立花Beブログ塾レベル2の第4講を受講しました

1 お金に対する考え方を変える

 

 

昨日は,立花Beブログ塾レベル2の第4講を受講しましたので,

アウトプットします。

 

 

 

昨日の講義では,お金に対する考え方を学びました。

 

 

私達は,お金は使うとなくなってしまう,

お金は節約して貯めるものだと考えてしまいます。

 

 

この考え方を変えるとお金の流れができて,

自分のところにお金が入ってくるようになるようです。

 

 

お金は使うほど増える,お金は自分に投資して有効に使うと

何倍にも増えて帰ってくる,という考え方に変えるのです。

 

 

昨年,私は,新車を一括払いで買ったため,

一時的に預金残高が少なくなったことがありました。

 

 

しかし,この車は家族の幸せのための投資であり,

やがて自分のもとにお金が戻ってくると思い込んでいたら,

不思議なことに,必要なタイミングでお金が入ってきました。

 

 

これは本当に不思議なもので,お金をけちらずに使っていると,

お金の流れができるからか,お金が入ってくるのです。

 

 

お金はないのではなく,お金はあるのです。

 

 

 

また,お金に関する法則として,

誠実に仕事をすると,お金はあとからついてくる,

お金は感謝とともに先出しするというものがあります。

 

 

お金は先に出さないと,入ってこない性質のようです。

 

 

これは,自分で実際に経験してみないことには,

わからないことなので,日頃から意識してやってみるといいと思います。

 

 

2 お金のコンフォートゾーンを抜ける

 

 

次に,自分のお金の価値を突き破るために,

より高いお金を使っている人のゾーンに

自分の身を置くという方法があります。

 

 

例えば,高級ホテルに宿泊する,グリーン車に乗る,

ビジネスクラスに乗るなどです。

 

 

自分が心地いいと思える価格帯から

ワンランク上のゾーンでお金を使うようになると,

そのゾーンがふさわしい稼ぎ方ができるようになるようです。

 

 

自分のコンフォートゾーンを意識的に突破していく方法としては,

極めて実践しやすいと思います。

 

 

自分が使う金額が増えると,それに見合う分を稼ぐ必要があるので,

少しずつ背伸びをしていくと,収入が増えていくのかもしれません。

 

 

3 値下げをしてはいけない,値上げをする

 

 

そして,稼ぐためには,値下げをしてはならず,

自分が提供する価値を上げて,値段を上げる必要があります。

 

 

 

値段を下げると,自分の収入が減るので,

徒労感が増加し,自己肯定感が下がってしまいます。

 

 

講師の立花さんも,セミナーの費用を安くしていたときには

苦労していたようで,自分の価値を上げて,

値段を上げることを実践して,結果を出したようです。

 

 

自分の提供する価値が上がれば,自分はこの値段にふさわしい

と納得できて,稼ぐことができるのです。

 

 

お金と稼ぐことについて,多くの学びを得ることができました。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

未払残業代請求事件におけるタイムカードの証拠としての価値

1 会社からタイムカードが信用できないと争われたら

 

 

未払残業代を請求する事件において,

労働者側がタイムカードをもとに労働時間を算出したにもかかわらず,

会社側からタイムカードに手書きの記載があるなどの理由で,

タイムカードは信用できないと反論されることがあります。

 

 

本日は,タイムカードは,未払残業代請求事件の証拠として,

どこまで活用できるのかについて解説します。

 

 

2 タイムカードは証拠として価値が高い

 

 

結論から先に言いますと,タイムカードには特段の事情が無い限り,

労働時間を事実上推定する力があるとする裁判例が多数あり,

タイムカードを証拠として大いに活用できるのです。

 

 

 

例えば,千里山生活協同組合事件の

大阪地裁平成11年5月31日判決(労働判例772号60頁)は,

次のように判断しています。

 

 

「タイムレコーダーは、その名義の本人が作動させた場合には、

タイムカードに打刻された時刻にその職員が所在したといいうるのであり、

通常、その記載が職員の出勤・退勤時刻を表示するものである。

そこで、特段の事情がないかぎり、タイムカードの記載する時刻をもって

出勤・退勤の時刻と推認することができる

 

 

タイムカードに記載された出勤・退勤時刻と

就労の始期・終期との間に齟齬があることが証明されないかぎり、

タイムカードに記載された出勤・退勤時刻をもって

実労働時間を認定するべきである。

 

