立花Be塾レベル1第2講での気付き3~なりたい自分チャレンジ~

昨日に引き続き,立花Be・ブログ・ブランディング塾レベル1の

第2講のアウトプットの続きを行います。

 

 

立花岳志先生(たちさん)は,先日の講義で,

ブランディングについて,

あるがままブランドを目指すべきと語られました。

 

 

自分がなりたい道や目標を正しく公開し,

自分が苦手なことや失敗したことも隠さず自己開示するのが,

ブランディングにつながるのです。

 

 

 

 

人は,他人の長所を尊敬し,短所を愛することがあるので,

自分の苦手や失敗を開示することで,

他人に対して,自分の人間性が伝わることになります。

 

 

素のままの自分を伝えればいいのです。

 

 

できないことをあたかもできるように捏造してはならないのです。

 

 

このあるがままブランドを構築していくのに最適なのが,

「なりたい自分」チャレンジです。

 

 

なりたい自分になっていく過程の中での試行錯誤を

ブログに書いていくのが,「なりたい自分」チャレンジです。

 

 

 

「なりたい自分」になるための途中経過なので,

当然失敗もあるのですが,同じ目標を持つ人たちが,

ファンになってくれたり,情報が集まってくるので,

やがて「なりたい自分」になっていくのです。

 

 

私の場合,「なりたい自分」は,最高裁で労働事件の

画期的な判決を勝ち取り,最高裁の前で「勝訴」ののぼりを掲げて,

その後,記者会見を行うという自分です。

 

 

自分が勝ち取った最高裁判決が,

今後の労働者の裁判に良い影響を与え,

社会にインパクトを与えるものであり,

記者会見で事件の説明をしている父親の姿を,

私の子供がテレビを見て,「父ちゃん,かっこいい」

と盛り上がることを夢見ています。

 

 

 

 

この「なりたい自分」になるために,私は,

労働事件の専門知識に磨きをかけるべく,

労働事件に関する情報を日々発信しているのです。

 

 

もう一つの「なりたい自分」は,家族との時間を大切に過ごす自分です。

 

 

私は,現在,私の両親と,妻,2歳の長女,0歳3ヶ月の長男

と一緒に私の実家に同居しています。

 

 

妻は,育児の負担に加えて,私の両親と同居している

ストレスが重くのしかかっており,私は,妻に苦労をかけています。

 

 

嫁と姑は,なぜここまでうまくいかないものかと,

男にはわからない,目に見えないせめぎあいが日々勃発しています。

 

 

 

女性には申し訳ないのですが,男は,嫁姑のせめぎあいについて,

妻から言われるまで,気づかないのがほとんどだと思います。

 

 

そのため,妻は,私の両親とのせめぎあいがなるべく少なくなるように,

夫に早く家に帰ってきて,家にいてもらいたいと願います。

 

 

しかし,弁護士である夫は仕事が忙しい。

 

 

この妻の苦労を軽減するために,

自分の労働生産性を向上させようと,

私は,いろいろ試行錯誤していますが,

正直あまりうまくいっていません。

 

 

仕事が忙しいなか,子育てをがんばっているビジネスマンは,

同じような悩みをかかえながら,ワークライフバランスの実現を

追求しているのだと思います。

 

 

というわけで,今後は,自分の労働生産性を向上させて,

家族と過ごす時間を大切にして,夫婦関係を円満にしてくための,

試行錯誤の途中経過についても情報発信していきたいと思います。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

立花Be塾レベル1第2講での気付き2~ブログに何を書くべきか?~

昨日に引き続き,立花Be・ブログ・ブランディング塾レベル1の

第2講のアウトプットの続きを行います。

 

 

ブログに何を書くべきなのか?

 

 

ブログを書いている人であれば,直面する問いです。

 

 

立花岳志先生(たちさん)の回答は,

好きなこと」を書きましょうです。

 

 

 

 

好きなことをやって,そのことを書くと,

書くことが楽しくなり,好きなことをやるので,

身体と心が喜び,健康にいいのです。

 

 

好きなことを書いていると,脳がわくわくするので,

継続することができて,習慣化することができます。

 

 

脳がわくわくしないと,なかなか継続はできないものです。

 

 

ブログを好きなことで満たしていけば,

ブログが人生の宝物になるのです。

 

 

私は,これまで,自分の専門分野である

労働事件についてブログを書いてきました。

 

 

