教員間のいじめ問題と公務災害申請

1 東須磨小学校の教員間のいじめ問題

 

 

先日,ブログで紹介した,神戸市の東須磨小学校で発生した

教員間の悲惨ないじめ問題に関して,

被害者の教員が公務災害の申請をすることになったようです。

 

 

https://www.asahi.com/articles/DA3S14220588.html?iref=pc_ss_date

 

 

https://www.kanazawagoudoulaw.com/tokuda_blog/201910118636.html

 

 

報道によりますと,激辛カレーを無理やり食べさせて,

苦しんでいる被害者の教員の姿を見て,あざ笑うなど,

陰湿極まりないいじめが行なわれていたようです。

 

 

 

本来,子供達のいじめを防止すべき教員が,

大人のいじめをしていたことに,

多くの方々が憤りを感じたことと思います。

 

 

被害者の教員は,今回のいじめを受けて,

体調を崩し,学校を休んでいるようです。

 

 

2 公務災害の申請

 

 

このように,公務員がいじめやパワハラを受けて,

体調を崩し,仕事を休むことになった場合,

治療費や休んでいる期間の給料が心配になります。

 

 

このようなときには,公務災害の申請をするべきです。

 

 

地方公務員が,仕事が原因で負傷したり,

病気を発症したりした場合,

地方公務員災害補償基金という機関に対して,

公務災害の申請をして,公務災害と認定されれば,

療養補償や休業補償といった補償を受けられるのです。

 

 

民間企業でいう労災が,

地方公務員では公務災害となっており,

認定基準が異なっています。

 

 

地方公務員が,仕事が原因で,精神障害を発症した場合,

「精神疾患等の公務災害の認定について」という認定基準に基づいて,

公務災害が否かが判断されます。

 

 

https://www.chikousai.go.jp/reiki/pdf/h24ho61.pdf

 

 

この認定基準における,精神疾患の公務災害の要件は次の2点です。

 

 

①対象疾病発症前のおおむね6ヶ月の間に,

業務により強度の精神的又は肉体的負荷を受けたことが認められること

 

 

 ②業務以外の負荷及び個体側要因により

対象疾病を発症したとは認められないこと

 

 

この①の要件を検討する際に,精神疾患を発症した地方公務員に

どのような出来事があったのかを分析します。

 

 

強度の精神的又は肉体的負荷の具体的な事象として,

「職場でひどい嫌がらせ,いじめ又は暴行を執拗に受けたと

認められる場合」があげられています。

 

 

 

嫌がらせやいじめを検討するときには,

業務指導の範囲を逸脱しているか,

人格や人間性を否定する言動があったか,

上司に改善を求めたものの改善されなかったか,

いじめや嫌がらせの継続期間

などに着目して分析します。

 

 

3 東須磨小学校の事件に認定基準をあてはめる

 

 

東須磨小学校の事件にあてはめてみます。

 

 

激辛カレーを食べさせるなど行為は,

明らかに業務指導の範囲を逸脱しており,

嫌がる人に無理やり食べさせてあざ笑うという点において,

被害者教員の人格や人間性を否定しています。

 

 

被害者教員は,管理職に被害の実態を訴えたものの,

学校側から加害者教員に対する適切な対応がなされなかったようです。

 

 

そして,いじめや嫌がらせは,単発ではなく,

一定期間継続していたようです。

 

 

そのため,東須磨小学校の事件では,

「職場でひどい嫌がらせ,いじめ又は暴行を執拗に受けたと

認められる場合」に該当すると考えられます。

 

 

被害者教員の公務災害が認定されれば,

治療費の負担はなくなり,

休業期間中の給料が補償されるので,

安心して治療に専念できることになります。

 

 

地方公務員が,いじめや嫌がらせを受けて精神疾患を発症した場合には,

公務災害の申請をすることをおすすめします。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

立花Be塾レベル2第1講の気づき

1 コミュニティの重要性

 

 

私は,毎日ブログを更新しなくなってしまいましたが,それでも,

なるべく多くの日にブログを記載したいと考えております。

 

 

ただ,自分一人だけでは,忙しい日常の中で

ブログを更新していくのは至難の技です。

 

