休職から会社に復職するにはどうすればいい?

1 休職とは?

 

 

休みの時に、家事をしていた時に、腰を痛めてしまいました。

 

 

病院へいったところ、ヘルニアと診断され、手術をすることになりました。

 

 

 

手術後もリハビリが必要であったため、しばらくの期間、会社を休職しました。

 

 

腰の痛みがおさまってきましたし、

主治医にも仕事に復帰してもよいと診断を受けました。

 

 

しかし、会社に復職を申し出たところ、仕事に復帰しても、

また休まれては困る、別の仕事を探したほうがいいんじゃないか

などと言われ、復職を拒否されてしまいました。

 

 

このように、休職からの復職を会社に拒否された場合、

どうすればいいのでしょうか。

 

 

結論から先に言いますと、主治医が復職を認めているのであれば、

会社の復職の拒否は違法ですので、本気で復職を希望するなら、

再度、会社に対して、復職を伝え、それでも、拒否された場合には、

未払賃金を請求すれば、復職が認められる可能性が高いです。

 

 

今回は、休職と復職について解説します。

 

 

休職とは、労働者が働けない場合、会社との労働関係を維持しながら、

会社が労働者に対して、働くことを免除することです。

 

 

労働者は、会社に労働を提供する義務を負っているので、

労働を提供できない場合、解雇されてもやむを得ないのですが、

休職は、解雇を一定期間猶予し、

労働者を解雇や退職から保護する役割を果たしています。

 

 

休職期間中、労働者は、自分の義務である、

労働の提供をしていませんので、会社からは、

給料をもらえないのが、通常です。

 

 

そのため、労働者は、休職期間中、

健康保険の傷病手当金(給料の約3分の2が支給されます)を受給して、

一定の収入を確保しながら、治療をしていくことになります。

 

 

2 休職から復職するには?

 

 

さて、通常の会社では、休職期間が満了した時点で、

休職理由が消滅していない場合には、退職するか、解雇すると、

就業規則で定められていることが多いです。

 

 

 

病気で休職している場合、病気が治癒していれば、

休職理由が消滅しているといえます。

 

 

ここで、治癒とは、休職前の職務を遂行できる状態のことをいいます。

 

 

では、休職前の職務はできないものの、

別の仕事ならできる場合はどうでしょうか。

 

 

労働者の職務(仕事内容)が限定されていない場合、

その労働者が配置される現実的可能性があると認められる他の業務について、

労働を提供することができ、かつ、その提供の申し出をしているならば、

復職は可能となります。

 

 

そのため、休職前の仕事ができなかったとしても、

別にできる仕事が現実にあり、その仕事ならできますよと、

会社に伝えていたならば、会社は、休職前とは別の仕事に就かせて、

復職させなければならないことになります。

 

 

また、休職前の仕事ができなくても、相当の期間内に、

作業遂行能力が通常の業務を遂行できる程度に回復すると見込める場合にも、

会社は、復職を認めなければならないことになります。

 

 

このように、①休職前の仕事ができるか、

②休職前の仕事ができなくても、別の仕事ならできるか、

③休職前の仕事をすぐにはできないが、

ある程度の期間が経過すれば、できるようになるかを検討し、

会社に対して、復職を求めていきます。

 

 

3 主治医とよく相談しましょう

 

 

復職を求めていく場合に、重要になるのは、主治医の意見です。

 

 

復職したい場合には、主治医に対して、復職できるのか、

いつ復職するのがいいのかについて、よく相談し、

適切なアドバイスをもらってください。

 

 

 

主治医が復職できると判断しているにもかかわらず、

会社が復職を拒否した場合、労働者は、会社に対して、未払賃金を請求できます。

 

 

会社は、労働者が働いていないのに、賃金を支払うのは不合理と考え、

復職を認めることになると考えます。

 

 

また、会社からは、前の仕事ができないならば、退職してはどうかと、

退職勧奨をされることがあります。

 

