取締役でも労災認定される場合がある

1 名ばかり役員の労災認定

 

 

東京都内のビルメンテナンス会社の取締役であった男性が,

職場で脳出血を発症したのは,長時間労働が原因であったとして,

労働基準監督署が労災認定をしました。

 

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/e1c1391fc54d008fe96d08e99420eed33c81b783

 

 

報道によりますと,被災した男性は,取締役という肩書でしたが,

勤務実態から,労働者と認定されて,労災と認定されたようです。

 

 

労災保険による補償を受けるためには,

被災者が労災保険法が適用される労働者に該当する必要があります。

 

 

他方,取締役は,通常,会社の経営者として業務執行権をもち,

賃金ではなく役員報酬を受け取っているので,

労働者に該当しないのが原則です。

 

 

もっとも,取締役という肩書がついていても,

単に代表取締役の指揮命令のもとで働いていたにすぎない場合には,

名目的な取締役であるとして,労働者に該当し,

労災保険法が適用されることがあります。

 

 

それでは,どのような場合であれば,

取締役であっても,労働者であるとして,

労災保険法が適用されるのでしょうか。

 

 

 

労働者とは,使用者との使用従属関係のもとに労務を提供し,

その対価として使用者から賃金の支払を受ける者とされています。

 

 

もっとも,この定義では抽象的なので,実務では,

さまざまな事情を総合考慮して,労働者か否かが判断されます。

 

 

2 取締役でも労災保険法が適用されることがある

 

 

ここで,専務取締役であった被災者が労働者と認定された,

大阪中央労基署長(おかざき)事件の

大阪地裁平成15年10月29日判決(労働判例866号58頁)

を紹介します。

 

 

この事件では,次の事情を総合考慮して,

専務取締役であった被災者が労働者と判断されました。

 

 

①18年間にもわたって営業の仕事を担当し,この限りで,

使用従属関係のもとで,労務を提供していたこと

 

 

②専務取締役に就任しても,営業の業務内容に変化はなかったこと

 

 

③被災者は,事務所の掃除を行うことがあったこと

 

 

④他の従業員と同様に社長から叱責を受けていたこと

 

 

⑤会社では取締役会が通常開かれていなかったこと

 

 

他方で,この事件の専務取締役であった被災者は,

取締役として登記されていたこと,

従業員の採用や賃金の決定に関与していたこと,

社長不在時には決済を代行していたこと,

社長と同額の報酬をもらい,

労働時間管理を受けていなかった,

などの労働者であることを否定する方向の事情もありました。

 

 

 

それでも,以上の事情を総合考慮して,

専務取締役であった被災者は,

労働者に該当するとされました。

 

 

冒頭のビルメンテナンス会社の労災事件においても,

取締役就任前後で仕事内容に変化がなかったこと,

役員報酬ではなく,給与の支給であったこと,

雇用保険の資格を取得していたこと,

などの事情から,総合的に労働者に該当するとされました。

 

 

そのため,取締役が労働災害にまきこまれた場合,

実態をよく調査して,労働者に該当する事情があれば,

あきらめずに,労災申請をすることをおすすめします。

 

 

取締役であっても,労働者として労災認定されれば,

治療費は労災保険から全額支給されますし,

後遺障害が残った場合には,後遺障害に関する補償を受けられますので,

労災保険を利用できるメリットは大きいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

公益通報者保護法が改正されて内部通報した労働者が保護されやすくなります

1 内部通報のニュース

 

 

朝日新聞の報道によりますと,東京電力から

電話勧誘業務を請け負ったりらいあコミュニケーションズという会社が,

顧客との会話を録音した音声データを改ざん,捏造したようです。

 

 

https://www.asahi.com/articles/ASN6B7363N6BUTIL01T.html

 

 

このような不正は内部通報で発覚したようです。

 

 

 

組織内で不正行為が密かに行われていると,

組織外の人間が不正行為を見抜けないことがあり,

不正行為を是正するためには,

内部通報は貴重な情報源となります。

 

 

他方で,内部通報をした労働者が組織内で干されることはよくあります。

 

 

山口県多布施町の男性職員が町の固定資産税の

徴収ミスを内部通報したところ,

町役場とは別の建物の和室において1人で

町の刊行物を作成する部署に異動させられたようです。

 

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/4a5e4666211067dd0815ac6275603e906bb8985e

 

 

法的に正しいことをしても,

報復人事を受けるリスクがあるのが,

組織というものです。

 

 

組織内部の不正行為を是正するためには,

内部通報を保護していくことが重要になります。

 

 

2 公益通報者保護法

 

 

この内部通報を保護するのが公益通報者保護法という法律でして,

この法律が14年ぶりに改正されました。

 

 

本日は公益通報者保護法の改正について説明します。

 

