経営者側にも高プロのニーズがない
通常国会の会期が延期されて,参議院で,
働き方改革関連法案の審議が継続されています。
ブログで何度も指摘してきましたが,働き方改革関連法案の中で,
高度プロフェッショナル制度(通称「高プロ」といいます)は,
高年収の一部専門職に対して労働時間の規制をはずして,
残業代ゼロで24時間働かせることが可能になってしまうので,
過労死を助長する危険な制度です。
今朝の朝日新聞の記事によると,
朝日新聞社が全国の主要100社に実施した調査の結果,
働き方改革関連法案が成立した場合に高プロを採用するか
という質問について,採用する方針を示したのは6社,
採用するつもりはないと答えたのが31社,
分からないと答えたのが51社だったようです。
もともと,高プロは,経営者側が導入を
要求してきた制度なのですが,実際には,
現時点で採用する方針の会社が100社中6社しかいないなので,
経営者側のニーズがどれだけあるのか疑問です。
高プロを適法に導入するためには,
厳しい要件をすべてクリアしなければならないうえに,
実際に高プロを導入しても,
どれだけ労働生産性が上がるのか予測ができないので,
高プロの導入に積極的になれない会社がほとんどなのだと思います。
一方,労働者側のニーズはどうでしょうか。
厚生労働省が実施した働き手のニーズ調査では,
5社のうち12人しかヒアリングをしていなかったのです。
2018年4月の日本の就業者数は6671万人です。
6671万人のうちのたった12人しか調査していなかったのです。
仮に,調査対象者である12人が
高プロの導入に賛成したとしても,
サンプル数があまりにも少ないので,
この12人の意見が,6671万人の労働者の
意見を反映していることにはならないはずです。
さらに,12人中9人のヒアリングの際には,
会社の人事担当者も同席したようです。
ヒアリングの対象者である労働者は,
会社の人事担当者が同席しているところで,
正直に自分の意見を言いにくいものです。
自分の発言が,会社の人事でどのように利用されるのか
と考えれば,ぶなんに回答しようと考えてしまうからです。
そのため,厚生労働省の働き手のニーズ調査は
極めてずさんであり,厚生労働省のニーズ調査から,
労働者側が高プロを求めているとはとてもいえないのです。
そもそも,残業代ゼロで24時間働かされることが
合法になる制度を,労働者が求めるはずがありません。
結局,経営者側も労働者側も高プロのニーズがありませんので,
高プロは,すみやかに廃案にするべきです。
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