 

そのようなときには,コミュニティに所属し,

同じ目標や同じ境遇にいる仲間と出会い,

交流していくことで,ともに成長していくことができます。

 

 

毎日ブログを更新しなくなり,今後,

自分はブログをどのように運営していくべきか

について悩んでいたこともあり,妻の了解をもらって,

立花Beブログ塾レベル2を受講しましたので,

アウトプットします。

 

 

 

レベル1でブログの基礎を学び,

レベル2ではブログのステップアップを目指していきます。

 

 

2 大丈夫ワールドへ移行する

 

 

まずは,ブログを書くにあたっての心のあり方を学びました。

 

 

同調圧力が強い現代に生きる私たちは,

知らず知らずのうちに,

自分に対してダメ出しをしてしまっています。

 

 

・ちゃんとしていないとダメ

・サボったらダメ

・ブログを書かないとダメ

 

 

このように自分にダメ出しをしていると,

自分よりもがんばっていなさそうな人をみると,

その人に対して,怒りの感情をおぼえて,

厳しくあたってしまいます。

 

 

 

人に厳しくあたると,当然,自分にも厳しくあたられて,

マイナスのスパイラルに入ってしまいます。

 

 

こうならないためには,ダメワールドから,

大丈夫ワールドへ行けばいいのです。

 

 

自分に対する罪悪感を捨てて,

がんばってもがんばらなくてもどっちだって

大丈夫という心持ちでいるのです。

 

 

そうすれば,自分に対して優しくできて,

他人に対しても優しくできて,

プラスのスパイラルへ入ることができます。

 

 

日々の生活において,こんな自分でもいいと,

自分を肯定していく時間をみつけていきたいです。

 

 

3 ブログのライティングのスキル

 

 

次に,読者にブログを読んでもらうためにスキルを学びました。

 

 

 

・行間を広くする

 ・文章を短くする

 ・ひらがなを増やす

 ・見出しをつける

 ・美文を書こうとしない

 ・画像を入れる

 ・専門用語は補足する

 

 

弁護士の書く文章は,漢字が多く,

一文が長くなりがちで,専門用語も多いので,

読者の方々には,読みにくい文章になっていたと反省しました。

 

 

今後は,文章をなるべく短くし,ひらがなを多くし,

専門用語に補足説明を加えていきたいと思います。

 

 

今一度,自分のライティングを改善して,

労働問題で困っている労働者の役に立つ情報を発信していきます。

 

 

4 ブランディング

 

 

最後にブランディングについて学びました。

 

 

専門分野が一つだけですと,著者よりもコンテンツが

ブランディングされやすいという問題があります。

 

 

これを避けるためには,

ブランディングのポイントを複数もつ必要があります。

 

 

私には,労働事件という一つの専門分野がありますが,

自分にとっての他のブランディングのポイントとは何か

について自問自答してみたいと思います。

 

 

強みをかけあわせると,自分にしかできないことが

みつかる気がしますので,自分自身を棚卸しする作業が

必要であると実感しました。

 

 

 

よりよいブログにしていくために,

立花Be塾でしっかりと学んでいきます。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

Jリーグのパワハラ問題を考える

Jリーグの湘南ベルマーレの曹貴裁監督が,

選手やスタッフに対して,パワハラをしたとして,

譴責と公式試合5試合の出場停止の処分を受け,

監督を退任しました。

 

 

https://www.asahi.com/articles/ASMB852CGMB8ULZU00C.html

 

 

報道によりますと,曹貴裁監督の行ったパワハラの内容は,

コーチの胸ぐらをつかんで壁に押し付け,

怒鳴りながら顔に手を当てて床に押し倒した,

選手に対して「チームのがんだ」と怒鳴ったなどのようです。

 

 

 

身体に対する暴行や,選手の人格を否定する暴言をはいていることから,

明らかに違法なパワハラに該当します。

 

 

これらのパワハラに対して,譴責という懲戒処分は軽いと思います。

 

 

譴責とは,始末書などを書かせて,将来を戒めるもので,

給料が減額されるなどのペナルティがない,

懲戒処分の中では最も軽いものです。

 

 