弁護士が取り扱う分野の中で,労働事件が一番好きですし,

大変やりがいを感じているので,自分の専門性を高めるためにも,

労働事件のことについて情報発信することは,非常に有意義でした。

 

 

ただ,心の底から楽しいかと言われれば,

そうではないのが正直なところです。

 

 

労働事件のことをブログに書いて,読者の方から,「役に立ちました」

とお喜びの声を聞かせていただくのは,最高の喜びになるのですが,

忙しい弁護士業務と家族と過ごす時間のバランスを考えると,

労働事件のことをブログに書き続けることは,けっこうしんどいものです。

 

 

弁護士が書くブログなので,間違ったことは書けないので,

毎回,文献や裁判例を調査してから,

表現に細心の注意を払いながらブログを書きますので,

どうしてもブログを書くのに時間がかかります。

 

 

 

 

そのため,仕事が立て込んでいるときには,

ブログを書くことが大変で,

労働時間が長くなりがちになってしまいます。

 

 

働き方改革に逆行してしまいます。

 

 

そこで,自分の専門分野以外の自分の趣味や家族のことなど,

プライベートで好きなことや楽しいことをブログに書くといいことを,

たちさんや立花Be塾のブログ仲間から

フィードバックをいただきました。

 

 

(立花Be塾のブログ仲間。私以外の受講生は全員女性です)

 

 

仕事が忙しかったり,家族との時間を大切にすべきときには,

自分の専門分野以外のプライベート記事を書いた方が,

自分も楽ですし,私に対する親近感がわくようで,どうやらよさそうです。

 

 

弁護士という仕事柄,かたい,あまりかかわりたくない,雲の上の人

と言われることがあるので,本業と関係ないことを書くことで,

弁護士も普通の人なのだと理解してもらえて,

私に対して共感してもらえるのかもしれません。

 

 

そのため,今後は,労働事件以外にも,

私のプライベートや好きなことについても,

ブログで情報発信していこうと思います。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

立花Be塾レベル1第2講での気付き~習慣化の技術~

昨日は,立花Be・ブログ・ブランディング塾レベル1の

第2講を受講しましたので,そのアウトプットをします。

 

 

(立花岳志先生)

 

講師の立花岳志先生(「たちさん」といいます)から,

習慣化の重要性を教わりました。

 

 

「なりたい自分」を「習慣化」できると,

「どんどんなりたい自分になってしまう」状態に突入していき,

やがて,ゆっくりと「なりたい自分」になれてしまうので,

習慣化は重要なのです。

 

 

例えば,運動して健康な自分になるが,

「なりたい自分」であれば,毎日運動をしていれば,

やがては,運動して健康自分になれるのです。

 

 

当たり前といえば当たり前ですが,

これがなかなかできないが私達人間です。

 

 

なぜなら,私達人間が変化をしようとすると,

私達人間に備わっている恒常化維持機能(ホメオスタシス)が作動して,

現状維持が快適であると潜在意識にはたらきかけて,

変化をさせてくれないからなのです。

 

 

「なりたい自分」になるために変化をしようとして,

何か行動をしようとすると,ホメオスタシスが作動して,

変化しようとする行動を抑制して,

やがて現状維持のもとのままに戻ってしまうのです。

 

 

 

これが,習慣化ができない理由です。

 

 

このホメオスタシスの壁を突破するためには,

バカバカしいほど簡単なことから変化するための

実践をすることが鍵となります。

 

 

先ほどの運動して健康な自分になるであれば,

実際に運動しなくても,ジャージなどの運動する服に着替えて,

玄関まで行くことを習慣化すればいいのです。。

 

 

実際に運動することがハードルが高い人には,

まずは運動する服に着替えて玄関まで行くという

低いハードルを習慣化していくことで,

しだいに玄関から外にでて,

ランニングをすることにつながっていくのです。

 

 

これをブログにあてはめると,1日1行でもいいので,

更新することを習慣化すればいいのです。

 

 

できる時間にできることをするようにしないと,

ハードルが高くなりすぎて,習慣化に至る前に挫折してしまうので,

ハードルを低くすることが重要になります。

 

 

そして,最初から成果を求めてはいけません。

 

 

人間の成長は,かけた労力や時間と正比例するのではなく,

最初は何も成果でない状態が一定期間継続し,

一段階段を登るように次のステージに以降し,

また同じようにしばらく成果がでない状態が継続するというように,

階段をゆっくりゆっくりと登っていくように人間は成長していきます。

 

 

 

 