 

また,京電工事件の仙台地裁平成21年4月23日判決

(労働判例988号53頁)は,次のように判断指摘しています。

 

 

「使用者の側に,労働者の労働時間を管理する義務を

課していると解することができるところ,

被告においてはその管理をタイムカードで行っていたのであるから,

そのタイムカードに打刻された時間の範囲内は,

仕事に当てられたものと事実上推定されるというべきである。

 

 

「仮に,その時間内でも仕事に就いていなかった時間が存在する

というのであれば,被告において別途時間管理者を選任し,

その者に時計を片手に各従業員の毎日の残業状況をチェックさせ,

記録化する等しなければ,上記タイムカードによる勤務時間の

外形的事実を覆すことは困難というべきである。」

 

 

このように,裁判例では,タイムカードの証拠としての価値を

高く認める傾向にあるのです。

 

 

3 会社の労働時間適正把握義務

 

 

そして,労働時間を適正に把握しなければならないのは,

会社の義務なのです。

 

 

 

以前は,「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」において,

会社に労働時間を適切に管理する責務が記載されていました。

 

 

これが,働き方改革関連法が成立し,労働安全衛生法66条の8の3に,

会社は,労働者の労働時間の状況を把握しなければならないと規定されました。

 

 

このように,労働時間を適正に把握しなければならないことが,

法律に明記されたのです。

 

 

そのため,会社は,労働時間を適正に把握する義務

を負っていることから,より一層,

タイムカードなどで客観的に労働時間を管理することが重要になり,

タイムカードの証拠としての価値は,ますます高くなると考えられます。

 

 

会社から,タイムカードが信用できないと反論されても,

恐れることはなく,上記の主張をすれば,

未払残業代請求が認められると考えます。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

夫のトリセツ3~ひどい夫を優しい夫に変える方法~

1 夫に不満をぶちまけても意味がない

 

 

昨日に引き続き,「夫のトリセツ」のアウトプットをします。

 

 

 

第3章は「ひどい夫を優しい夫に変える方法」というタイトルでして,

夫に対する効果的なアプローチが数多く記載されています。

 

 

その中で,「夫に,自分の不満をぶちまけるな

というフレーズにとても共感できました。

 

 

妻が夫に大事な相談をすると,たいていブレーキがかかります。

 

 

 

夫は,重大な問題が発生しない限り,現状維持を好むものなので,

あれやこれやと言って,妻のやりたいことに反対してくる傾向にあります。

 

 

かくいう私も,現状維持を好む夫のひとりであります。

 

 

だから,妻が何かをしようとして不安がある場合,

夫に不安を解消してもらおうとしても無駄であり,

むしろ,不安が増幅されます。

 

 

妻は,自分の不安を自分で乗り越えるしかなく,

自分で覚悟を決めたなら,夫に言わずにやってしまったほうが,

うまくいくようです。

 

 

黒川先生は,一時期,自分をシングルマザーで,

夫を,なぜか子育てに協力してくれる友人,

だと思って暮らしていたところ,主体的になれたようです。

 

 

悲しいかな,夫は,妻の不安を解消するどころか増幅させてしまうので,

夫に相談することはあまり効果的ではないようです。

 

 

2 弱みを見せる

 

 

次に,弱みを見せて,頼りあうことが大切です。

 

 

黒川先生曰く,「自分がいなくても生きていける存在を,

人は愛し抜くことはできない」からのようです。

 

 

そのため,夫は,妻に弱みをみせればいいのです。

 

 

振り返ってみると,私は,妻に対して,

仕事が大変なこととかを妻に話しておらず,

自分の弱みをみせていなかった気がします。

 

 

愛は,してくれることよりも,してあげることで強まる」ようです。

 

 

そうであれば,完璧な夫になる必要はなく,

妻がいないとなにもできない夫の方が(できない程度にもよりますが),

妻は夫にしてあげることが増えて,夫を愛おしく思えるのでしょう。

 

 

がんばりすぎずに,してもらうのも,なかなかいい戦略ですね。

 

 

3 結婚の正体とは

 

 

そして,黒川先生は,結婚の正体として,次のように記載しています。

 

 

 