パワハラの定義が法律に明文化されて,会社に対して,

パワハラ防止措置義務が課せられるという法改正がなされるなど,

パワハラに対して厳しく対処していこうという潮流の中において,

もう少し重い懲戒処分もありえたと思います。

 

 

Jリーグのパワハラ問題に関連して,

最近のパワハラの裁判例を紹介したいと思います。

 

 

福岡地裁平成30年9月14日判決

(判例時報2413・2414合併号195頁)です。

 

 

この事件では,被害者である労働者が髪を丸刈りにされたり,

下着姿にさせられた上で,洗車用の高圧洗浄機を

至近距離から体に向けて噴射させられたり,

ロケット花火を発射させられて川に逃げることになったり,

会社の入り口前で数時間にわたり土下座をさせられたりしました。

 

 

さらに,これらのパワハラやいじめ行為が,

社長のブログに写真付きで掲載されていたのです。

 

 

被告会社は,パワハラやいじめ行為があったことを争いましたが,

社長のブログの記事に明確な証拠が残っていたことから,

パワハラやいじめ行為が認定されました。

 

 

 

パワハラ行為は密室で行なわれることが多く,

証拠が残らないことが多いのですが,本件事件では,

社長のブログという,強力な証拠があったため,

パワハラ行為を認定するのは容易だったと考えられます。

 

 

これらパワハラやいじめ行為に対する慰謝料は100万円でした。

 

 

これだけ悪質なパワハラやいじめ行為に対する,

慰謝料の金額としては低額だと思います。

 

 

パワハラを防止するという観点からは,

悪質なパワハラに対する慰謝料の金額を

増額していく必要があると考えます。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

教員間におけるいじめと損害賠償義務

報道によりますと,神戸市東須磨小学校の教員間で,

悪質ないじめが繰り返されていたことが明らかになりました。

 

 

https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201910/0012774681.shtml

 

 

いじめの内容としては,「ボケ」,「カス」などの暴言を浴びせる,

コピー用紙の芯で尻を叩く,

ラインで別の女性教員にわいせつなメッセージを無理やり送らせる,

被害者の教員の車の上に乗ったり車内で飲み物をわざとこぼす,

激辛カレーを無理やり食べさせるなど,

耳を疑うような凄惨ないじめ行為が教員の間で実施されていたようです。

 

 

 

いじめ防止対策推進法8条には,学校の教職員の責務として,

いじめ防止及び早期発見に取り組むとともに,

いじめに対して適切かつ迅速に対処することが規定されています。

 

 

生徒のいじめを防止しなければならない立場にある教員が,

凄惨ないじめをしていたという事実に,

多くの人がショックを受けたと思います。

 

 

さらに,校長が加害者を口頭で指導しただけで,

懲戒処分をしなかったこと,

教育委員会も十分な調査をしなかったことも,

通常の組織ではありえず,学校という組織は,

どこか世間からずれているような気がします。

 

 

パワハラの定義が法律に明記され,企業に対して,

パワハラ防止措置義務が課されるようになり,

パワハラを防止していこうという世の中の動きがあるのに,

それに逆行していることに驚きを隠せませんでした。

 

 

さて,このようないじめがあった場合,

加害者は責任をとらなければなりません。

 

 

具体的には,被害者に対して損害賠償を支払わなければなりません。

 

 

おとなのいじめ問題について,

東京都ほか(警視庁海技職員)事件の

東京地裁平成20年11月26日判決

(労働判例981号91頁)が参考になります。

 

 

この事件では,警視庁管内の警察署において,

上司達が特定の部下に対して,

次のようないじめ行為をしました。

 

 

 

「この野郎,ぶっ飛ばすぞ」といいながら,

ネクタイを引っ張って転倒させられた。

 

 

職場に「欠格者」,「この者とは一緒に勤務したくありません」

と記載された被害者の顔写真付ポスターが掲示された。

 

 

被害者は,有機溶剤に対するアレルギー体質があったところ,

被害者のロッカーにシンナーが撒布された。

 

 

拡声器で「税金泥棒,やめちまえよ」と侮辱された。

 

 

つばを吐きかけられた。

 

 