そのため,最初から成果を求めると,

成果がでない状態が一定期間継続するので,

いくらやっても成果がでないと思い込んでしまって,

途中で挫折してしまうのです。

 

 

そのため,最初から成果はでないと理解した上で,

自分にとって適切な負荷をかけた上で,

楽しくて楽にできることを途切れずに

毎日継続して実行していくことで,

習慣化できるようになるわけです。

 

 

たちさんは,「徹底的」を習慣化して淡々とやること

最終目的地だとおっしゃりました。

 

 

淡々とというキーワードが私にとって,とても印象に残りました。

 

 

私は,20代前半に司法試験の受験勉強をしていたときに,

伊藤塾という司法試験予備校の講師である呉明植先生が,

司法試験の受験生に向けたメッセージとして

「淡々と,ひたすら淡々と」

とおっしゃっていたのを思い出しました。

 

 

今日はやる気がないなぁと思いながらも,毎日淡々と受験勉強をする。

 

 

これが,司法試験に受かるための王道であると。

 

 

やる気というモチベーションに頼ることなく,

淡々と毎日,正しい方向に向けて受験勉強を継続すると,

司法試験に合格できるというわけです。

 

 

「なりたい自分」になるための小さな行動を毎日,

淡々と継続することが,「なりたい自分」になるための最短の王道なのです。

 

 

そのため,ブログを書きにくいコンディションのときには,

これまでよりもハードルを下げてブログを記載して,

毎日更新を継続していこうと思います。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

派遣先会社の上司による派遣社員に対するパワハラ

先日,ブログに記載しましたが,パワハラについては,

①パワハラの事実を証明できるのか,

②違法なパワハラと評価できるのか,

③損害額はいくらになるのか,

という3つのハードルがあります。

 

 

このハードルのうち,

②違法なパワハラと評価できるのかと,

③損害額はいくらになるのかについては,

ケースバイケースで判断していくしかないので,

パワハラに関する裁判例を多く分析しておくことが

効果的だと考えています。

 

 

そこで,本日は,派遣先会社の上司の派遣社員に対する叱責が

パワハラと判断されたアークレイファクトリー事件を紹介します

(大阪高裁平成25年10月9日判決・労働判例1083号24頁)。

 

 

この事件では,派遣社員である原告が,派遣先会社の上司から,

「殺すぞ」,「お前」,「あほ」,「休みやがって確信犯やな」,

「頭の毛,もっとチリチリにするぞ。ライターで」,「崖から落ちろ」

などの暴言をはかれて叱責されたことが,

業務上必要かつ相当な範囲を超えた

違法なパワハラに該当するかが争点となりました。

 

 

 

特に,この事件で注目すべき点は,

被害者である労働者が派遣社員という,

不安定な雇用状況にある者であり,

派遣先会社の上司からの発言に対して,

容易に反論することが困難であり,

弱い立場にある労働者へのパワハラが

問題になったということです。

 

 

裁判所は,上司が部下を叱責する際の注意点として,

次のように判断しました。

 

 

監督者が監督を受ける者を叱責し,あるいは指示を行う際には,

労務遂行の適切さを期する目的において

適切な言辞を選んでしなければならないのは当然の注意義務

であるとしました。

 

 

ようするに,上司は,部下の反省を促し,成長を促す目的で,

適切な言葉を使って部下を叱責しなければならないのです。

 

 

そして,本件事件では,上司の言動はいかにも粗雑で,

極端な表現を用い,配慮を欠く態様で指導されており,

監督を受ける部下としても,上司の発言が真意でないことを

認識しえるとしても,日常的にこのような上司の監督を

受任しなければならないものではないと判断されました。

 

 

 

 

やはり,上司には,労務遂行上の指導・監督を行うにあたり,

そのような言動をもってする指導が

部下との人間関係や部下の理解力を考慮して,

適切に指導の目的を達成して,その真意が

伝わっているかを注意すべき義務があるのです。

 

 

このように,上司が部下を叱責する際の注意義務について

詳細に分析されているので,参考になります。

 

 

この事件では,部下が当惑や不快の意思を示しているのに,

上司は上記の暴言を繰り返していたので,

この上司の叱責は嫌がらせや侮辱といえ,

違法なパワハラであると認定されました。

 

 

もっとも,この上司には,強い害意や

常時嫌がらせの指向があるわけではなく,

態様としても受け止めや個人的な感覚によっては,

単なる軽口として聞き流すことも不可能ではない,

多義的な部分も多く含まれているとして,

慰謝料としては30万円しか認められませんでした。

 