夫を,恋の延長線上に置かず,家族のアイテムとして捉える。

恋の輝きを,家族の絆に換えていく。

やがて,家族というものに感じるかけがえのなさが,

夫への愛に転じるようになる。甘くもなければ,キラキラもしていない。

ただ,しみじみとするもの。それが結婚の正体なのだろう

 

 

脳の仕組みが異なる夫婦というものは,本当にやっかいで,

衝突することが頻繁にありますが,

やがてはこのような境地にたどり着けるようになるのでしょう。

 

 

この本で,黒川先生ご自身が,結婚十数年目にして,

離婚の危機が訪れたと告白しています。

 

 

この記載は私にとっては衝撃でした。

 

 

男女の脳を研究している黒川先生ですら,

夫婦関係で上手く行かずに悩んでいた時期があったのです。

 

 

そう考えると,夫婦は皆,大なり小なり,問題を抱えながら,

悪戦苦闘しながら,何回かの離婚の危機を乗り越えて,

この結婚の正体を知る境地へたどり着くのでしょう。

 

 

自分だけじゃない,夫婦はみんな悩んでいるのです。

 

 

そのことに気づかせてくれて,かつ,

配偶者に対する効果的なアプローチがたくさん記載されている,

夫と妻のトリセツシリーズは,

全ての夫婦にとってのバイブルになると確信しています。

 

 

夫婦問題で悩んだら読んでみてください。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

夫のトリセツ2~使えない夫を気の利く夫に変える方法~

1 1月14日のブログの修正

 

 

1月14日のブログで,仕事始めの日に

妻とけんかをしたことを記載したところ,

妻から次の点について修正を求められました。

 

 

①けんかのときに,私が「子育てが苦痛だ」

と言ったことが記載されていない。

 

 

②妻が私の実家で同居していて,

嫁姑問題があるなか,妻ががんばっていること。

 

 

①については,次の日に仕事があるのに,

子供の夜泣きで睡眠が妨げられるのがしんどい

という意味でつい言ってしまいました。

 

 

 

①については,ネガティブトリガーとして,

今後ことあるごとに妻から蒸し返されると

覚悟しなければならないと考えています。

 

 

さて,本日も,黒川伊保子先生の

「夫のトリセツ」のアウトプットをします。

 

 

 

第2章のタイトルは「使えない夫を気の利く夫に変える方法

というもので,妻が夫に対して,どのようにアプローチすれば

効果的なのかについて,具体的なノウハウが記載されています。

 

 

「夫のトリセツ」という本のタイトルなのですが,実は,

妻に対する効果的なアプローチもたくさん記載されていますので,

それを紹介します。

 

 

2 会話の呼び水

 

 

まずは,「家族の会話は呼び水」です。

 

 

私の妻は,突然,とりとめのないことを聞いてきます。

 

 

私にとって興味のないニュースの内容だったり,

妻の趣味のことであったり,といったことを,

いきなり話し出します。

 

 

これに対して私は,「で?,何が言いたいの?」や

「だから?」と返答することが多く,会話が進展しません。

 

 

男性は問題解決のために会話するので,

とりとめのない会話が苦手なことが多く,

私のような反応をする夫は多いと思います。

 

 

共感を目的に会話する妻に対して,この私の対応はだめで,

夫は,心がけて,用事のない会話をすることが効果的なのです。

 

 

夫にとってどうでもいいことを妻から言われた場合,

それは,会話の呼び水なのです。

 

 

 

この会話の呼び水に,うまくのって,

同じようにとりとめのない会話をすれば,妻は,

今日あったことをあれこれ話して,

すっきりするかもしれないのです。

 

 

そうであれば,夫にとってどうでもいいことを妻から言われたら,

「きたきた,これは会話の呼び水だ」と心がけて,

どうでもいい会話にそのままのっかればいいのです。

 

 

3 妻の愚痴は子供の危機管理のため

 

 

次に,妻の愚痴は子供のための危機管理のためにされていることです。

 

 

妻は子供を危険から守るために,ネガティブな体験をしゃべり,

今後の人生で同じ目にあわないように,脳の中で情報を再構築しています。

 

 

また,女性はおしゃべりと共感で生存可能性が高まるので,

おしゃべりをするほどストレスが解消されるのです。

 

 

