いい緊張は能力を2倍にする

精神科医の樺沢紫苑先生の最新刊

「いい緊張は能力を2倍にする」を読みましたので,

気づきをアウトプットします。

 

 

 

 

この本には,緊張をコントロールし,緊張を味方につけて,

最高のパフォーマンスを発揮できるようになるためのノウハウが

脳科学と心理学に裏付けられた知見をもとに,

分かりやすく説明されています。

 

 

私は,仕事柄,人前で話すことに慣れていて,

そんなに緊張する方ではないのですが,

樺沢先生の著書を何冊も読んでいると,

重要な部分を何回も復習することができて,知識が定着します。

 

 

また,最近,SBT(スーパーブレイントレーニング)や

NLP(ニューロンランゲージプログラム)

で脳の仕組みを学んだので,

そこで得た知識と樺沢先生の著書

に記載されている内容が合致して,

さらなる学びになりました。

 

 

さて,「適正緊張」という,

最も高いパフォーマンスができる状態になるには,

①副交感神経を優位にする,

②セロトニンを活性化する,

③ノルアドレナリンをコントロールする,

という3つことを実践すればいいのです。

 

 

 

これらの中から,私の気づきを

3つ紹介させていただきます。

 

 

まずは,深呼吸と笑顔です。

 

 

深呼吸をすることで,副交感神経を

優位にすることができます。

 

 

ここで重要なのは,正しい深呼吸を

いつでもできるように,普段から正しい

深呼吸の練習をしておくことです。

 

 

正しい深呼吸の方法とは,次のとおりです。

 

 

1 全て息を吐ききる

2 細く長く吐く

3 腹式呼吸(横隔膜を上下させる)

4 呼気は吸気の2倍以上の時間で

5 10秒以上かけて吐く

 

 

 

この正しい深呼吸を普段の生活で練習して習慣化します。

 

 

特に,負荷がかかったり,

ストレスが強い状況で深呼吸の練習をすると,

より実践的な深呼吸を身につけることができるのです。

 

 

私は,次に妻とケンカをした際に,

正しい深呼吸をして,怒りの感情をコントロールして,

ストレスを最小限にとどめていきます。

 

 

笑顔になれば,副交感神経が優位になり,

またセロトニンが活性化するので,

普段から笑顔になるトレーニングが必要です。

 

 

樺沢先生は,ひげ剃りをしているときに

鏡を見ながら笑顔トレーニングをしているようです。

 

 

私は,ひげが濃い方で,ひげ剃りをする時間が長いので,

ひげ剃りの時間を利用して,早速,

鏡を見ながら笑顔のトレーニングを始めました。

 

 

弁護士は,接客の機会が多いので,

クライアントに笑顔で接すれば,

法律問題で悩んでいるクライアントが

少しでも安心すると考えます。

 

 

次に,ポジティブな言葉をつぶやくと,

緊張しすぎを緩和することができます。

 

 

ポジティブな言葉を口に出して発することで,

よいことが起こることをアファメーションといいます。

 

 

私は,フォトリーディングという読書法を学んだときにはじめて,

アファメーションを知りましたが,

アファメーションを唱えることで,

自然とリラックスできたり,やる気がでたりします。

 

 

これを脳科学的に分析すると,

アファメーションによって自分に言い聞かせたことで,

脳の中の脳幹毛様体賦活系(RAS)という部位が活性化し,

目標達成の情報が集まり,

それが過去の知識や体験と結びついて,

実際に発した言葉が実現するのです。

 

 

日頃から,ポジティブな言葉を発することを習慣化すれば,

自分の状態や感情を自分でコントロールできるようになれるのです。

 

 

「私は,ワクワクしている」

「私は,~までに~という目標を達成している」

というポジティブな言葉をつぶやくことを習慣にしていきます。

 

 

最後に,プレゼンをする際には,聴衆に感謝するということです。

 

 

聴衆は,貴重な時間を割いて,

自分の話をわざわざ聞きに来ていただいているので,

そのことに感謝すれば,その方々のために,

一生懸命にプレゼンをして,何かを持ち帰ってもらおう

という気持ちになり,我欲が消えて,

謙虚な気持ちでプレゼンを実施できます。

 

