解雇の後に復職するためには裁判をするしかないのか?【弁護士が解説】

1 解雇後にするべきこと

 

 

不当解雇について、次のような質問をいただきました。

 

 

突然、会社から解雇を通告されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解雇には納得できません。

 

 

私は50代後半なので、次の就職先をみつけるのが困難です。

 

 

だから、解雇した会社に復職したいです。

 

 

解雇した会社に復職するにはどうすればいいのでしょうか。

 

 

結論から先にいいますと、解雇した会社に復職するためには、解雇が無効であるとして、労働契約上の権利を有する地位の確認を求める裁判を起こすのがよいです。

 

 

今回は、解雇から会社に復職する方法について、①解雇後にするべきこと、②裁判を提起する、③失業給付の仮給付、という順番で、わかりやく解説しますので、ぜひ最後までお読みください。

 

 

まずは、①解雇後にすべきことについて解説します。

 

 

解雇後にすべきことは、①解雇理由証明書の交付を求める、②就労の意思を会社に伝える、③弁護士に法律相談をする、の3つです。

 

 

①解雇理由証明書の交付を求めることについて、解説します。

 

 

労動者が、会社の解雇が無効であるとして、争うためには、会社が主張している解雇理由を確認することが不可欠です。

 

 

会社が主張している解雇理由を、きちんと特定して、その解雇理由に対して、効果的な反論をして、解雇を無効にするのです。

 

 

会社が主張している解雇理由を、書面で明らかにさせることが重要になります。

 

 

なぜならば、会社が解雇理由を口頭で伝えているだけの場合、証拠に残らず、後から、言った言わないとなるので、解雇理由を書面にして、証拠にする必要があるからです。

 

 

そのため、解雇に納得できない場合、会社に対して、解雇理由証明書の交付を請求するべきなのです。

 

 

労働基準法22条1項には、労動者が、解雇理由証明書の交付を請求した場合、会社は、遅滞なく、解雇理由証明書を交付しなければならない、と規定されています。

 

会社が解雇理由証明書を交付しない場合、30万円以下の罰金に処せられます。

 

 

この根拠条文をもとに、会社に対して、解雇理由証明書の交付を求めます。

 

 

他方、会社は、解雇理由証明書に記載されていない解雇理由を、後から主張することは可能です。

 

 

もっとも、解雇した当時、会社は、後から追加した解雇理由を重要視していなかったと、裁判所は考えます。

 

 

その結果、裁判所は、会社が、後から追加した解雇理由を、争点から事実上はずすことになるわけです。

 

 

ようするに、会社に、解雇理由証明書を交付させることで、後出しの解雇理由の追加主張を、事実上防止できることになります。

 

 

②就労の意思を会社に伝えるについて解説します。

 

 

解雇が無効になれば、労働者は、会社に対して、労働契約上の権利を有する地位の確認と未払賃金請求ができます。

 

 

解雇後に未払賃金請求をするためには、労働者に就労の意思が必要になります。

 

 

労働者の就労の意思を会社に伝えるためには、本件解雇は無効なので、就労させることを求めます、と記載した文書を会社に送付すればよいのです。

 

 

3つ目は、③弁護士に相談する、です。

 

 

解雇が無効であるとして、復職を求める場合、これから説明する、裁判手続きをする必要があります。

 

 

裁判手続きをするためには、専門知識が必要になるので、弁護士に法律相談をすることをおすすめします。

 

 

2 裁判を提起する

 

 

次に、②裁判を提起する、について解説します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解雇を争う裁判手続として、よく利用するのは、労働審判と通常訴訟の2つです。

 

 

労働審判は、3回の期日で、労働紛争を、速く柔軟に解決する裁判手続です。

 

 

労働審判は、解雇には納得いかないけど、解雇した会社に復職したいわけではなく、会社から金銭を支払ってもらいたい時に、利用することが多いです。

 

 

労働審判では、給料の3ヶ月分から1年分くらいの解決金を会社から支払ってもらい、会社が解雇を撤回して、解雇日で、労働契約を合意解約して退職する、という解決がなされることが一般的です。

 

 

他方、通常訴訟は、解決に1年以上かかりますが、労働者が勝てば、労働契約条の権利を有する地位の確認と、解雇期間中の未払賃金を請求できます。

 

 

通常、会社は、解雇した労働者を復職させたくないので、金銭解決には応じることはあっても、労働者の復職には最後まで抵抗してきます。

 

 

そのため、解雇した会社に復職するためには、通常訴訟の判決で、労働契約上の権利を有する地位の確認を認めてもらうしかないといえます。

 

 

よって、復職を真に希望する場合は、通常訴訟を選択することになります。

 

 

3 失業給付の仮給付

 

 

最後に、③失業給付の仮給付について、解説します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解雇の無効を通常訴訟で争う場合、判決がでるまでは、給料が支払われませんので、当面の生活費を確保する必要があります。

 

 

そこで、解雇した会社に復職を求めて、通常訴訟で争う場合には、ハローワークで失業給付の仮給付の申請をします。

 

 

失業給付の仮給付とは、労働者が解雇を争っていても、とりあえず失業と扱って、失業給付を仮に支給する取扱のことをいいます。

 

 

失業給付の仮給付を受給するためには、裁判所の受付印のある訴状をハローワークに提出する必要があります。

 

 

そして、判決で、労働契約上の権利を有する地位の確認が認めれた場合、解雇した会社から、未払賃金が支払われるので、仮給付を受けた失業給付を、ハローワークに返還することになります。

 

 

今回の記事をまとめますと、解雇から復職したい場合には、通常訴訟を提起することを選択してください。

 

 

また、You Tubeでも、労働問題に関する役立つ動画を投稿しているので、ご参照ください。

 

 

https://www.youtube.com/@user-oe2oi7pt2p

 

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。