 

労働者は、退職勧奨に応じる義務はありませんので、

退職したくない場合には、退職勧奨を拒否してください。

 

 

会社が、復職を拒否している場合、

労働者が復職を求めても、応じてくれないときがあります。

 

 

そのような時は、弁護士に、復職の交渉を依頼すれば、

会社は、復職に応じてくれることがあります。

 

 

弁護士は、交渉力を強化してくれる味方ですので、

休職や復職で困ったときには、弁護士にご相談ください。

 

 

本日も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

パワハラの損害賠償請求をして190万円の解決金を獲得した事例

1 上司からの酷いパワハラ

 

 

会社の上司から酷いことを言われて、精神的にしんどい。

 

 

上司のパワハラをなんとかしたいけど、どうすればいいのかわからない。

 

 

このようなパワハラの法律相談が増加しています。

 

 

労働問題についての法律相談で、現在、最も多いのが、パワハラです。

 

 

パワハラを受けたときに、最も効果的な対処法は、録音をすることです。

 

 

今回は、パワハラの録音があったおかげで、

会社から190万円の解決金を獲得した事例を紹介します。

 

 

クライアントは、40代男性で、

運送会社でドライバー兼事務の仕事をしていました。

 

 

クライアントは、営業所の所長から、

次のような言葉の暴力のパワハラを受けていました。

 

 

「アホ」、「バカ」、「やめろ」、「ハゲ」、「頭おかしいんちゃうか」、

「わしがおる限り、昇進はないと思っとけ。評価も低いからな」、

「給料どろぼう」、「みんな、お前をいらんと言うとるぞ」

 

 

 

クライアントは、酷いパワハラによって、精神に不調をきたし、

精神科を受診したところ、適応障害と診断され、主治医からは、

休職をすすめられ、しばらくの期間、休職しました。

 

 

主治医は、クライアントが職場に復帰することに反対していましたが、

クライアントは、年齢的に再就職が難しいこと、

家族を養っていかなければならないこと、

会社から、職場を戻りやすい環境にすると言われたことから、

主治医の反対意見を振り切り、休職から復職しました。

 

 

しかし、復職した途端、クライアントは、最悪の仕打ちを受けました。

 

 

なんと、クライアントの席が、

パワハラをした張本人である営業所長の前に移動させられていたのです。

 

 

クライアントは、パワハラをしていた営業所長の面前で、

仕事をせざるをえない状況に追い込まれ、多大な精神的苦痛を被りました。

 

 

しばらくの間、なんとか我慢して勤務していましたが、

やはり、適応障害の症状が悪化し、再び、休職することとなりました。

 

 

2 録音が決め手になった

 

 

このような一連の仕打ちを許せないと思ったクライアントは、

私のもとに法律相談にこられました。

 

 

クライアントの話しを聞くと、営業所長から、

パワハラを受けた時に、録音をとっているとのことでした。

 

 

録音の内容を聞いてみると、

確かに、クライアントの人格を否定する暴言が録音されていましたので、

パワハラの事実を証明できると判断しました。

 

 

 

また、クライアントと共に、主治医と面談し、

クライアントの適応障害の原因がパワハラにあるとの意見をもらいました。

 

 

そして、主治医が、クライアントが問診のときに話していた、

パワハラの具体的な内容をカルテに記載してくれていたことも明らかとなりました。

 

 

そこで、カルテの開示を受けて、

パワハラの事実を証明するための証拠を確保しました。

 

 

このように、パワハラの事実を証明でき、

パワハラが原因で適応障害を発症したことも証明できると考え、

会社に対して、損害賠償請求をすることにしました。

 

 

3 会社との損害賠償請求の交渉

 

 

会社に対して、損害として、クライアントの精神科での治療費、

休職期間中の休業損害、退職後に再就職するまでの期間の給料の補償分、

慰謝料を請求しました。

 