 

私は,次からプレゼンをする際に,

聞きに来ていただいた方々に対して,

感謝の言葉を伝えてから,プレゼンを実施します。

 

 

日々の生活で実践し,習慣化すれば,

圧倒的な自己成長ができるノウハウが満載の本ですので,

一読をおすすめします。

ブログを続けるコツとは

昨日,石川ブログセミナー60期のメンバーと

2ヶ月会の懇親会を開催しました。

 

 

毎日更新ブログを始めて1ヶ月を経過して

2ヶ月目に突入したので,2ヶ月会というわけです。

 

 

この2ヶ月会に,私を板坂裕治郎師匠のブログセミナーに招待していただいた

税理士の小林弘昌先生(通称こばん)も参加されていました。

 

 

小林先生のブログ→https://ameblo.jp/arcceed21/

 

 

小林先生は,税理士業務が忙しいにもかかわらず,

既に福井のブログセミナーで365日ブログ更新を達成している敏腕税理士です。

 

 

私は,小林先生に質問しました。

 

 

「365日ブログを続けることができた,ひけつはなんでしょうか?」

 

 

小林先生の答え。

 

 

「僕は毎日続けようと思っていません。

今日書くだけです。明日書くかは分かりません。」

 

 

私は,この答えを聞いて,小林先生は

今を生きる人なのだなぁと感じました。

 

 

 

明日のことは考えずに,今に集中する。

 

 

今に集中するから,毎日ブログを更新できるのです。

 

 

明日以降のブログをどうしようと考えていると,

明日に対する不安が強くなって,

ブログを書くのが嫌になり,

ブログを辞めてしまうのです。

 

 

同じことを,精神科医の樺沢紫苑先生が

「ムダにならない勉強法」

という著書で次のようにおっしゃっています。

 

 

「『続けよう』と思うから,続けられないのです。

あなたが『続かない』最大の理由は,

『続けよう』と思うからです。」

 

 

「『今日1日だけやればいい!』と思えば,楽なものです。

とりあえず,今だけやる。今,全力でやる。」

 

「『毎日必ず』と意気込むほど,続けられなくなるのです。

『ほぼ日刊』くらいの,『ゆるい』気持ちで取り組むと,

勉強,スポーツ,情報発信でも何でも,意外と長く続けられるものです。」

 

 

メルマガ,Facebook,You Tubeをほぼ毎日更新し続けている

樺沢先生がおっしゃるのですから,続けるための究極のコツは,

とりあえず,今だけ全力でやる」ということのようです。

 

 

さて,昨日のブログでも投稿しましたが,

毎日ブログを更新するのは正直「辛い」です。

 

 

「辛い」ままですと,脳からストレスホルモン

が分泌されて,ブログを続けることができなくなります。

 

 

ブログの更新が「楽しい」と,脳内でドーパミン

が分泌されて,ブログを継続できると思います。

 

 

そこで,懇親会でブログを「楽しく」するコツについても質問してみました。

 

 

あわら市でビューティーサロンを経営している

清佐真弓さん(通称まぁちゃん)の答えは,

「読者からの反応」です。

 

 

清佐さんのブログ→https://ameblo.jp/mayumi-seiza/

 

 

読者からの反応があると,

楽しくなってブログを続けられるのです。

 

 

読者からの反応をもらうためには,

読者が喜ぶブログを書く必要があります。

 

 

読者が喜ぶブログとは,板坂裕治郎師匠が提唱する

NJE」ブログなのです。

 

 

昨日の2ヶ月会で得た気づきは,

とりあえず,今だけ全力でブログを書く」,

読者からの反応を得るために,

NJEで読者に喜ばれるブログを書く」というものです。

 

 

本日,名古屋出張ですが,特急電車しらさぎに揺られながら,

とりあえず,今日もブログを更新しました

(NJEではなくてすみません・・・)。

1ヶ月ブログを毎日更新したら何か結果はでたのか?

