看護師が能力不足を理由に解雇されて労働審判の申立をした事件

1 事件の概要

 

 

今回は、私が担当した解雇事件の解決事例を紹介させていただきます。

 

 

クライアントは、個人の医師が経営しているクリニックにおいて、

看護師として、働いていたところ、ある日突然、解雇を通告されました。

 

 

 

解雇の理由は、業務能力が不足していること、及び、勤務態度が悪いことでした。

 

 

確かに、クライアントは、経営者の医師との人間関係は、

うまくいっていませんでしたが、解雇されるほどのことではないと考えており、

今回の解雇には納得できませんでした。

 

 

解雇に納得できないクライアントは、私のもとに法律相談にこられました。

 

 

クライアントからは、経営者の医師にも、

様々な問題があるにもかかわらず、

自分だけが解雇によって不利益を被ることに納得できず、

解雇はなかったことにしてほしいという要望がありました。

 

 

また、クライアントは、解雇したクリニックに

復職することは望んでいませんでした。

 

 

そこで、労働審判の申立をして、労働審判の手続きにおいて、

クリニックに解雇を撤回させ、労働契約を合意解約し、

解決金を支払ってもらうことで、事件を解決できないかと考えました。

 

 

2 弁護活動

 

 

まず、解雇を争う事件では、解雇をした会社に対して、

働く意思があることを通知する必要があります。

 

 

これは、解雇が無効になった時に、未払賃金を請求するためには、

労働者に、働く意思があることが必要になるからなのです。

 

 

 

次に、解雇を争う事件では、会社が主張している

解雇理由を具体的に特定させていきます。

 

 

労働者としては、会社が主張している解雇理由に対して、

一つ一つに反論し、裁判所に、解雇理由はないのではないか、

この解雇理由では解雇できないのではないかと思わせればいいのです。

 

 

そのためには、会社が主張している解雇理由が抽象的な内容ですと、

反論に時間がかかりますので、

会社が主張している解雇理由を具体化させることが重要になります。

 

 

そこで、私は、相手方のクリニックに対して、

クライアントが働く意思があることを表明し、

クリニックが主張している解雇理由を具体的にするように求める

通知書を送付しました。

 

 

すると、相手方は、業務能力が不足していることについて、8つの解雇理由を、

勤務態度が悪いことについて、8つの解雇理由を主張してきました。

 

 

相手方が主張している合計16個の解雇理由について、

クライアントと打ち合わせを重ねて、反論を考え、労働審判の申立をしました。

 

 

3 結果

 

 

相手方の主張している解雇理由が多く、

反論の主張を作成するのに苦労しましたが、

クライアントが、的確に事実関係を整理してくれたおかげで、

効果的な反論ができました。

 

 

なにより、クライアントの話しを聞いていると、

クライアントは、しっかりと仕事をしているにもかかわらず、

そのことをクリニックの経営者の医師が、

適正に評価していなかったことがわかりました。

 

 

また、クライアントと経営者の医師との

コミュニケーションがうまくいっていなかったことが

根本的な原因だったのですが、そのことを、

クライアントだけの責任として、

解雇することは不当であるとわかりました。

 

 

労働審判の手続きにおいても、裁判所に対して、

コミュニケーションがうまくいっていない問題について、

経営者が真摯に向き合わず、

反省している労働者を解雇することはおかしいと主張したところ、

裁判所は、理解を示してくれました。

 

 

通常の裁判であれば、解雇が無効になり、

解雇期間中の未払賃金を全額請求できる事案でしたが、

クライアントは、既に、別のクリニックで就職しており、

この解雇事件をなるべく早く解決したいという要望がありました。

 

 

そこで、労働審判で解決するためには、

金銭的な請求については、ある程度の譲歩をすることが求められました。

 

 

その結果、相手方のクリニックが、解雇を撤回した上で、

クライアントと相手方のクリニックの労働契約を合意解約し、

相手方のクリニックがクライアントに対して、

解決金100万円を支払ってもらうことで調停が成立しました。

 

 

私としましては、解決金100万円という金額に不満がありましたが、

早く事件を解決したいクライアントの意向を尊重して、調停をまとめました。

 

 

不当な解雇が撤回され、

解雇によって傷ついたクライアントの尊厳が回復されたようで、

事件が解決した後のクライアントは、

清々しい表情になっていたのが印象的でした。

 

 

 

このように、不当解雇が無効になり、

金銭的な解決ができることがありえます。

 

 

解雇されて、納得がいかないときには、弁護士にご相談ください。

 

 

弁護士は、解雇について、適切なアドバイスをしてくれます。

 

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

電話番号076-221-4111
お問合せはこちら
0 返信

返信を残す

Want to join the discussion?
Feel free to contribute!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。