懲戒解雇される前に会社を自己都合退職できるのか?

会社のお金を横領してしまったという不祥事や,

会社の外で万引きをして逮捕勾留されて,

長期間会社を欠勤してしまったといった場合,

労働者は,会社から懲戒解雇されてしまう危険があります。

 

 

 

会社から懲戒解雇されそうな場合,

労働者は,懲戒解雇される前に,

会社を自己都合退職することができるのでしょうか。

 

 

懲戒解雇されてしまうと,自分の経歴に

大きなきずがついてしまうので,労働者としては,

懲戒解雇を避けて,自分から会社を辞めたいと考えるものです。

 

 

本日は,懲戒解雇と自己都合退職について検討します。

 

 

何回かブログで解説してきましたが,

正社員であれば,退職届を提出してから,

2週間が経過すれば,辞める理由に関係なく,

会社を退職することができます。

 

 

さらに,年次有給休暇が残っている場合には,

退職届を提出した後に,年次有給休暇を取得して

会社を休めば,2週間会社に出勤することなく,

退職することができるのです。

 

 

このように,労働者が会社に退職届を提出してから

2週間が経過すれば,退職の効力が生じて,

労働契約は終了します。

 

 

そのため,労働者に,懲戒解雇に該当する懲戒事由が

存在する場合であっても,労働者がすでに

自己都合退職していて,労働契約が終了している場合には,

会社は,重ねて,懲戒解雇という労働契約の終了を

内容とする処分をすることができないのです。

 

 

 

 

例えば,不正経理の疑いが生じた労働者に対して,

会社が事実関係を調査している最中に,

労働者が退職届を提出して,2週間が経過してしまえば,

調査の結果,懲戒解雇に該当する懲戒事由が認められて,

懲戒解雇をしたとしても,自己都合退職の効力が

有効に発生した以上は,懲戒解雇は無効になります。

 

 

もし,労働者に,懲戒解雇されてもやむを得ない

行為をしたという心当たりがあり,

会社から懲戒解雇されそうになったのであれば,

懲戒解雇されてしまう前に,

さっさと退職届を会社に提出すればいいのです。

 

 

そして,運良く,退職届提出から2週間以内に

懲戒解雇されなければ,自己都合退職できて,

懲戒解雇を免れることになります。

 

 

もっとも,就業規則に,懲戒解雇事由が認められる場合には,

退職金を減額または不支給にするという規定が存在すれば,

自己都合退職したとしても,退職金を減額されたり,

不支給とされる可能性があることを知っておいてください。

 

 

 

 

懲戒解雇事由で退職金が減額されるだけであれば,

減額されることを承知で退職金を請求してみる

のも一つの手ではあります。

 

 

懲戒解雇されるか,自己都合退職できるかで

精神的に追い詰められるのは健全なことではありませんので,

労働者は,くれぐれも悪いことはしないようにしてくださいね。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

年次有給休暇は労働者の権利です!

 

昨日に引き続き,年次有給休暇の解説をしていきます。

 

 

昨日のブログに記載しましたが,

よほどの事情がない限り,

会社の時季変更権の行使は認められず,

労働者は,原則として,自由に

年次有給休暇を取得することができるのです。

 

 

ということは,会社は,労働者が年次有給休暇を取り得るように,

人員配置をする義務があり,その義務をはたした上でも,

労働者の多数の年次有給休暇の取得が重なるなど,

突発的な理由で,労働者が指定してきた時季に

休暇を与えることが会社の業務を阻害すると

客観的に認められる場合にのみ,時季変更権を行使できるのです。

 

 

単に会社が繁忙であるという理由だけでは,

会社は,時季変更権を行使できないのです。

 

 

 

 

恒常的な人手不足のために,代替要員を確保することが

常に困難な会社では,そもそも時季変更権が

認められないことになります。

 

 

職場が忙しい,人手が足りない,同僚に気兼ねする

といった理由で,労働者は,年次有給休暇の取得を

自粛してしまいがちですが,これらの理由では,

会社は時季変更できないので,自信をもって,

年次有給休暇を取得してもらいたいです。

 

 

