武器としての交渉思考
1 弁護士の仕事は交渉がほとんど
弁護士の仕事は交渉がほとんどといっても過言ではありません。
事件の相手方や相手方の弁護士、裁判官や検察官など、
さまざまな立場の方々と交渉をして、
トラブルを解説していくのが弁護士の仕事なのです。
そのため、弁護士は、交渉のスキルを磨かなくてはならないのです。
交渉のスキルを磨くために、うってつけの本があるので、ご紹介します。
瀧本哲史先生の「武器としての交渉思考」という本です。
この本は、学生向けに交渉の基礎から、
実際の現場で活用できるスキルまでが、
とてもわかりやすく解説されていますので、
交渉を勉強するときに、まず読むべき本だと思いました。
2 相手の利害に焦点を当てる
瀧本先生は、交渉において、一番大事なのは、
「相手の利害に焦点を当てる」ことであるとおっしゃっています。
交渉とは、立場が異なり自由に意思決定できる二者が
合意を目指してやり取りするコミュニケーションなので、
相手と合意する必要があるのです。
そのため、自分の損得だけを考えていたのでは
交渉はまとまることはありません。
相手の利害を考えて、相手にメリットのある提案をしないと、
合意にいたることはありえません。
相手にメリットのある提案をするためには、
相手がほしいものは何か、どこを妥協できるのかを知るために、
相手の話を聞くことが重要になるわけです。
相手の話をよく聞いて、お互いの利害を分析し、相手のメリットが実現し、
そのうえで自分のメリットが得られるようにすることで合意ができます。
交渉は、自分の主張を押し通すのではなく、いかに相手の話を聞いて、
双方にメリットがある提案ができるのかが大切なのです。
3 交渉とは情報を集める「だけ」の勝負
瀧本先生は、交渉とは情報を集める「だけ」の勝負であるとおっしゃっています。
交渉では、バトナを持っていると、有利にすすめることができます。
バトナとは、相手の提案に合意する以外の選択肢の中で、
いちばん良いものをいいます。
他の選択肢があれば、相手と交渉が決裂しても問題がないので、
交渉の立場が強くなります。
交渉相手にもバトナがあることが多いので、
相手のバトナを分析できれば、こちらの提案にのらなかったら、
こういう選択肢がありますけど、私の提案の方が有利ですよねと提案するのです。
その結果、合意にいたるかもしれませんし、
相手から別の選択肢の情報がえられるかもしれません。
交渉の相手にたくさん聞いて、情報を収集し、
たくさん提案できれば、交渉が合意にいたる可能性が高くなります。
そのため、交渉では、相手に質問して、聞いて、
たくさんの情報を集めることで勝負がきまるのです。
4 譲歩
交渉の結果、合意にいたるためには、譲歩が必要になります。
この譲歩におけるテクニックとして、相手にとって価値が高いが、
自分にとって価値が低い条件を譲歩の対象にすることです。
相手にお得感をもたせつつも、自分の被害が最小限になるので、
納得のいく合意にいたりやすくなるのです。
譲歩をする前提として、交渉前に自分と相手の立場や利害を
十分に分析して交渉に臨むべきなのです。
そういう意味で、交渉は事前準備で8割が決まってしまうのです。
弁護士に限らず、社会人であれば、誰でも日々交渉しているわけで、
その交渉に磨きをかけることは、成果につながります。
交渉に磨きをかけるために必読の書だと思いますので、
紹介させていただきました。
本日もお読みいただき、ありがとうございます。