 

パワハラの被害者が、パワハラが原因で精神疾患を発症した場合、

慰謝料の金額が増額される傾向にあります。

 

 

パワハラの証拠を確保できていたので、

会社との損害賠償請求の交渉はスムーズにすすみました。

 

 

1ヶ月ほど交渉をした結果、

会社から合計190万円の解決金を支払ってもらうことで、

示談が成立しました。

 

 

 

この示談において、クライアントが相手方会社を退職することを確認し、

退職の理由として、離職票に、

職場の上司からパワハラを受け、就業環境が著しく悪化し、

退職せざるをえなくなったため」と記載してもらうことになりました。

 

 

離職票に退職理由として、パワハラが原因と記載してらうことで、

会社都合退職となり、失業給付を受給する際に、

給付制限がかからず、すぐに失業給付を受給できるようになります。

 

 

パワハラを受けて、絶望していたクライアントでしたが、

会社から190万円の解決金を勝ち取ることができ、

新しい希望を見出し、次の一歩を踏み出すことができるようになりました。

 

 

この事例のように、パワハラでは、録音があれば、会社に対して、

損害賠償請求することが可能になります。

 

 

逆に、パワハラをされても、録音がなければ、

パワハラの事実を証明することができずに、

損害賠償請求をすることが困難になります。

 

 

そのため、パワハラを受けた場合は、必ず、録音するようにしてください。

 

 

パワハラは突然されますので、出社したら録音ボタンをオンにし、

退社するときに録音ボタンをオフにして、就業時間中、

常時録音しておけば、パワハラの文言を録音できます。

 

 

相手の許可なく録音しても問題ありません。

 

 

そして、パワハラで悩んでいる場合には、誰かに相談してください。

 

 

一人で悩んでいても、解決できません。

 

 

弁護士にパワハラの法律相談をすれば、

対処法について、適切なアドバイスをしてくれます。

 

 

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

コーチングのこころとかたち2日目

1 逆算型の課題設定

 

弁護士の中原阿里先生が主催している、

ラッセルコーチングカレッジのウェルビーイングコーチングプログラムの

講座1「コーチングのこころとからだ」の2日目を受講しました。

 

 

講座1の2日目では、まず、課題や目標を設定し、次に、現状を把握し、

そして、現状と将来の課題・目標とのギャップを埋めるための、

リソースや支障、行動の選択肢を質問によって、

可視化することを行いました。

 

 

この作業をすることによって、自分の可能性が開花され、

ワクワクした感情を抱くことができました。

 

 

それでは、今回の講座1の2日目から、

私が得た気付きを3つ紹介させていただきます。

 

 

1つ目は、逆算型の課題設定です。

 

 

まず、3年後に目標を達成した理想の自分をイメージして思い描きます。

 

 

 

その際に、自分に対して、次の質問をします。

 

 

①どうなっていますか

 

 

②何を楽しいと感じていますか(または何に充実感を感じていますか)

 

 

③周りには誰がいますか(それぞれにどんな態度で接していますか)

 

 

④誰にどんな影響を与えていますか

 

 

⑤大切にしていることは何ですか

 

 

⑥どんな習慣がありますか

 

 

この質問を紙に書き出し、仲間に話すことで、

未来の記憶を充実させることができ、

目標達成の実現可能性があがるのです。

 

 

次に、3年後の課題や目標を達成した前提で、以下の質問を、自分にしてみます。

 

 

①今、どんなお気持ちですか

 

 

②苦労があったとすれば、どんなことですか

 

 

③どうやって、乗り越えたのですか

 

 

④誰に感謝していますか

 

 

⑤3年前のあなたに、ぜひ言葉をかけてください

 

 

この質問の答えを紙に書き、仲間から質問されて答えていくと、

3年後に目標を達成した自分を、リアルにイメージでき、

アイデアが湧いてきます。

 

 