 

公益通報者保護法では,労働者が,会社において,

犯罪行為が発生する切迫した状況などにおいて,

監督権限のある行政庁やマスコミなどに内部通報した場合に,

内部通報をした労働者を保護する要件が定められています。

 

 

内部通報をした労働者が,公益通報者保護法の要件に該当すれば,

会社は,内部通報をした労働者に対して,

内部通報をしたことによって解雇や降格,減給

といった不利益な取り扱いをしてはならないことになります。

 

 

今回の改正では,内部通報者がより保護されるようになりました。

 

3 公益通報者保護法の改正のポイント

 

 

改正前の公益通報者保護法で保護されていたのは,

現に会社に勤務している労働者に限定されていましたが,

今回の改正で,退職後1年以内の退職者と

役員にも保護の対象が拡大されました。

 

 

保護される通報対象事実は,

改正前は刑事罰に該当する事実だけでしたが,

改正により,行政罰に該当する事実も含まれることになりました。

 

 

 

内部通報によって,不正行為が世間に発覚すると,

会社の信用が落ちて,会社の売上が減少するなど,

会社に損害が発生することがあります。

 

 

このような場合に,会社が内部通報した者に対して,

損害賠償請求ができるのであれば,

正しいことをした者が損をすることになってしまいますので,

内部通報者は,内部通報によって会社に生じた

損害賠償責任を免除されることになりました。

 

 

また,従業員が300人を超える法人では,

会社内に内部通報を受け付ける窓口を設置したり,

内部通報の事実を調査するように

必要な体制を整備することが義務付けられました。

 

 

内部通報窓口の担当者には,内部通報のあった事実について

秘密を守る義務を負い,内部通報窓口の担当者が

この守秘義務に違反した場合には,

30万円以下の罰金が科せられます。

 

 

さらに,会社が内部通報に適切に対応するための

必要な体制の整備をしない場合,内閣総理大臣が,

当該会社に対して,助言,指導,勧告,公表などができます。

 

 

会社の中に内部通報のための体制が整備されますと,

労働者は,外部の行政庁やマスコミに通報するのではなく,

まずは会社内部に通報して,

会社内で不正行為が是正されることが期待されます。

 

 

会社としても,いきなり行政庁やマスコミに通報されると

酷い風評被害を被るリスクがありますので,

労働者が内部通報しやすい環境を整えることは,

リスクマネジメントの観点から重要です。

 

 

今回の公益通報者保護法の改正で,

内部通報した労働者が保護されやすくなったのでよかったです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

ロイヤルリムジングループ整理解雇の仮処分手続で和解成立

1 ロイヤルリムジングループ整理解雇事件

 

 

タクシー事業を営むロイヤルリムジングループが,

新型コロナウイルス感染拡大による業績悪化で大半の事業を休止して,

約600人もの運転手を解雇したため,

タクシー運転手が労働者としての地位確認を求める

仮処分の申立てをした事件で,和解が成立したようです。

 

 

https://mainichi.jp/articles/20200608/k00/00m/040/247000c

 

 

和解において,雇用継続が確認され,

休業手当の支払いや事業再開時の職務復帰が認められたようです。

 

 

ロイヤルリムジングループでは,

一部のタクシー会社ではまだ休業が続いているようですが,

休業手当が支払われることとなり,

事業が再開したときに職場復帰できるのは画期的です。

 

 

 

本日は,この和解について検討します。

 

 

2 整理解雇

 

 

新型コロナウイルス感染拡大の影響で業績が悪化したことを

理由とする解雇を整理解雇といいます。

 

 

整理解雇では,

①人員削減の必要性,

②解雇回避努力義務,

③人選の合理性,

④労働者への説明などの手続の相当性,

という4つの要件(要素)を総合考慮して,

整理解雇が有効か無効かが判断されます。

 

 

ロイヤルリムジングループの事件では,

新型コロナウイルスの感染拡大によって,

人の移動が制限され,タクシーに乗る人が激減したので,

ロイヤルリムジングループには,

①人員削減の必要性は一定程度あったと考えられます。

 

 

しかし,雇用調整助成金を活用することなく,いきなり,

約600人ものタクシー運転手を解雇したので,

②解雇回避努力義務を尽くしておらず,

④労働者に対して,適切な説明を尽くしていなかったと考えられます。

 

 

そのため,ロイヤルリムジングループの整理解雇は

無効と判断される可能性は十分にありました。

 

 

3 仮処分

 

 

また,この事件は,緊急事態宣言の状況下で進行していたので,

裁判所に早急に審理してもらうために,

仮処分という裁判手続がとられました。

 

 

仮処分では,保全の必要性という要件を満たす必要があります。

 

 