次に,労働者が退職する前に,たまっていた

年次有給休暇を消化しようとしたときに,会社は,

時季変更権を行使できるのでしょうか。

 

 

会社が,時季変更権を行使できる前提として,

労働者が指定した日とは別の日に

年次有給休暇を与える必要があります。

 

 

そうなると,労働者が退職する場合,

会社は,別の日に年次有給休暇を与えることができないので,

会社は,時季変更権を行使できないことになります。

 

 

 

 

そのため,会社が,退職する労働者に対して,

引継ぎの仕事があるといって,時季変更権を行使して

年次有給休暇を取得させないことは違法になるのです。

 

 

退職する労働者が,業務の引継ぎのため,

退職日まで働いてしまい,残っている年次有給休暇を

消化できなかった場合,会社に対して,

年次有給休暇の買い取りを請求できるのでしょうか。

 

 

年次有給休暇の買い取りは,法律上の制度としては

認められていないので,会社が買い取りに応じてもらえるなら,

年次有給休暇分の賃金を支払ってくれますが,

会社が買い取りに応じないときには,

年次有給休暇はそのままとなり,

労働者が損をすることになります。

 

 

会社が年次有給休暇の買い取りに応じてくれる

保障はないので,退職するまでに年次有給休暇を

取得してしまい,残さないようにしましょう。

 

 

さて,今年の働き方改革関連法において,

年次有給休暇に関して重要な法改正がありました。

 

 

 

それは,会社は,労働者に対して,

1年間に最低5日,年次有給休暇を取得させることが義務付けられ,

これに違反した場合には,労働者1人あたり,

30万円以下の罰金が科されることになりました。

 

 

厚生労働省の平成29年の「就労条件総合調査」によれば,

労働者は,与えられた年次有給休暇の日数のうち

約半分の日数しか年次有給休暇を取得していないことから,

違反した会社に罰則を科すことで,労働者の年次有給休暇の

取得率向上を図ろうとしているのです。

 

 

このように,会社は,1年間に最低5日,

労働者に年次有給休暇を取得させないと,

罰金が科されるので,労働者は,

周囲に気兼ねすることなく,

堂々と年次有給休暇を取得して,

リフレッシュしてもらいたいです。

 

 

 

 

年次有給休暇を利用して,

しっかり休むことで,

よりよい仕事ができるようになります。

 

 

年次有給休暇の取得は,労働者の権利

であることを忘れないでください。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

年次有給休暇を活用しよう!

会社を退職するにあたり,残っている年次有給休暇を

取得しようとしたところ,会社から,人手不足なので,

年次有給休暇の取得を認めないと言われました。

 

 

 

 

労働者としては,会社が人手不足なので,

年次有給休暇を使ってほしくないのはわかりますが,

退職してしまえば,残った年次有給休暇がもったいなくて,

どうすればいいのか迷いますよね。

 

 

そもそも,会社は,人手不足を理由に

労働者の年次有給休暇の取得を拒むことができるのでしょうか。

 

 

本日は,労働者が疑問に思う年次有給休暇について解説します。

 

 

まず,労働者は,1年間に行使できる

年次有給休暇の日数の範囲内で,

具体的な休暇の始まる日と終わりの日を特定して,

会社に通知するだけで,年次有給休暇を

取得することができるのです。

 

 

 

 

ここで重要なのは,年次有給休暇を取得するのに,

会社の承諾は必要ないのです。

 

 

年次有給休暇は,労働者が自由に利用することが

できるものなので,何の目的で年次有給休暇を

取得するのかを会社に届け出る必要もありません。

 

 

次に,労働者は,いつまでに,年次有給休暇の取得を

会社に伝える必要があるのでしょうか。

 

 

就業規則に,前日の正午まで,前々日の勤務終了時まで

などと規定されている場合には,

その規定に従って会社へ通知すれば問題ありません。

 

 

就業規則に,いつまでに会社に通知すればいいのかが

規定されていなければ,労働者が希望する

年次有給休暇の開始までに,会社に通知すればよいです。

 

 

可能であれば,年次有給休暇の取得を希望する

前日の終業時刻までに,会社に通知するのが望ましいです。

 