このワークをしたことで、不思議と自分に気付きが生まれましたので、

目標達成に向けて、邁進しようと、ポジティブになることができました。

 

 

何か新しいことに挑戦しようとする時に、このワークをすると、

行動のための第一歩を踏み出せると思います。

 

 

2 支障に向き合う

 

 

2つ目は、支障への向き合い方です。

 

 

課題や目標を設定し、現状を確認した後に、自分の支障と向き合います。

 

 

支障とは、目標達成を妨げる可能性があるものです。

 

 

この支障については、普段、知らず知らずのうちに、

避けて生活しているので、支障と対面することは、正直億劫です。

 

 

とはいえ、この支障を乗り越えなければ、課題や目標達成できません。

 

 

 

コーチングでは、コーチの質問によって、

クライアントが支障を乗り越えるサポートをします。

 

 

私の場合、売上目標があるのですが、毎月の売上の変動が激しく、

売上についての漠然とした不安を抱いています。

 

 

このような心理的支障については、支障を利用するという質問が効果的でした。

 

 

「それが実はメリットだとしたら、どんなことでしょうか」

 

 

「それでもやりたい、という思いは何なのでしょうか」

 

 

このような質問に対する回答を考えていく中で、

自分の中に不安があるから、この不安を払拭しようとして、

様々な打ち手を考え、売上が上がるように努力しようとし、

不安が原動力になっていることに気付きました。

 

 

そう、不安は、自分にとっての原動力だったことに気づけたのです。

 

 

このように、質問に対する回答を考えている時に、気付きが生まれ、

不安という心理的支障をポジティブに転換することができました。

 

 

普段避けている支障と向き合うことで、

気付きが生まれ、行動できるようになるのです。

 

 

3 ラビングプレゼンス

 

 

3つ目は、ラビングプレゼンスです。

 

 

ラビングプレゼンスとは、「相手を信じ、相手にとっての最善が起こりますように、

幸せでありますようにと願いながら、共に在ること」です。

 

 

 

私は、弁護士として、日々、たくさんの法律相談を受けています。

 

 

法律では解決できないことはたくさんあり、法律相談の結果、

相談者に対して、あまりお役に立てないことも、よくあります。

 

 

そのようなときであっても、相談者に対して、

最善が起こりますように、幸せでありますようにと、

心の中で思い、唱えたり、祈るだけでも、

弁護士にとっても、相談者にとっても、

プラスの作用が生まれる気がします。

 

 

ここは、論理的に説明できませんが、ラビングプレゼンスの心構えで、

法律相談をすることで、弁護士と相談者の双方に、プラスの循環が生まれると、

感覚的に思います。

 

 

これからも、コーチングを学んで、弁護士の法律相談に活用していきます。

 

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます。

コーチングのこころとかたち1日目

1 コーチングの勉強をしています

 

 

今年の1月から、弁護士の中原阿里先生が主催している、

ラッセルコーチングカレッジのウェルビーイングコーチングプログラムを受講しています。

 

 

https://coach-b-russel.webnode.jp/

 

 

中原先生とは、弁護士同士でコーチングを学ぶ勉強会でお知り合いになりました。

 

 

https://coach-possibility.com/?fbclid=IwAR1i7J7i4BNW-DKiMWJdeAuarmcON1cZJLsU0TydUhzZIquuXYp7m74gEe0

 

 

中原先生は、日本で最もコミュニケーションスキルの高い弁護士です。

 

 

私は、弁護士として、コミュニケーションスキルを向上させる必要があると考え、

コミュニケーションの勉強をしています。

 

 

日本で最もコミュニケーションスキルの高い弁護士から、

コミュニケーションを学びたいと思い、

中原先生のコーチングプログラムを受講することにしました。

 

 

そもそも、コーチングとは、「思考を刺激し続ける創造的なプロセスを通じて、

クライアントが公私において、自身の可能性を最大化させるように、

コーチとクライアントのパートナー関係を築くこと」です。

 