火のついたタバコを当てられた。

 

 

これらの行為は,被害者を退職に追い込むためになされたもので,

違法な退職強要,嫌がらせに該当するとして,

慰謝料270万円の損害賠償請求が認められました。

 

 

大人がいじめをすれば,被害者に対して,

損害賠償を支払わなければならなくなります。

 

 

いじめは,子供の世界だけではなく,

大人の世界でも行なわれているという現実があり,

悲しくなります。

 

 

社会全体からいじめが撲滅されることを期待したいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

なぜ夫は何もしないのか なぜ妻は理由もなく怒るのか

先日,嬉しいことがありました。

 

 

ブログに,高草木陽光先生の

「4タイプでわかる 心が折れそうな夫のためのモラハラ妻解決BOOK」

の書評を記載したところ,なんと,著書である高草木先生から,

私のフェイスブックに友達リクエストが届き,

高草木先生とフェイスブックでつながることができました。

 

 

https://www.kanazawagoudoulaw.com/tokuda_blog/shohyou/201907068281.html

 

 

書評を書いて,著書ご本人からダイレクトに

ご連絡をいただけたことがとても嬉しかったのです。

 

 

高草木先生からご連絡をいただいたことがきっかけで,

以前読んだ高草木先生の

なぜ夫は何もしないのか なぜ妻は理由もなく怒るのか

という本をもう一度読み直してみました。

 

 

 

すると,今の私の夫婦関係における,

自分の至らない点に気付かされました。

 

 

最初に読んだときにも思いましたが,

夫婦関係を改善するための様々なヒントが詰まった

名著だと改めて思いましたので,ご紹介します。

 

 

この本のすごいところは,1つのテーマごとの

タイトルが秀逸なところです。

 

 

例えば,「家庭に求めるもの 夫は居場所と居心地を求める

 妻は安心と安定を求める」,「幸せの感じ方 

夫は必要とされている実感で幸せを感じる 

妻は愛されている実感で幸せを感じる」,

「仕事 夫は,家族のために働く 妻は自分のために働く」

というように,夫と妻とでは,考え方や感じ方が

異なっていることがよくわかるように記載されています。

 

 

夫と妻とは,互いに考え方や感じ方が異なっていることが原因で,

夫婦間に争いが生じてしまうのです。

 

 

 

これらのタイトルから,夫は,家族から必要とされていると

感じることで,家族のために仕事をがんばることがわかり,

自分にあてはめてもそのとおりだなあと思います。

 

 

他方,妻は,夫とは異なる考え方をもっており,

家庭に安心や安定を求め,愛されたいと考えているようです。

 

 

そして,この本には,異なる立場の配偶者に対する

効果的なアプローチが記載されていて,例えば,

妻の安心感を与えるために,夫は妻に対して,

仕事の話しや職場での話しをした方がよいですとか,

妻の愛されている感を満たすために,

妻のよいところをみつけてほめる,

スキンシップを増やすといった

具体的な目標行動が記載されています。

 

 

私は,家庭では仕事の話しをあまりしないのですが,

妻に仕事の話しをすると,割りとくいついてくるので,

妻を安心させるために,妻に仕事の話しをしていこうと思います。

 

 

また,「妊娠・出産 夫は,時速10キロで父親になる 

妻は,時速100キロで母親になる」,

「育児 夫は,ときどき育児に参加したい 

妻は,ときどき育児を休みたい」というテーマが,

子育て真っ最中の私にとって,とても参考になりました。

 

 

 

私は,仕事が忙しく,妻は,育休中なので,

ついつい妻に育児を押し付けてしまっていましたが,

育児をしていると自分のやりたいことが

やりたいタイミングで全くできず,

強いストレスがかかっているので,

妻が1人になる時間を確保させてあげる必要があります。

 

 

そのため,最低でも1日10分,妻の話しに耳を傾け,

休みの日に妻が一人になれる時間を作っていこうと思います。

 

 

再度読んで気づいたことは,妻に対して,

労いと感謝の気持ちを伝えていくことが

重要であることを学びました。

 

 

