「いい質問」が人を動かす
コーチングの勉強会に向けて,
質問に関する本を探していたところ,
質問に関する素晴らしい本を発見したので,
紹介させていただきます。
気鋭の弁護士谷原誠先生が書かれた
「『いい質問』が人を動かす」という本です。
弁護士は,法律相談,交渉,証人尋問などで,
人に質問をして,人を動かすことを日常的に行っています。
谷原先生は,長年の弁護士経験で培われた
質問の力について,次のようにおっしゃっています。
人は,「質問をされると,①思考し,②答えてしまう」のです。
この質問による「①思考」と「②答え」の強制力
という2つの機能により,
1 思いのまま情報を得る
2 人に好かれる
3 人をその気にさせる
4 人を育てる
5 議論に強くなる
6 自分をコントロールする
という6つの力を身に着けれるようになるのです。
この6つの力の中から3点についてアウトプットします。
まずは,人をその気にさせる2大原則です。
人は,自尊心を満足させるか,
あるいは自尊心が傷つくのを避けるために
その気になり,動きます。
そのため,人を動かすときには,
相手の自尊心を満足させるような質問をするか,
自尊心が傷つくのを避けたくなるような質問をすればいいのです。
その他に,人が動くには,
まず感情が動いて欲求が発生して,
その後理性でその行動を正当化する
というプロセスをたどります。
そのため,人を動かすには,
まず感情を動かす質問をして,
その後に理性を動かす質問をすれば,
相手はその気になります。
テレビの通販番組は,このプロセスを忠実に守っています。
最初に,商品のメリットを打ち出して,
消費者の欲望をかきたてた後に,
分割払いや金利ゼロといった理性に関する情報を提供し,
消費者は,購入に至るのです。
次に,人を育てる質問のプロセスにおいて,
①相手の意見を肯定し,
②相手の立場に立ち,どうすれば相手が望む結果が得られるかを考え,
③相手に答えを出させる,
ということがポイントになります。
①相手には自尊心があり,
自分の意見を持っているので,
それをまず肯定する必要があります。
②相手は,自分のことに関心がありますが,
私のことに関心がないことが多いので,
相手の立場に立ってともに考えることが必要になります。
相手の立場に立つ際に,
ポジティブクエッションが効果を発揮します。
「なんでお前はこんなことができないんだ?」
というネガティブな質問を,
「どうしたらできるようになる?」
というポジティブな質問に言い換えるのです。
ポジティブな質問をすれば,相手は,
ポジティブな考えをすることができるようになるのです。
③人は,他人から押し付けられた意見
に縛られるのは苦痛ですが,
自分で出した結論には喜んで従うので,
相手に自分で答えを出させるのです。
最後に,自分をコントロール質問において,
7つのフィードバッククエッションというものがあります。
1 よくできた点は何か
2 それはなぜうまくいったのか
3 今後も続けた方がよいことは何か
4 うまくいかなかった点は何か
5 それはなぜうまくいかなかったのか
6 今後やめた方がよいことは何か
7 今後改善すべき点はどこか
日常の様々なことに対して,
7つのフィードバッククエッションを行うことで,
その全てにおいて,向上し続けて,
自己成長することができるのです。
他人と自分に的確な質問をすれば,
人生をより良くできることに気づかせてくれる
素晴らしい一冊です。