会社から「そんなに働いていないはずだ」と言われたら・・・

残業代請求事件において,ときおり,

会社側から次のような反論がされることがあります。

 

 

「会社は,残業を許可しておらず,

労働者が勝手に働いていただけである。」

 

 

「労働者は,会社でネットサーフィンなどをして

仕事をさぼっていたので,そんなに残業をしていない。」

 

 

 

「労働者は,会社の終業時間が過ぎてから,

おしゃべりをしていただけなので,

その時間は労働時間ではない。」

 

 

 

会社からこのような反論をされたら,

労働者は,どのように対処すべきか

について,解説します。

 

 

残業代請求の裁判では,

労働者が何時から何時まで働いたのかを,

労働者が,自分で証拠を集めて,

その証拠にもとづいて証明しなければなりません。

 

 

裁判所が,証拠を集めてくれたり,証明してはくれないのです。

 

 

タイムカードなどで労働時間が管理されているような会社の場合,

タイムカードがあれば,タイムカードの始業時間と終業時間で

働いていたことを証明できます。

 

 

 

問題は,タイムカードがないときです。

 

 

そのようなときは,

タイムカード以外のメールの送受信の時間,

日報に記載されていた時間,

会社で使用していたパソコンのログインログオフ時間などで,

労働時間を証明していきます。

 

 

これらの証拠を裁判所に出しても,会社から,

「そんなに働いていないはずだ」と言われた場合,

会社からの黙示の指示があったと主張します。

 

 

そもそも,労働時間とは,

労働者が会社の指揮命令下に置かれている時間

をいいます。

 

 

この会社の指揮命令には,

会社の明示の指示だけではなく,

会社の黙示の指示も含まれます。

 

 

それでは,会社の黙示の指示は,

どのようなときに認められるのでしょうか。

 

 

①労働者が8時間を超えて働いていることを

会社が知っていたのに,会社が,

早く帰りなさいなどと言わずに,黙認していた場合。

 

 

②仕事量が会社で決められた労働時間内に

処理できないほど多く,時間外労働が常態化していた場合。

 

 

このような場合に,会社の黙示の指示があったと認められます。

 

 

そこで,会社から「さぼっていたので,そんなに働いていないはずだ」

という主張がでてきたら,労働者としては,

①日報に労働時間を書いて会社に提出していたので,

会社は,時間外労働を知っていたのに何も言わなかった,

②仕事の内容や量からして,とても8時間の勤務では終わらず,

毎日残業しなければならなかったなどと反論することになります。

 

 

日々の仕事の中で,どのような内容の仕事を,

何時から何時まで行っていたかを日報にまとめて会社に提出し,

その日報のコピーを保存しておけば,

会社から「そんなに働いていないはずだ」と言われても,

的確に反論することができます。

 

 

日々の仕事の記録を残しておくと,いざというときに役立ちます。

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