高度プロフェッショナル制度の成立に抗う
平成30年6月29日,残念ながら,
高度プロフェッショナル制度(通称,「高プロ」といいます)
を含む働き方改革関連法案が参議院で
可決されて,成立してしまいました。
これまで,何度もブログで,
高プロの危険性やおかしな点を指摘してきましたが,
抗議の意味を込めて,改めて,
高プロの問題点について解説します。
まず一番の問題点は,高プロが適用されれば,
労働時間の規制がはずされるので,
残業代ゼロで24時間働かせることが合法になり,
長時間労働が蔓延して,過労死を助長させます。
高プロに賛成する立場の人は,高プロを導入すれば,
労働生産性が向上すると主張しています。
しかし,高プロによって,長時間労働が蔓延することで,
かえって労働生産性がおちる結果になると考えられます。
また,先日のブログに記載しましたが,
労働者は,当然,高プロを求めていないのですが,
経営側にも高プロのニーズがあまりありません。
6月26日の参院厚生労働委員会において,安倍首相は,
「適用を望む企業や従業員が多いから導入するのではない」
と答弁をしました。
労働者側にも経営者側にもニーズがないのに,
なぜ高プロを導入するのか,全く理解できません。
必要がない上に,過労死を助長するマイナスが多いのであるから,
高プロは当然に廃案にすべきだったのです。
また,高プロの適用対象となる職種ですが,
高度の専門的知識を必要とする業務で,
具体的には,金融商品の開発業務やアナリストの業務,
コンサルタント業務,研究開発業務などが
対象になると言われていますが,
まだ明確には定まっていません。
高プロの対象業務については,省令に委ねられています。
これは何を意味するかというと,厚生労働省が,
国会の審議を経ることなく,高プロの対象業務を
拡大することができてしまうのです。
これまで,専門業務型裁量労働制や労働者派遣
の対象業務が省令で拡大されてきた前例がありますから,
高プロも同じように対象業務が拡大されることが予想されます。
小さく産んで大きく育てるというものです。
労働者は,知らないうちに,自分の仕事が省令によって
高プロの対象業務に含まれていて,
会社から高プロの導入を求められるリスクがあるのです。
高プロが成立してしまいましたが,法案審議の中で,
様々な欠陥が明らかになったので,改めて,抗議し,
高プロを速やかに廃案にすべきと考えます。