仕事から帰ってきて疲れている夫にとって,

子育て中の妻から愚痴を延々と聞かされるのは正直辛いのですが,

ここがふんばりどころで,

「妻は,子供のために危機回避能力を高めているのだなぁ,よしよし」

と思って,愚痴につきあえばいいのです。

 

 

妻の愚痴が,子供のための危機回避能力の向上に役立つ

と割り切れば,耐えられるような気がします。

 

 

脳のことがわかると,相手に対して寛大になれるので,

やはり,知ることは重要ですね。

 

 

長くなりましたので,続きはまた明日以降に記載します。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

夫のトリセツ

1 妻とけんかをしました

 

 

恥ずかしい話ですが,仕事始めの日に妻とひどいけんかをしました。

 

 

 

以前ブログでも紹介しましたが,私は,妻との間で,

19時30分までに仕事を終えれば,

次の日ブログを更新してもいいという約束をしました。

 

 

仕事始めの日ですが,長い休み明けということもあり,

仕事がたまっており,体が慣れていないせいもあったのか,

19時36分に仕事が終わりました。

 

 

仕事が終わってから家に帰ると,妻から

「6分遅いよね」と言われました。

 

 

この言葉に,私は,仕事でがんばってきた夫に対して

ねぎらいはないのかと,カチンときてしまい,

「そんな言い方はないだろう」と言ってしまい,

けんかになりました。

 

 

それから3日ほど,妻の機嫌がすこぶる悪く,

家に帰るのが苦痛になりました。

 

 

このけんかは話し合いで決着がついたのですが,

またいつなんどき,どのようなきっかけで,

妻の機嫌が悪くなるかわかりませんので,

これはなんとかしなければならないと思い,

一冊の本を読みました。

 

 

それが,黒川伊保子先生の「夫のトリセツ」です。

 

 

 

2 妻が出産後に夫に厳しくなる理由

 

 

この本の第一章のタイトルが

神は,夫婦を別れさせようとしている」というものです。

 

 

黒川先生の見解によりますと,夫と妻は,

脳の仕組みが異なることから,衝突が起きるのです。

 

 

そして,その衝突は,子供ができてから頻発するようです。

 

 

妻は,子供を無事に育て上げるために,

搾取すべき相手からは徹底して搾取するようです。

 

 

子を持つ妻は,夫の労力,意識,時間,お金のすべてを

すみやかに提供してほしいという本能に駆られるようで,

子供には徹底して優しいが,夫には厳しくなります。

 

 

これは子供を無事に育て上げるための女性脳の本能なので,

いかんともしがたいことなのでしょう。

 

 

私の妻も,子供ができてから,理不尽な言動が多くなり,

私に厳しくなったのは,この女性脳の本能の作用によるもの

なのだとよく理解できました。

 

 

 

3 女性の浮気の原因は?

 

 

もう一つ,女性脳には罠があります。

 

 

それは,子供が大きくなると,女性脳は,

「次の生殖相手」を探すようになることです。

 

 

生物は繁殖するために,できるだけ免疫力の高い相手をつかまえて,

できるだけたくさんの遺伝子を残す必要があるので,

女性脳は,子育てが一段落すると,

「もっと免疫力の高い男を探そうよ,この目の前の男はだめだよ」

とささやきだすようです。

 

 

その結果,女性は,「悪いのはこの人。私じゃない」と思い込んで,

浮気に至るようです。

 

 

私は弁護士として,浮気の事件をよく担当するのですが,

女性の浮気が,この脳の罠から生じているという見解に,

非常になっとくできました。

 

 

4 男は問題解決をしたがる

 

 

一方,男性は,問題解決に脳を使います。

 

 

そして,守ってあげたい相手に対して,問題解決を急ぐので,

妻の話に共感するよりも,問題解決のために,

「君もここが悪いから直しなさい」と言ってしまうのです。

 

 

男性は,問題解決を急ぐので,プロセス解析をしないため,

危機回避能力が女性に比べて低いので,

同じ危険に,懲りずに身を晒してしまいます。

 

 

私は,「妻のトリセツ」を読んだのに,

あいかわらず妻の地雷を踏んでいるのは,

この危機回避能力が家庭の中では,

あまり機能していないからなのだと,なっとくできました。

 

 

問題解決をしたい夫と,共感を求める妻とでは,

発想や見方が全く異なるので,衝突は避けられません。

 

 

この大前提を互いに理解して,相手へのアプローチを変えない限り,

結婚生活は地獄になります。

 