今年の5月7日から,ブログを毎日更新すること

を続けて,昨日で1ヶ月が経過しました。

 

 

正直なところ,毎日ブログを更新することはつらかったです。

 

 

「警察に逮捕されたので接見に来てください」,

「困っているので今日法律相談をしてもらえませんか」

といった,予定していなかった事態に対応しなければいけません。

 

 

難しい事件に対応するために,

文献を読み込み,裁判所へ提出する書面を作成します。

 

 

事務所の経営,弁護士会の仕事,

弁護団事件,所属している団体のお役目など,

弁護士は,多くの仕事をしています。

 

 

加えて,妻の負担をなるべく軽減するために,

仕事を早く終わらせて,子供の面倒をみなければなりません。

 

 

そのような状況の中,

「明日何書こう」,「もうネタないし」

というなんとも言えない焦燥感とたたかいながら,

なんとか1ヶ月,毎日ブログを更新することができました。

 

 

それでは,「1ヶ月」,毎日ブログを更新したら,何かが起きたかというと・・・

 

 

特に何も起きていません。

 

 

でも,それでいいのです。

 

 

ブログを書いていても,なかなか結果がでないのが普通なのだと思います。

 

 

ブログを書いても書いても結果はでない。

 

 

だけど,ブログを書き続けていると,ようやく少し結果がでて,

最後にドカーンと結果がでるのだと思います。

 

 

たぶん。

 

 

精神科医の樺沢紫苑先生が,

ムダにならない勉強法」という著書において,

努力の量と結果は,『正比例』ではなく『指数関数』の関係にあります。

とおっしゃっています。

 

 

 

すなわち,どれだけがんばっても,なかなか結果はでないけれども,

努力を続けると,どこかの時点で

ブレイクスルーポイント」に到達して,

そこから爆発的に成長するのです。

 

 

そのため,努力しているのに結果がでない

というのは,順調に成長している証拠なのです!

 

 

 

そうすると,じゃあいつまで続ければいいのか

という疑問がわきますが,樺沢先生は,

1ヶ月→3ヶ月→12ヶ月という基準を提唱しています。

 

 

ダイエットを始めても多くの人が1ヶ月くらいで挫折します。

 

 

1ヶ月を乗り越えると,3ヶ月くらいまでがんばれますが,

3ヶ月くらいで脱落する人が増えます。

 

 

3ヶ月を超えると,食事や運動が習慣化されて,12ヶ月続けられるのです。

 

 

1ヶ月と3ヶ月の関門を突破すれば,12ヶ月までなんとか続けられるのです。

 

 

私は,つらいと思いながらもなんとか「1ヶ月」の関門を突破できました。

 

 

今日は,石川ブログセミナー60期のメンバーとの懇親会があります。

 

 

メンバーと1ヶ月の関門を突破したことを祝福しながら,

次は「3ヶ月」の関門を突破するために,「つらい」ではなく,

「楽しく」ブログを更新するための何かをつかみたいと思います。

 

 

 

財務省の決裁文書改ざん問題から考える退職のタイミング

財務省は,6月4日,

森友学園と国有地取引に関する決済文書の改ざん問題で,

佐川前理財局長が改ざんや交渉記録の廃棄の方向性を決定づけたとして,

「停職3ヶ月相当」の処分として,

退職金から約500万円を減額することを発表しました。

 

 

私が気になったのは,「停職3ヶ月相当

の処分の「相当」という部分です。

 

 

佐川前理財局長は,6月4日の処分発表前に,財務省を既に退職しています。

 

 

 

退職した労働者に対して,懲戒処分ができるのかと疑問に思ったのです。

 

 

この疑問を考えるにあたり,退職した労働者に対して,

懲戒解雇ができるのかという論点を検討してみます。

 

 

懲戒解雇とは,会社のルール違反に対する制裁罰である

懲戒処分として行われる解雇のことで,ようするに,

労働者が会社から受ける処分の中で最も重いものです。

 

 

懲戒解雇されると,経歴に大きな傷がついて,

次の就職が困難になったり,退職金が減額されるなど,

労働者にとってかなりのダメージとなります。

 

 

そのため,よほど労働者がひどいこと

をしない限り,懲戒解雇まではされません。

 

 

さて,労働者に,懲戒解雇に相当する違反があったとしても,

その労働者が既に退職していたなら,その労働者との労働契約は

既に終了しているので,懲戒解雇をすることができません。

 

 