労働事件における保全の必要性とは,

通常の裁判で解雇を争っていたのでは,時間がかかり,

労働者が困窮して生活が危機に瀕する状況になることをいいます。

 

 

労働者が解雇されても,

いくらか貯蓄が残っていたり,

配偶者が働いているので,

当面の生活はなんとかやりくりできるのであれば,

保全の必要性はないとして,

仮処分は認められないことが多いです。

 

 

そのため,労働事件ではあまり,

仮処分を利用することが少ないです。

 

 

もっとも,ロイヤルリムジングループ事件では,

解雇されたのがタクシー運転手で,高齢な方ですと,

新型コロナウイルスの影響で次の就職先を見つけるのが

非常に困難ですので,保全の必要性が認められる余地がありました。

 

 

以上のことから,ロイヤルリムジングループ事件では,

裁判官が,解雇は無効で,保全の必要性もあることから,

仮処分決定を出せる心証を抱いたので,

労働者に有利な和解案を提示して,

和解がまとまったのだと予想されます。

 

 

4 和解

 

 

裁判手続では,最終的に白黒はっきりつける判決や決定に至る前に,

和解で事件が解決することの方が多いです。

 

 

 

判決や決定が出ても,相手方が控訴などをすると,裁判は続き,

解決に時間がかかるのですが,和解であれば,

控訴などはなく,その時点で事件は終結します。

 

 

また,判決や決定では,相手方が任意に支払いに応じない場合には,

相手方の財産を差し押さえるなどの強制執行手続

という別の裁判手続をしなければなりませんが,

和解であれば,相手方も納得しているので,

任意の支払いに応じることが多いです。

 

 

このように,和解には,トラブルを解決するための

時間を短縮できること,支払いの確実性があがることの

メリットがあるので,和解ができるのであれば,

和解で事件を解決することが多いのです。

 

 

労働事件では,一度裁判で争った経緯があるので,

解雇された労働者が職場に復帰するのはなかなか難しいのですが,

ロイヤルリムジングループでは,

多くの労働者が裁判に立ち上がったので,

会社側も,大勢の声を無視することはできず,

職場復帰に応じざるをえなかったのかもしれません。

 

 

会社から酷い仕打ちを受けたときには,

労働者が団結して,会社に対して,

しっかりと物申すことが重要ですね。

 

 

多くの労働者の職場復帰が認められるのは珍しいので,

画期的な和解だと思います。

 

 

今後の解雇事件で活用できる解決の方法だと考えられます。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

新型コロナ対応休業支援金が新設されることを理由に休業手当を支払わないことは違法です

1 新型コロナ対応休業支援金を理由に休業手当を支払わない会社

 

 

朝日新聞の報道によりますと,

令和2年度第2次補正予算案・関連法案が

今国会で可決されれば導入される

新型コロナ対応休業支援金をあてにして,

休業手当を支払わないと主張する会社がでてきているようです。

 

 

https://www.asahi.com/articles/DA3S14500707.html

 

 

新型コロナ対応休業支援金は,

休業手当を受けられない中小企業の労働者に対して,

国が月額33万円を上限に賃金の8割を直接支給するという制度です。

 

 

ただ,6月9日現時点では,新型コロナ対応休業支援金は,

まだ成立しておらず,具体的にどのようにして申請するのか,

支給までにいつまでかかるのかは未定です。

 

 

この新型コロナ対応休業支援金の制度ができるから,

という理由で,中小企業が休業したのに,

労働者に対して,休業手当を支払わないことは,

労働基準法26条に明確に違反する違法行為です。

 

 

2 休業手当

 

 

労働基準法26条には,会社の責めに帰すべき事由による休業の場合,

会社は,休業期間中,労働者に対して,

平均賃金の6割以上の休業手当を支払わなければならない,

と規定されています。

 

 

 

この会社の責めに帰すべき事由とは,

会社の故意(わざと),過失(落ち度)

または信義則上これと同視すべきものよりも広く,

不可抗力によるものは含まれないとされています。

 

 

ようするに,台風や地震といった自然災害などの

不可抗力以外の理由で休業した場合には,

会社は,労働者に対して,平均賃金の6割以上の

休業手当を支払わなければならないのです。

 

 

新型コロナウイルスの感染拡大による休業の場合は,

緊急事態宣言がだされた状況において,

新型コロナ特措法45条2条の休業要請や

同3項の休業指示の段階までいけば,

不可抗力による休業に該当する可能性がでてきますが,

それ以外の休業の場合は,会社は,休業する場合,
労働者に対して,最低でも6割以上の

休業手当を支払わなければならないのです。

 

 

そのため,緊急事態宣言が解除されて,

経済活動が再開された現時点において,

会社の業績が悪化していても,

休業手当を支払わなくてもよいことはありえない

と言ってもよいでしょう。

 