 

逆に言えば,このことを理解して,実践すれば,

家庭が天国に変わる可能性もあるのです。

 

 

結婚式で,神の前で,永遠の愛を誓うのは,男女の脳の違いから,

結婚を維持することがそれだけ難しいからなのでしょうね。

 

 

長くなりましたので,続きは明日以降に記載します。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

会社が倒産したときに未払賃金分を取締役に対して損害賠償請求できるのか

1 取締役の第三者に対する責任

 

 

昨日のブログでは,会社が倒産して,給料が支払われないときには,

未払賃金の立替払制度を利用することが効果的であると解説しました。

 

 

もう一つ,会社の社長などの取締役に対して,

未払賃金分の損害賠償請求をするという方法があります。

 

 

前提として,労働者に対して,労働契約に基づいて

賃金の支払義務を負っているのは会社なので,労働者は,

直接には,社長個人に対して,未払賃金を支払えとは言えないのです。

 

 

しかし,給料を支払う意思がないのに働かせた上での

賃金不払いといった悪質性の特に強い事案においては,

社長個人に対して,未払賃金分の損害賠償請求ができないかを検討します。

 

 

 

この社長個人に対する損害賠償請求をするときの法律根拠が,

会社法429条に基づく取締役の第三者に対する責任というものです。

 

 

会社の社長などの取締役が,会社の管理や運営を

適正に行うことを確保するために,取締役は,

善良な管理者の注意義務をもって,

会社から委任を受けた事務を処理する義務を負っています。

 

 

これを取締役の善管注意義務といいます。

 

 

取締役がこの善管注意義務に違反すると,

会社の任務を怠ったと評価され,

それによって第三者に損害が発生した場合に,

取締役は,第三者に対して,損害賠償責任を負います。

 

 

第三者には,会社の労働者も含まれます。

 

 

2 取締役に対して未払賃金分の損害賠償請求が認められた裁判例

 

この取締役の第三者に対する責任追及を根拠に,

取締役に対する,未払賃金分の損害賠償請求が認められたケースとして,

ブライダル関連会社元経営者ら事件の

鳥取地裁平成28年2月19日判決があります

(労働判例1147号83頁)。

 

 

この事件では,会社が事実上の倒産状態となり,

給料が未払とされた労働者が,代表取締役と取締役に対して,

未払賃金分の損害賠償請求をしました。

 

 

取締役は,会社をして使用者の労働者に対する基本的義務である

給与の支払日における全額支払の履行に漏れがないようにするために,

その時点における最善の努力を尽くすべきであり,そのことは,

取締役の善管注意義務の内容になっているので,この努力を怠ることは,

取締役の任務懈怠と評価されると判断されました。

 

 

そして,取締役は,会社経営が困難な状況にこそ,

事態を放置することは会社の財務状況をますます悪化させ,

労働者の損害をさらに拡大するのであるから,

損害の拡大を阻止するために,可能な限り,

最善の方法を選択,実行すべき善管注意義務を負っているのです。

 

 

 

本件の代表取締役は,給料が未払であることを認識しており,

そのような意図的な給料未払という事態は,すでにそれ自体として,

取締役に期待される最善の努力を尽くしていないとして,

代表取締役に対する損害賠償請求か認められました。

 

 

また,本件の取締役は,代表取締役の行為を監視し,

会社経営に関して適切な意見を具申すべき義務があるのに,

これを怠ったとして,取締役に対する損害賠償請求も認められました。

 

 

このように,意図的に給料を未払にして放置しているような

事案であれば,まだ十分に資力がありそうな取締役に対して,

未払賃金分の損害賠償請求をすることを検討してみる必要があります。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

会社が倒産して給料が支払われない時の対処法

1 会社が倒産して給料が支払われない

 

 

会社が倒産したので,給料が支払われなくて困っています,

という法律相談を受けることがあります。

 

 

会社の社長が行方をくらまして連絡がとれない,

社長と連絡はとれるけれども未払の給料を支払うと言っているのに

全然支払ってくれない,といった問題があります。

 

 

 

労働者は,働けば,当然に,会社に対して,

給料の支払を請求できるのですが,会社に,

労働者に給料を支払うだけの資力がなければ,

無い袖は振れないということで,

会社から給料の回収をするのは困難です。

 

