宿直における断続的な業務と残業代請求

ビルの監視業務の深夜労働が,労働基準法41条3号の

「監視又は断続的労働」に該当するかについて,

文献を調査していたところ,宿直または日直の勤務について

記載されていたので,アウトプットします。

 

 

労働基準法施行規則23条には,

「宿直又は日直の勤務で断続的な業務」について,

労働基準監督署の許可を受ければ,

労働基準法32条の規定にかかわらず,

労働者を使用することができると規定されています。

 

 

労働基準法32条には,1日8時間,1週間40時間

を超えて労働させてはならないと規定されているので,

「宿直又は日直の勤務で断続的な業務」に該当して,

労働基準監督署の許可を受ければ,

1日8時間,1週間40時間を超えて労働させても,

全く問題ないことになるというわけです。

 

 

 

 

それでは,「宿直又は日直の勤務で断続的な業務」とは

どのようなものをいうのかといいますと,

所定労働時間外または休日における勤務の一態様であって

当該労働者の本来の業務は処理せず,

構内巡視,文書・電話の収受,非常事態に備えて待機するもので,

常態としてほとんど労働する必要のない勤務です。

 

 

そのため,所定労働時間外または休日の勤務であっても,

このような勤務の態様のほかに,

本来の業務の延長と考えられるような業務を処理するものは,

たとえ宿直または日直の勤務と表現されていても,

「宿直又は日直の勤務で断続的な業務」にはあたりません。

 

 

突発的に発生する本来の業務を処理させるために

宿日直勤務により待機させる場合でも,

その突発的事故の発生率が低く,

一般的にみて睡眠が十分とりえるものであれば,

その本来の業務処理時間を時間外労働及び休日労働として処理する限り,

待機時間は「宿直又は日直の勤務で断続的な業務」にあたります。

 

 

医師や看護師などの宿直勤務が,

「宿直又は日直の勤務で断続的な業務」にあたるのは,

病室の定時巡回,異常患者の医師への報告,

少数の要注意患者の定時検脈・検温などの

特殊の措置を必要としない軽度のまたは短時間の業務に限られます。

 

 

宿直中に突発的な応急患者の処置があり,

昼間と同じ労働をすることが稀にあっても,

一般的にみて睡眠を充分にとれるのであれば,

実際に働いた時間について割増賃金を支払うのであれば,

「宿直又は日直の勤務で断続的な業務」といえるようです。

 

 

大きい病院における二交代制や三交代制による夜間勤務者は,

少人数で,昼間と同じ内容の労働を全て受け持つので,

「宿直又は日直の勤務で断続的な業務」にはあたりません。

 

 

 

 

社会福祉施設における宿直業務については,

少数の入所者に対して行う夜尿起こし,おむつ取替え,検温などの

介助作業であって,軽度かつ短時間の作業に限られていないと,

「宿直又は日直の勤務で断続的な業務」にはあたりません。

 

 

労働基準法施行規則23条の

「宿直又は日直の勤務で断続的な業務」も,

労働基準法41条3号と同じように,

厳格に判断されることになりますので,

昼間と同じような労働を夜間にもしているのであれば,

「宿直又は日直の勤務で断続的な業務」

にはあたらないことになります。

 

 

そして,宿直手当が支給されていても,その金額が,

労働基準法に定められた計算方法で算出される

残業代や深夜割増賃金よりも少ない場合には,

差額を請求することができます。

 

 

 

宿直の場合,昼間の労働よりも労働密度は低いのですが,

呼び出しがあった場合にはすぐに対応しなければならず,

呼び出しの頻度も一定数ある場合には,

労働から解放されているとはいえず,

宿直の時間は労働時間といえ,

宿直の時間に応じた残業代や深夜割増賃金を請求できます。

 

 

宿直などで夜間に働いている場合,

宿直手当の金額が適正に支払われえいるのかを

一度チェックするといいと思います。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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