貴乃花親方の退職届から労働者の退職を考える

大相撲の貴乃花親方が日本相撲協会に退職届を提出しました。

 

 

(livedoor NEWSより)

 

報道によれば,貴乃花親方は,元横綱の日馬富士の傷害事件

をめぐる日本相撲協会の対応に疑義があるとした

告発状の内容について,事実無根であったことを認めるように

日本相撲協会から圧力を受けたと主張しているようです。

 

 

他方,日本相撲協会は,貴乃花親方に対して

圧力をかけた事実はないと真っ向から反論しています。

 

 

日馬富士の傷害事件について,日本相撲協会と貴乃花親方との間で

どのようなやりとりがなされて,貴乃花親方が退職届を

提出することになったのかが,今後争われていきそうです。

 

 

貴乃花親方が日本相撲協会に提出した文書は「引退届」

という表題であったらしく,日本相撲協会は,

年寄が協会を退職する場合には,退職届が必要であるとして,

形式の不備があるとして正式に受理していないようです。

 

 

本日は,貴乃花親方の退職届から,

労働者が退職する手続きについて説明します。

 

 

 

 

労働者は,会社との間で労働契約を締結して働いています。

 

 

この労働契約を,労働者が一方的に解約することを辞職といいます。

 

 

他方,労働契約を会社が一方的に解約することを解雇といいます。

 

 

解雇については,急に仕事を失う労働者を保護するために,

よほどの事情がない限り,解雇が認められないように規制されています。

 

 

解雇は厳しく規制されているのですが,

辞職は原則として自由であり,会社の承諾を必要としません

 

 

労働者は,会社を辞める2週間前に,

会社に辞めることを予告しておけば,

自由に会社を辞めることができます(民法627条)。

 

 

労働者が会社を辞めるときに,理由は必要ありません。

 

 

また,6ヶ月以上継続勤務し,

8割以上出勤しているのであれば,

10日間の有給休暇がもらえますので,

土日が休みの会社であれば,

平日の10日間で有給休暇を取得すれば,

2週間を待たなくても,すぐに会社を辞めることができるのです。

 

 

労働者が辞職する場合,退職の意思を明確にするためにも,

退職届を会社に提出することが一般的です。

 

 

この退職届が会社に届けば,辞職の効力が発生するので,

日本相撲協会のように,形式に不備があるので

受理しないと言われても,問題なく辞職できます。

 

 

退職届が会社に届けば,会社の同意がない限り,

辞職の撤回はできなくなるので,労働者は,

本当に退職届を提出してもよいのかをよく吟味してください

 

 

 

 

例外的に,懲戒解雇理由がないのに,

会社から退職届を出さなければ懲戒解雇になると告知されて,

労働者が退職届を提出したような場合,

労働者がかんちがいしていたり,

会社から騙されたり,強迫されたりしたという事情があれば,

労働者の退職の意思表示が無効になったり,

取り消しができたりすることもあります。

 

 

もっとも,労働者の退職の意思表示が無効になったり,

取り消しができるためには,労働者が,

会社から言われた騙しや強迫の言葉を証明しなければならず,

かなりハードルが高いのです。

 

 

そのため,労働者が会社から退職を促されて,

退職届を提出するときには,今一度,

本当に会社を退職しても後悔しないか慎重に判断してください

 

 

なお,会社の取締役も,いつでも辞任できるのですが,

後任者が決まるまで,引き続き取締役としての

権利義務を有することになります。

 

 

貴乃花親方が日本相撲協会を退職することに決めましたが,

後悔のない決断であったことを願いたいです。

 

 

本日もお読みいただき,ありがとうございます。

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