 

さらには,会社が自らの判断で休業する場合,

民法536条2項に基づき,会社は,労働者に対して,

賃金の全額を支払わなければなりません。

 

 

そうなれば,労働者が,新しく導入されることになる

新型コロナ対応休業支援金で8割の賃金の支給を受けたとしても,

会社は,残りの2割を労働者に対して支払わなければなりません。

 

 

3 会社が休業手当を支払わないときのリスク

 

 

また,労働基準法26条による休業手当の支払義務に違反した場合,

会社には,30万円以下の罰金が科せられます(労働基準法120条1号)。

 

 

会社が休業手当を支払えるのに支払わないような悪質なケースでは,

労働局などが調査をして,検察庁に書類送検して,

処罰するように動き出すでしょう。

 

 

会社が休業手当を支払わないという事実が

インターネット上で拡散すれば,多大な風評被害が生じて,

ブラック企業というレッテルを貼られて,

新しく人材を採用できなくなるリスクが生じます。

 

 

 

そのため,会社は,新型コロナ対応休業支援金が

新しくできるからといって,休業手当の支払を

しなくてよいことにはならず,むしろ,

適切に休業手当を支払うべきなのです。

 

 

休業期間中の労働者の生活を維持させるためにも,

休業手当は迅速に支払われるべきです。

 

 

平均賃金の6割の休業手当では,金額が低くなり,

労働者の生活が維持できなくなるリスクがあるので,

会社は,6割以上の休業手当を支払うべきです。

 

 

休業手当を支払わない会社がなくなることを期待したいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

加賀温泉郷の旅館やホテルの解雇から整理解雇の人員削減の必要性を検討する

1 加賀温泉郷の旅館やホテルで解雇が多発しています

 

 

石川県の加賀温泉郷の旅館やホテルにおける解雇が増えてきています。

 

 

小松市の粟津温泉の老舗旅館の辻のや花乃庄は,

全従業員約50人を6月末で解雇するようです。

 

 

https://www3.nhk.or.jp/lnews/kanazawa/20200603/3020005059.html

 

 

また,加賀市片山津温泉のホテル北陸古賀乃井と,

山代温泉のホテル大のやにおいても,

両旅館の全従業員約70人が,

施設の老朽化により改修を検討する必要があり,

長期休館することから,解雇通告を受けたようです。

 

 

https://www.chunichi.co.jp/article/68748

 

 

新型コロナウイルス感染拡大の影響で,

休館を余儀なくされている旅館やホテルが多く,

宿泊業における解雇や雇止めが業種別の中で最も多いようです。

 

 

 

2 整理解雇

 

 

このような経営悪化を理由とする解雇を整理解雇といいます。

 

 

整理解雇は,経営側の事情で解雇をするのであり,

労働者には落ち度がないため,厳格に判断されます。

 

 

具体的には,①人員削減の必要性,

②解雇回避努力義務,

③人選の合理性,

④手続の相当性(労働者に対して説明を尽くしたか),

という整理解雇の4要件(要素)を総合考慮して,

整理解雇が無効となるかが判断されます。

 

 

本日は,このうちの①人員削減の必要性について解説します。

 

3 人員削減の必要性

 

 

①人員削減の必要性については,

⑴企業が倒産の危機にある場合,

⑵企業が客観的に高度の経営危機下にある場合,

⑶企業の合理的運営上やむを得ない必要性がある場合,

⑷経営方針の変更等により余剰人員が生じた場合,

など様々な程度があります。

 

 

このように,どの程度の人員削減の必要性があればいいのかについては,

会社の経営判断にかかることですので,なかなか判断が難しいです。

 

 

そこで,人員削減の要否という経営判断の前提となる

事実認識の過程において,どの程度の情報を収集し,

どのような視点からその分析・検討をしたか,及び,

その事実認識に基づき,人員削減の必要性があるとの

経営判断に至った意思決定の推論過程及び内容に,

どの程度の合理性を認めることができるか

という判断基準を設定して検討します。

 

 

すなわち,会社がどういった情報を集めて,

どのような事実を認識し,その認識した事実に基づいて

人員削減が必要との判断に至ったのか,

その具体的プロセスの内容を会社に主張させて,

証明させることがポイントになります。

 

 

 

人員削減の必要性の判断材料になる事情には,

収支や借入金の状態,

取引先との取引量の動向,

資産状況,

人件費や役員報酬の動向,

社員の採用動向,

業務量,

株式配当

などがあげられます。

 

 

例えば,希望退職や退職勧奨が行われて,

既に自己都合退職した労働者がいる場合,

人員削減がある程度達成されていれば,

会社がさらに人員削減をする必要があったのかという

判断のプロセスが厳格に判断されることになります。

 

