コロナ便乗解雇の争い方
1 コロナ便乗解雇とは
新型コロナウイルスの感染が再び猛威を奮っています。
連日、2000人を超える感染者が続出し、第3波が到来しています。
感染が拡大してる大阪市や札幌市では、
GOTOトラベルの利用中断がされる見通しとなってきています。
厚生労働省が公表している解雇等見込み労働者数も
増加の一途をたどっており、11月13日時点で、
71,121人となっています。
新型コロナウイルスの感染が拡大していくと、
経営難を理由とする解雇が増えてきます。
さらには、新型コロナウイルスを隠れ蓑にした
便乗解雇も増えてくることが予想されます。
建前は、新型コロナウイルスの感染拡大による
経営悪化を理由としているものの、本音は、
会社にもの言う労働者を排除する解雇のことを、
コロナ便乗解雇と呼ばれるようです。
このようなコロナ便乗解雇は認められるのでしょうか。
結論としては、コロナ便乗解雇においても、
整理解雇の4要件(4要素)を満たさない限り、
無効となります。
2 整理解雇の4要件(4要素)
解雇を争う事件では、会社が主張している解雇理由に
客観的合理性があるのかが争点となり、
コロナ便乗解雇では、会社側は、
新型コロナウイルス感染拡大による経営悪化を
解雇理由として挙げてくるので、
以下の整理解雇の4要件(4要素)を満たすかが問題となります。
①人員削減の必要性
②解雇回避努力
③人選の合理性
④労働者に対する事前の説明・協議
①人員削減の必要性については、
リストラ計画があるのか、
業績の回復の見込みはあるのか、
経営の見通しはどのようなものかについて検討します。
新型コロナウイルスの感染拡大の状況においては、
人員削減の必要性は認められやすいのですが、
雇用調整助成金や持続化給付金などの支援策を活用してもなお
人員削減の必要性があるのかを検討することが重要です。
3 雇用調整助成金を活用しているのかをチェックする
コロナ便乗解雇においては、②解雇回避努力義務として、
会社が雇用調整助成金を活用したかがポイントになります。
雇用調整助成金とは、経済上の理由により
事業活動の縮小を余儀なくされた会社が、
労働者に対して、休業手当を支払って一時的に休業させて、
労働者の雇用を守った場合に、
休業手当が助成される制度です。
そして、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、
雇用調整助成金が拡充されており、中小企業では、
会社が労働者に支払う休業手当のうち最大10/10が助成されます。
国は、労働者の雇用を守るために対策をうっているので、
会社が、雇用調整助成金を活用することなく、
労働者を安易に解雇した場合には、
解雇回避措置を尽くしていないとして無効となるのです。
センバ流通事件の仙台地裁の仮処分の決定では、
解雇に先立ち、雇用調整助成金の申請をしていないことから、
解雇回避措置の相当性は低いと判断されました。
また、④会社は、労働者に対して、
解雇を行う必要性や解雇を避けるために会社として
どのようなことをしてきたのかなどについて、
説明や協議をすることが必須です。
この会社の労働者の説明においても、
雇用調整助成金などの支援策の検討状況を伝える必要があります。
まとめますと、コロナ便乗解雇においては、
雇用調整助成金が活用されていなかったり、
労働者に対して、雇用調整助成金などの支援策の検討状況をふまえた
説明をしていなかった場合には、解雇は無効となるのです。
解雇が無効になれば、会社に対して、
未払賃金の請求をすることができます。
コロナ便乗解雇にあっても、納得がいかなかったら、
弁護士に相談して、解雇が有効になるのかの
アドバイスを求めるようにしてください。
本日もお読みいただきありがとうございます。
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