,賞与を含めた年間の給与の総支給額

を比較すると,原告の給与は,新規正職員の

約55%程度の水準になっていました。

 

 

そこで,原告は,正職員との賃金格差が

労働契約法20条に違反すると主張して,

裁判をおこしました。

 

 

 

労働契約法20条は,

仕事の内容や責任の程度などを考慮して,

正職員と非正規雇用労働者との労働条件の違いが

不合理であってはならないと規定されています。

 

 

本件においては,大阪医科薬科大学の正職員は,

学校法人全体に影響を及ぼすような

重要な施策の事務を行うことがあり,

責任も重いものがあり,別の部署への異動もありました。

 

 

他方,アルバイト職員は,

書類のコピーやパソコンへの登録といった

定型的な事務が多く,他の部署へ異動することは

基本的にありませんでした。

 

 

さらに,学校法人内部の登用試験に合格すれば,

アルバイト職員から正職員になることも可能でした。

 

 

これらの事情を考慮すると,

アルバイト職員の原告の給与が新規採用の正職員の

給与の約55%の水準であっても,この給与の違いは,

不合理とはいえないと判断されて,原告が敗訴しました。

 

 

ざっくりと言ってしまえば,

正職員とアルバイト職員とでは,

仕事内容や異動範囲が違うので,

賃金に約55%程度の格差があっても問題ないとされたのです。

 

 

個人的には,どこまで仕事内容が違っているのか

微妙なところもありますので,賃金格差が55%も

開いてしまっているのであれば,是正される余地が

あるのではないかと思います。

 

 

また,大阪医科薬科大学の正職員は,

附属病院を受信した場合,医療費が

月額4000円を上限に補助されていましたが,

アルバイト職員には,医療費の補助はありませんでした。

 

 

この医療費の補助については,

学校法人に広い裁量が認められているので,

正職員にだけ医療費の補助をして,

アルバイト職員に医療費の補助をしなくても

不合理ではないと判断されました。

 

 

しかし,この医療費の補助については,

正社員だけを特別に優遇する必要性が

どこまであるのか疑問ですので,

不合理な格差に該当すると考えます。

 

 

給与や賞与の格差を争う対応の事件では

労働者に不利な判決がだされていますが,

ハマキョウレックス事件のように手当を争う事件であれば,

手当の内容などが慎重に審査されて,

労働者に有利な判決がだされる傾向にあります。

 

 

今後,労働契約法20条をめぐる裁判

が増えていくので,裁判の流れに注目していきます。