新弁護士読本

1 後輩の指導の要諦

 

 

弁護士で元最高裁判事であった、才口千晴先生の「新弁護士読本~弁護士十年一人前論~」を読みました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弁護士が実力を身につけるために、どのようなことをするべきか、という弁護士として成長するためのエッセンスが凝縮された名著です。

 

 

今回は、この本を読んで、私が得た気づきを3つ紹介します。

 

 

1つ目は、後輩の指導の要諦です。

 

 

才口先生は、後輩の指導の要諦として、次の3つを挙げています。

 

 

①後輩の疑問や言動に熱心に耳を傾け、積極的に理解しようと努める。

 

 

②後輩に自分の意見を押しつけない。

 

 

③指導内容は簡単・明瞭にする。

 

 

私が指導を仰いだ、先輩弁護士は、忙しくても、きちんと、私の相談事に耳を傾けてくれました。

 

 

そのおかげで、私は、安心して先輩弁護士に相談することができ、たくさんのことを学ぶことができました。

 

 

改めて、傾聴の大切さを理解しました。

 

 

また、後輩には、ついつい、自分の意見を押しつけてしまいがちです。

 

 

でも、私の意見を受け入れるか否かは、後輩が決めること。

 

 

後輩を指導する際に、自分の意見の押しつけをしていないか、今一度、気をつけます。

 

 

2 事件の筋と軸

 

 

2つ目は、事件の筋と軸を考える、です。

 

 

筋とは、考え方など全体を貫いている一本の線のことです。

 

 

事案の条理や道理を見通す能力ともいえます。

 

 

具体的には、事案の事実から法令のフィルターを通して、早期かつ的確に結論を導くことができる資質と、言い換えられます。

 

 

次に、軸とは、物事の要であり、軸足をどこに置くかで導き出す結論が異なり、結論に格差を与える視点です。

 

 

この筋と軸は、抽象的な概念であり、具体的に説明することは困難なのですが、法的紛争を解決するために、常に意識しておかなければならない、大切な視点です。

 

 

才口先生は、この筋と軸を、ぶれないようにすることが肝腎であると、説いています。

 

 

欲心があると心がくもり、対象物が歪んで見えて、決断が鈍るのです。

 

 

日々の事件処理において、筋と軸を意識していきます。

 

 

3 法曹の資質5要素

 

 

3つ目は、法曹の資質5要素です。

 

 

才口先生は、法曹に必要な資質として、次の5つを挙げています。

 

 

①感性(喜怒哀楽が通じあえる心の温かさ)

 

 

②寛大(共感しあえる心の広さ)

 

 

③分別(是非分別の判断)

 

 

④知恵(問題解決の知恵)

 

 

⑤愛嬌(明朗)

 

 

この本では、特に⑤愛嬌について、詳細に記載されています。

 

 

愛嬌とは、親しみの心を持つことです。

 

 

すなわち、依頼者に親しみの心を持って、事件に真剣に取り組み、紛争を解決して心を安らかにしてあげることが、弁護士の職務であり、使命なのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

依頼者は、弁護士に対して、心の温かさや人間性を察知して、自らの一大事を託すのです。

 

 

では、愛嬌のある人になるにはどうすればいいのか。

 

 

いつでも機嫌良くすることです。

 

 

いつでも機嫌良くしていると、周囲の人は、愛嬌のある人だと感じてくれます。

 

 

自分の機嫌を自分でとって、愛嬌のある弁護士を目指します。

 

 

弁護士の成長のために、大切なことが記載されている名著なので、多くの弁護士に読んでもらいたい一冊です。

 

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。