 

慰謝料の金額で不十分な点があるものの,

正社員と派遣社員との支配関係に着目して,

上司が部下を叱責するときの注意義務が

具体的に明らかにされた点において参考になる裁判例です。

 

 

 

派遣先会社の上司による派遣社員への叱責は,

違法なパワハラとやや認定されやすくなるかもしれません。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

北陸ブログセミナー同窓会での気付き

先日,福井で,私のブログの師匠である板坂裕治郎師匠

が主催するブログセミナーの北陸同窓会がありましたので,

参加してきました。

 

 

(板坂裕治郎師匠)

 

思えば,2018年5月1日,税理士の小林弘昌先生から

「ブログセミナーがあるのですが,参加しませんか?」

と誘われて,板坂裕治郎師匠のブログセミナーに

参加したのが始まりでした。

 

 

なんと,その日に,365日ブログを

更新することが決まりました。

 

 

私は,「弁護士忙しいのに毎日更新できるんかいや?」

と戸惑いながらも,ブログセミナーの同期生に支えられて,

なんとか,今日まで,毎日更新を続けることができました。

 

 

今年の5月7日で365日達成なのですが,

この北陸のブログ同窓会で,板坂裕治郎師匠からは,

365日が目標なのではない,365日はあくまで通過点であり,

4年の1461日を目指しなさいと教わりました。

 

 

板坂裕治郎師匠の受講生の中には,365日達成できても,

その後にブログを更新しなくなってしまう人がいるようです。

 

 

ブログを更新しなくなると,

中小零細弱小家業の社長の四大疾病である,

傲慢,怠惰,自堕落,無知が再発してしまうので,

365日を経過しても,ブログを更新する必要があるのです。

 

 

あくまでブログを更新するのは,

この四大疾病を克服する最低条件なのです。

 

 

そして,板坂裕治郎師匠は,我々は,

ビジネスブログアスリートなので,アスリートが

4年に1度のオリンピックを目指すように,

365日達成の次は,4年の1461日を目指しなさい

とはっぱをかけられました。

 

 

 

私は,ブログを毎日更新するようになり,

自分が専門としている労働事件のことをブログで情報発信するために,

毎日アンテナをはりながら,専門知識をインプットしているので,

労働弁護士としての実力が向上しているのを実感しています。

 

 

高度なアウトプットを前提とした上質なインプット

毎日継続しているので,自己成長が実感できるのです。

 

 

そして,他の弁護士がやっていない毎日更新を実践していることで,

自信がつきました。

 

 

そのため,ブログの更新をとめると,

自己成長の速度が遅くなってしまい,

しまいには,四大疾病に罹患するリスクがあります。

 

 

もう少しで365日達成だと,やや浮ついておりましたが,

板坂裕治郎師匠から活を入れられ,365日を経過しても,

ブログを継続しようと決意しました。

 

 

この同窓会では,自分の強みを分析するワークの時間がありました。

 

 

自分のバックボーンと組合せて強みを語ることで,

理想客に対して,説得的に伝えることができます。

 

 

しかし,私は,ありきたりな強みとバックボーンしか

抽出するこができず,自分の強みをブログ仲間に

説得的に伝えることができませんでした。

 

 

今後は,自分の強みを分析していかなければならないと痛感しました。

 

 

そして,板坂裕治郎師匠から,7つのステップとして,

①熱い想い→②見える化→③公表→④共感→⑤協力者→⑥覚悟→⑦変化

を教わりました。

 

 

私は,自分のブログに①熱い想いをあまり記載していなかったので,

今後は,自分の熱い想いをブログで公表していきたいと思います。

 

 

(ブログセミナーの仲間たちと)

 

10連休のゴールデンウィークを乗り切れば,

365日達成ですので,引き続き,

このブログをよろしくお願い致します。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

250万円の慰謝料請求が認められたパワハラ事件

労働事件の法律相談で最近多いのが

パワハラや職場の嫌がらせ,いじめの問題です。

 

 

もっとも,パワハラについては,

①パワハラの事実を証明できるのか,

②違法なパワハラと評価できるのか,

③損害額はいくらになるのか,

という3つのハードルがあるため,費用対効果の関係で,

弁護士に解決の依頼をするところまで至らないことも多いです。

 

 

 

 