 

会社の社長に給料の請求ができないのかも考えるのですが,

会社と社長は別人格であり,労働者に対して

給料の支払義務を負っているのは,

労働契約を締結している会社であって,社長ではないのです。

 

 

社長に対して,取締役の責任追及として,

未払給料分の損害賠償請求をすることも考えられますが,

未払給料の金額が小さいと,弁護士に依頼しても

費用倒れになってしまうリスクがあります。

 

 

2 未払賃金の立替払制度

 

 

そこで,このようなときには,

未払賃金の立替払制度を利用できないかを検討します。

 

 

未払賃金の立替払制度とは,会社が倒産して

賃金や退職金の未払が生じたときに,

国(独立行政法人労働者健康福祉機構)が

会社に代わって立替払をする制度です。

 

 

立替払の対象となる未払賃金は,

退職日の6ヶ月前の日から立替払請求日の前日までの間に

支払期日が到来している定期賃金

(毎月1回以上一定の期日を定めて支払われる賃金)及び退職手当です。

 

 

賞与,解雇予告手当,遅延損害金,旅費などは

立替払の対象にはなりません。

 

 

未払賃金が2万円以上あることが必要で,

立替払の対象となる賃金額は,

未払賃金総額の8割とされています。

 

 

もっとも,未払賃金総額には,

退職日の年齢に応じた限度額が設定されています。

 

 

退職日における年齢 未払賃金総額の限度額 立替払の総額
30歳未満 110万円 88万円
30歳以上45歳未満 220万円 176万円
45歳以上 370万円 296万円

 

 

立替払制度を利用するには,

倒産した事業主(会社,個人を含みます)が

労災保険の適用事業を1年以上行ってることが必要です。

 

 

労災保険は,一人でも労働者を雇用すれば強制的に適用されるので,

ほとんど全ての事業が対象となります。

 

 

事業主が労災保険の保険料を支払っていなくても,

この要件を満たします。

 

 

対象となる倒産ですが,破産,民事再生,会社更生,特別清算

といった法的手続をとった倒産は全て適用されます。

 

 

法的な倒産手続の場合,裁判所や破産管財人などから,

破産などの事由と未払賃金額などについて証明書をもらい,

これを添付して労働者健康福祉機構に

未払賃金の立替払請求書を提出します。

 

 

また,中小企業の場合,法的な倒産手続をとっていなくても,

事実上の倒産として労働基準監督署が認定すれば,

立替払制度を利用できます。

 

 

 

事実上の倒産とは,事業活動が停止し,再開する見込みがなく,

賃金の支払能力がない状態をいいます。

 

 

事実上の倒産の場合は,労働基準監督署に

事実上の倒産の認定申請書を提出し,認定をうけてから,

労働者健康福祉機構に未払賃金の立替払請求書を提出します。

 

 

立替払制度の対象者となる労働者は,

破産などの申立日または労働基準監督署に対する認定申請日の

6ヶ月前から2年の間に退職した方です。

 

 

立替払請求は,破産手続開始の決定があった日の翌日から2年以内に,

労働基準監督署から事実上の倒産の認定があった日の翌日から2年以内に

する必要があります。

 

 

法的な倒産手続の場合は,申立代理人や管財人が対応してくれますが,

全ての事業主が法的な倒産手続をとるわけでなく,

何もしないまま放置されていることもあるので,

そのようなときは,労働基準監督署へいって,

未払賃金の立替払制度を利用できないか相談してみてください。

 

 

立替払制度を利用して,8割でもいいので未払賃金を回収した方が,

費用対効果を考えればいいと思います。

 

 

なお,未払賃金の立替払制度については,

こちらのUELにあるパンフレットに詳しい説明が記載されていますので,

ご参照ください。

 

 

https://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/kinrosyashien/pdf/tatekae_seido_Pamphlet.pdf

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

大学の准教授に対する雇止め事件

1 雇止めとは

 

 

有期労働契約の契約期間が満了して,労働契約が更新されず,

労働契約が終了することを雇止めといいます。

 

 

正社員は,契約期間の定めのない無期労働契約を締結しているので,

解雇されるか,自分から退職しない限り,

労働契約が継続するので,雇用が安定してます。

 

 

他方,有期雇用労働者は,労働契約の契約期間が定められているので,

契約期間が満了したら,労働契約が終了してしまうリスクがあるので,

雇用が不安定です。

 