 

あくまで,人員削減の対象は,その必要性に見合った

適正な範囲であることが要請されますので,

その範囲を超える人員削減は許されないのです。

 

 

新型コロナウイルスの感染拡大の影響による整理解雇の場合でも,

上記の観点から,人員削減の必要性は検討されるべきです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

ヤマハ英語教室の名ばかり個人事業主の英語講師が労働者となります

1 ヤマハ英語講師ユニオンの活躍

 

 

朝日新聞の報道によりますと,ヤマハ英語教室で

個人事業主とされていた英語講師が労働組合を結成し,

ヤマハミュージックジャパンと団体交渉を続けた結果,

ヤマハミュージックジャパンは,英語講師を個人事業主ではなく

労働者として雇用するようです。

 

 

https://www.asahi.com/articles/ASN637HCWN57PTIL01H.html

 

 

ヤマハ英語教室の英語講師は,ヤマハミュージックジャパンと

1年ごとに契約を更新する委任契約を締結して,

教材選びや勤務の時間や場所について

会社の指揮命令に従って働いていたようです。

 

 

 

形式的には,個人事業主なのですが,

実質的には,労働者だったわけです。

 

 

このように,実質は労働契約なのに,

契約の形式が請負契約や委任契約となっているために,

労働法の保護を受けれていない方がいるのです。

 

 

本日は,名ばかり個人事業主の労働者性について解説します。

 

 

2 なぜ名ばかり個人事業主がいるのか

 

 

まず,会社は,なぜ,働き手を労働者ではなく,

個人事業主として,働かせたいのでしょうか。

 

 

一つは,経費の削減です。

 

 

会社は,労働者を雇用すると,

厚生年金保険料と健康保険料を労働者と折半して

負担しなければならないですし,

労災保険料は全額会社負担となります。

 

 

労働者を雇用することで会社に発生する

これらの社会保険料の負担を免れるために,

実質は労働者なのに形式は個人事業主として

働かせることがあるのです。

 

 

もう一つは,契約を打ち切りやすいことです。

 

 

正社員の労働者には,労働契約法16条の

解雇権濫用法理が適用されるので,

簡単に労働契約を終了させることはできません。

 

 

他方,個人事業主との業務委託契約では,

契約期間が区切られていることが多く,例えば,

契約期間が1年であれば,1年が経過すれば,

業務委託契約は終了してしまうので,

個人事業主は不安定な立場にあるのです。

 

 

会社からすれば,契約期間で雇用を調整できるので,

個人事業主は都合の良い働き手になるわけです。

 

 

とはいえ,会社の都合だけで,

労働法による保護を潜脱できるわけではなく,

形式が個人事業主であっても,実質は労働者であれば,

労働法の保護が及びます。

 

 

3 労働者の要件

 

 

実質は労働者であるといえるためには,

①会社の指揮監督下において労務の提供をする者であり,

②労務に対する対償を支払われる者

という2つの要件を満たす必要があります。

 

 

①の要件については,次の4つの要素が考慮されます。

 

 

ア 仕事の依頼,業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無

 

 

イ 業務遂行上の指揮監督の有無

 

 

ウ 時間的,場所的拘束の有無

 

 

エ 労務提供の代替性の有無

 

 

②の要件については,次の2つの要素が考慮されます。

 

 

オ 金額,計算方法,支払形態

 

 

カ 給料所得としての源泉徴収の有無,

雇用保険,厚生年金,健康保険の保険料徴収の有無

 

 

また,その他の補強要素として,次の2つの要素が考慮されます。

 

 

キ 事業者性の有無

 

 

ク 専属性の程度

 

 

例えば,会社からの仕事の指示を断れず(ア),

会社から仕事の進め方について指揮命令を受けていて(イ),

勤務時間と場所を会社に管理され(ウ),

自分以外の労務提供が認められておらず(エ),

労働時間に応じて報酬が決まり(オ),

報酬から源泉徴収されていて(カ),

仕事の器具を会社から借りていたり(キ),

他の会社で仕事をすることができない(ク)

といった場合には,労働者に該当します。

 

 

 

ヤマハ英語教室の場合,英語教材を会社から指示されたり,

毎月の会議に出席することを求められていたので,

業務遂行上の指揮監督を受けていたといえます(イ)。

 

 

また,講義の場所と時間も会社に管理されていて,

英語講師には裁量がなかったといえます(ウ)。

 

 

そのため,ヤマハ英語教室の講師は,

会社の指揮監督下で労務提供をしていたとして,

労働者に該当すると考えます。

 

 

コロナ禍においては,労働者に該当すれば,

会社が休業しても,労働基準法26条が適用されるので,

会社に対して,休業手当を請求できますし,

雇用保険が適用されるので,仕事を失っても失業給付を受給できます。

 