 

それでは,会社は,労働者が年次有給休暇

の取得を希望した日ではなく,別の日に

変更させることができるのでしょうか。

 

 

労働基準法39条5項には,

事業の正常な運営を妨げる場合」には,

会社は,労働者が年次有給休暇の取得を

希望した日とは別の日に年次有給休暇を

取得させることができます。

 

 

これを,時季変更権といいます。

 

 

ただし,年次有給休暇の取得は,

労働基準法で認められた労働者の権利であり,

原則として,労働者が希望する日に

年次有給休暇を取得させるべきですので,

会社の時季変更権は,例外的な場合にしか認められません。

 

 

そのため,「事業の正常な運営を妨げる場合」とは,

当該労働者のその日の労働が,

所属する事業場のその日の業務運営にとって必要不可欠であり,

当該労働者がその日に働かないと,

事業場全体の業務が阻害されてしまう場合に限定されます。

 

 

 

 

ようするに,よほどの事情がない限り,

会社の時季変更権の行使は認められず,

労働者は,原則として,自由に

年次有給休暇を取得することができるのです。

 

 

長くなりましたので,続きは,明日以降に記載します。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

非正規公務員の雇止め問題

公務員の労働問題は,民間企業の場合と

異なることが多々あります。

 

 

 

公務員の労働条件は,法律や条例で定められるのに対して,

民間企業の労働条件は,労働契約書や就業規則で定められます。

 

 

また,公務員の採用や退職といった身分関係の変動が

全て行政行為に基づいている点に特色があります。

 

 

行政行為とは,行政庁が,法律に基づき,

公権力の行使として,直接・具体的に

国民の権利義務を規律する行為をいいます。

 

 

そのため,公務員の身分関係の変動を争う場合には,

行政庁の判断に裁量の逸脱や濫用があったかが争点になります。

 

 

このように,公務員の労働問題は,

民間企業とは異なる特殊性があるのですが,

本日は,非正規公務員の雇止めの問題について解説します。

 

 

労働契約法19条によって,民間企業の非正規雇用労働者は,

有期労働契約が更新されるものと期待することについて

合理的な理由がある場合には,雇止めが無効になって,

有期労働契約が更新されることがあります。

 

 

しかし,非正規公務員の場合,労働契約法21条によって,

労働契約法が適用されないため,

今後も雇用が継続すると期待することについて

合理的な理由があっても,雇止めは有効となります。

 

 

民間企業の非正規雇用労働者であれば,

雇用が継続される場合であっても,

非正規公務員の場合は,行政庁が更新を認めない限り,

雇用が継続されることはないのです。

 

 

これは,公務員の採用である任用は,

行政庁の行政行為があって初めて勤務関係が成り立つのであって,

民間企業のように,労働者と会社の合意だけで

勤務関係が成立しないことに原因があります。

 

 

すなわち,法令に則った任用や任用更新手続が行われる

非正規公務員の再任用拒否については,

民間企業の場合と異なり,当事者の合理的意思解釈

によって任用関係の内容が変更されることは

認められていないので,再任用への期待が

直ちに合理的な期待として法的保護が与えられないからなのです。

 

 

それでは,任用更新ができないのであれば,

非正規公務員は,どのように争えばいいのでしょうか。

 

 

 

 

非正規公務員が,任命権者から,

任用予定期間満了後の任用継続を確約ないし保障するなど,

期間満了後の任用継続を期待しても無理もない行為を受けた

といった特別の事情がある場合に限り,国家賠償法に基づき,

損害賠償請求が認められる余地があります。

 

 

この特別の事情を判断する際に,

長期間にわたる任用継続,

更新手続の形骸化,

任用時の説明,

非正規公務員の職務内容,

行政庁の説明内容

といった事情が総合考慮されます。

 

 

25回任用が繰り返され,25年にわたり,

吹田市に勤務していた非常勤の公務員の裁判において,

損害賠償請求が認められませんでした

(吹田市事件・大阪高裁平成29年8月22日判決・

労働判例1186号66頁)。

 

 

このように,単に任用が継続しただけでは,

再任用拒否の違法性は認められないため,

非正規公務員の雇止めを争うのは極めて困難なのが現状なのです。

 