仕事が忙しくて余裕がないと,ついつい,

妻に対して労いと感謝の気持ちを伝えるのを怠ってしまうので,

この点を改めていきます。

 

 

夫婦関係の維持改善に役立つ素晴らしい名著ですので,

多くの夫婦に読んでもらいたい一冊です。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

七塚中央公園の魅力

久しぶりに育児の記録を記載します。

 

 

先週の日曜日,丸一日休みがとれ,天気もよかったことから,

子供と外で遊ぼうと思い立ち,以前から気になっていた

七塚中央公園へいってきました。

 

 

七塚中央公園については,クラビズムという雑誌か

ハッピーママというフリーペーパーのどちらかで紹介されていたので,

天気のいい休日に子供を連れていきたいと思っていました。

 

 

七塚中央公園は,石川県かほく市の旧七塚町にあり,

山側環状道路から能登里山海道へつながる途中の白尾のあたりから,

県道へぬけてしばらくすすむと到着します。

 

 

金沢市内からおおむね40分ほどで到着します。

 

 

https://ishikawa.fun/19946.html

(こちらのサイトにも七塚中央公園のことが

わかりやすく掲載されています)

 

 

公園は,日本海の近くにあり,

公園の芝生から日本海を眺められて,

非常に景色がいいです。

 

 

公園には,巨大な滑り台があります。

 

 

 

巨大なやぐらを登っていると,3つの滑り台があります。

 

 

3つの滑り台の中で一番長い滑り台にのると,

巨大な遊具のあるエリアへたどり着けます。

 

 

滑り台からは,広大な日本海の眺望を満喫できます。

 

 

ただ,滑り台が本当に長く,かつ,ローラーなので,

そのまま滑り台に乗っていると,

ローラーの摩擦でお尻が痛くて熱くなります。

 

 

滑り台とお尻の間になにか敷物を敷いて

滑っていくことをおすすめします。

 

 

巨大な遊具は,海底未来都市遊具といい,

子供たちが遊具の中で冒険できます。

 

 

 

2歳8ヶ月の長女は,最近,遊具のネットに

つかまって登り降りができるようになったので,

大きなネットを一生懸命に登っていきました。

 

 

海底未来都市遊具の中央には,トランポリンのように,

子供たちが安全に飛んだり跳ねたりできるスペースがあります。

 

 

このトランポリンのスペースが一番人気で,

たくさんの子供たちが,走り回ったり,

ジャンプして遊んでいました。

 

 

 

このトランポリンのスペースには,小さい子供だけでなく,

中学生も遊んでおり,人口密度も高く,

ぶつかると大変なことになるので,大人は,

子供が他の子供とぶつからないように

監視しておくことが重要です。

 

 

子供たちが思いっきり体を動かせる遊具のある公園は,

子育て中の親には,本当に貴重ですので,

大切にしていきたいですね。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

ドトールコーヒーの休日を減少させる就業規則の不利益変更

朝日新聞の報道によりますと,ドトールコーヒーが,

就業規則を変更し,会社の休日を暦の土日祝日などに関わらず,

年間119日に固定し,これ以上休む場合には,

有給休暇を使うように労働者に奨励しているようです。

 

 

https://www.asahi.com/articles/ASMB445ZSM9XULFA00F.html

 

 

これまでは,暦の土日祝日,年末年始(12月31日~1月3日)が

会社の休日で,年間126~127日ほどの休日があったのですが,

休日が年間119日に固定される結果,

年間7~8日ほど休日が減少してしまうようです。

 

 

 

今年は,ゴールデンウィークで暦の祝日が多かったり,

即位の儀式の日が祝日になったりと,休日が多かったことから,

ドトールコーヒーとしては,祝日が多い年であっても,

業務遂行上,例年並みの日数を労働者に働いてもらいたくて,

このように休日を固定したようです。

 

 

本日は,この休日の減少の問題について解説します。

 

 

まず,労働基準法35条1項により,会社は,労働者に対して,

毎週少なくとも1回の休日を与えなければならないとされています。

 

 

そのため,1週間に1回休日があれば,

とりあえずは労働基準法違反にならないわけです。

 

 

