知的プロフェッショナルへの戦略
私が所属している青年法律家協会の議長である名古屋の弁護士の北村栄先生から紹介された,田坂広志氏の「知的プロフェッショナルへの戦略~知識社会で成功するビジネスマン11の心得~」を読みました。インターネット全盛期において,ビジネスマンがどのようにキャリア形成をしていくべきかについて,深い智恵に裏付けられながら端的にまとめられている名著です。
インターネット全盛期では,専門知識は,インターネットで検索すればすぐに入手できます。法律の専門知識も,インターネット上に多く掲載されています。このような時代には,専門知識よりもディープナレッジ(深層知識)を身につけることが求められます。スキル,センス,テクニック,ノウハウといった職業的な智恵,言葉で表せない智恵を身につけて,磨いていくのです。
このディープナレッジは,日々の仕事を行う職場で学ぶべきなのです。毎日の仕事に対して時間を最大限に投資すべきなのです。ある仕事やプロジェクトに携わって働いたとき,具体的に何を学んだかを言語化して確認していくことでディープナレッジを意識的に増やしていきます。
そして,ビジネスマンは,仕事の報酬として,マネーリターンよりも,①ナレッジリターン(知識報酬),②リレーションリターン(関係報酬),③ブランドリターン(評判報酬),④グロースリターン(成長報酬)という4つの報酬に目を向ける必要があります。まずは,新しい専門知識を学び,職業的な智恵を身につけます(ナレッジリターン)。そして,人間関係や人的ネットワークを得て(リレーションリターン),社内での評価,業界での評判,顧客からの人気を得て(ブランドリターン),人間として成長していくのです(グロースリターン)。
これからの時代,日々の仕事で何を意識していくか,長期的な人生における戦略をどのように構築していくか,といったことについて,深く考えることができ,行動に移す勇気を与えてくれる名著です。何度か読み返すことで,新しい発見があります。ビジネスマンにお勧めの1冊です。
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