 

民間企業の非正規雇用労働者と比べて,

非正規公務員の勤務関係はさらに不安定でありますので,

非正規公務員の雇用を継続させる法律を制定するなどして,

解決すべきと考えます。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

会社が勝手に退職扱いしてきたときの対処法

最近は,人手不足の影響で,会社を辞めたくても

辞められないという法律相談が増えています。

 

 

その一方で,会社から,解雇ではないものの,

勝手に退職手続きをさせられるというトラブルも発生しています。

 

 

 

 

 

労働者が自分から辞めますとは言っていないにもかかわらず,

会社が「あなたは自分から辞めますと言いましたよね。」

などと言って,勝手に退職手続きをしてきた場合,

労働者はどのように対処するべきなのでしょうか。

 

 

本日は,このような会社の理不尽な

やり方に対処する方法を説明します。

 

 

会社が勝手に退職扱いしてきた場合に,

参考になるのが,東京地裁平成29年12月22日判決です

(判例時報2380号100頁)

 

 

この事件では,出産のため休業中であった女性労働者が,

会社から勝手に退職扱いされて育児休業の取得を妨げられた

と主張して,会社に損害賠償請求をしました。

 

 

いわゆるマタハラの事件です。

 

 

 

 

この判決では,労働者の退職の意思表示は,

その重要性にかんがみて,慎重に判断

しなければならないと判断されました。

 

 

なぜならば,退職の意思表示は,

労働者にとって生活の原資となる賃金の源である職

を失うという重大な効果をもらたす意思表示だからなのです。

 

 

日本の雇用社会では,労働者が自分の意思で退職する時には,

会社に退職届などの文書を提出することが一般的です。

 

 

口頭で退職の意思表示をすると,

言った言わないという問題になったり,

意味や趣旨が曖昧になるので,

退職という重大な意思表示を,

文書で明確にすることで,

円滑な退職手続きをすすめることができるのです。

 

 

そのため,退職届などの文書がない場合には,

退職の意思表示の認定はより慎重にする必要があるのです。

 

 

 

 

さらに,男女雇用機会均等法9条3項において,

女性労働者に対して,妊娠や出産,産前・産後休業,

育児休業の取得などを理由として,

不利益な取扱をしてはならないと規定されています。

 

 

妊娠や出産した女性労働者,

産前・産後休業や育児休業を取得している女性労働者

の退職の意思表示は,さらに慎重に判断しなければならないのです。

 

 

本件事件では,原告の女性労働者は,

退職の意思もそれを表示する言動もなく,

育児休業後に職場復帰する意思を表示していたことから,

会社が強引に退職扱いにしようとしたとして,

会社が主張する退職は認められませんでした。

 

 

そして,会社は,原告の女性労働者を違法に退職扱いにして,

育児休業取得に伴う育児休業給付金の受給を妨げたとして,

原告の女性労働者の育児休業給付金相当分

の損害賠償請求が認められました。

 

 

育児休業を取得する労働者が雇用保険の一般被保険者で,

育児休業開始日前2年間に賃金支払基礎日数が

11日以上ある月が12ヶ月以上ある場合,

会社を通じてハローワークに申請することで,

育児休業給付金が支給されるのです。

 

 

 

 

以上のように,会社が勝手に退職扱いしてきても,

労働者の退職の意思表示は慎重に判断されますので,

会社の対応に納得いかない場合には,あきらめずに,

会社に対して,働き続けることを主張していきます。

 

 

それでも,会社が素直に応じてくれない時には,

弁護士にご相談ください。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

研修中にけがをしたら・・・

人が通行している道路において大声で

自己紹介や今後の抱負を発表させられる,

度胸をつけるだめだと称してナンパをさせられる。

 

 

ブラック企業は,新入社員を,なんでも言うことを聞く,

会社にとって都合のいい人間に育て上げるために,

新人研修で社員を洗脳していきます。

 

 

 

 

研修講師が,新入社員を罵倒し,

人格を否定することを発言して,

新入社員を追い込み,会社の言うことを

聞くように洗脳していくのです。

 