 

逆に,労働者ではなく,個人事業主であれば,

これらの補償はもらえません。

 

 

コロナ禍は,個人事業主の立場の弱さをあらわにしましたので,

実質は労働者として働いている名ばかり個人事業主には,

労働法をしっかりと適用して保護すべきです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

コロナ禍で見直される労働組合の役割

1 ユニオンの活躍

 

 

朝日新聞の報道によりますと,カフェベローチェの店員が

個人で加入できる労働組合である飲食店ユニオンに入って,

運営会社に対して,新型コロナウイルス感染防止のために

テイクアウトのみの営業や,全額の給与補償を求めて

団体交渉をしたようです。

 

 

https://www.asahi.com/articles/DA3S14496361.html

 

 

テイクアウトのみの営業は認められなかったのですが,

会計カウンターへの透明シートの設置,お客の座席使用60分制の導入,

シフト削減への休業補償が実施されたようです。

 

 

また,コナミスポーツでは,非正規雇用のジムのインストラクターが,

個人でも加入できる総合サポートユニオンに入り,

休業手当の請求を求めて,団体交渉を行い,

非正規雇用のインストラクターにも

休業手当が支払われるようになったようです。

 

 

https://www.asahi.com/articles/DA3S14496122.html

 

 

このように,コロナ禍において,アルバイトなどの

非正規雇用労働者に休業手当が支払われない,

新型コロナウイルス感染防止対策がないまま働かされるなど,

労働基準法が守られない状況に歯止めをかける存在として,

個人でも加入できる労働組合であるユニオンが注目されています。

 

 

とくに,新型コロナウイルスの感染対策などの安全衛生の分野や,

休業手当の請求の場面において,ユニオンが力を発揮しています。

 

 

 

2 安全衛生

 

 

まず,新型コロナウイルスの感染対策などの安全衛生について,

会社は,労働者に対して,労働災害を防止し,

快適な職場環境を実現するために努力する義務を負っています。

 

 

また,会社は,労働者に対して,生命や身体の安全を確保しつつ

働けるように必要な配慮をする義務を負っています。

 

 

これらの義務から,会社は,労働者が職場で

新型コロナウイルスに感染しないように,

マスクや消毒液を準備したり,換気を徹底するなどの

感染防止対策を実施しなければなりません。

 

 

これらの感染防止対策は,どのような職場なのかによって,

具体的な内容が異なります。

 

 

飲食店であれば,客との接触を減らす工夫が必要ですし,

都会のオフィスであれば,通勤での感染を減らすための

時差出勤や在宅勤務の導入が考えられます。

 

 

このように労働の現場の事情をもとに,

感染防止対策をしなければいけないので,

現場の労働者が声をあげる必要があります。

 

 

とはいえ,一人で声をあげると,

会社は一個人の意見であるとしてとりあげてくれなかったりしますが,

職場の労働者の総意であるとすれば,会社は無視できません。

 

 

そのため,労働者が団結して,会社に対して,

新型コロナウイルス感染防止対策などの安全衛生を

しっかりするように伝えることが重要になります。

 

 

さらに,これが団体交渉という形式で申し入れれば,

会社は,団体交渉に応じなければならないので,

より労働者の主張がとおりやくすなるのです。

 

 

3 休業手当の請求

 

 

次に,休業手当の請求ですが,

休業手当は平均賃金の6割以上を補償するものなので,

非正規雇用労働者が休業手当を請求するとなると,

もともと低賃金なので,請求する金額が少ないのが現実です。

 

 

労働基準法26条で,会社が労働者を休業させる場合には,

休業手当を支払わなければならないと定められているので,

裁判手続で休業手当を請求すれば,

強制的に支払わせることができます。

 

 

しかし,裁判手続では,時間と手間がかかり,

生活のためにすぐに休業手当が必要なのに,

実際に強制的に会社に休業手当を支払わせるのは

だいぶ先になってしまいます。

 

 

また,自分で裁判をするのは大変なので,

弁護士に依頼しようとしても,弁護士費用がかかります。

 

 

請求できる休業手当の金額が少ないと,

弁護士費用の方が高くなり,

費用対効果がとても悪く,

弁護士に依頼すると結果的に損をすることになる場合もあります。

 

 

そのようなときには,職場で休業手当をもらっていない

労働者同士で協力したり,ユニオンに加入して,

団体交渉で休業手当を請求することで,

会社が休業手当を支払うことがあります。

 

 

 

休業手当が支払われないことを諦めていると,会社は,

休業手当を支払わなくても労働者が何も言ってこないとして,

休業手当の未払を継続する可能性があります。

 

 

労働者が団結して声をあげることで,

休業手当が支払われることがあるのです。

 

