1ヶ月300時間の残業を認める36協定

 朝日新聞の報道によれば,大阪府吹田市にある国立循環器病研究センターにおいて,勤務医や看護職員の残業を1ヶ月300時間まで可能にする36協定が締結されていたようです。

 

 労働基準法32条で,会社は,労働者に対して,休憩時間を除いて1日8時間を超えて働かせてはならないのが原則ですが,36協定が締結されれば,例外的に8時間を超えて働かせることができるようになります。そして,36協定には,残業させる場合の延長時間を定めなければなりません。

 

 他方,過労死の労災認定基準では,脳・心臓疾患の発症前1ヶ月間におおむね100時間の残業が認められる,または,発症前2ヶ月から6ヶ月にわたって,1ヶ月当たりおおむね80時間を超える残業が認められると,原則として労災と認定されます。

 

 今回の国立循環器病研究センターの36協定は,この過労死基準の3倍の残業を容認する内容となっており,極めて問題です。医師や看護師は,外来や手術,宿直等,高度の集中力を要する仕事を長時間かつ不規則勤務で対応しなければならず,とても過酷な仕事だと思います。さらに,医師・看護師が不足しているようで,医療現場の負担は増しているようです。医師・看護師が長時間労働によって,疲労が蓄積すれば,仕事のパフォーマンスが落ち,重大な医療事故が起きる危険性が高まります。

 

 医療現場の長時間労働対策を早急に行う必要があります。そのためにも,36協定を見直して,残業の上限を過労死基準よりも下に設定するべきだと考えます。

 

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