 

このような新人研修はブラック研修と呼ばれ,

若者がブラック研修によって体調を崩し,

精神疾患を発症することが問題視されています。

 

 

それでは,このようなブラックな新人研修中に,

新入社員がけがをした場合,会社に対して,

どのような請求をすることができるのでしょうか。

 

 

本日は,新人研修中に負傷した新入社員が会社に

損害賠償請求をしたサニックス事件を紹介します

(広島地裁福山支部平成30年2月22日判決・

労働判例1183号29頁)。

 

 

この事件では,新人研修のカリキュラムの一つである

24kmを制限時間5時間で完歩する歩行訓練の際に,

48歳で身長171㎝,体重101.3kgの

男性の新入社員が右足と左足を負傷しました。

 

 

 

 

新入社員の男性は,労災申請し,

右足関節の機能障害(関節の動きが制限されること等です)

が右足関節離断性骨軟骨炎によるもので,

後遺障害等級10級10号に該当し,

左下肢の神経障害(痛みやしびれが生じること等です)

が後遺障害等級12級10号に該当すると判断されました。

 

 

労災が認定されると,国から,治療費の補償,

休業補償(けがで休んでいた期間の給料の補填),

後遺障害の補償(後遺障害残ったことの補償)

が受けられます。

 

 

しかし,労災では,休業補償は給料の8割

までしか補償されませんし,慰謝料の支払もされません。

 

 

そこで,労災ではけがをした労働者の損害の補償

として不足している部分について,労働者は,

会社に対して,損害賠償請求をします。

 

 

会社には,労働者の生命や健康を危険から

保護するように配慮すべき義務(安全配慮義務

を負っているので,労働者が労災で負傷した場合には,

会社が安全配慮義務を怠った可能性があるのです。

 

 

 

本件事件では,新入社員の男性が歩行訓練中に転倒して,

右足関節を痛めて,歩行訓練の中断や病院受診を求めても,

会社は,これを拒絶して歩行訓練を継続させました。

 

 

これが原因となって,新入社員の男性が

後遺障害が残る負傷をしたのですから,

会社の安全配慮義務違反が認められました。

 

 

また,労災事故の被害者に持病があり,

それが損害発生の原因になっている場合に,

損害額を減額することを素因減額といいます。

 

 

本件事件では,新入社員の男性に

軽度の変形性関節症があったのですが,

研修の前には何も症状がなく,軽度であったことから,

会社が主張した素因減額は認められませんでした。

 

 

結果として,合計1592万1515円の損害賠償が認められました。

 

 

このように,会社の研修中にけがをした場合,

まずは,労災請求をし,労災の認定を受けてから,

会社に対して,損害賠償請求をしていきます。

 

 

労働者が負傷するようなブラック研修が

実施されないようになっていってもらいたいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

会社を辞めさせてもらえないときの対処法

最近,人手不足のせいなのでしょうか,

会社を辞めたいのに,辞めさせてもらえない

という労働相談が増えています。

 

 

上司のパワハラがひどいので早く辞めたいのに,

1ヶ月前から退職届を提出しないと辞めさせてもらえない,

辞めるなら,損害賠償請求をすると脅されていて辞めれない,

といった労働相談が増えているのです。

 

 

仕事が辛いのに,辞めれないのでは,

精神的に苦しくなってしまいます。

 

 

 

 

それでは,会社を辞めたくなったとき,

どうすれば会社を辞めれるのでしょうか。

 

 

本日は,労働者が会社を辞めるための対処法について解説します。

 

 

まず,労働者は,憲法22条で職業選択の自由,

憲法18条で奴隷的拘束の禁止が保障されていますので,

労働者の退職は原則として,自由なのです。

 

 

もっとも,民法において,

労働者の退職の自由が一部制限されています。

 

 

正社員の場合,退職届を提出してから

2週間が経過すれば,退職が認められます。

 

 

 

 

 

そして,労働者が6ヶ月以上継続勤務し,

8割以上出勤していれば,10日間の有給休暇を取得できます。

 

 