懲戒解雇とパラレルに考えるなら,

既に財務省を退職している佐川前理財局長に対して,

停職処分をすることはできないのです。

 

 

停職処分とは,労働契約を存続させつつ,

労働者が働くことを一定期間禁止し,停職期間は無給とする懲戒処分であり,

佐川前理財局長は,既に退職しているので,停職処分にはできないのです。

 

 

そのため,「停職3ヶ月」ではなく「停職3ヶ月相当」となったのだと思います。

 

 

次に,退職金から約500万円を減額した点について検討します。

 

 

懲戒解雇の場合,労働者が退職後に,

懲戒解雇に相当する違反をしていたことが判明した場合,

就業規則などに,当該違反の事実をもって退職金を減額できる

規定があれば,退職金を減額することができます。

 

 

財務省の退職金の規定がどうなっているのか分かりませんが,

仮に,停職処分に該当する違反行為があった場合に,

退職金を減額できるという規定があれば,

退職後に停職処分に相当する違反をしていたことが判明すれば,

退職金を減額できることになります。

 

 

そこで,財務省は,佐川前理財局長が退職しているので,

停職処分にはできないけれども,「停職3ヶ月相当」として,

退職金を約500万円減額したのだと考えられます。

 

 

なお,佐川前理財局長については,

懲戒免職で退職金を全額返上させるべきだという意見もあるようですが,

過去に懲戒処分歴がなければ,いきなり懲戒免職とすると,

裁判で争われた場合,裁判所は,処分としては重すぎると判断する

場合がありますので,これだけ大問題になってはいますが,

過去の功績を考慮すると,停職3ヶ月は相当なのだと思います。

 

 

また,懲戒免職でないので,停職処分で退職金を大幅に

減額することは困難であるので,約500万円の減額に,

多くの国民は納得しないかもしれませんが,

労働法的には妥当なラインだと思います。

 

 

佐川前理財局長の事例から言えることは,

労働者は,ルール違反をしてしまって,懲戒処分をされそうであれば,

早目に自分から退職することを検討したほうがいいでしょう。

アンカリング

米国NLP協会認定トレーナーの金花しのぶさんから,

毎月1回,NLPを学んでいます。

 

http://kinkanlp.com/

 

 

今日は,先日学んだNLPのスキルである

アンカリング」についてアウトプットします。

 

 

アンカリングとは,ある刺激と望む反応を意図的にリンクさせて,

どのような時でも,自分の望ましい状態を,

船の錨をおろすように,心身に定着させるスキルです。

 

 

 

 

ようするに,「条件付け」を意図的に行い,

どのような状況においても,より高いパフォーマンスを

発揮しやすい心身の状態にしていくのです。

 

 

条件付けとは,パブロフの犬で考えるとわかりやすいです。

 

 

 

犬にえさをあげるときにベルを鳴らして,えさをあげます。

 

 

この行為を何度か繰り返すと,

犬はベルを鳴らしただけで,

よだれを垂らすようになります。

 

 

ベル(刺激)→よだれ(反応)

 

 

これを人間に応用するのです。

 

 

ラグビーの五郎丸選手のルーティーンにあてはめるとこうなります。

 

 

 

五郎丸選手のルーティーン(刺激)→理想のキックをして

ゴールが決まったイメージをいだきながら最高の集中力を発揮する(反応)

 

 

アンカリングを活用すれば,

仕事に追われてストレスフルな状態から,

やる気に満ちたはつらつとした状態に自分を変えることができます。

 

 

アンカリングは,次のように行います。

 

 

1 嬉しかったり,感動した過去の強烈な体験を思い出します。

 

 

2 自分の視点で,その過去の強烈な体験を追体験します。

 

 

3 追体験をして自分の感情や気分を高めて,

ピークの直前のタイミングを見計らいます。

 

 

4 ピークの直前のタイミングで独自のポーズ(刺激)を行います。

 

 

5 独自のポーズと適切な心身の状態がリンクします。

 

 

抽象的ですので,私が行った具体例で説明します。

 

 

1 私の場合は,司法試験に合格したときの体験を思い出しました。

 

 

2 法務省の掲示板の前で,自分の受験票を見ながら,

自分の番号を見つけて,「やったー,合格したー」

と喜んでいた情景をリアルに思い出しました。

 

