勤務間インターバル制度の努力義務が始まります
先日,東京で高校時代の同級生と同窓会を開催しました。
皆さん,それぞれの職場で活躍しているようで,
大変よい刺激を受けました。
この同窓会で,働き方改革が話題になりました。
働き方改革関連法には,高度プロフェッショナル制度
という悪法も含まれてはいるものの,
「働き方改革」というキーワードが世の中に浸透し,
自分の働き方を見直し,よりよい生活を実現していこう
と考える人が増えていくことは良いことだなぁと感じました。
他方,残念なニュースもあります。
JAXA筑波宇宙センターで人工衛星の管制業務をしていた男性が,
約16時間連続勤務を含む深夜労働が常態化していた等として,
過労自殺が労災認定されました。
また,東京都福生市の男性消防士が過重労働が原因で自殺したとして,
地方公務員災害補償基金の公務災害とは認定しなかった
行政処分が取り消された判決が出たり,
北海道の民間シンクタンクの男性研究員が過重労働でうつ病を
発症したとして,損害賠償請求が認められる判決が出されています。
働き方改革が叫ばれている現状においても,過重労働によって,
過労死や過労自殺に追い込まれる労働者があとを絶ちません。
このような過労死や過労自殺対策の切り札
と言われているのが,勤務間インターバル制度です。
勤務間インターバル制度とは,勤務終了後,
一定時間以上の休息時間を設けて,
労働者の生活時間や睡眠時間を確保するという制度です。
勤務と勤務の間に十分な休息時間がなければ,
適切な睡眠時間が確保できずに疲労が蓄積したり,
家族との団らんの時間がとれなくなって人生の質がおちる
などの弊害が生じます。
一定の休息時間を確保することで,労働者が
十分な生活時間や睡眠時間を確保できて,
ワークライフバランスを保ちながら働き続けることができるのです。
例えば,所定労働時間の始業時刻が8時30分で
終業時刻が17時30分の会社で働く労働者が,
残業によって終業時刻が22時となった場合で考えてみます。
通常であれば,前日の終業時刻が何時であっても,
翌日は決められた所定労働時間の始業時刻である
8時30分に出勤しなければならないのですが,
11時間の勤務間インターバル制度が導入されれば,
翌日の始業時刻は9時からとなります。
今回の働き方改革関連法の中では,
「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」が改正されて,事業主は,
「健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定」
を講じるように努めなければならないと規定されました。
これは,努力義務というもので,事業主は,
勤務間インターバル制度を導入しなくても
法律違反に問われることはなく,あくまでも,
勤務間インターバル制度を導入するように
努力していきましょうというものです。
この他にも,事業主は,他の事業主との取引を行う場合において,
「著しく短い期限の設定及び発注の内容の頻繁な変更を行わない」
ように必要な配慮をするように努めなければならないとされました。
取引先の労働時間の改善に協力して,
社会全体で働き方を見直していこうというものです。
もっとも,勤務間インターバル制度の導入は,
努力義務とされているので,厚生労働省の
平成29年就労条件総合調査では,
勤務間インターバル制度を導入していると回答した
企業の割合は1.4%と,まだまだ低調です。
勤務間インターバル制度の努力義務は,
2019年4月1日から施行されましたので,
過労死や過労自殺を防止し,
ワークライフバランスを実現していくためにも,
勤務間インターバル制度は効果的ですので,
導入する企業が増えていくことを期待したいです。
本日もお読みいただきありがとうございます。