パワハラ・コロナ労災・過労死110番で石川県で多かった労働相談は休業手当でした

1 パワハラ・コロナ労災・過労死110番

 

 

6月20日に過労死弁護団全国連絡会が主催する,

「パワハラ・コロナ労災・過労死110番」を石川県でも実施しました。

 

(NHKで報道していただきました)

 

 

もともと,この過労死110番は,過労死の被害を防止するために,

1年に1回実施しているもので,今年で33回目となります。

 

 

今回の過労死110番では,

パワハラとコロナ労災についても,

電話相談を受け付けました。

 

 

今年の6月1日から,改正労働施策総合推進法が施行され,

大企業に対してパワハラ防止措置が義務付けられたことから,

パワハラに関する労働相談が増えることが予想されたからです。

 

 

また,今年は,新型コロナウイルス感染拡大の影響で,

仕事中に新型コロナウイルスに感染したという労災や,

新型コロナウイルスに対応するために過重労働をしなければならなくなり,

過労死や過労自殺に至るケースが増えることが予想されたからです。

 

 

そのため,パワハラやコロナ労災の法律相談が

多く寄せられることを予想していました。

 

 

実際に,全国では,パワハラに関する相談が最も多かったです。

 

 

ところが,石川県では,6件の電話相談があったのですが,

そのうち4件は,休業手当に関する相談でした。

 

 

要するに,会社から休業するように言われたものの,

賃金が支払われないという相談です。

 

 

 

緊急事態宣言が解除され,経済活動が再開されてきているので,

休業手当の法律相談は減少すると考えていたのですが,

まだ,休業手当に関する法律相談が多いことに驚きました。

 

 

2 休業手当

 

 

さて,休業手当ですが,会社は,

災害などの不可抗力の場合を除いて,

労働者を休業させた場合,労働者に対して,

平均賃金の6割以上を支払わなければなりません。

 

 

休業手当を支払わない会社に対しては,

30万円以下の罰金が科せられます。

 

 

特に,新型コロナウイルスの感染拡大がおさまって,

経済活動が再開した現段階においては,会社は,

労働者から労務を提供してもらうことが可能であるのに,

会社の判断で休業させる場合には,民法536条2項に基づき,

労働者に対して,給料の全額を支払う必要があります。

 

 

そのため,現時点において,休業をしている労働者は,

会社に対して,給料の全額を請求すべきなのです。

 

 

この休業期間中の賃金の全額の請求は,

パートやアルバイトなどの非正規雇用労働者にも認められます。

 

 

3 雇用調整助成金の特例措置

 

 

さらに,今年の6月12日付の雇用調整助成金の特例措置により,

雇用調整助成金の1人当たりの助成額の上限が

8,330円から15,000円に引き上げれました。

 

 

また,解雇や雇止めをしない中小企業の助成率が

9/10から10/10に引き上げられることになりました。

 

 

そのため,企業にとっては,労働者を休業させても,

雇用調整助成金をより利用しやすくなったのです。

 

 

休業中に賃金が支払われないと,

労働者の生活は困窮してしまうので,

会社は,雇用調整助成金を活用して,

労働者に対して,休業期間中,

最低6割以上の賃金を支払うべきです。

 

 

ただ,現実には,6割の休業手当すら

支払われていない労働者がいるのも現実です。

 

 

 

4 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金

 

 

会社が休業手当を支払わない場合,新しく,

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金が導入され,

労働者がハローワークに申請することで,

約8割の賃金が国から直接支給されることになりそうです。

 

 

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金については,

まだ詳細が公表されていませんが,これが導入されると,

労働者は,休業手当を支払わない会社に対して,

裁判を起こすことなく,国から一定額の支給を受けられるので,

便利になります。

 

 

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金が

早急に導入されることを期待したいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。