パワハラ社長からの暴力行為に対して、損害賠償請求と未払残業代請求で対抗し、600万円の解決金を勝ち取った事例

1 社長からのひどいパワハラ

 

 

会社の社長から暴力を振るわれて、会社に行くのが怖くなって、

会社を退職しました。

 

 

でも、社長の暴力は許せないので、社長を訴えてやりたいです。

 

 

パワハラの法律相談では、言葉の暴力がほとんどですが、

たまに、身体的な暴力によるパワハラの法律相談を受けることがあります。

 

 

身体的な暴力のパワハラの場合、身体に直接的な痛みが伴う分、

暴力を振るった相手を許せないと思ってしまいます。

 

 

 

このような身体的な暴力のパワハラを受けた場合、

どのように対処するのが効果的なのでしょうか。

 

 

結論から先にいいますと、暴力を受けた時の傷を写真に撮影していたり、

診断書等の証拠がある場合には、暴力をふるった人物に対して、

損害賠償請求をすることを検討します。

 

 

また、そのようなパワハラが発生するような職場では、

残業代が支払われていないことがほとんどですので、

あわせて未払残業代を請求することも効果的です。

 

 

ここで、私が担当した事件を紹介します。

 

 

クライアントは、40代の男性で、運送会社で事務作業全般、

機械の運搬と設置、運行管理の仕事をしていました。

 

 

クライアントは、相手方の会社の社長から、度々、暴力を受けていました。

 

 

例えば、クライアントは、社長から、鼻を頭突きされる、

顔を殴られる、髪の毛をハサミで切られる、

腕に火の付いたタバコを押し付けられる、背中を蹴られる、

額にマジックで✕を書かれる、といった酷い暴力を受けていました。

 

 

今どき、こんな酷いことをする社長がいるのかと、

クライアントの話しをお聞きして、少し疑いましたが、

クライアントは、暴力を受ける度に、自身の傷を写真にとり、

病院へ通院していたので、証拠を確保していたので、

社長からひどい暴力を受けていたことが真実であることがわかりました。

 

 

そして、クライアントは、社長からの暴力に耐えきれず、

会社を退職し、私のもとへ法律相談に来られました。

 

 

クライアントは、社長から受けた理不尽な仕打ちについて、

このまま泣き寝入りはしたくないとおっしゃっていました。

 

 

クライアントの話しを聞き、社長からの暴力を証明できる証拠があり、

長時間労働をしているにもかかわらず、

残業代が1円も支払われていないとのことでしたので、

パワハラによる損害賠償請求と未払残業代請求をすることにしました。

 

 

2 パワハラの損害賠償請求と未払残業代請求の裁判を提起しました

 

 

未払残業代請求をするために、会社に対して、

タイムカードを開示するように請求したところ、

無事にタイムカードが開示され、未払残業代の金額を計算し、

未払残業代請求とパワハラの損害賠償請求をしました。

 

 

しかし、会社からは、クライアントが勝手に残業をしていたので、

残業代を支払わない、タイムカードには、手書きの記載があるので、信用できない、

クライアントのけがは、従業員同士のけんかの時にできたものであり、

社長は暴力を振るっていないと反論してきました。

 

 

会社からは、誠意ある回答が得られなかったことから、

会社と社長に対して、パワハラの損害賠償請求を、

会社に対して、未払残業代請求をする、裁判を提起しました。

 

 

 

なお、社長がパワハラをした場合、会社も損害賠償責任を負うことになります。

 

 

まず、会社は、社長は暴力を振るっていないと反論してきたので、

ハローワークの資料を証拠にして、クライアントは、

社長から暴力を受けたと主張しました。

 

 

すなわち、クライアントは、社長からの暴力が辛くて退職したことを、

ハローワークに伝えており、ハローワークは、相手方の会社の従業員から、

聞き取り調査をして、社長からの暴力があったと認定していました。

 

 

クライアントは、自分から会社を退職しているので、通常ですと、

自己都合退職に該当し、雇用保険の失業給付を受給する際に、

2ヶ月間の給付制限がかかるなどの不利益を被ります。

 

 

しかし、ハローワークで、パワハラを受けて退職したことを証明できれば、

会社都合退職に該当し、雇用保険の失業給付を受給する際に、優遇されます。

 

 

クライアントは、ハローワークで、会社都合退職と認定されていたことから、

ハローワークから、個人情報開示手続きで入手した、

相手方会社の従業員の証言をもとに、

社長から暴力を受けたことについて立証しました。

 

 

次に、クライアントが勝手に残業していたという主張に対して、

社長がクライアントに対して、

営業時間内には終わらない業務量の仕事をさせていて、

それを黙認していたことから、

黙示的に、業務指示をしていたと主張しました。

 

 

また、会社は、タイムカードは信用できないと反論していましたが、

会社は、労働者の労働時間を正確に把握する義務を負っていますし、

裁判所は、タイムカードで労働時間が管理されている場合、

よほどの事情がない限りは、タイムカードをもとに、労働時間を認定します。

 

 

そのため、裁判所から、和解の提案があり、

クライアントに有利な和解案が提示されました。

 

 

3 解決金600万円を勝ち取りました

 

 

判決に至った場合、会社から、全額を回収することができるのかについて、

一抹の不安があったこともあり、和解であれば、

回収のリスクを低減できることから、和解に応じることにしました。

 

 

 

結果として、会社から、600万円の解決金を支払ってもらうことで、

無事に解決できました。

 

 

酷い仕打ちを受けた会社から、600万円を回収することができて、

クライアントの溜飲が下がり、クライアントは、満足されて、

新しい一歩を踏み出すことができました。

 

 

このように、パワハラを受けた場合、

損害賠償請求と未払残業代請求を一緒にすることで、

高額な金銭請求ができる可能性があります。

 

 

そのためには、パワハラの事実を証明するための証拠である、

録音、写真、診断書などを確保し、

残業代請求をするためのタイムカードなどを確保する必要があります。

 

 

パワハラや残業代の未払でお悩みの場合には、弁護士にご相談ください。

 

 

弁護士は、パワハラや残業代の未払について、適切なアドバイスをしてくれます。

 

 

本日もお読みいただき、ありがとうございます。

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