①パワハラの事実を証明できるかについては,

録音,病院のカルテ,日記などをもとに判断していきますが,

②違法なパワハラと評価できるのかと,

③損害額はいくらになるのかについては,

ケースバイケースで判断していくしかないので,

パワハラに関する裁判例を多く分析しておくことが

効果的だと考えています。

 

 

そこで,本日は,パワハラの慰謝料として250万円という,

比較的高額な慰謝料が認められた

プラネットシーアール事件を紹介します

(長崎地裁平成30年12月7日判決・労働判例1195号5頁)。

 

 

この事件では,上司の原告労働者に対する次の言動が,

原告の人格権を違法に侵害する不法行為にあたると判断されました。

 

 

上司は,原告の業務負担が前より増加する中,

逆により短時間で結果を出すように

原告にとって困難な目標達成を求め続けたり,

営業部門との板挟みになって対処に窮するような指示をし続け,

それらが実現できないと,指示に従わないとして

厳しく注意,叱責することを繰り返しました。

 

 

 

 

しまいには,叱責中の原告の目つきや態度が気に食わない

として叱責したり,過去に叱責した問題を蒸し返して叱責したり,

上司が何について叱責したいのか告げないまま叱責し,

原告が何について叱責されているのかわからないことを

更に叱責するといった,内容的にはもはや叱責のための叱責となり

業務上の指導を逸脱した執拗ないじめとなっていました。

 

 

具体的には,「何だその目つきは。文句があるのか。

言いたいことがあるなら口で言え。恨めしげににらみやがって,腹の立つ。」,

「反抗的な,もの言いたげな,口を尖らせたような顔をしとる」,

「言い訳するな,お前が悪い」,

「今までのミスを俺が明らかにすれば,お前クビぞ,脅しじゃなかぞ」,

「始末書を書くのにパソコンを書くのかお前は。

お前の始末書に会社の財産を使うのか。」,

「お前は素直なふりをしているが,素直そうなその返事も,

俺にはうそとしか思えない。うそをつくやつには仕事を任せられない」

などというものです。

 

 

理由もなく叱責したり,解雇をちらつかせたり,

仕事から排除する場合には,違法なパワハラと

認定される可能性があります。

 

 

上司のこれらのパワハラは約1年間も続き,原告は,

適応障害を発症し,最終的には精神的に不安定となり,

希死念慮にかられるまで精神的に追い詰められて

働けなくなってしまいました。

 

 

 

 

上司のパワハラの態様や,原告の被害状況,

会社のその後の対応などを考慮して,

慰謝料250万円が認められました。

 

 

さらに,この事件では,もう一つ注目される判断がされました。

 

 

原告は,上司のパワハラが原因で働けなくなったので,

会社の責めに帰すべき事由によって,労務提供ができないので,

民法536条2項により,賃金請求ができ,

原告は,労災保険から休業補償を受給していましたが,

このような給付は賃金を補填する趣旨で支給されるものではないから,

休業補償を受給したことで,被告が賃金額を減額することはできない

と判断されたのです。

 

 

解雇の事件では,解雇が無効になった場合,

民法536条2項を根拠に未払賃金を請求できますが,

他の会社で働いていた場合,平均賃金の4割ほど

減額されることがあるのですが,

労災保険の休業補償を受給していても,

未払賃金から減額されないというわけです。

 

 

この判断は,労働者にとって有利なものです。

 

 

パワハラ事件で高額な慰謝料が認められるのはどのような場合か

を検討するのに参考になりますので,紹介しました。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

深夜労働の割増賃金が支払われていない場合の対処法

昨日,次のような労働相談を受けました。

 

 

相談者は,ビル設備保守管理,運転監視業務をしていたのですが,

深夜の時間帯の割増賃金が適切に支払われていないので,

夜勤をしたときの深夜労働の割増賃金を含む

未払残業代を請求したいという相談でした。

 

 

 

 

夜勤の仕事内容は,ビルの防災センターにつめて,

監視モニターでビルを管理し,ビルを巡回警備したり,

配管の水漏れの警報が鳴れば現場にかけつけて対応し,

雷による停電があればその対応をする必要がありました。

 

 

会社の説明では,2万円ほどの特別勤務手当が残業代に相当するので,

残業代は適切に支払われているとのことです。

 

 

このように深夜労働をしていた場合,

2万円ほどの特別勤務手当を支払われているだけで,

適法な残業代の支払いがあったといえるのでしょうか。

 

 

深夜の時間帯に働く警備員,ホテルのフロント業務を担当する労働者,

マンションの住込み管理員などの労働者が,

深夜労働の割増賃金を請求する場合,

深夜に働く時間が労働時間か否かが争点となります。

 

