電通の刑事裁判

 平成29年9月22日,電通が社員に対して,違法残業をさせたとして労働基準法違反の罪に問われている刑事裁判の初公判が開かれました。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG21H8W_S7A920C1CC0000/

 

 検察官の冒頭陳述によれば,36協定の残業時間の上限を超えて残業した社員が,2014年度は毎月1400人以上,2015年度以降も毎月100人以上いたようです。

 

 また,労働基準監督署から違法残業について是正勧告を受けた後,36協定の残業の上限を25時間から50時間に引き上げて,形式的に労働基準法違反の解消を図りましたが,労働環境の改善とはむしろ逆行する小手先だけの対応に終始したようです。

 

 検察官の求刑は罰金50万円でした。罰金50万円を支払うだけのペナルティでは,今後の労務管理の改善にどこまで効果があるのか疑問に思われる方がいるかもしれませんが,検察官が,公開の法廷で,電通の杜撰な労務管理を明らかにしたことに十分な意義があると思います。労働基準法違反の刑罰は軽いのですが,杜撰な労務管理を続ければ,社会からバッシングを受けて,企業イメージを大きく失墜させることになりますので,労働基準法違反で企業が失うものが大きくなったと思います。

 

 この電通の刑事裁判を契機に,多くの企業が労働基準法を遵守するように変わってもらいたいです。

 

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