 

 

有期雇用労働者は,雇止めされると,明日からの仕事がなくなり,

生活が不安定になることから,雇止めが無効であるとして,

裁判になることがよくあります。

 

 

本日は,雇止めについて,学校法人梅光学院ほか事件の

広島高裁平成31年4月18日判決を紹介します

(労働判例1204号5頁)。

 

 

この事件は,大学の特任准教授である原告が,

1年間で労働契約を終了させられたのは,無効であるとして,

労働者の地位にあることの確認を求めて,裁判を起こしました。

 

 

2 雇止めが無効になるには

 

 

雇止めが無効になるためには,

労働契約法19条の要件を満たす必要があります。

 

 

すなわち,第1の要件として,有期労働契約が

更新されるものと期待することについて合理的な理由があること。

 

 

第1の要件が満たされれば,第2の要件として,

雇止めに客観的合理的理由がなく,社会通念上相当でない場合に,

雇止めが無効になるのです。

 

 

多くの雇止めの事件では,

第1の要件が中心的な争点になることが多いです。

 

 

第1の要件については,以下の事情を総合考慮して判断されます。

 

 

 ①雇用の臨時性(仕事の内容が臨時的・補助的か,基幹的か)

 ②更新の回数

 ③雇用の通算期間

 ④契約期間管理の状況(契約書を毎回締結しているか,

手続が形式的となっていないか)

 ⑤雇用継続の期待をもたせる会社の言動の有無

 

 

本件事件では,契約期間1年で雇止めにあったので,

②③の事情は原告にとって不利でしたが,以下の事情から,

当然に有期労働契約が更新されることを前提に契約を締結していたとして,

第1の要件を満たすとされました。

 

 

・被告では,1年で雇止めにあった例が原告以外にないこと。

 

 

・原告は,学生の授業アンケートで高い評価を受けており,

1年で3つの論文を執筆し,学外の講演の講師をするなど

豊富な業務量をこなしていたこと。

 

 

・被告の代表者が雇止めをしないと繰り返し原告に発言していたこと。

 

 

そのため,原告には,有期労働契約が更新されると

期待することについて,合理的な理由があると判断されました。

 

 

そして,被告の募集要項には,更新は最大2回,

最長3年と記載されていましたが,就業規則には,

通算した契約期間が5年を超えるときには更新しないとされていて,

5年までは更新しえることと,

実際に契約更新が最大3年として運用されていないことから,

5年間契約が更新されると期待することについて,

合理的な理由があると判断されました。

 

 

その結果,原告は,第1と第2の要件を満たしていたので,

雇止めは無効となりました。

 

 

一度も更新されていなくても,格別の意思表示や特段の支障が無い限り,

当然に更新されることを前提に契約を締結していた場合には,

契約更新への合理的期待が生じているとして,

雇止めが無効になる可能性があるのです。

 

 

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過労死した飲食店の店長の労災保険給付金の算定と固定残業代

1 給付基礎日額とは

 

 

労災保険から支給される保険給付金は,

給付基礎日額をもとに算定されます。

 

 

後遺障害が残ったときに支給される障害補償給付や,

被災労働者が死亡したときにご遺族に支給される遺族補償給付は,

給付基礎日額の何日分として支給されるのです。

 

 

 

この給付基礎日額は,労災事故が発生した日の直前3ヶ月間の

賃金の総支給額を日割り計算したものをいいます。

 

 

2 給付基礎日額の計算には未払残業代も含まれる

 

 

給付基礎日額を計算するうえで,

残業代が含まれているのかをチェックする必要があります。

 

 

給付基礎日額を計算するための賃金の総支給額を算出するにあたり,

現実に支払われた賃金だけではなく,実際には支払われていなくても,

労働基準法の適用上支払われるべき賃金債権も含まれるのです。

 

 

そのため,会社が残業代を支払っていなくても,

給付基礎日額の計算においては,

未払残業代を含めて給付基礎日額を計算するのです。

 

 

労災認定されたけれども,直前3ヶ月間に長時間労働をしていたのに,

未払残業代が給付基礎日額に反映されていない場合には,

審査請求などの不服申立をして,是正を求める必要があります。

 

 

3 給付基礎日額の計算に固定残業代も含まれるのか

 

 