 

3 そのときに頭に浮かんだ情景を頭の中で大きくし,

実際にガッツポーズをしたり,「やったー,合格したー」

と声に出して,感動をピークの直前にまで持っていきます。

 

 

4 そして,私は,上を向きながら,

右耳たぶを触り,アンカリングを行いました。

 

 

5 仕事に追われて,ストレスがたまってきたときに,

上を向きながら,右耳たぶを触る(刺激)と,

司法試験に合格したときの喜びや感動が思い出されて,

なんとかなると前向きな状態になれます(反応)。

 

 

このように,アンカリングは,自分の状態を,環境に左右されることなく,

自分でコントロールできるようになるスキルなのです。

 

 

アンカリングを活用すれば,ストレスを減少させて,

自分がとらわれなくなり,自分を自由にできるようになります。

 

 

NLPを学ぶと,右脳が活性化されて,

自分の潜在意識の中にあるリソースを引き出すことができて,

まだ見たことがない自分を発見するという

不思議な体験をすることができて,とても楽しいです。

 

仮想通貨を差し押さえることができるのか?

先日,会宝産業株式会社が主催する仮想通貨の勉強会に参加し,

暗号通貨研究所の粕谷重雄氏の

「ブロックチェーンがもたらす社会革命と仮想通貨投資の最前線」

という講演を聞きました。

 

 

 

私が,仮想通貨に興味をもったのは,

弁護士法人パートナーズ法律事務所の弁護士原知良先生の講演を聞いた際に,

原先生が仮想通貨を差し押さえることができるのか

という問題提起をされたのがきっかけです。

 

 

お金を貸した人が,お金を借りた人に対して,

お金を返せという請求をする事件で考えてみましょう。

 

 

お金を貸した人は,お金を借りた人に対して,

貸したお金を返せという債権をもっています。

 

 

債権とは,ある人がある人に対して,

一定の行為(給付)をすることを請求できる権利をいいます。

 

 

この債権を回収するためには,

お金を借りた人に電話をしたり,直接会って,

お金を返してほしいと交渉しますが,

それでも回収できない場合,

弁護士に依頼して,回収を図ります。

 

 

弁護士が交渉しても回収できない場合,

裁判をおこして,○○円を支払えという判決をとります。

 

 

そして,判決がでても,お金を支払わない

借主に対しては,強制執行でお金を回収します。

 

 

具体的には,借主の給料を差し押さえたり,

預金を差し押さえたりします。

 

 

貸主が借主から,お金を無理やり取り返すことは禁止されています。

これを自力救済の禁止といいます。

 

 

それでは,借主には,給料や預金などのめぼしい財産がないが,

仮想通貨をもっていた場合に,

この仮想通貨を差し押さえることができるのでしょうか。

 

 

 

 

そもそも,仮想通貨は債権なのか?

 

 

仮想通貨をどうやって特定するのか?

 

 

疑問だらけです。

 

 

粕谷氏の話によると,仮想通貨は,財産の隠匿に有利で,

実質的に差し押さえは不可能とのことでした。

 

 

仮想通貨の差し押さえが不可能であれば,

請求を免れたい人は,財産を仮想通貨としてもっていれば,

差し押さえを免れて,お金を支払わなくてよくなります。

 

 

そうなると,貸主は,泣き寝入りになってしまいます。

裁判をする意味が失われて,自力救済が横行するリスクもあります。

 

 

このような結果は,社会正義に反するように思いますが,実際に,今,

裁判所が仮想通貨を差し押さえる決定を出してくれるのか不明です。

 

 

また,債権回収の場面だけではなく,

離婚の際に仮想通貨は財産分与の対象になるのか,

相続の際に仮想通貨は遺産に含まれるのか,

破産の際に仮想通貨は破産者の財産になるのか,

などさまざまな法律分野で仮想通貨をどのように扱うのかを検討する必要があります。

 

 

ブロックチェーンという過去からの記録を

一切改ざんできずにデータを分散管理する技術は,

インターネットに匹敵する技術革新で,いずれは,

金融機関や役所が不要になるほどの可能性を秘めていますが,

財産隠しや詐欺に利用されるというマイナスの側面もあります。

 