また,労働基準法32条により,会社は,

1週間に40時間以上労働させてはならないことになっており,

1日の労働時間が8時間なので,多くの会社は,

土曜日と日曜日休みとする週休二日制としているのです。

 

 

ようするに,暦どおりの休日にしていれば,

労働基準法違反にならないので,

多くの会社は暦どおりの休日にしているだけであり,

日曜日や祝日を休日としなければならないという

労働基準法の義務はないのです。

 

 

この労働基準法32条と35条に違反しないのであれば,

休日をいつにするかは,会社と労働者の合意で決まります。

 

 

労働基準法89条1号により,就業規則に休日について

記載しなければならないので,

いつが会社の休日になるのかについては,

通常は,就業規則に記載されています。

 

 

 

そして,休日が減少することは,労働者にとって不利益なことですので,

会社は,不利益を被る労働者が休日の減少に合意するか,

労働契約法10条に規定されている

就業規則の不利益変更の要件を満たす必要があります。

 

 

就業規則を変更することで,労働条件を不利益に変更するためには,

①労働者の受ける不利益の程度,

②労働条件の変更の必要性,

③変更後の就業規則の内容の相当性,

④労働組合等との交渉の状況

などの要件が総合考慮されます。

 

 

ドトールコーヒーの事例の場合,①休日が減少するのですが,

有給休暇を取得することで暦どおりに休めることから,

賃金が減額されるときに比べて労働者の受ける不利益は

そこまで大きくはないと裁判所は判断するかもしれません。

 

 

もっとも,②休日を減少させなければならないほどの

業務上の必要性がどこまであるのか不明ですし,

③休日を減少させる代わりに他の労働条件を改善するなどの

代替措置を導入する必要があり,

④労働組合等に対してしっかりと説明していなければなりません。

 

 

そのため,事情によっては,ドトールコーヒーの休日を減少させる

就業規則の変更は,労働契約法10条の要件を満たしていないとして

無効になる可能性があるかもしれません。

 

 

働き方改革で,1年間に年次有給休暇を5日取得させることが

義務となり,労働者をなるべく休ませる方向に

時代の流れが動いている状況なので,私個人としては,

休日を減少させる就業規則の不利益変更に違和感を覚えています。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

専門的な職種の労働者は職種限定合意で配置転換命令を争える

昨日,「ドクターX 外科医・大門未知子」

のスペシャルドラマが放映されていました。

 

 

「わたし,失敗しないので」という決めゼリフが

有名な天才外科医のドラマは,人気があるためか,

何年にもわけて放映されています。

 

 

さて,大門未知子は,フリーランスなので,病院との間で,

どのような契約を締結しているのかよくわかりませんが,

通常の場合,医師は,病院との間で労働契約を締結し,

病院から賃金の支払を受けて,

患者の治療という労務の提供を行います。

 

 

医師も病院と労働契約を締結するので,労働契約に基づき,

病院から配置転換を命令されることがあります。

 

 

もっとも,医師の専門性から,

病院の配置転換命令が有効となるのかが

問題となることがあります。

 

 

本日は,外科医に対する配置転換・診療禁止命令の有効性が争われた,

地方独立行政法人岡山市立総合医療センター事件の

広島高裁岡山支部平成31年1月10日決定

(労働判例1201号5頁)を紹介します。

 

 

この事件では,消化器外科部長であった外科医に対する,

がん治療サポートセンター長に任命する配置転換命令と,

外科の一切の診療に関与することを禁止する命令が

有効なのかが争われました。

 

 

配置転換とは,同一企業内における労働者の

職種,職務内容,勤務場所のいずれかを

長期間にわたって変更する企業内人事異動の一つです。

 

 

職種,職務内容,勤務場所は,いずれも労働条件なので,

会社と労働者との労働契約において,

これらを限定する合意がされている場合には,

配置転換命令は,限定された範囲内に制約されます。

 

 

職種を限定した合意をしていた場合,会社は,労働者に対して,

限定している職種以外の職種への配置転換命令をだせないのです。

 

 

この職種限定合意については,専門業務をしている

労働者には認められやすい傾向があります。

 

 

本件事件では,外科医と病院との間に,

職種を外科医に限定する明示の合意はありませんでした。

 