さて,この給付基礎日額の計算にあたり,

固定残業代を賃金の総支給額に算入してもよいのかについて,

労働者に有利な判決がありました。

 

 

国・茂原労基署長(株式会社まつり)事件の

東京地裁平成31年4月26日判決です(労働判例1207号56頁)。

 

 

この事件では,過労死した飲食店の店長のご遺族が労災申請して,

労災認定されたのですが,遺族補償給付の給付基礎日額の計算にあたり,

超過勤務手当10万円,深夜業手当5000円の固定残業代が

算入されていなかったため,ご遺族が審査請求したのですが,

認められなかったため,取消訴訟を提起しました。

 

 

固定残業代が有効になるためには,

固定残業代が時間外労働の対価として支払われている必要があります。

 

 

 

この対価性の要件を検討するには,

労働契約書の記載内容のほか,

会社による当該手当の説明の内容,

労働者の実際の労働時間の勤務状況を考慮して決めます。

 

 

この事件では,労働契約が口頭でなされており,

契約書が作成されていないこと,

会社が労働契約締結時に固定残業代と割増賃金の

関係について説明していないことから,

固定残業代が時間外労働の対価として

支払われているものとはされていないと判断されました。

 

 

その結果,給付基礎日額の計算において,

固定残業代を賃金の総支給額に算入すべきこととなり,

遺族補償給付の金額が増額されました。

 

 

過労死事件でも,固定残業代を無効として争うことで,

給付基礎日額が増えて,ご遺族に支給される

遺族補償給付の金額が増える可能性があるのです。

 

 

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即戦力として採用された管理職に対する試用期間満了後の本採用拒否が争われた事例

1 試用期間と本採用拒否

 

 

労働契約を締結する際に,試用期間が設定されることがよくあります。

 

 

入社後一定期間に実際に働いてもらい,

その中で適性を評価して本採用するかを決めることが多いです。

 

 

そのため,試用期間中には,会社に

労働契約を解約する権利が留保されているのです。

 

 

試用期間中とはいえ,すでに労働契約は成立しているので,

会社がこの留保されている解約権を行使できるのは,

解雇と同様に,客観的合理的理由があり,

社会通念上相当である場合に限られます。

 

 

もっとも,試用期間満了による本採用拒否は,

通常の解雇よりも緩やかに判断される傾向にあります。

 

 

2 即戦力として採用された管理職に対する解雇は緩やかに判断される

 

 

さて,本日は,即戦力として採用された管理職に対する

本採用拒否の適法性が争われた社会福祉法人どろんこ会事件の

東京地裁平成31年1月11日判決を紹介します

(労働判例1204号62頁)。

 

 

この事件では,被告の社会福祉法人に

事業部長として中途採用された原告が,

3ヶ月の試用期間満了で本採用を拒否されたことから,

本採用拒否は無効であるとして,訴訟を提起しました。

 

 

原告は,年収1000万円に相当する

月額83万4000円の高額な賃金待遇のもと,

即戦力の管理職として中途採用されたため,

職員管理も含めて,被告において高いマネジメント能力を

発揮することが期待されていたという事情があります。

 

 

しかしながら,原告には,以下の本採用拒否

の事由があると認定されました。

 

 

・原告が重要な会議にしばしば欠席することがあった。

 

 

・原告の部下に対する言動が高圧的・威圧的で,

部下からパワハラであるとして内部通報・外部通報をされる事態になり,

協調性がなく,管理職としての適合性がない。

 

 

・原告が被告に提出した履歴書に記載された職歴のうち,

事実に反する不適切な記載が確認された。

 

 

原告は,これらの指摘を受けて,改善する意向を示しましたが,

原告が高いマネジメント能力を買われて高待遇のもと,

即戦力として中途採用されたことから,原告に対する改善指導は,

当然の前提ではないとして,被告が原告に対して,

改善指導をしなかったことは問題ではないと判断されました。

 

 

結果として,被告による本採用拒否は有効となり,

原告の請求は認められませんでした。

 

 

 

特定のポストや役職のために上級管理職として中途採用され,

賃金などの労働条件において優遇されている場合には,

勤務成績の不良の程度は,労働契約で合意された能力,

地位にふさわしいものであったか否かの観点から緩やかに判断され,

教育訓練や配置転換も問題とされないので,注意が必要です。

 

 

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