 

私は,仮想通貨についてまだまだ勉強不足ですが,

今後も,仮想通貨の動向に注目しつつ,

仮想通貨の法律問題についてなにか分かれば,

ブログに投稿してみたいと思います。

過労死防止対策と高度プロフェッショナル制度の矛盾

5月31日,政府は,新たな「過労死防止大綱」の最終案を発表しました。

 

 

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000209413.html

 

 

過労死防止大綱は,過労死ゼロの実現を目指す

政府の基本方針を示すもので,厚生労働省の施策の土台となるものです。

 

 

この過労死防止大綱を読むと,日本人の働き方がよくわかります。

 

 

月末1週間の就業時間が60時間以上の雇用者の割合は,

平成29年は7.7%で432万人となっています。

 

 

 

 

個人的な感覚としては,月末1週間の就業時間が60時間を

超えている労働者の割合は,もっと多いような気がします。

 

 

政府は,週労働時間60時間以上の雇用者の割合を平成32年までに

5%以下にする目標を掲げているので,まだ達成できていません。

 

 

次に,勤務間インターバル制度について,

導入している企業が1.4%

導入を予定しているまたは検討している企業が5.1%,

導入の予定はなく,検討もしていない企業が92.9%となっています。

 

 

勤務間インターバル制度とは,

勤務終了から次の勤務開始までの間に

十分な休息時間を確保するというものです。

 

 

1日の労働が終了して,次の労働が始まるまでの間に,

十分な休息時間を確保することで,長時間労働を抑制して,

労働者の疲労を回復させ,ワークライフバランスを確保できるようになります。

 

 

この勤務間インターバル制度については,

周知が不十分なのか,

導入企業がわずか1.4%しかありません。

 

 

そこで,政府は,平成32年までに

勤務間インターバル制度を導入する企業の割合を

10%以上

とする目標を掲げました。

 

 

医療,介護,運送業など夜働く業界の場合,

夜働くことで睡眠バランスが崩れて,

疲労が蓄積しやすいので,

労働者保護の観点から勤務間インターバル制度が必要であると思います。

 

 

また,勤務間インターバル制度における休息時間ですが,

睡眠以外にも家族と団らんする時間を確保するためにも,

ヨーロッパで導入されている11時間以上が必要です。

 

 

休息時間が短い「名ばかり」勤務間インターバル制度

が導入されないようにチェックする必要があります。

 

 

過労死防止の観点から,早急に多くの企業で

勤務間インターバル制度が導入されることを願います。

 

 

その他にも,年休の取得率約50%を平成32年までに70%以上にし,

年休取得数が0の労働者を解消する目標も掲げられています。

 

 

過労死を防止するための対策が具体的数値と共に記載されており,

過労死をなくすための意気込みを感じますが,一方で,

5月31日に高度プロフェッショナル制度を含む

働き方改革関連法案が衆議院を通過しました。

 

 

何度もブログで投稿してきましたが,高プロは,

労働時間の規制を撤廃して,過労死を助長する制度です。

 

 

過労死防止対策をすすめながら,

一方で過労死を助長する高プロを導入するので,

政府の対応に矛盾を感じます。

定年退職後に再雇用された労働者の賃金格差は不合理なのか?

6月1日にあった重要な2つの最高裁判決のうちの

1つである長沢運輸事件について説明します。

 

 

昨日紹介したハマキョウレックス事件の原告らは,

定年退職するの非正規雇用の労働者でしたが,

長沢運輸事件の原告らは,

定年退職に再雇用された非正規雇用の労働者でした。

 

 

長沢運輸では,定年退職後に再雇用された非正規雇用の労働者を

嘱託社員と呼んでおり,嘱託社員の年収は定年退職前の79%程度となります。

 

 

 

正社員と嘱託社員との間に,

仕事の内容や責任の程度に違いはありませんでした。

 

 

また,ハマキョウレックスとは異なり,

長沢運輸では,嘱託社員であっても転勤の可能性がありました。

 

 

そこで,長沢運輸の嘱託社員らは,正社員には支給されている

能率給,職務給,精勤手当,住宅手当,家族手当,役付手当,賞与が,

嘱託社員に支給されないのは,不合理であるとして,

労働契約法20条に違反していると主張しました。

 