 

しかし,外科医は,極めて専門的で

高度の技能・技術・資格を要するものであり,

長年にわたり特定の職務に従事することが必要で,

熟練度や経験が仕事を進めていくうえで重要になります。

 

 

 

そのため,技能・技術・資格を維持するために,

外科医としての臨床に従事することは必要不可欠であり,

その意に反して外科医としての臨床に従事しないという

労務形態は想定できないとして,

黙示の職種限定合意があったとしました。

 

 

そして,医師の同意なく,専門とする診療科での診療を禁止することは,

医師としての高度の技能・技術・資格を一方的に奪うことになるから,

本件の配置転換命令と診療禁止命令は無効と判断されました。

 

 

さらに,本件事件では,民事保全という裁判手続がとられており,

民事保全では,保全の必要性という要件が必要になります。

 

 

本件の配置転換命令と診療禁止命令によって,

外科医としての技能・技術の質を低下させられ,

専門医の資格を失うことにより,

外科医としての専門性が失われるという不利益が大きいことから,

保全の必要性が認められました。

 

 

このように,専門性のある仕事をしている労働者の場合,

黙示の職種限定合意があったとして,

配置転換命令を争う可能性があるのです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

労働者の私生活における犯罪行為と懲戒処分

私は,労働事件を得意として,労働事件を多く取り扱っていますが,

労働事件以外の事件も当然に取り扱っています。

 

 

例えば,労働事件以外の事件ですと,

当番弁護士や被疑者国選が順番で回ってきて,

逮捕や勾留された被疑者の刑事弁護をする

刑事事件も担当しています。

 

 

労働者が勤務時間外に会社とは関係のない犯罪をした場合,

労働者は,勤務先から懲戒解雇をされるのではないかと不安になります。

 

 

 

本日は,労働者の私生活における犯罪行為と

懲戒処分について解説します。

 

 

まず,会社は,経営目的を達成するために,

労働者に効率的に働いてもらう必要があり,

職場のルールを定めます。

 

 

この職場のルールに違反して,

労働者が不祥事を起こした場合に,会社は,

労働者に対して制裁を科すことができるのです。

 

 

このように,経営目的を遂行する組織体としての会社が

必要として実施する,労働者に対する統制の全般を企業秩序といい,

企業秩序を維持するための会社のルールに違反したときに

科される制裁が懲戒処分なのです。

 

 

 

次に,職場内で労働者が同僚に暴力を奮ったり,

会社の金銭を横領したような犯罪の場合,会社は,

企業秩序を維持するために,当該労働者に対して

懲戒処分を科すことができます。

 

 

他方,労働者が職場外の私生活において犯罪をした場合,

企業秩序とは無関係であるとして,

企業秩序を維持するための懲戒処分を

科すことができないように考えられます。

 

 

しかし,労働者の職場外における仕事とは無関係の犯罪行為であっても,

会社の企業秩序に直接の関連を有する場合や,

会社の社会的評価の毀損をもたらす場合には,

企業秩序維持のために,懲戒処分を科すことができるのです。

 

 

そして,労働者が職場外の私生活において犯罪をした場合に,

懲戒処分を科すことができるかについては,

当該犯罪行為の性質,情状,会社の事業の種類・態様・規模,

会社の経営方針,労働者の会社における地位や役職

などの事情を総合考慮して判断されます。

 

 

例えば,労働者が深夜に他人の家に侵入して,

住居侵入罪で罰金2,500円を科せられたことについて,

「不正不義の行為を犯し,会社の体面を著しく汚した者」

という懲戒解雇事由にあたるかが争われた,

横浜ゴム事件の最高裁昭和45年7月28日判決

(判例タイムズ252号163頁)があります。

 

 

 

この事件では,罰金2,500円という軽微な刑罰ですんでいること,

労働者の地位が工員であって指導的なものではなかったことから,

会社とは関係のない私生活の中で行なわれた

本件犯罪行為を理由とする懲戒解雇は無効となりました。

 

 

刑罰が重かったり,管理職などの地位にあった場合には,

私生活における犯罪行為であっても,

懲戒解雇が有効になる可能性はあります。

 

 