 

 

 

ようするに、コーチが、クライアントに質問することで、

クライアントの思考が整理され、クライアントの中に、気付きが生まれ、

クライアントの行動が変容し、クライアントが成長していくという、

コミュニケーションです。

 

 

このコーチングにウェルビーイング

(自分と他者の幸福の循環を体感している主観的な状態)をかけ合わせたのが、

ラッセルコーチングカレッジのプログラムなのです。

 

 

さて、今回のコーチングプログラムの講座1の1日目を受講して、

私が得た気付きを3つご紹介します。

 

 

2 ポジティブな変化の起点

 

 

1つ目は、コーチングは、ポジティブな変化の起点になるということです。

 

 

コーチングによって、自分自身を観察しますので、

自分が行っていることの軌道修正をすることができます。

 

 

コーチングを受けることで、自分は、こういうことをやってみたい、

こういうことができるはずだという希望が可視化されます。

 

 

コーチングを受けることで、自分は、

どのような価値観を重視しているのかが明確になります。

 

 

コーチングを受けることで、自分の認知を再度、構築し直すことができます。

 

 

このように、コーチングによって、クライアントは、

ポジティブに行動できるように促されるのです。

 

 

 

弁護士が行う法律相談が、クライアントがネガティブな状態から、

希望をもてるポジティブな状態に変化するためのきっかけになれば、

弁護士としての本領を発揮したことになると思います。

 

 

法律相談では、クライアントのポジティブな変化の起点になっているかを、

意識して考えていきます。

 

 

3 なぜの質問を封印してみる

 

 

2つ目は、WHYの質問を封印するです。

 

 

WHYの質問には、次の3つの副作用があります。

 

 

①WHYの質問をすると、クライアントは、

言い訳を言って、過去を正当化してしまいます。

 

 

②WHYの質問には、批難するニュアンスがあり、

クライアントとの信頼関係が崩れやすくなります。

 

 

③クライアントが思い込みを強化してしまいます。

 

 

そこで、WHYの質問(なぜ、そうしたのですか?)を、

WHAT(その行動で何を得ようとしたのですか?)や

HOW(どのようにすればよかったのでしょうか?)

に置き換えてみるのが効果的です。

 

 

弁護士は、ついつい、WHYを多用しているので、

WHATやHOWに置き換えることができないか、

質問をデザインしてみます。

 

 

 

3 楽観的構想

 

 

3つ目は、楽観的構想です。

 

 

コーチングでは、目標や課題を設定し、現状を把握し、

目標や課題と現状のギャップを埋めていくために、

どのような行動をすべきかを明らかにしていきます。

 

 

この目標や課題の設定において、人は、3つの縛りに拘束されて、

効果的な目標や課題の設定ができないことがあります。

 

 

①評価の縛り(自分はこの程度だろう)

 

 

②結果の縛り(そんなことできない)

 

 

③現状の縛り(~がないからできない)

 

 

この3つの縛りを取り払うためには、次の3つの思考が効果的です。

 

 

①人に天井なし(ありたい姿を描くのに制限不要)

 

 

②不可能に対する健全な無視(結果を先に検証することはできない)

 

 

③必要なものは現れると楽観する(課題は未来であり、現状と異なって当然)

 

 

何かに挑戦しようとする時、上記の3つの縛りによって、

挑戦を躊躇することがありますが、そのような時は、

縛りを取り払う3つの思考によって、

挑戦の一歩を進めることができます。

 

 

コーチングを学び、コミュニケーションスキルを向上し、

選ばれる弁護士になります。

 

 

本日も最後まで、お読みいただき、ありがとうございます。

【転勤命令・残業代請求】会社からの転勤を拒否したら、退職に追い込まれたので、残業代請求をして、305万円の解決金を獲得した事例【弁護士が解説】

1 突然の転勤命令

 