 

労働契約法20条では,正社員と非正規雇用の労働者の労働条件の違いが,

「労働者の業務内容及び当該業務に伴う責任の程度,

当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して」,

不合理であってはならないと定められています。

 

 

長沢運輸事件の最高裁判決では,

その他の事情」に,

非正規雇用の労働者が定年退職後に再雇用された者である

という事情が考慮されると判断されました。

 

 

どういうことかといいますと,

定年退職後に再雇用された労働者は,

長期間雇用されることは前提となっておらず,

定年退職するまでの間に賃金の支給を受けており,

一定の要件を満たせば老齢厚生年金の支給を受けれることを考慮すれば,

正社員との賃金に差があったとしても,

割と寛大にみてもらえることになります。

 

 

嘱託社員は,一定の要件を満たせば老齢厚生年金の支給を受けられますし,

老齢厚生年金の支給が開始されるまでの間,

2万円の調整給が支給されていることから,

能率給,職務給,住宅手当,家族手当,賞与については,

正社員にのみ支給されて,嘱託社員に支給されなくても

不合理ではないと判断されました。

 

 

他方,精勤手当については,

従業員に対して休日以外は1日も欠かさずに出勤する

ことを奨励するために支給されるものであり,

正社員と嘱託社員との間に皆勤を奨励する必要性に違いはないので,

精勤手当を正社員にのみ支給し,

嘱託社員に支給しないことは不合理であると判断されました。

 

 

手当の実質的な中身が慎重に吟味されていますが,

役付手当がなぜ不合理ではないのかが,

判決文を読んでいて腑に落ちませんでした。

 

 

定年退職後に再雇用された労働者の場合,

正社員との労働条件の差について不合理とはいいにくくなりましたが,

賃金の格差が大きく拡大していたり,

手当の支給の有無の説明がよくわからない場合には,

定年退職後に再雇用された労働者であっても,

労働契約法20条違反が認められる余地があると考えます。

 

 

いずれにせよ,ハマキョウレックス事件と

長沢運輸事件の最高裁判決は,

企業の賃金体系に多大な影響を与えます。

非正規雇用の待遇差が不合理になる場合

6月1日に最高裁で,非正規雇用の労働条件についての

重要な判決が2件あったので,報告します。

 

 

ハマキョウレックス事件と長沢運輸事件です。

 

 

2つの事件とも,非正規雇用の運転手が,

正社員に支給されている手当が,

非正規雇用の労働者に支給されていないのは「不合理」であると主張して,

正社員に支給されている手当分の請求をしました。

 

 

 

労働契約法20条では,

正社員と非正規雇用の労働者の労働条件の違いが,

「労働者の業務内容及び当該業務に伴う責任の程度,

当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して」,

不合理であってはならないと定められています。

 

 

2つの事件とも,裁判をおこした原告らは運転手であり,

正社員であっても,非正規雇用の労働者であっても,

おこなっている仕事の内容は変わりません。

 

 

そこで,原告らは,仕事内容が変わらないのに,

ある手当が正社員にだけ支給されて,

非正規雇用の労働者には支給されないのは,

不合理であるとして,

労働契約法20条に違反すると主張したのです。

 

 

ハマキョウレックス事件では,

住宅手当については不合理ではないと判断されましたが,

住宅手当以外の手当については不合理であると判断されて,

原告らの主張が認められました。

 

 

ハマキョウレックスでは,正社員には,

全国規模の広域異動の可能性がありますが,

非正規雇用の労働者には,転勤がありません。

 

 

正社員は,転勤が予定されているので,

非正規雇用の労働者と比較して住宅に要する費用が多額になるので,

正社員にのみ住宅手当が支給されて,

非正規雇用の労働者に住宅手当が支給されなくても不合理ではないと判断されました。

 

 

他方,

①実際に出勤する運転手を一定数確保することを目的として支給される皆勤手当,

②優良ドライバーの育成などを目的として支給される無事故手当,

③支給対象となる特殊な作業の内容が具体的に定まっていない作業手当,

④従業員の食事にかかる補助として支給される給食手当

については,正社員のみに支給されて,非正規雇用の労働者に

支給されないことは不合理であると判断されました。

 