通常の会社であれば,土曜日と日曜日が休みですので,

平日10日間で全て有給休暇を利用すれば,

2週間に土日が2回あるので,

2週間会社に出勤しなくても,

会社を退職することができます。

 

 

契約社員の場合,労働契約の期間が定められていますので,

原則として,契約期間の途中で会社を辞めることはできません。

 

 

しかし,例外的に,病気や事故などで長期間働けない場合や,

会社が労働基準法を守っていないために,就労が困難な場合などの,

やむを得ない事由があれば,契約社員であっても,

すぐに退職することができます。

 

 

次に,民法では,退職の2週間前に予告すればいいのですが,

就業規則で,退職するには1ヶ月前までに予告しなければならない

と規定している場合について検討します。

 

 

先ほども述べましたが,労働者の退職は原則として自由ですので,

民法よりも長い予告期間を設けると,

労働者の退職の自由を制限することから,

2週間以上の予告期間は無効になる可能性があると考えます。

 

 

そのため,労働者は,就業規則に退職の1ヶ月前から

予告しなければならないと規定されていても,

会社に行くのがしんどくて,1日も早く辞めたいのであれば,

有給休暇を利用して,すぐに辞めるようにしてください。

 

 

 

しんどいまま働いて,健康を害してしまっては,

取り返しのつかないことになります。

 

 

自分の健康を第一に考えてください。

 

 

会社が,損害賠償請求をすると脅してきたとしても,

労働者には退職の自由がありますし,

労働者が辞めたことで,

会社にどのような損害が発生したのかについて,

会社が証明できないことがほとんどですので,

そのような脅しに屈せずに,

早く会社を退職してしまいましょう。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

パワハラ防止の法律を実現しよう

厚生労働省は,職場でのパワハラを防止するために,

企業に対し,防止策に取り組むことを

法律で義務付ける方針を決めました。

 

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02376.html

 

 

労働事件の法律相談を担当していますと,

「バカ」,「アホ」,「給料泥棒」,

「やめてしまえ」,「あなたは必要とされていない」

といった暴言を吐かれる,大声で長時間にわたり叱責される,

といったパワハラの相談が本当に多いと実感しています。

 

 

 

 

都道府県の労働局の労働相談において

「いじめ・嫌がらせ」が増加しており,

パワハラによる精神障害の労災請求の件数が

増加していることからも,

職場のパワハラ防止は喫緊の課題なのです。

 

 

パワハラがこれだけ社会問題になっているにもかかわらず,

パワハラを防止するための法律はないのです。

 

 

セクハラやマタハラについては,

男女雇用機会均等法等で,会社に対する

防止措置義務が規定されているにもかかわらず,

パワハラについては,法規制がないのが現状なのです。

 

 

ようやく,パワハラを防止するための法規制が動き出したのです。

 

 

まず,職場におけるパワハラの定義を,

次の3つの要素を満たすものとする方向になりそうです。

 

 

① 優越的な関係に基づく

② 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により

③ 就業環境を害すること

(身体的若しくは精神的な苦痛を与えること)

 

 

 

 

もっとも,この定義では,

「優越的な関係」とはどのような関係なのか,

「業務上必要かつ相当な範囲」とはどのような範囲なのか,

「就業環境を害する」とは具体的にどのようなことか,

が分かりにくくなっています。

 

 

そこで,今後は,指針において,

パワハラに該当する具体例などを

公表していくことになります。

 

 

「優越的な関係」という定義ですと,

同僚や部下からのいじめが含まれにくいという問題がありますが,

パワハラか否かの共通認識がないと,

多くの人が判断に迷いますので,

定義を定めることはパワハラ防止のために一歩前進です。

 

 

次に,会社がパワハラについて講ずべき措置として,

次のことが義務付けられる方向になりそうです。

 

 

・パワハラ行為が確認された場合には厳正に対処する旨の方針と

その場合の対処の内容を就業規則などに明記して周知する。

 

 

・パワハラの相談に適切に対応するために必要な体制を整備する。

 

 

・パワハラが起きたら迅速に調査し,適切な対応をとる。

 

 

会社がパワハラを防止するための措置が法律で明確にされれば,

会社は,積極的にパワハラを防止するために動き出しますので,

パワハラが抑止されることが期待されます。

 