 

新型コロナウイルス感染防止対策や休業手当については,

職場の労働者全員の利益になるので,団結しやすいですし,

会社もこれらの労働者の要望を無視できません。

 

 

ユニオンに加入して団体交渉して,

感染防止対策や休業手当を勝ち取ったケースがでてきますので,

今こそ,ユニオンや労働組合の力が発揮されるときだと思います。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

生出演したテレビでは語り尽くせなかった雇止めされた場合の対処法

1 NHK金沢放送局のテレビ番組に生出演させていただきました

 

 

先日もブログに記載しましたが,

5月29日19時30分に放送された,

NHK金沢放送局のいしかわ令和プレミアム

「取り戻せぬ日常~緊急事態宣言解除の裏で~」

という番組に生出演させていただきました。

 

 

 

生出演のため,編集がきかないこと,

番組の最後での出番だったので時間がなかったことから,

緊張のため早口になってしまい,

伝えたかったことが十分に伝わらなかったと感じました。

 

 

そのため,本日は,テレビの生出演では

十分に伝えることができなかった雇止めの対処法について解説します。

 

 

2 雇止めとは

 

 

契約社員が労働契約の期間の満了によって労働契約が終了すること,

派遣労働者が派遣切りにあうことを雇止めといいます。

 

 

正社員とは異なり,契約社員や派遣労働者は,

労働契約に1年間などの契約期間が定められており,

この契約期間が満了したときに更新されれば,

働き続けることができるのですが,

原則として,契約期間の満了で労働契約が終了してしまい,

仕事を失うことになります。

 

 

期間の定めのある労働契約を更新するか否かの決定権を

会社が握っているので,非正規雇用労働者の雇用は不安定なのです。

 

 

 

3 雇止めの要件

 

 

もっとも,労働契約法19条に規定されている,

次の3つの要件を全て満たす場合には,

期間の定めのある労働契約は,

従前の労働契約と同じ労働条件で更新されて,

雇用が継続することになります。

 

 

①非正規雇用労働者が契約更新の申し込みをすること,または,

契約期間満了後遅滞なく期間の定めのある労働契約の申し込みをすること

 

 

②-1過去に反復して更新されたものであって,

雇止めをすることが,期間の定めのない労働契約を締結している

労働者を解雇することと社会通念上同視できると認められること

(労働契約法19条1号)

 

 

または,

 

 

②-2期間の定めのある労働契約が更新されるものと

期待することについて合理的な理由があるものと認められること

(労働契約法19条2号)

 

 

③会社が非正規雇用労働者からの申し込みを拒絶することが,

客観的に合理的な理由欠き,社会通念上相当であると認められないこと

 

 

このうち,②の要件が満たされて,

初めて③の要件を検討することになるので,

雇止めの事件では,②の要件が満たされるかが最大の争点となります。

 

 

実務では,②-2の要件が問題になることが多く,

②-2の要件が満たされるかについては,次の要素を総合考慮します。

 

 

ア 仕事内容の臨時性・常用性

 

 

 イ 更新の回数

 

 

 ウ 雇用の通算期間

 

 

 エ 契約期間管理の状況(更新手続が厳格か形式的か)

 

 

 オ 雇用継続の期待をもたせる使用者の言動の有無

 

 

例えば,非正規雇用労働者の仕事内容が

正社員と同じようなものであり(ア),

何度も更新されて(イ),通算で長期間働き(ウ),

更新のときに労働契約書を締結することはなく(エ),

社長からいずれは正社員にするなどと言われていれば(オ),

②-2の合理的な期待があったと認定されます。

 

 

 

ただ,この②-2の要件を満たすかについては,

ア~オの要素を総合考慮して判断する必要があるので,

判断が難しいです。

 

 

②-2の要件を満たせば,解雇と同じように③の要件を検討し,

雇止めをする理由がなかったなどの場合には,雇止めは無効になります。

 

 

また,会社は,期間の定めのある労働契約を3回以上更新し,

または,1年を超えて継続雇用している場合に雇止めしようとするときは,

期間満了の30日前までに雇止めの通告をしなければならず,

労働者からの請求があれば更新しない理由を記載した書面を

遅滞なく発行しなければなりません。

 

 

雇止めになっとくいかないときには,

会社が雇止めをした理由を文書で明らかにさせるべきです。

 

 

4 有期労働契約の契約期間の途中での解雇

 

 

なお,期間の定めのある労働契約の期間が満了する前に,

非正規雇用労働者を解雇するには,

労働契約法17条1条に規定されている

「やむを得ない事由」が必要になります。

 

 

この「やむを得ない事由」は,正社員の解雇よりも

厳格に判断されるので,よほどのことがない限り,

非正規雇用労働者を契約期間の途中で解雇することはできないのです。

 