 

会社からの突然の転勤命令。

 

 

転勤を拒否したら、会社から給料を減額される等の嫌がらせを受け、

無理矢理退職させられました。

 

 

このような酷い仕打ちを受けたので、会社に対して、

金銭請求をしたいのですが、可能ですか。

 

 

このように、会社からの転勤命令を拒否したことによって、

不当な仕打ちを受けることはよくあります。

 

 

 

そのような場合、残業代請求をすることで、

会社に対して、一矢報いることができる可能性があります。

 

 

今回は、金沢から福岡への転勤を拒否したクライアントが、

退職に追い込まれたものの、残業代請求をすることで、

会社から305万円の解決金を回収した事例を紹介します。

 

 

クライアントは、実際の年収が、

入社面接の際に会社から提示された年収よりも低かったことから、

会社に抗議をしたところ、金沢から福岡への転勤を命令されました。

 

 

クライアントは、石川県に引っ越してきたばかりであり、

病弱な子供がおり、石川県で安定した仕事に就くために、

この会社に入社したにもかかわらず、

福岡への転勤を命令されたことに納得できませんでした。

 

 

そこで、クライアントは、福岡への転勤には応じることはできず、

金沢で勤務を継続したいと会社に伝えました。

 

 

しかし、会社は、クライアントが金沢で働くことを拒否し、

クライアントを自主退職扱いとし、会社から排除しました。

 

 

このような会社からの酷い仕打ちに納得できないクライアントは、

私のもとに相談にこられました。

 

 

2 証拠保全の申立

 

 

クライアントの話しを聞くと、長時間労働をしているにもかかわらず、

会社から残業代が支払われていないことがわかりました。

 

 

そこで、会社に対して、会社の転勤命令は無効であり、

自主退職手続きは無効であることから、

労働者としての地位が有ることの確認を求めて、

未払賃金を請求し、あわせて、残業代を請求することにしました。

 

 

残業代請求をするためには、労働者が、

この日に何時から何時まで働いたという、

労働時間を証明しなければなりません。

 

 

残業代請求事件では、この労働時間を証明するための証拠を

どうやって確保するのかが、極めて重要になります。

 

 

クライアントの会社には、タイムカードがなかったため、

どうやって労働時間を証明するかを考えたところ、

クライアントは、会社から貸与されたノートパソコンを用いて、

デスクワークをしていました。

 

 

 

デスクワークをしている労働者は、

出社した際に、パソコンの電源をいれ、

帰宅する際に、パソコンの電源を切ります。

 

 

そして、パソコンには、この電源をいれた時刻と電源を切った時刻である

ログデータが自動的に保存されています。

 

 

このパソコンのログデータを確保できれば、

クライアントが何時から何時まで働いたのかを証明できます。

 

 

とはいえ、パソコンは、会社が保管していますので、

労働者がログデータの開示を求めたとしても、

ログデータを勝手に消去するリスクがあります。

 

 

さらに、ログデータは、時間が経過した場合、

自動的に消去されるリスクがあります。

 

 

そこで、証拠保全という手続きを活用しました。

 

 

証拠保全とは、裁判官と供に、証拠が存在する現場へ行き、

証拠の現状を保存し、証拠を確保する手続きです。

 

 

この証拠保全の申立てが認められ、裁判官と供に、会社へ行き、無事に、

クライアントが使用していたパソコンのログデータを確保することに成功しました。

 

 

3 残業代請求で倍返しに成功

 

 

証拠保全手続きで入手した、クライアントのパソコンのログデータをもとに、

労働時間を特定し、残業代を計算しました。

 

 

残業代を計算したところ、400万円くらいの残業代になりましたので、

労働者としての地位の確認、未払賃金請求、残業代請求の裁判を提起しました。

 

 

争点の1つは、福岡への転勤が無効になるかです。

 

 