 

さらに,今,現場では,顧客や取引先からの

ハラスメントも深刻な問題となっています。

 

 

 

 

サービス業や交通労働,医療現場において,

会社外の人物からのいじめ・嫌がらせが横行しているようです。

 

 

これらの顧客や取引先からのハラスメントについても,

今回,「職場のパワハラに類するもの」として,

望ましい措置を周知・啓発する方向性になりました。

 

 

悪質な顧客や取引先に断固として対応する会社が増えれば,

顧客や取引先からのハラスメントは許されないという

メッセージが社会的に広がり,被害を予防できることが期待されます。

 

 

このように,ようやく,パワハラを防止するための

法律化に向けて動き出しましたので,

パワハラの被害を少しでも減らすように,

今後の動きを見守っていきましょう。

 

 

会社にとっても,パワハラを防止することで,

社員が定着していきますので,

積極的にパワハラ防止に取り組んでもらいたいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

神様からのギフト

世界NO.2コーチ谷口貴彦先生の

神様からのギフト~ザ・コーチ2~

を読みましたので,アウトプットします。

 

 

 

 

この本は,主人公がコーチングを受けて,

自分を受け入れ,人間関係を改善させ,

自己成長しながら,会社のプロジェクトを

成功に導く物語です。

 

 

コーチングとは,パフォーマンス向上のために,

対話によって対象者を勇気づけ,気づきを引き出し,

自発的行動を促すコミュニケーションスキルです。

 

 

 

 

人が潜在能力を開放して成長していくためには,

ライフバランスピラミッドを整える必要があります。

 

 

ライフバランスピラミッドとは,

自分が自分自身と関わる内部要因のバランスです。

 

 

ライフバランスピラミッドは,

自己受容,自己信頼,自己尊重に分かれます。

 

 

自己受容とは,あるがままに自分の

すべてを受け入れることです。

 

 

だめな自分,いい自分,とにかく全ての

自分自身を受け入れるのです。

 

 

自分が自分に,「あなたはあなたのままでいい,それが一番」,

「ほかの誰でもなく,あなたがあなたでいることが一番素晴らしい」

と言ってくれたら,いつも心の中は安全で,安心していられるからです。

 

 

自分に寛容であれば,他人に対しても

寛容になれるので,自己受容は他者受容に比例するのです。

 

 

 

 

次に,自己信頼とは,自分で自分を高く評価して,

叶えたいことや成し得たいことは自分でできると,

自分に任せる気持ちです。

 

 

まだまだ無限の可能性や能力があると,自分を信じる力です。

 

 

自分も知らない残り95%の才能と能力が

目を覚ますのを待っていると思うことが重要になるのです。

 

 

そして,自己尊重は,自分を大切にすべきものとして扱う力で,

自尊心を高く保つために,自分や外部に対して行動する力です。

 

 

いつも自分自身を尊び,いたわり,

身の回りを整え,心身を清潔に保つことで,

自分を取り扱う基準を高く保ち,

それを周りに見せて伝えるのです。

 

 

自分自身の基盤やバランスを整えることで,

エネルギーをチャージすることでき,

ゴールに向かって動き出せるのです。

 

 

私は,忙しい毎日の中で,自分と向き合う時間が

とれていないことがあるので,がんばっている

自分を受け入れて,自分を大切にして,

他者に対して,良い影響を与えていきます。

 

 

そして,この本には,成功する20のポイント

が記載されていましたので,紹介します。

 

 

 

 

1 ありのままの自分を受け入れる

 

2 ありのままの自分でいていいと,自分を許す

 

3 他の誰かになろうとするのをやめる

 

4 結果ではなく,原因に焦点を当てる

 

5 選択に迷ったら,勇気のいる方を選ぶ

 

6 完璧であろうとするのをやめる

 

7 他者を批判する時間を,自分を観察する時間にあてる

 

8 ないものをねだるより,すでにあるものを強化する

 

9 自分はすでに成功していると認め,さらに高みを望む

 

10 毎日,すべての出来事や当たり前のことに感謝する

 

11 やらない後悔より,やった失敗から学ぶ

 