もっとも,私生活で犯罪行為をしたことを理由とする懲戒解雇ではなく,

警察に捕まって無断欠勤が続いたことを理由に

懲戒解雇されることがあります。

 

 

犯罪をして警察に逮捕されていまうと,逮捕段階で最大3日間,

勾留されてしまうと,10日間,

さらに勾留が延長されると,さらに最大10日間,

警察署の留置施設に身体を拘束されてしまいます。

 

 

ようするに,最大23日間も身体を拘束されてしまうのです。

 

 

23日間も無断欠勤が続けば,勤怠不良ということで,

懲戒解雇されてしまう恐れがあるのです。

 

 

正直,この懲戒解雇を争うのは難しいと思います。

 

 

逮捕勾留されても,懲戒解雇はせずに,

軽微な懲戒処分とした上で,雇用が維持されたり,

懲戒解雇をしない代わりに,自己都合退職を促さたりと,

会社の態様は様々です。

 

 

刑事弁護人の立場からは,犯罪行為をした労働者の更生のために,

会社にはなるべく恩情をかけてもらいたいと思います。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

労災保険法が適用される労働者とは

先日,ブログ記事において,会社との間で

業務委託契約を締結していた労働者の労災申請について,

特別加入制度を利用することで,労災保険に準ずる

補償を受けられることについて解説しました。

 

 

https://www.kanazawagoudoulaw.com/tokuda_blog/rousai/201909248569.html

 

 

労働者との間で業務委託契約を締結する動きについて,

最近では,体脂肪計のタニタにおいて,

労働者と業務委託契約を締結して,

労働者を個人事業主としていることがあげられます。

 

 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190812-00009998-bengocom-soci

 

 

もっとも,形式的に業務委託契約を締結していても,

具体的な契約内容や就労実態からすれば,

労働基準法や労災保険法の労働者と認められて,

労働基準法が適用されたり,

通常の労災保険が適用される可能性があります。

 

 

本日は,形式的に業務委託契約を締結していても,

実質的に労働基準法や労災保険法の労働者といえるのは

どのような場合かについて,解説します。

 

 

 

労働基準法や労災保険法の労働者といえるかの

判断基準としては大きく2つあります。

 

 

1つは,指揮監督下の労働という労務提供の形態,

もう1つは,賃金支払という報酬の労務に対する対償性です。

 

 

指揮監督下の労働については,

①仕事の依頼,業務従事の指示に対する諾否の自由があったか,

②業務遂行上の指揮監督があったか,

③時間的場所的な拘束があったか,

④作業時従事者の判断で代役を立てたり応援を呼んだりするという

代替性があったか,をもとに判断します。

 

 

具体的な事例で検討してみます。

 

 

運転代行業務の会社に勤務していた

代行運転手の労働者性が問題となった

ミヤイチ本舗事件の東京高裁平成30年10月17日判決

(労働判例1202号121頁)をみてみましょう。

 

 

 

この事件では,原告らは,仕事開始時間,待機の場所について

具体的に指示されるなど,被告会社の包括的な指揮監督に服していたと

判断され,上記②と③の基準にあてはまります。

 

 

また,原告らの勤務シフトは,被告会社が一方的に作成していたので,

原告らには,業務指示に対する諾否の自由はなかったと判断され,

上記①の基準にあてはまります。

 

 

そして,原告らの報酬は,歩合給だけではなく,

職務手当や役職手当の名目で支払がなされており,

被告会社の決算書上原告らに対する支払を給料として

計上していたことから,報酬の労務に対する対償性も認められました。

 

 

以上より,上記事件の代行運転手は,労働者と認められたのです。

 

 

このように,形式的に業務委託契約が締結されていたとしても,

契約内容や労働実態を実質的に検討すれば,

労働契約であると判断されるケースは

わりと多いのではないかと思います。

 

 

そのため,会社から,あなたは労働者ではないので

労災保険は使えませんと言われても,自分は労働者であるとして,

労災保険の適用が受けられないのかを検討すべきです。

 

 

形式的に業務委託契約を締結して,

労働基準法や労災保険法の適用を免れようとする

会社が少なくなることを期待したいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。