福岡への転勤が無効になれば、クライアントは、

業務命令違反にならず、退職の意思表示をしていないので、

会社が勝手にクライアントを退職させたことは、無効になります。

 

 

転勤といった、会社の配転命令は、

①業務上の必要性、

②不当な動機目的、

③労働者が被る不利益の程度、

という3つの判断要素を総合考慮して、有効か無効かが判断されます。

 

 

そこで、当方は、①福岡の人員が不足しているのであれば、

福岡の現地で人材を採用すればよく、

クライアントを金沢から福岡へ転勤させる必要がないこと、

②クライアントが、減給や年収が少ないことに抗議したことへの報復のため、

福岡への転勤を命令しているので、会社に不当な動機目的があること、

③クライアントには、病弱な幼い子供がおり、

石川県に家を建てたばかりであり、クライアントが福岡へ転勤する場合、

クライアントの不利益が大きいと主張しました。

 

 

しかし、転勤といった人事については、

会社に広い裁量が認められていることから、

裁判所は、転勤命令については、

無効とは判断できないという考えを抱いていました。

 

 

もう一つの争点である残業代請求については、

パソコンのログデータを確保できたおかげで、

クライアントが優位に裁判をすすめることができました。

 

 

会社からは、ログデータがあるからといって、

その時間、労働していたとはいえないという反論がありました。

 

 

しかし、会社には、労働時間を適正に把握する義務があります。

 

 

会社がタイムカードなどで、労働時間を把握していない以上、

ログデータなどの客観的な証拠で、労働時間が認定されるべきなのです。

 

 

そして、裁判の途中で、裁判所から、和解の提案がありました。

 

 

転勤命令については、当方に分が悪かったのですが、

残業代請求では、当方の言い分が認められる可能性が高いことから、

双方が歩み寄り、最終的には、会社は、クライアントに対して、

305万円の解決金を支払うことで和解が成立しました。

 

 

会社から、酷い仕打ちを受けて、打ちひしがれていたクライアントでしたが、

最終的には、305万円の解決金を獲得し、

会社の対応がおかしかったことが明らかにできて、

クライアントは、満足されました。

 

 

 

このように、会社から酷い仕打ちを受けた場合、

残業代請求で、倍返しができる可能性があります。

 

 

労働問題でお困りの場合には、お気軽に当事務所へお問い合わせください。

パワハラと退職についてわかりやすく解説する徳田弁護士の動画

弁護士ドットコムニュースのチャンネルで、徳田弁護士が、パワハラと退職について、わかりやすく解説する動画が公開されました。

 

パワハラを受けて退職する場合、パワハラの事実を証言してくれる証人を2名確保できれば、ハローワークでパワハラの証明ができ、自己都合退職ではなく、会社都合退職になります。

 

会社都合退職になれば、雇用保険の基本手当(失業給付)を受給する際に、2ヶ月の待機期間がなく、早く受給できるので有利になります。

 

パワハラを受けて退職する場合には、パワハラの事実を証言してくれる人を2名確保できないかを検討してみてください。

 

退職についてわかりやすく解説する徳田弁護士の動画

弁護士ドットコムニュースのチャンネルで、徳田弁護士が、退職について、わかりやすく解説する動画が公開されました。

 

会社を退職したい場合、退職届を特定記録郵便で会社に郵送して、2週間が経過すれば、自由に会社を退職できます。

 

残っている年次有給休暇を使えば、会社に出社することなく、退職できます。

 

会社が退職を認めてくれない場合に参考になる動画ですので、ぜひご視聴ください。

殻を破れば生まれ変わるかもしれない

1 決める

 

 

アチーブメント株式会社の主席トレーナーである佐藤英郎先生の

「殻を破れば生まれ変わるかもしれない」という本を読みました。

 

 

 

私は、アチーブメント株式会社の「頂点への道講座」を受講しており、

今年の1月に、ダイナミックアドバイスコースを受講するのですが、

その講座の課題図書として、この本が指定されておりましたので、

年末年始のお休みの期間を利用して、読み終えることができました。

 