 

深夜労働の場合,仮眠時間があったり,手待ち時間が多いなど,

日勤の仕事に比べて労働密度が薄いことから,

会社は,労働時間か否かを争ってきます。

 

 

このような労働時間か否かが争われる場合に

参考になる裁判例を紹介します。

 

 

大林ファシリティーズ事件の最高裁平成19年10月19日判決です

(労働判例946号31頁)。

 

 

この事件では,午前9時から午後6時までが(休憩1時間),

マンションの住込み管理員の所定労働時間とされていたのですが,

実際には,午前7時から午後10時までの時間帯に,

所定労働時間前後も働いていたとして,

マンションの住込み管理員が未払残業代を請求したものです。

 

 

 

マンションの住込み管理員の業務は,

実作業をしていない不活動時間が多かったことから,

不活動時間が労働時間か否かが争われました。

 

 

まず,不活動時間が労働時間といえるためには,

会社の指揮命令下に置かれていたと評価できるかで決まり,

不活動時間において労働契約上の仕事の提供が義務付けられている

と評価できれば,労働からの解放が保障されていないとして,

会社の指揮命令下にあると判断されます。

 

 

そして,被告会社は,原告らに対し,所定労働時間外にも,

管理員室の照明の点消灯,ゴミ置き場の扉の開閉,

テナント部分の冷暖房装置の運転の開始及び停止等

の断続的な仕事を指示し,マニュアルにも,

所定労働時間外においても,住民や外来者から宅配便の受け渡し等

の要望が出される都度,これに随時対応すべきことが記載されており,

原告らは,午前7時から午後10時までの時間帯に

事実上待機せざるを得ない状態に置かれていました。

 

 

さらに,被告会社は,原告らから管理日報等の提出を受けるなどして

定期的に業務報告を受けて,適宜業務指示をしており,

所定労働時間外の住民からの要望へ対応することについて

黙示の指示があったとされました。

 

 

 

 

その結果,平日の午前7時から午後10時までの時間について,

管理員室の隣の居室における不活動時間を含めて,

被告会社の指揮命令下に置かれていたとして,

労働時間と認められ,未払残業代請求が認められました。

 

 

このように,不活動時間については,会社が労働者に対して,

どのような業務指示をしていたのか,

マニュアルや管理日報から勤務実態や業務量はどうなっていたのか

を考慮して,労働時間か否かが判断されます。

 

 

そのため,深夜労働の割増賃金を請求する場合,

日報,報告書,マニュアルなどの証拠を集めた上で,

不活動時間における指示内容,勤務実態,業務量

を検討することが重要になります。

 

 

検討した結果,不活動時間が労働時間と判断できそうであれば,

会社に対して,未払残業代を請求していきます。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

マタハラの対処法3

昨日のブログにも記載しましたが,

育休後に復職しようとしたところ,

会社から仕事はないといわれて,退職勧奨され,

実質的には解雇のような対応をされた場合,

どのように対処すべきなのでしょうか。

 

 

 

 

本日は,育休後の復職の際に退職扱いされたことが争われた

出水商事事件を紹介します(東京地裁平成27年3月13日判決・

労働判例1128号84頁)。

 

 

この事件では,産休中の原告に対して,

突然退職通知が送付されて退職金が支払われ,

納得のいかない原告が退職扱いの撤回を求めたところ,

退職扱いが撤回されたのですが,

原告が育休後に復職しようとしたところ,会社は,

「補充人員で席がなく,仕事がない。退職した方がいいと思います。」,

「もう一度働きたいなら被告代表者と面接をする。

それから雇うか決める。面接はそのとき仕事があればする。」

等と言われたために,原告は,復職予定日以降,

被告会社に出社できませんでした。

 

 

このような被告会社の対応に対して,原告は,

育休後の復職予定日以降に出社していないのは,

被告会社に帰責性があると主張して,未払賃金の請求と,

産前産後休業中に退職通知を送付した行為が違法であると主張して,

損害賠償を請求しました。

 

 

ここで,労働者の会社に対する賃金請求権は,

会社で就労することによって初めて発生するのですが,

会社の「責めに帰すべき事由」によって,

労働者が働くことが出来なかった場合,

民法536条2項により,労働者は,

会社に対して,賃金を請求できます。

 

 

 

 

この場合,労働者には,労務提供の意思と能力が

必要とされているので,会社に対して,

働く意思があることを表示しておきます。

 

