残業代ゼロ 連合容認?

 平成29年7月12日の朝日新聞の報道によれば,連合は,高度プロフェッショナル制度について修正を求め,要請が認められれば制度の導入を容認する方針を固めたようです。

 

http://www.asahi.com/articles/ASK7C777MK7CULFA03X.html

 

 高度プロフェッショナル制度とは,ざっくりと言えば,年収1075万円以上のコンサルタント等の専門職の残業代がゼロになる制度です。労働基準法では,1日8時間,1週間40時間を超えて働かせた場合,使用者は,労働者に残業代を支払わなければならないという規制があります。この労働時間の規制の対象から,年収の高い専門職を外すのが高度プロフェッショナル制度で,残業代ゼロ法案と批判されていました。

 

 高度プロフェッショナル制度の問題点は,会社が労働者に対して残業代を支払うことなくどれだけでも働かせることができてしまうので,長時間労働が蔓延し,過労死・過労自殺が増加する危険があることです。

 

 昨年の電通事件以降,長時間労働を是正するために,これ以上働かせた場合には,会社に刑罰を科すという,労働時間の上限規制が議論されてきたのですが,高度プロフェッショナル制度は,労働時間の規制を撤廃するものであり,労働者保護に逆行するものです。

 

 連合は,これまで高度プロフェッショナル制度に反対してきたのですが,突如として,条件付きで容認の立場に変わったようです。連合が求めている,年104日以上の休日取得,勤務間インターバル等は,労働者保護の見地から必要な政策ですが,高度プロフェッショナル制度を廃止した上で求めていくものと考えます。労働者の立場を代表する連合には,高度プロフェッショナル制度には,最後まで反対して欲しかったです。

 

 高度プロフェッショナル制度の概要や問題点については,私も作成に携わった日弁連のパンフレットに分かりやすく解説されています。

 

 https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/kodo_professional_seido_pam_color.pdf






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