 

手当がどのような意図で支給されているのか,

手当の実質的な中身は何なのか

を厳密に分析していくことが重要になります。

 

 

漫然と,正社員にだけ支給されていて,

非正規雇用の労働者に支給されていない手当があれば,

不合理と判断される可能性があります。

 

 

非正規雇用の労働者は,

正社員には支給されているけど,

非正規雇用の労働者に支給されていない手当があれば,

その手当についての説明が,

就業規則や賃金規定にどのように記載されているのかをチェックしてみましょう。

 

 

就業規則や賃金規定を読んでも,

その手当が,正社員には支給されているけど,

非正規雇用の労働者に支給されていない理由がよくわからない場合は,

労働契約法20条違反を疑ってみるべきです。

脳の性差を理解すれば夫婦愛和を実現できる

6月2日に「男女問題と夫婦愛和」

という演題で講話をする機会をいただきました。

 

 

この講話の準備のために,

人工知能研究者である黒川伊保子氏の

女の機嫌の直し方

という本を読み直し,

夫婦が仲良く生活していくためには,

お互いの脳の違いを理解しておくことが重要であると再確認しました。

 

 

 

 

男性と女性の脳には性差があります。

 

 

人間の脳は,

思考,論理,言語を司る左脳と,

知覚,感性,創造を司る右脳に分かれており,

左脳と右脳を連携させる脳梁という神経線維の束があります。

 

 

 

 

男性脳では,脳梁が小さく,女性脳では,脳梁が大きいのです。

 

 

この脳梁の大小によって,脳の性差が生じるようです。

 

 

 

 

女性は,右脳で感じたことが左脳でどんどん言葉になって

意識にあがってくるので,話しながら答えをみつけます。

 

 

また,女性脳は,怖い,ひどい,つらいなどのストレスを伴う感情が起こると,

そのストレス信号が男性脳の何十倍も強く働き,何百倍も長く残りますが,

共感してもらうことで,余剰なストレス信号を沈静化させます。

 

 

そのため,女性は,共感してもらえると,

コミュニケーションがスムーズになります。

 

 

他方,男性脳は,女性脳に比べて脳梁が小さいので,

左脳と右脳の連携がそれほど密ではないため,

左脳で論理的に思考しやすいです。

 

 

男性は,相手が状況を語りだしたら,

その対話の意図を探り,

すばやく解決すべき問題点を洗い出そうとします。

 

 

このように,女性は,いろいろ対話をして

共感しながら問題解決をはかるのですが(プロセス指向共感型),

男性は,話を聞いてすぐに問題解決をする対話をします

ゴール指向問題解決型)。

 

 

脳の性差によって,男女の対話スタイルが異なるので,

どうしても男性と女性の会話はすれ違い,

夫婦ケンカが勃発してしまいます。

 

 

例えば私の場合,妻から,

「子供の夜泣きがひどいので睡眠不足なの」

と話をふられた際,すぐに

「子供が昼寝しているときに,一緒に寝れば,体力が回復すると思うよ」

とアドバイスしました。

 

 

私としては,適切なアドバイスをしたつもりでしたが,妻は,

「そういうことを聞いているんじゃないの」

と不機嫌になりました。

 

 

私は親切にアドバイスをしたのに,

不機嫌になる妻のことをその時は理解できませんでしたが,

この本を読んで,私の対応は間違いであったと気づきました。

 

 

正しい対応は,

「睡眠不足で大変だよね。いつも夜に子供の世話をしてくれてありがとう」

と妻に共感することだったのです。

 

 

このように共感して対話をすれば,妻は,

睡眠不足の解決策を,自分で勝手に思いついていたはずなのです。

 

 

弁護士として,離婚や不貞行為の法律相談を聞いていると,

夫婦の会話のすれ違いが積もり積もって,

やがて離婚や不貞行為という男女問題へ発展していくのだと感じています。

 

 

男女の脳の性差を理解して,

相手がどのような対話をすれば理解してもらえるのかを知れば

,男女問題は減少し,円満な夫婦が増えていくのではないかと思います。

 

 

夫婦は,思い通りにいかないからこそ面白いのかもしれませんね。