高プロを会社に導入させないためには
10月31日,厚生労働省は,
高度プロフェッショナル制度(以下,「高プロ」といいます)
の対象業務の素案を公表すると共に,
高プロの導入手続について,
詳細な素案を公表しました。
本日は,高プロの導入手続について,解説します。
このブログで何度も指摘してきましたが,
高プロとは,労働時間の規制が撤廃されてしまい,
どれだけ働いても残業代がゼロになるという制度です。
どれだけ働いても残業代ゼロになるので,
会社は,労働者を働かせ放題にできてしまうので,
高プロは,過労死を助長するとして
猛烈な批判を受けながらも成立してしまった,
ブラックな制度です。
高プロの導入によってメリットがある
労働者はほとんどいないと考えられます。
そこで,成立してしまった高プロを
いかに利用させないかが重要になります。
今回,厚生労働省から公表された素案を検討したところ,
高プロの導入を阻止することは十分に可能だと思いました。
高プロの導入手続は次の5つのステップにわかれます。
①労使委員会を設置する
②労使委員会で決議する
③決議を労働基準監督署に届け出る
④対象労働者の同意を書面で得る
⑤対象労働者を対象業務に就かせる
まず,ステップ①の労使委員会ですが,
委員の半数を,労働組合または労働者の過半数代表者が指名できます。
労働者にとって有利な決議をしてくれる
委員を送り込むことができるのです。
労使委員会において,会社の意見に流されずに,
労働者の利益をしっかりと代弁できる委員を
指名することが重要になります。
次に,ステップ②では,労使委員会において,
対象業務や対象労働者の範囲,
対象労働者の健康確保措置などを決議します。
労使委員会の決議は,5分の4以上の多数
による決議がなければ有効になりません。
ステップ①で,労働者の意見を代弁してくれる
委員が半数選任されていれば,労使委員会の決議で,
高プロの導入に反対の意見を示すことができて,
5分の4以上の賛成には届かず,
高プロが導入されないことになります。
労働組合は,労使委員会で高プロにしっかりと反対すべきです。
高プロの手続の要件からすれば,
労働組合が反対すれば,
高プロの導入を阻止できるのです。
労働組合が,安易に高プロに賛成したのであれば,
その労働組合は,ブラック労働組合という
烙印を押される危険があるので,気をつけてください。
仮に,労使委員会において高プロの導入が決議されても,
ステップ④において,対象労働者が同意しなければ,
その労働者には,高プロは適用されません。
会社は,対象労働者の同意を得るために,
対象労働者に対して,高プロの制度の概要や
労使委員会の決議の内容,
同意した場合の賃金や評価制度について,
しっかり説明した上で,同意を得る必要があります。
労働者は,同意しなくても,
不利益な取扱を受けないので,
会社の説明に納得できなければ,
勇気をもって,同意をしないでください。
また,同意をしてしまっても,
後から同意を撤回できますし,
同意を撤回しても,
不利益な取扱を受けることはありません。
このように,高プロを導入するためには,
会社は厳しい要件を満たす必要がありますので,
労働組合や労働者は,安易に高プロが導入されないように,
明確に反対してください。
高プロを導入しようとする会社は,
ブラック企業の可能性が高いと肝に銘じてください。
本日もお読みいただきありがとうございます。
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