 

雇止めの事件では,解雇の事件と比べて,

②-2の要件の判断が必要となり,

専門的な知識が必要になるので,

雇止めになっとくできないときには,

弁護士に相談することをおすすめします。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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黒川前検事長と一緒に賭け麻雀をした朝日新聞の社員への1ヶ月の停職の懲戒処分は妥当なのか

1 朝日新聞の管理職社員の懲戒処分

 

 

先日のブログで東京高検の黒川弘務前検事長の賭け麻雀問題で,

黒川前検事長の立場の重要性にかんがみれば,訓告は軽すぎであり,

懲戒処分が相当な事案であると記載しました。

 

 

https://www.kanazawagoudoulaw.com/tokuda_blog/202005269313.html

 

 

すると,今度は,黒川前検事長と一緒に賭け麻雀をしていた

朝日新聞の管理職の社員が停職1ヶ月の懲戒処分となりました。

 

 

https://www.asahi.com/articles/ASN5Y4WBLN5YULZU00M.html

 

 

黒川前検事長の処分が軽すぎたためか,

えらい重い処分だなと最初は感じたのですが,

よく分析すると妥当な処分にも思えてきました。

 

 

本日は,この朝日新聞の管理職社員の

停職1ヶ月の懲戒処分について検討します。

 

 

 

2 常習賭博の場合の懲戒処分とは

 

 

先日のブログでも記載しましたが,

人事院が懲戒処分についての指針を公表しておりまして,

この指針は,国家公務員に対してだけではなく,

民間企業の労働者にも十分あてはまるもので,参考になります。

 

 

この指針では,「常習として賭博をした職員は,停職とする

と規定されています。

 

 

おそらく,ここで言う常習とは,

刑法186条の常習賭博罪における常習ほど厳格に解釈するのではなく,

賭博を反復継続したり,多数回の賭博を行った場合に,

常習として賭博をしたに該当すると考えます。

 

 

朝日新聞の報道によりますと,この管理職の社員は,

過去3年間に,黒川前検事長を含む同じメンバーで月に複数回,

賭け麻雀をしていたようで,緊急事態宣言下で外出自粛が叫ばれていた

今年の4月と5月には合計4回の賭け麻雀をしたようです。

 

 

そのため,賭け麻雀を反復継続していたとして,

常習として賭博をしたに該当するので,

停職の懲戒処分は妥当ということになります。

 

 

3 停職とは

 

 

次に,停職について説明します。

 

 

停職とは,労働契約を存続させつつ労働者の労働義務の履行を停止させ,

停職期間中の賃金を支払わないという懲戒処分です。

 

 

停職は,一定期間賃金不支給を伴いながら就労を禁止するという

重い処分なので,停職期間が長過ぎると,

処分として重すぎるとして,無効になる可能性があります。

 

 

そのため,停職の期間については,

7日以内から30日以内で決められることが多いようです。

 

 

そう考えると,朝日新聞の管理職に対する1ヶ月の停職は,

やや重いようにも考えられます。

 

 

もっとも,今回のケースでは,国会で検察官の定年延長が

問題となっていた張本人の黒川前検事長と賭け麻雀をしていたので,

報道の独立性や公正性に疑念を抱かせた点が

懲戒処分を重くする方向にはたらきました。

 

 

 

すなわち,マスコミには,取材で得た情報を国民に知らして,

国家権力が情報を操作したり,

不正をしないように監視する役割があります。

 

 

それにもかかわらず,マスコミの方が権力者と

賭け麻雀をしていたのでは,権力者と仲良くなりすぎて情がうつって,

権力者にとってマイナスとなるものの,

国民には広く知らしめるべき情報を

報道しなくなるリスクが生じるのです。

 

 

そのため,マスコミは,国家権力を監視する役割を果たすためにも,

国家権力と癒着してはならず,一定の距離を保つ必要があるのです。

 

 

よって,国家権力と癒着しているとみられることは

新聞社にとっては非常にマイナスなので,今回の賭け麻雀では,

停職期間が長くなってもやむを得ないと考えられます。

 

 

また,賭け麻雀をしていた人物が管理職という,

ある程度職責が重い人物であったことも

懲戒処分を重くする方向にはたらいたのでしょう。

 

 

このように分析すると,最初は重いと思ったのですが,

今回の朝日新聞の管理職に対する

1ヶ月の停職の懲戒処分はおおむね妥当なのだと考えるようになりました。

 

 

この朝日新聞の管理職の証言が正しいのであれば,

黒川前検事長は常習として賭博をしていたことになるので,

停職の懲戒処分が妥当することになります。

 

 

やはり,黒川前検事長には,訓告では軽すぎであり,

懲戒処分を課すべきであったと考えます。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。