 

それでは、私がこの本を読んで得た気付きを3つ、ご紹介させていただきます。

 

 

1点目は、決めることの大切さです。

 

 

佐藤先生は、この著書において、「自分を後戻りできない状況に置くことで、

前に進むことを決めるのです」とおっしゃっています。

 

 

 

私には、決めることを後回しにして、物事を先延ばしにする癖があります。

 

 

今は忙しいから後からにしよう、

めんどうだからもう少したってからにしよう、

などと決めずに、優柔不断にしていることが割りと多い気がします。

 

 

おそらく、決めることによって、自分にかかる負荷が見えてしまい、

不安や恐れを抱いて、決めることを躊躇してしまうのだと思います。

 

 

しかし、この「頂点への道講座」を受講し、

新しいことに挑戦する際には、

誰にでも、不安や恐れが生じるのですが、

その「不安や恐れを小脇に抱えてやる」と決断して、

行動に移すことの大切さを学びました。

 

 

人間は、感情の生き物ですので、不安や恐れを完全に消し去ることはできません。

 

 

そうであれば、不安や恐れと上手に付き合う術を身につけるのが効果的です。

 

 

この「不安と恐れを小脇に抱えてやる」という言葉を口にすると、

不思議と勇気が湧いてきます。

 

 

2023年は、不安と恐れを小脇に抱えて、

決断して、実行する1年にしたいと思います。

 

 

2 腹を立てないと決める

 

 

2つ目は、腹を立てないと決める、です。

 

 

私は、最近、自分の子供が言うことを聞かないことに、

腹を立ててしまい、子供に怒ることがよくあります。

 

 

 

子供がふざけて、トラブルを起こすと、よく子供に怒鳴っています。

 

 

子供に怒鳴っても、子供に恐怖を与えるだけで、子供の成長によくないですし、

何よりも、怒鳴ってしまった自分に対して、嫌悪感を抱いてしまいます。

 

 

このような怒りの感情への対処法として、この本では、

「腹を立てないと決める」ことが紹介されていました。

 

 

腹が立つ出来事があった場合、怒りを表に出さずに、

「今話しをする目的は何か?」と考えるのがよいようです。

 

 

目的を考えると、怒りに任せて感情的になることが

効果的でないことがよく分かり、冷静になれます。

 

 

子育て真っ最中の私は、腹を立てないと決めて、子供と関わっていきます。

 

 

3 自分を見つめ直す時間を持つ

 

 

3つ目は、自分を見つめ直す時間を持つ、です。

 

 

この本の中で、佐藤先生は、1ヶ月に1度、

自分を見つめ直す時間を持つことがよいと紹介されています。

 

 

私は、弁護士の仕事をしながら、妻と協力しながら、家事をして、

子供2人を育てていますので、忙しく過ごしています。

 

 

忙しさにかまけていると、「あれ、このままでいいのかなぁ」

と自分が見えなくなることがあります。

 

 

佐藤先生は、1ヶ月に1度は、今自分が取り組んでいることや、

本当に自分がやりたいことなどを省みる時間を持つことをおすすめしています。

 

 

私が尊敬している弁護士の先生も、数ヶ月に一度ホテルに一人で宿泊して、

自分自身を見つめ直す時間をとっていると教えてくれたことを思い出しました。

 

 

誰にも邪魔されずに、自分だけの時間を持ち、

日常の現場から離れてみることか有益です。

 

 

私は、出張が多いので、出張の移動時間や、宿泊先のホテルにおいて、

一人になったときには、自分を見つめ直す時間に充ててみたいと思います。

 

 

自分の殻を破って、成長を目指す人におすすめの1冊ですので、

ご紹介させていただきました。

 

 

本日も、最後までお読みいただき、ありがとうございます。