新型コロナウイルスで死亡した医師の労災

1 新型コロナウイルスに関連する過重労働の相談

 

 

6月20日に実施されたパワハラ・コロナ労災・過労死110番では,

全国で新型コロナウイルスに関連する労働問題の相談が寄せられました。

 

 

会社の新型コロナウイルス対策の関係で,

女性社員が早く帰るようになり,休みがなくなり,

1ヶ月の時間外労働が160時間を超えるようになった。

 

 

 

コロナのために営業店舗数が縮小され,

遠くの店舗への出勤を命じられて

通勤時間が往復で約2時間増えた。

 

 

このように,新型コロナウイルスに関連する

過重労働の問題が生じている現状があることがわかりました。

 

 

このような過重労働については,

無理せずに年次有給休暇を取得するなどして,

しっかりと休むことが重要です。

 

 

働き過ぎると健康を害するので,会社は,

労働者が過重労働に陥らないように仕事量を調整するべきです。

 

 

2 新型コロナウイルスに感染した医師の死亡

 

 

さて,新型コロナウイルスに関連して,

大阪の医師3名が新型コロナウイルスに感染して死亡したようです。

 

 

https://www.asahi.com/articles/ASN6Q747WN6QPTIL03H.html

 

 

報道によりますと,患者を診察した際に,

新型コロナウイルスに感染したようです。

 

 

死亡した医師が勤務医であれば,

仕事中に新型コロナウイルスに感染したとして,

労災認定されます。

 

 

今年の4月28日に厚生労働省から公表された通達によれば,

医療従事者が新型コロナウイルスに感染した場合,

仕事以外で感染したことが明らかである場合を除いて,

原則として労災保険給付の対象となります。

 

 

通常であれば,仕事をしていて新型コロナウイルスに感染した

という感染経路を特定しなければ,労災と認定されないのですが,

新型コロナウイルスは症状がなくても感染を

拡大させるリスクがあることから,

感染リスクがとくに高い医療従事者を保護するために,

医療従事者に労災保険が適用されやすくしたのです。

 

 

 

大阪の新型コロナウイルスで死亡した医師も,

患者が新型コロナウイルスに感染していたとは知らずに診察して,

感染したようですので,医師が勤務医であれば,労災保険が適用されます。

 

 

3 遺族補償給付

 

 

この場合,死亡した医師のご遺族は,

労働基準監督署に対して,労災申請をすることで,

遺族補償給付を受けられます。

 

 

遺族補償給付には,遺族補償年金と遺族補償一時金があります。

 

 

遺族補償年金は,次の要件を全て満たす遺族が受給できます。

 

 

①被災労働者が死亡した当時その収入によって生計を維持していたこと

 

 

 ②被災労働者の配偶者,子,父母,孫,祖父母または兄弟姉妹であること

 

 

 ③年齢要件を満たしていること

 

 

これらの受給要件を満たすご遺族に対して,

ご遺族が1人の場合には,

被災労働者の直近3ヶ月間の賃金の総支給額を日割り計算した

給付基礎日額の153日分が年金として支給されます。

 

 

また,ご遺族の中に遺族補償年金を受けるご遺族がいない場合には,

遺族補償一時金が支給されます。

 

 

その他にも,葬儀費用として,労災保険から葬祭料が支給されます。

 

 

このように,残されたご遺族にとって,

生活保障となる給付が支給されますので,

今後の生活のために,労災申請をすることをおすすめします。

 

 

特に,ご遺族から申請しないと,

労災手続は何も進まないことには注意が必要です。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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