12 自分の口から出る言葉を良い方に操る

 

13 いつも目的に沿って行動の選択をする

 

14 相手にしてほしいことは,自分から先にする

 

15 悩みが訪れたら,自分はそれを解決できる人間に成長したと思う

 

16 分かち合えば余り,奪い合えば足りないと知る

 

17 目に見えないものを大切にする

 

18 新しいものを手にするために,今持っているものを手放す

 

19 過去や未来に囚われず,今に集中する

 

20 自分自身を笑い飛ばす

 

 

人間が成功して,自己成長していくために,

大切なことがあますことなく記載されていると感じたので,

そのまま紹介させていただきました。

 

 

私は,自分自身と成功する20のポイントを

実行できているか日々対話しながら,

今後とも自己成長を続けていきます。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

タイムカードの時刻と実際の労働時間がずれているときの対処法

会社から,閉店直後にタイムカードを

打刻するように指示されており,

タイムカードを打刻した後にも,

掃除などの仕事をしていたとします。

 

 

 

 

この場合,掃除などの仕事を終わった時刻が

終業時刻とならないのでしょうか。

 

 

本来,掃除などの仕事が終わった時刻に

タイムカードを打刻していれば,

何も問題はないのですが,労働者は,

会社から,閉店直後にタイムカードを打刻するように

明確に指示されていたのでは,それに従わないと,

会社から何を言われるのか不安になり,

ついつい会社の言うとおりにしてしまいます。

 

 

本日は,タイムカードを打刻した時刻と

真実の終業時刻がずれていた場合に,

真実の終業時刻で残業代が認められるのは

どのような場合かについて,

ケンタープライズ事件をもとに検討します。

(名古屋高裁平成30年4月18日判決・労働判例1186号20頁)

 

 

この事件は,居酒屋の店長が未払い残業代を請求した事件です。

 

 

 

 

この事件では,タイムカードに打刻された終業時刻は,

真実の終業時刻ではなく,会社から閉店直後に

タイムカードを打刻するように指示を受けて,

そのとおりにしており,タイムカード打刻後も働いていたという,

店長の言い分が信用できるかが争点となりました。

 

 

人の言い分が信用できるかを判断する際には,

当該言い分に合致する証拠があると,

信用できると判断されやすいです。

 

 

まず,原告のタイムカードは,

閉店直後に打刻されているものがほとんどでした。

 

 

次に,閉店前から可能な範囲で掃除などの仕事をしても,

閉店時刻直後に従業員が直ちに退勤することは困難であり,

閉店時刻から1時間働く必要があることを,証人が証言しました。

 

 

飲食店の場合,お客さんがいるときに,

店内の掃除を始めると,お客さんに対して

嫌な思いをさせることがあるので,

お客さんがいなくなった閉店時刻の後に,

店内の掃除などの後片付けの仕事をすることがよくあると思います。

 

 

 

 

そのため,裁判所は,原告の言い分が信用できるとして,

タイムカードに打刻された終業時刻は真実の終業時刻ではなく,

閉店後の仕事は1時間程度で終わらせれることができるとして,

閉店時刻から1時間後を終業時刻としました。

 

 

加えて,会社がタイムカードの打刻について

実際の労働時間より少なめに打刻するように

指示していたことは悪質であるとして,

未払い残業代の他に,ほぼ同じ金額の付加金

の支払いが命じられました。

 

 

付加金とは,残業代などをきちんと

支払っていなかった会社に課される制裁金です。

 

 

基本的に,裁判ではタイムカードの時刻をもとに,

労働時間を認定しますが,このように,

タイムカードの時刻と実際の労働時間がずれていても,

ずれている理由を合理的に説明できれば,

実際の労働時間で認定されることがあります。

 

 

労働者は,正確にタイムカードを打刻するようにすべきですが,

タイムカードの時刻と実際の労働時間がずれていても,

あきらめずに主張と立証を尽くすことが重要ですね。

 

 

また,会社が真実の労働時間と異なる時刻で

タイムカードを打刻するように指示していれば,

場合によっては,付加金の制裁が課される

リスクがありますので,気をつけるべきです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。