 

ようするに,育休後に復職しようとして,

会社から復職を拒否された場合であっても,

労働者は,会社に対して,働く意思があることを表示しておけば,

実際に働いていなくても,賃金を請求することができるのです。

 

 

また,育児介護休業法4条には,会社は,

子供の養育を行う労働者の福祉を増進するように努めなければならず,

育児介護休業法22条には,育休後の就業が

円滑に行われるようにするために,

労働者の配置や雇用管理などにおいて必要な措置を講ずるよう

努めなければならないと規定されています。

 

 

そのため,本件事件では,原告が育休を取得している以上,

復職予定日に復職するのは当然であり,

育児介護休業法4条,22条に照らせば,被告会社は,

育休後の就業が円滑に行われるように必要な措置を講ずるよう

務める責務を負うことから,被告会社が原告の復職を拒否して,

原告が不就労となっていることについて,

被告会社に帰責性があると判断されました。

 

 

 

そのため,原告の不就労の一定期間について,

原告の賃金請求が認められました。

 

 

そして,労働基準法19条1項では産前産後の休業をしている女性を

解雇してはならず,育児介護休業法10条では

育休の申し出をした労働者に対して解雇などの

不利益取扱いをしてはならないと規定されています。

 

 

それにもかかわらず,被告会社は,産休中の原告に対して

退職扱いにする連絡をし,原告から撤回を求められても直ちに撤回せず,

むしろ退職通知を送付しており,これら被告会社の一連の行為には

重大な過失があり,労働基準法19条1項,育児介護休業法10条に

違反する違法行為であり,不法行為に該当し,

慰謝料15万円が認められました。

 

 

会社から育休後の復職を拒否されたとしても,

働く意思を表示しておけば,賃金を請求できますし,

育児介護休業法10条違反を根拠に,少額になるかもしれませんが,

慰謝料の請求が認められる可能性があります。

 

 

会社の対応がマタハラなのではないかと感じたら,

早目に弁護士に相談するようにしてください。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

マタハラの対処法2

昨日,次のようなマタハラの法律相談を受けました。

 

 

相談者は,育休を取得する前は,

5時から13時までの時間帯で勤務していました。

 

 

育休が終わり,職場復帰しようとしたところ,会社からは,

14時から21時までの時間帯の勤務しかないと言われました。

 

 

会社からは,その理由として,相談者が育休に入るために

新しく人を雇ったので,5時から13時までの時間帯の

仕事はないということです。

 

 

しかし,小さい子供を養育している相談者としては,

14時から21時の夜の時間帯に働くことは困難です。

 

 

さらに,会社からは,1ヶ月分の給料を支払うので,

他の会社へいってほしい,新しい仕事を探してほしいと言われたようです。

 

 

 

 

今どき,ここまであからさまなマタハラ行為をする

会社があるのかと驚きましたが,現実には,

マタハラの被害が発生しているのだと思います。

 

 

さて,このようなマタハラに対して,

労働者はどのように対処するべきなのでしょうか。

 

 

そもそも,マタハラとは,女性労働者が妊娠,出産,育児などに

関連して職場で嫌がらせ(ハラスメント)行為を受けたり,

妊娠,出産などを理由として会社から不利益を被るなどの

不当な扱いをうけることをいいます。

 

 

このようなマタハラについては,次のように,規制されています。

 

 

まず,不利益取扱いの禁止です。

 

 

男女雇用機会均等法9条では,女性労働者の妊娠,出産,

産前産後休業などの権利行使をしたことを理由とする

解雇その他の不利益取扱いが禁止されています。

 

 

女性労働者を妊娠中または産後1年以内に解雇することは,

会社が妊娠を理由とする解雇でないことを証明しない限り無効となります。

 

 

また,1歳未満の子供を養育する労働者は,

会社への申出により,子供が1歳に達するまでの一定期間,

育休を取得できます(育児介護休業法5条)。

 

 

 

会社は,育休を理由として,労働者に対して解雇

その他の不利益取扱いをしてはなりません(育児介護休業法10条)。

 

 

次に,会社には,マタハラ防止措置が義務付けられています

(男女雇用機会均等法11条の2,育児介護休業法25条)。

 

 

会社に義務付けられているマタハラ防止措置とは,

具体的には次のようなものです。

 

 

①マタハラに対する会社の方針を明確にし,

就業規則などに規定し,研修によって周知,啓発すること

 

 

②相談窓口を設けて,相談担当者が適切に対応できるように

マニュアルを整備すること

 

 

③事実関係を迅速かつ正確に把握し,

事実確認ができた場合には速やかに被害者に対する配慮措置,

行為者に対する措置を実施し,再発防止を講じること

 

 

④周囲の労働者の業務負担への配慮などの業務体制の整備など

 

 

⑤その他,関係者のプライバシー保護,ハラスメント相談や

事実関係確認に協力したことを理由とする不利益取扱い禁止の周知など

 

 

 

 

これらのマタハラ防止措置を怠っていた会社において,

マタハラ被害が発生した場合,会社に対して

損害賠償請求をすることが考えられます。

 

 

さて,冒頭の相談者のケースの場合,

育休を取得したことを理由に退職勧奨,

実質的には解雇を通告されていますので,

会社の対応は育児介護休業法10条に違反しており,

また,会社はマタハラ防止措置義務を怠っているといえますので,

会社に対して,育休からの職場復帰を求めれますし,

賃金も請求でき,場合によっては,

慰謝料などの損害賠償を請求できます。

 

 

マタハラの被害を受けて納得出来ない場合には,

弁護士へ早目に相談することをおすすめします。

 

 

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精神疾患が悪化した場合の労災認定基準

仕事以外の原因や,仕事による弱い心理的負荷によって

精神疾患が発症し,その後に,仕事による強い心理的負荷によって,

精神疾患が悪化した場合,労災と認められるのでしょうか。

 

 

もともと精神疾患がなかった人が,発症前6ヶ月間に,

仕事による強い心理的負荷によって精神疾患を発症した場合,

労災と認定されるのですが,もともと精神疾患があった人が,

仕事による強い心理的負荷によって,精神疾患が悪化した場合,

労災と認められるためには高いハードルがあります。

 

 

すなわち,精神疾患の悪化の場合,悪化の前に,

仕事による強い心理的負荷となる出来事があったとしても,

原則として労災とは認められないのです。

 

 

 

 

もっとも,精神障害の労災認定基準別表1に記載されている

「特別な出来事」に該当する事実が存在し,

その後おおむね6ヶ月以内に精神疾患が自然的経過を超えて

著しく悪化したと医学的に認められる場合に,

悪化した部分について労災と認められます。

 

 

この「特別な出来事」とは,次のような場合です。

 

 

①生死にかかわる,極度の苦痛を伴う,または

永久労働不能となる後遺障害を残す業務上の病気やケガをした場合

 

 

②業務に関連し,他人を死亡させ,または

生死にかかわる重大なケガを負わせた場合

 

 

③強姦や,本人の意思を抑圧しておこなわれた

わいせつ行為などのセクシャルハラスメントを受けた場合

 

 

④発病直前の1ヶ月におおむね160時間を超えるような,

またはこれに満たない期間これと同程度の

(例えば3週間におおむね120時間以上の)時間外労働を行った場合

 

 

 

 

このような,「特別な出来事」がない限り,

精神疾患の悪化のケースでは,労災と認められないので,

ハードルがとても高いのです。

 

 

昨日紹介した,国・厚木労基署長(ソニー)事件では,

上記の判断基準が妥当と判断されました

(東京高裁平成30年2月22日判決・労働判例1193号40頁)

 

 

その理由としては,既に精神疾患を発症して治療が

必要な状態にある者は,病的状態に起因した思考から

自責的・自罰的になり,ささいな心理的負荷に過大に反応し,

悪化の原因が必ずしも大きな心理的負荷によるものとは限らず,

自然経過によって悪化する過程でたまたま仕事による

心理的負荷が重なったにすぎない場合があるからです。

 

 

精神疾患の悪化の原因が仕事による強い心理的負荷と

判断しにくいので,労働者本人の要因とはいえないくらい,

極めて強い心理的負荷がある場合についてのみ,

精神疾患の悪化を労災と認めるようにしたわけです。

 

 

しかし,精神疾患の既往歴のある労働者に,

仕事による強い心理的負荷が認められても

労災と認定されないとなると,一般的な労働者と判断基準が

異なってしまうという論理的な問題があり,

精神疾患の既往歴のある労働者に厳しすぎる判断基準となっており,

妥当ではありません。

 

 

 

 

精神疾患の既往歴のある労働者にとって不平等な結論

となってしまいますので,労災認定基準を見直して,

精神疾患の悪化の事案についても一般的な労働者と

区別しない判断基準に改正するべきだと考えます。

 

 

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